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キーナンの来襲
58 セグナ・アグナータ(戦う 皆を繋ぐ者)
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アントランは転がった《化け物》の死体を蹴っては、息のある《化け物》をずぶり!と剣で貫く。
アリオンが振り向いた時、ファオンはアグナータ(皆を繋ぐ者)の白い衣服を血飛沫で染めて、アントラン同様息の僅かにある《化け物》に剣を上から突き立てていた。
けれどファオンが歩を進め、別の《化け物》の死体へと歩く度、白い布が揺れ、その間から扇情的なファオンのほんのりピンクに染まる双丘が見えて、アリオンは一瞬誘われるように視線を送る。
「…あいつ、セグナ・アグナータだったのか?」
アントランの声に、アリオンは振り向く。
「…いや」
アントランは笑う。
「冗談だろう?
立派な戦力だぞ?」
アリオンは俯く。
「帰ったらレオにそう言ってくれ。
最も…」
「?」
「…まだファオンは《皆を繋ぐ者》に慣れない。
…戦場にレオが出すかどうかは…」
アントランは不満げに顔を下げる。
「ファーレーンの末弟だし…《皆を繋ぐ者》でいるには、気が強すぎる。
あいつ、根っこは凄く勇猛で剛胆だぞ」
アリオンがファオンに振り向く。
視線を下げて《化け物》の死体を見ているファオンの、綺麗な横顔。
すらりとした体付き。
なのにきつい、湖水のような青の瞳。
その姿はどこかファーレーンを彷彿とさせた。
アリオンはファオンに視線を向けたまま、ぼそりと囁く。
「…兄貴みたいに成りたくて、修行の旅に出てたからな…」
「ガキの頃はファーレーンみたいじゃなかったのか?」
アリオンは俯く。
「いや…。
恐がりで泣き虫で…いつもおどおどしてて…だが…とても可憐で可愛かった」
アントランはそれを聞いて肩を竦め、テスに振り向く。
「後で雑兵《アルナ》に死体を桃の木の下に埋めさせろ!
こいつら生きてても役に立たないが、死体はいい栄養に成るから、桃ももっと美味くなる」
テスは頷き、下に下ろしてた籠を持ち上げた。
「ファオン!帰るぞ!」
アントランに言われて、ファオンは顔を上げる。
テスの視線で…手に持つ剣を見つめ…そっ…とテスに寄ると、手渡した。
剣を手放した途端、ファオンは自分が男達の慰み者に戻ったのだと実感し、悲しげな吐息と共に顔を下げた。
アリオンが振り向いた時、ファオンはアグナータ(皆を繋ぐ者)の白い衣服を血飛沫で染めて、アントラン同様息の僅かにある《化け物》に剣を上から突き立てていた。
けれどファオンが歩を進め、別の《化け物》の死体へと歩く度、白い布が揺れ、その間から扇情的なファオンのほんのりピンクに染まる双丘が見えて、アリオンは一瞬誘われるように視線を送る。
「…あいつ、セグナ・アグナータだったのか?」
アントランの声に、アリオンは振り向く。
「…いや」
アントランは笑う。
「冗談だろう?
立派な戦力だぞ?」
アリオンは俯く。
「帰ったらレオにそう言ってくれ。
最も…」
「?」
「…まだファオンは《皆を繋ぐ者》に慣れない。
…戦場にレオが出すかどうかは…」
アントランは不満げに顔を下げる。
「ファーレーンの末弟だし…《皆を繋ぐ者》でいるには、気が強すぎる。
あいつ、根っこは凄く勇猛で剛胆だぞ」
アリオンがファオンに振り向く。
視線を下げて《化け物》の死体を見ているファオンの、綺麗な横顔。
すらりとした体付き。
なのにきつい、湖水のような青の瞳。
その姿はどこかファーレーンを彷彿とさせた。
アリオンはファオンに視線を向けたまま、ぼそりと囁く。
「…兄貴みたいに成りたくて、修行の旅に出てたからな…」
「ガキの頃はファーレーンみたいじゃなかったのか?」
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「いや…。
恐がりで泣き虫で…いつもおどおどしてて…だが…とても可憐で可愛かった」
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「後で雑兵《アルナ》に死体を桃の木の下に埋めさせろ!
こいつら生きてても役に立たないが、死体はいい栄養に成るから、桃ももっと美味くなる」
テスは頷き、下に下ろしてた籠を持ち上げた。
「ファオン!帰るぞ!」
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テスの視線で…手に持つ剣を見つめ…そっ…とテスに寄ると、手渡した。
剣を手放した途端、ファオンは自分が男達の慰み者に戻ったのだと実感し、悲しげな吐息と共に顔を下げた。
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