アグナータの命運

あーす。

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屈辱の儀式

9 屈辱の時 シーリーン

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 四肢には快感の余韻が残っていた。

けれど再び拭き清められ、指が捻り込まれる。

ファオンは離れ行くアリオンの姿を目で追う。

泣き出しそうに感じた。

両手両足を《勇敢なる者》レグウルナス達の、その腕で戒められているというのに。

微かに見えない絆で繋がっている。

その世界にいるのは二人きり。

アリオンと、ファオン。

二人、だけ…。

けれど左の足をアリオンに任せ、股の間にシーリーンがその姿を見せる。

アリオンとの過去の絆は、その時消えた。

ファオンは首を振る。

開かされた足。

腿にシーリーンの、熱い手が触れる。

ファオンはそっと、目を向ける。

プラチナの柔らかな髪。
薄いブルーグレーの瞳。
整いきった美麗な顔。

けれどひ弱さは微塵も無い。

以前見た、少年の彼は消えていた。

鎖骨の浮き出た逞しい肩。
厚い胸。
筋肉のくっきりと浮かぶ腕。

同じなのはその肌の、白さだけ。

ファオンは懐かしい彼に、縋るように目を向ける。

意地悪をその口で言い、けれどアリオン同様虐める子供達から、いつも庇ってくれたシーリーン。

アリオンに抱かれ、恋人のように過ごした後、アリオンがこの地を暫く離れていた時。

シーリーンに強引に、奪われた。

温室で。
両腕を上に縛られて。

意地悪だと思った。

けれどシーリーンは責めていた。

アリオンとの事を、知って。

怒ってもいた。

だから、虐めても仕方無いのだと。

シーリーンは言った。

けれど…見つめる瞳は切なく、口付ける唇は熱い。

アリオンとは違ってた。

親密で熱い、アリオンとの時。

けれどシーリーンとは、どこまでも切なく、強引で、けれど優しい。

そっと羽毛のようになぜるシーリーンの髪。

肌を伝う感触が、ファオンの脳裏に蘇る。

蕾に先端が、触れる。

ずっ!

「っ!」

一気に、入って来る。

四肢は途端、強ばる。

あの時と同じ。

アリオンとした行為を、アリオンじゃない者と強制的にさせられる、恐怖。

けれど。

シーリーンが動き始めると思い出す。

喉が鳴るような優しい感触。

内壁(なか)は覚えてる。

傷付ける事を恐れるように。

そして少しずつ強く。

高めてくれる。

「あ………っ…………」

ファオンはたまらなくなって、喉を晒す。

くすぐるような…。

それでいて、時に強く。

うねるような。

体だけで無く、心までもがシーリーンに囚われていく。

思い出の中のシーリーンの、すりつける頬。

熱い吐息。

まだ華奢だった、シーリーンの腕。

けれど…ファオンがうっすらと目を開ける。

そこにいたのは、年長者達に負けないほど逞しい、白い肌をした、《勇敢なる者》レグウルナスたるシーリーンの姿。

プラチナの髪が柔らかく彼の整いきった美麗な顔を、覆ってる。

理知的で意志が強く、他者に負ける事を潔しとしない。

その為には戦う。

間違いなく《勇敢なる者》レグウルナスに相応しい者。

けれど突かれるその刺激は…。

柔らかく。優しく。

そして時に強引に…。

それは決して不快じゃなく…。

嬉しくなる。

彼の好意だと。

「く…っ…ん…っ!」

辛い、体験の後だった。

ファオンはシーリーンの、思い出と醸し出す快感に浸りきる。

もう身は彼のものになっていた。

シーリーンが動く度。

腰を押しつける度。

繋がっている事が嬉しく、快感を分け合うことが幸福で…。

例えようも無い開放感が広がる。

“愛している…”

ファオンは目を、開けた。

「あ…あ…っ!」

あの時。

アリオンとの事が父に知られた時。

シーリーンですら、置き去りにした。

彼をも捨てて…この地を離れ、《勇敢なる者》レグウルナスとなる為に。

「あ…っあ…んっ…!」

突かれる度、思い知る。

シーリーンは悲しんだりしないと。

自分を無くしても平気だと。

思っていたことは、間違いだと。

ずっ!!!

激しく突かれ、ファオンは仰け反る。

「ああっ!!!」

刺激が脳天まで痺れさす。

けれどそれは…思い知れ。と告げるシーリーンの言葉のようだった。

“愛してる…”

その想いを。

ファオンは頬に涙が伝うのを感じる。

その想いに答えを返せず、ただ、泣き続けた。

身はシーリーンの熱で覆われる。

“もう…どこにも逃げ場がない”

この地に《皆を繋ぐ者》アグナータとして、い続ける限り。

どう返せば良いのか解らぬまま、ファオンはシーリーンの導く解放へと向かって行った。

「…………………!っ………」


はぁ…はぁ…。

気づくと腿は、濡れていた。

ぬちゃっ!

犯された蕾からシーリーンが、自身の男根を引き抜く。

それは…優しい侵略者。

ファオンは自分の姿が、その場にいる《勇敢なる者》レグウルナスに晒されたと知る。

知られたからといって…それが何?

隠す事など出来はしない。

第一これからは、誰に望まれても、いつでもこの身を差し出さねばならぬ、性奴隷の身と成り果てたのだから………。
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