アグナータの命運

あーす。

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二人きりの時間

39 リチャードとシーリーン 3

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 暫くしてシーリーンは、ファオンが頬を染めて腰をよじるのを目にする。

そっと手を差し伸べると、ファオンが顔を上げ、首に腕を回してしなだれかかる。

ファオンの脳裏に偉大な父親の、棘のようにいつも突き刺さっていた言葉が消えて行く。

“男に女のように抱かれる息子など汚れきった者!”

剣のように心臓を射貫(いぬ)き、《勇敢なる者》レグウルナスになるまでは決して突き刺さったまま取れないと思っていた言葉…。

それが…掠れていく。

「…辛い…シーリーン」

求めれば応えてくれる。

見つめれば、見つめ返してくれる。

ファオンは心から、シーリーンに縋った。

が、リチャードも立ち上がる。

シーリーンはリチャードの姿を横目で見、けれども求めて来るファオンの唇に口付けた。
深く。
“愛”を示すように。

ファオンはうっとりと、受け止めてくれる唇を受け入れる。
身が疼き、鎮めて欲しくていっそうシーリーンに抱きつく。

けれど背後から腿を持ち上げたのはリチャード。

ファオンはリチャードに振り向く。

リチャードは真っ直ぐファオンの向こうのシーリーンを見つめる。

シーリーンの声が掠れた。
「傷付けるな」

リチャードが頷く。
ファオンはシーリーンを見つめる。

シーリーンの手が、ファオンの男根に触れて愛撫を始めると、ファオンは喉を鳴らし仰け反る。

「あ…ん…っ」

リチャードはファオンの腰を浮かすと、自分の上に沈め始める。

蕾を割って押し広げられる感覚。
内壁(なか)は疼いていたけれど、外の感覚は戻っていた。

だからファオンは頬を染める。

「あ…っ!」

リチャードの手が今度は胸の乳首に優しく触れる。

ファオンは二人の男に挟まれ、自分が変わっていくのを恐れた。

けれどその恐れは次第に火照る体に追い払われて行く。

リチャードとシーリーンに顔を寄せられ唇を頬に、唇に擦りつけられると、二人の男に熱を注ぎ込まれたように感じ、一そうファオンの頬は紅潮する。

シーリーンの男根を愛撫する手も、乳首に触れるリチャードの手も優しい。
けれど挟み込む男達の引き締まりきった体は熱い…。

「ん…あ…あっ!」

リチャードがゆっくりと…突き上げて来る。
ファオンは男根に与えられる愛撫で、その突き上げがとても気持ち良くて、喉を晒す。

シーリーンが耳元で囁く。
「いいか…?」
熱く低い声。

ファオンはぞくぞくしながら、頷く。
「どう…にかなり…そう…」

リチャードが我慢出来ず、腰を連続して突き上げ始める。

痛くない…刃のようでもない…。

ファオンはリチャードの突き上げをそう感じた時、気づくと腰を揺すっていた。
手をそっと、シーリーンのものへと伸ばし、握り、愛しながら…。
上り詰めていく。
一緒に。

「…いい…気持ちいい…」

リチャードはその甘い喘ぎに感じ入り、没頭したように腰を突き上げ続ける。

シーリーンの眉が、ファオンの細く長い指に男根を握られて、くっ!と寄った。

ファオンが目を見開き、目の前のシーリーンを見つめ囁く。

「気持ち…いい?」

シーリーンは返事が出来ないように眉を寄せ…だけど掠れた声で言った。

「凄く…いい」

リチャードが叫ぶ。

「逝く…っ!」

「あ…んっ!ああ……………っ!」

シーリーンの手がファオンの放った液で濡れる。

ファオンはシーリーンの放つものが温かく手を濡らすのを感じる。

けれど…ふと振り向く。

リチャードは中で出さず…外へ出していた。

ファオンに見つめられ、リチャードは顔を下げる。

「今お前に壊れられたら困る」

シーリーンはふっ…。と吐息を吐くと、毛皮の上に尻を落とす。

ファオンはぐったりと後ろのリチャードへと倒れ込む。

リチャードは…ファオンを後ろから抱きかかえ、目を見開く。

「気絶…してないか?」

シーリーンは俯き、水差しの水をコップに入れてリチャードに差し出し、自分の分を注いで口に運び囁く。

「朝から立て続けだ。
疲れて当然だろう?」

リチャードは満足そうに目を瞑るファオンを見、コップを傾け、言った。

「…ファルコンは策士だな。
あっと言う間に彼の望み道理の…色っぽい《皆を繋ぐ者》アグナータになった」

シーリーンはコップを持つ手を下げる。

「どうだかな…。
俺達と離れ…かなり厳しい訓練を積んできた様子に見える」

リチャードもファオンの裸体を見つめて頷く。

「引き締まりきってる。
ファルコンの食指が動かない訳だ」

二人はそっと、ファオンを見つめた。

寝顔は昔道理のきらきらした、一際綺麗な可愛い子ちゃん…。
けれどその下の裸体は…俊敏そうな筋肉が付いていた。

その身体が、剣を握り駆け回る姿を思い描ける。

でも今は…男達に愛されて艶と色香を纏い始め、なまめかしく艶麗えんれい見えた。
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