アグナータの命運

あーす。

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二人きりの時間

48 二人だけの時間 シーリーン 2

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 シーリーンの腕がもう我慢の限界のようにファオンの腰を抱きすくめる。
いつも冷静なシーリーンの激情に、ファオンは目を見開く。
気づくと押し倒され、唇を唇で覆い尽くされてた。

シーリーンの口づけはそれでもやはり甘く、ファオンは下敷きにされ、かっ!と身が火照るのを感じる。

うわずる。
双丘の奥が疼き始める…。

ファオンの手が、シーリーンの股にそっと触れる。
もう既に高まってた。

耳元でシーリーンが囁く。

「他の男の男根も…そうやって手で触れて確かめたのか…?」

ファオンはびくん!と震ってシーリーンに振り向く。
シーリーンの表情は苦く、辛そうに見えた。

「…誰が教えた?レオか…?」

ファオンはじっと鋭い瞳で見つめるシーリーンに震えながら囁く。

「…口で…咥えて…自分でお尻を広げて…乗れ…って…」

「自分の男根には触れるなと?」

ファオンが頷くと、シーリーンが囁く。
「触られて愛撫されるのが大好きなのにな…お前」

「…優しい男が触れてくれるなら良いけど…自分で逝きたいなら…」

シーリーンが掠れた声で言う。
「自分で腰を揺すれと…?
それとも…後ろで逝け…か?」

「男を悦ばせろと…」

シーリーンは顔を深く俯けて吐息を吐く。

「お前は…?」
「その時は嫌だった。
ずっと泣いてた。
けどファルコンとした時…挿入されると凄く…痛いし気絶する…。
だから咥えた方がいいし…ファルコンに入れられるより自分で乗った方が…」

シーリーンは苦く笑う。
「痛くない…か?」

シーリーンの唇が首筋…ファオンの感じる場所にしっとりと吸い付く。
唇は降りて行く。

胸の布を避けて乳首へと…舌でまったり覆われると、ファオンは甘えた喘ぎを上げて仰け反る。

「あっ…あ…」

ファオンの手がシーリーンの男根に触れようと手を伸ばす。
シーリーンはその手を握り込んで言った。

「いいから動くな…。
して欲しい時は俺がそう言う…」

シーリーンの唇先はもう片方の乳首に触れて覆う。
手はファオンの男根をやんわりと握り込み、極上の快感を紡ぎ出す。

乳首を柔らかく吸われ、男根をゆっくりしごかれると、ファオンの喉が鳴る。

気持ち良すぎて、体が宙に浮きそうだった…。

幼い時された…あの時は解らなかった。

けれど今は解る…。

シーリーンは“犯す”のでなく、“愛撫”してる…と。
“嬲る”ので無く…“愛”を施してると…。

凄く気持ちが良いのに、涙が頬を伝う。

アリオンも行為で“愛”を示し、シーリーンも…。

気遣い、気持ちが良いように…。

愛してくれる………。

シーリーンが男根を口に含む。

「んっ…」

あまりの気持ち良さに、ファオンは喉を晒し首を振る。

舌先で愛撫されるとたまらなくなり…けれど…後ろの双丘の奥が…疼き始める。

シーリーンはそれが解ってるみたいにゆっくり腿を持ち上げる。

ファオンは慌てて、股を開く。

「無理して…動いちゃ駄目!
キースだって…!傷が開いた…!」

けどシーリーンはキースの名で表情を歪める。

「キースはどんな風に愛した…?」

ファオンは上から屈み、見つめるシーリーンを目を見開き見つめ返した。

「…キースが欲しいのは…ファーレーン兄様で…。
本当は僕じゃ物足りないけど、顔が似てるから…って…」

シーリーンの表情が変わる。
驚きに。

「だから…本当は僕じゃなく、幻の兄様を抱いてた…」

それを聞いた時…シーリーンの表情が哀切に溢れた。

「…そうか…」

そして、言った。
「氷のような…あんな手強い相手に惚れるなんて…馬鹿だよな」

けれどファオンはシーリーンの言った“馬鹿”がとても優しくて…気遣うような“馬鹿”で…。

シーリーンを見つめ続けた。

でもシーリーンの男根が蕾に当たる。

ファオンの身が、びくん!と跳ね上がる。

「自分で足をもっと…開けるか?」

ファオンは頷く。
本当は…昔、意地悪だと思ってた行為が今は…とても優しくて、性奴隷の身分を忘れて浸っていたかったけれど、シーリーンの捻挫を思うと出来なかったから…。

そっと足を横に開き、シーリーンを受け入れる体勢を取る。

シーリーンはもっと身を進めようとして、足を広げるファオンを見つめ、囁く。

「凄く…色っぽいなお前」

ファオンが、かっ!と頬を恥ずかしさに染める。

「膝をもっと立てろ」

ファオンは頬を染めたまま…足を両横に開き、膝を立てた。

シーリーンが毛皮に手を付いて進む。

ファオンはそっと…腰を押し下げた。

蕾を割って…シーリーンが入って来る。

今まで感じたことの無いような熱さ…。

「あ…あ…っ!」

感じて首を振るファオンの色香と可愛らしさに、シーリーンは感じ入ったように見つめながら、更に奥へと男根を捻り込ませる。

「あ…んっ…」

いい場所を擦られ、ファオンが仰け反る。

もうすっかり…気持ちいいんだ。
シーリーンは他の男の影がチラ付くのを感じたけれど、振り払った。

だって今。
ファオンの快感を引き出しているのは紛れもない自分だったから。

「首に抱きつけるか?」
シーリーンの声と共にファオンは弾かれたように身を起こして両腕をシーリーンの首に回し、縋り付く。

声に出しては言わなかった。
けれどそれは…とても好きだ。

そんな仕草に見えた。

シーリーンはファオンの熱い腕にしがみつかれて腰を進める。
ファオンは僅かに顔をずらしシーリーンの、横顔を見つめる。
真っ直ぐの綺麗な鼻筋。
吐息を吐く少し薄めのけれど形良く男らしい唇。

伏せた眉。
その下の、きらりと光るブルーグレーの瞳。
美麗な顔立ち…。

秘やかなのに熱い…。
強引なのに…優しい…。

ファオンがシーリーンの唇を求めると、シーリーンは眉を寄せて顔を傾け、ファオンの赤い唇に口付けた。

やはり…甘い…甘いときめきが二人を覆い尽くす。

シーリーンの手がファオンの男根を握り込む。
突き上げられ、ファオンは快感の波にさらわれた。

夢中でしがみつき、シーリーンの突いてくる腰に合わせて尻を押し下げる。

もっと…もっと深くシーリーンの男根を飲み込もうと。

快感が下腹部を伝い男根の先端を駆け抜け、甘い気持ちのまま頭がぼうっ…と霞み始める。

「…あ…あ…凄く…気持ちいい…」

ファオンの声にシーリーンは答えず、代わりに腰を思い切り突き上げて、ファオンを快感の縁へと押しやった。

シーリーンの手にファオンの放つ湿り気…。

ファオンの蕾はシーリーンが挿入ってまま、濡れていた。

シーリーンは吐息を吐きながら、首に縋り付きぐったりと力の抜けたファオンの体を抱きしめる。

顔を上げるとファオンも顔を上げる。

綺麗で…可愛らしい…少年の頃焦がれたとても愛らしい顔で見つめられ、シーリーンは顔を傾ける。

ファオンはそれを受け止めるように唇を寄せ、口づけあって二人とも毛皮の上に倒れ込み、甘い休息に身を任せきった。
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