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二人きりの時間
32 戻って来たレグウルナス(勇敢なる者) キース
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ファオンはファルコンのテントで、疼く身体に身悶えていた。
“なんで…変…体が熱い…”
男根が張り詰め、歩く事も出来ず毛皮の上に横たわってる。
朝…抱きしめてくれたファルコンがここにいない事が悲しくて、ファオンは俯く。
銀の真っ直ぐな髪。
青味がかった淡いグレーの瞳。
真っ直ぐな鼻筋の…とても綺麗な顔。
なのにとても逞しくて…。
“どうしよう…。
ファルコンがいない事が…こんなに…切ないなんて…!”
ファオンは自身の男根に手を伸ばしかけ…レオに言われたことを思い出す。
“自分では触れるな”
「…………………っ」
思いあまって蕾の奥に指を入れる。
探ると、感じる場所に触れた途端、かっ!と身が火照る。
けれど…細い指程度の刺激ではとても…頼りなくて、ファルコンの巨根を思い浮かべ、必死で腰を揺する。
「…ん…っ…ん…っ!」
外でざわめく気配がしたけれど、ファオンは気づかなかった。
レオが入り口の布を払い、毛皮の上で背を向けて自身の蕾を慰めてるファオンを見つめていても。
「…見ての通りだ。
お前が慰めてやれ」
ファオンはびくん!と身を揺すり、蕾を触っていた指を引き抜く。
さらりと布の落ちる音。
人が入って来る気配。
“ファルコン…?!”
入り口に背を向けていたファオンが振り向いた時…そこにいたのは…。
「………キース………」
セスが真剣に惚れてしまった男…。
そして。
そして…。
一番上の兄、ファーレーンと同い年の好敵手…。
キースは苦笑した。
「…まさか、お前を抱くことになるとはな…」
王者のような金の巻き毛。
高い額。
淡い緑がかった碧(あお)の瞳………。
どんな場所にいても存在感を放つ彼…。
昔この北の尾根でずっと…長兄ファーレーンと彼は雌雄を決し、しのぎを削って来た。
けれど一家で一尾根に一人。
が《勇敢なる者》の選出基準の為、長兄ファーレーンは次兄キリアンに北の尾根の《勇敢なる者》を譲り、東の尾根の《勇敢なる者》に挑んで選出された。
だが次兄キリアンは末弟ファオンに北の尾根の《勇敢なる者》を譲り、南の尾根で選出される。
…しかし、ファオンは《勇敢なる者》に挑むことすら許されず《皆を繋ぐ者》として北の尾根に上がった…。
《化け物》が住みつく深い渓谷を、ぐるりと取り巻く崖。
西は人の住まず、《化け物》ですら登らぬ高い高い絶壁。
南、東、北の三カ所は西に比べ低い崖で尾根がせり出し、襲い来る《化け物》を見張るにはうってつけの場所だった。
尾根を降りたその先は、人の住むなだらかな丘陵地…。
南、東、北。
各地の尾根で《勇敢なる者》らは選ばれ集い、《皆を繋ぐ者》をそれぞれの尾根で一人迎え、自身の選出された尾根で勇者達は見張り、戦う。
どこか一カ所でも破られれば、《化け物》は丘陵地に雪崩れ込んで暴れ回り、人を喰らい尽くす。
だからそれぞれの尾根の《勇敢なる者》らは、誇りをかけて尾根を護りきる…。
毎年、毎年…。
キースは男らしい美男だったが、美男というよりも彼の王者の雰囲気が、いつも人を圧していた。
キースはファオンを懐かしそうに見つめる。
「…ファーレーンに良く似ている。
だが、選ばれても無理は無いか…。
ファーレーンも、キリアンですら《皆を繋ぐ者》に選ばれてもおかしくないほどの美貌だ。
お前の兄弟らは皆、人間離れした美形の家系。
男しか産まれないのが皮肉だよな」
ファオンは昔なじみに恥ずかしい所を見られ、真っ赤になった。
けれど…キースはファオンに屈み、顎に触れる。
「…ファーレーンが《皆を繋ぐ者》なら…彼を抱きたかった。
俺から見たらお前は…綺麗だが気の強い兄達に大切に護られる、頼りなく幼い可愛い子ちゃんだ。
頼りなさ過ぎて…抱く気にもならなかったが、育ったな。
ファルコンに媚薬を塗られすぎておかしくなったんだろう?」
ファオンはぼんやり…ファルコンに手渡された薬を思い返す。
キースはくすり…。
と笑う。
「余程塗ったのか?」
「…痛かったから………」
キースは吐息を吐きながら、金の巻き毛をかき上げる。
「ファルコンは扱いが乱暴だからな…」
「…にい…長兄(にい)様は…《皆を繋ぐ者》にはならない程強い」
キースはファオンの横の毛皮の上に尻をついて座る。
「…ああ、お前の親父は凄い美形だが男らしい。
だがお前を入れた三兄弟は皆、素晴らしい美貌の母親似。
美人薄命でお前を産んで間もなく亡くなったそうだが…。
産まれたのが三人とも女の子なら、お前の親父も苦労無かったのにな」
ファオンはキースを不安そうに見つめる。
「どう…して?」
「次男のキリアンも凄い美形だが気が強い。
だがファーレーンは…お前と同じ母親似で、どちらかと言うと優しい性格だしな」
ファオンは動揺した。
「貴方には劣るかもしれないけど、ファーレーン兄様は体格だっていい!」
「鍛え上げてな。
俺が餓鬼の頃、子供達の集いにお前の兄貴が初めて姿現した時、すっげえ美人だと思って俺は口説こうとした」
ファオンはびっくりした。
キースは思い出したのか、笑い出す。
「だがぴしゃり。と言われたな。
“私は男だ”
あの綺麗な顔で。
お前と違って、隙が無い。
…だがキリアンより顔はお前に似てる。
雰囲気はまるで違うが。
ファーレーンはペパーミントのように苦いが、お前は甘やかされた砂糖菓子だ」
ファオンはキースを見つめる。
じっと。
「…怪我をしたと…」
キースは笑う。
「まあ…まだ引き吊るな」
「でも…戻るの?」
「まだ最前線には出られない。
だが出来る事もある。
《皆を繋ぐ者》を抱いて腰を使うのも難ありだから、咥えて貰うか腰を使って貰おうと思ったが…。
お前、出来るのか?」
ファオンはかっ!と頬を染める。
「ファーレーンは絶対しない反応だな。
だが顔はそっくりだから…。
抱けるか?と聞かれたら…抱ける」
ファオンは長兄ファーレーンが
『とても腕の立つ強い剣士だから…一目は置いてるが、決して負けたくない相手』
とキースの事を言っていたのを思い出す。
「…貴方は…もし長兄(にい)様が《皆を繋ぐ者》なら…抱けるの?」
キースは顔を傾ける。
「男だったが、俺の初恋だからな」
「だって長兄(にい)様は貴方はライバルだと」
「隙あらば寝室に誘う俺を、叩きのめしたくて出来ないからだろう?」
ファオンはびっくりした。
「…顔…が似てるから…僕も…抱ける…の?」
キースは微笑む。
「ファーレーンくらいクールな性格ならもっと、燃えるんだが」
ファオンはつい、親しげな微笑を浮かべ、卓越した王者の雰囲気を持つキースを、呆けて見つめ続けた。
“なんで…変…体が熱い…”
男根が張り詰め、歩く事も出来ず毛皮の上に横たわってる。
朝…抱きしめてくれたファルコンがここにいない事が悲しくて、ファオンは俯く。
銀の真っ直ぐな髪。
青味がかった淡いグレーの瞳。
真っ直ぐな鼻筋の…とても綺麗な顔。
なのにとても逞しくて…。
“どうしよう…。
ファルコンがいない事が…こんなに…切ないなんて…!”
ファオンは自身の男根に手を伸ばしかけ…レオに言われたことを思い出す。
“自分では触れるな”
「…………………っ」
思いあまって蕾の奥に指を入れる。
探ると、感じる場所に触れた途端、かっ!と身が火照る。
けれど…細い指程度の刺激ではとても…頼りなくて、ファルコンの巨根を思い浮かべ、必死で腰を揺する。
「…ん…っ…ん…っ!」
外でざわめく気配がしたけれど、ファオンは気づかなかった。
レオが入り口の布を払い、毛皮の上で背を向けて自身の蕾を慰めてるファオンを見つめていても。
「…見ての通りだ。
お前が慰めてやれ」
ファオンはびくん!と身を揺すり、蕾を触っていた指を引き抜く。
さらりと布の落ちる音。
人が入って来る気配。
“ファルコン…?!”
入り口に背を向けていたファオンが振り向いた時…そこにいたのは…。
「………キース………」
セスが真剣に惚れてしまった男…。
そして。
そして…。
一番上の兄、ファーレーンと同い年の好敵手…。
キースは苦笑した。
「…まさか、お前を抱くことになるとはな…」
王者のような金の巻き毛。
高い額。
淡い緑がかった碧(あお)の瞳………。
どんな場所にいても存在感を放つ彼…。
昔この北の尾根でずっと…長兄ファーレーンと彼は雌雄を決し、しのぎを削って来た。
けれど一家で一尾根に一人。
が《勇敢なる者》の選出基準の為、長兄ファーレーンは次兄キリアンに北の尾根の《勇敢なる者》を譲り、東の尾根の《勇敢なる者》に挑んで選出された。
だが次兄キリアンは末弟ファオンに北の尾根の《勇敢なる者》を譲り、南の尾根で選出される。
…しかし、ファオンは《勇敢なる者》に挑むことすら許されず《皆を繋ぐ者》として北の尾根に上がった…。
《化け物》が住みつく深い渓谷を、ぐるりと取り巻く崖。
西は人の住まず、《化け物》ですら登らぬ高い高い絶壁。
南、東、北の三カ所は西に比べ低い崖で尾根がせり出し、襲い来る《化け物》を見張るにはうってつけの場所だった。
尾根を降りたその先は、人の住むなだらかな丘陵地…。
南、東、北。
各地の尾根で《勇敢なる者》らは選ばれ集い、《皆を繋ぐ者》をそれぞれの尾根で一人迎え、自身の選出された尾根で勇者達は見張り、戦う。
どこか一カ所でも破られれば、《化け物》は丘陵地に雪崩れ込んで暴れ回り、人を喰らい尽くす。
だからそれぞれの尾根の《勇敢なる者》らは、誇りをかけて尾根を護りきる…。
毎年、毎年…。
キースは男らしい美男だったが、美男というよりも彼の王者の雰囲気が、いつも人を圧していた。
キースはファオンを懐かしそうに見つめる。
「…ファーレーンに良く似ている。
だが、選ばれても無理は無いか…。
ファーレーンも、キリアンですら《皆を繋ぐ者》に選ばれてもおかしくないほどの美貌だ。
お前の兄弟らは皆、人間離れした美形の家系。
男しか産まれないのが皮肉だよな」
ファオンは昔なじみに恥ずかしい所を見られ、真っ赤になった。
けれど…キースはファオンに屈み、顎に触れる。
「…ファーレーンが《皆を繋ぐ者》なら…彼を抱きたかった。
俺から見たらお前は…綺麗だが気の強い兄達に大切に護られる、頼りなく幼い可愛い子ちゃんだ。
頼りなさ過ぎて…抱く気にもならなかったが、育ったな。
ファルコンに媚薬を塗られすぎておかしくなったんだろう?」
ファオンはぼんやり…ファルコンに手渡された薬を思い返す。
キースはくすり…。
と笑う。
「余程塗ったのか?」
「…痛かったから………」
キースは吐息を吐きながら、金の巻き毛をかき上げる。
「ファルコンは扱いが乱暴だからな…」
「…にい…長兄(にい)様は…《皆を繋ぐ者》にはならない程強い」
キースはファオンの横の毛皮の上に尻をついて座る。
「…ああ、お前の親父は凄い美形だが男らしい。
だがお前を入れた三兄弟は皆、素晴らしい美貌の母親似。
美人薄命でお前を産んで間もなく亡くなったそうだが…。
産まれたのが三人とも女の子なら、お前の親父も苦労無かったのにな」
ファオンはキースを不安そうに見つめる。
「どう…して?」
「次男のキリアンも凄い美形だが気が強い。
だがファーレーンは…お前と同じ母親似で、どちらかと言うと優しい性格だしな」
ファオンは動揺した。
「貴方には劣るかもしれないけど、ファーレーン兄様は体格だっていい!」
「鍛え上げてな。
俺が餓鬼の頃、子供達の集いにお前の兄貴が初めて姿現した時、すっげえ美人だと思って俺は口説こうとした」
ファオンはびっくりした。
キースは思い出したのか、笑い出す。
「だがぴしゃり。と言われたな。
“私は男だ”
あの綺麗な顔で。
お前と違って、隙が無い。
…だがキリアンより顔はお前に似てる。
雰囲気はまるで違うが。
ファーレーンはペパーミントのように苦いが、お前は甘やかされた砂糖菓子だ」
ファオンはキースを見つめる。
じっと。
「…怪我をしたと…」
キースは笑う。
「まあ…まだ引き吊るな」
「でも…戻るの?」
「まだ最前線には出られない。
だが出来る事もある。
《皆を繋ぐ者》を抱いて腰を使うのも難ありだから、咥えて貰うか腰を使って貰おうと思ったが…。
お前、出来るのか?」
ファオンはかっ!と頬を染める。
「ファーレーンは絶対しない反応だな。
だが顔はそっくりだから…。
抱けるか?と聞かれたら…抱ける」
ファオンは長兄ファーレーンが
『とても腕の立つ強い剣士だから…一目は置いてるが、決して負けたくない相手』
とキースの事を言っていたのを思い出す。
「…貴方は…もし長兄(にい)様が《皆を繋ぐ者》なら…抱けるの?」
キースは顔を傾ける。
「男だったが、俺の初恋だからな」
「だって長兄(にい)様は貴方はライバルだと」
「隙あらば寝室に誘う俺を、叩きのめしたくて出来ないからだろう?」
ファオンはびっくりした。
「…顔…が似てるから…僕も…抱ける…の?」
キースは微笑む。
「ファーレーンくらいクールな性格ならもっと、燃えるんだが」
ファオンはつい、親しげな微笑を浮かべ、卓越した王者の雰囲気を持つキースを、呆けて見つめ続けた。
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