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かっ飛びアレクサンドライト まぜまぜイエロー・ダイヤ オン コース 8 ファントレイユ

かっ飛びアレクサンドライト まぜまぜイエロー・ダイヤ オン コース 8 ファントレイユ 28

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 召使いさんが、お茶とお菓子を運んでくれて。
俺、つい手を出して、さっさと…凄く美味しそうな、クリームの乗ったチョコマフィン?
を摘まんでいると。
向かいの一人掛けソファに座る、アイリスに良く似た…けどアイリスより、素朴で男らしい雰囲気の、テテュスが微笑んで言う。
「お邪魔だったかな?」
俺、口もぐもぐさせて言う。
「うん。
二度目に突入するとこだったのに」

テテュスの横の、一人掛けソファに座ってるレイファスが溜息吐く。
「…確かに、王子と比べると、遙かに下品だ」

俺、ついレイファスににっこり笑って言う。
「それ、褒め言葉だよね?」
「…王子より、遙かに図々しいし」
イヤミ言われたけど。
生クリームがけチョコ・マフィンが美味しすぎて、俺、二個目に突入。

「…ファントレイユって、すっごく忙しくて。
なかなか相手、して貰えないのに」
「…ファントレイユとするの、好きなのか?」
レイファスに言われて…俺、つい凄く愛らしい感じの、大きめの青紫色の瞳の、美青年を見つめ返して言う。
「…あんたさ。
見た目、すごく可愛らしいけど。
トゲ付きの、ピンクの薔薇みたいだね」

イヤミ、言い返したけど。
レイファス、気にする風も無く、カップのお茶、飲み干して言う。
「それ、よく言われる」
「…あっ、そう」

俺の横に座ってるファントレイユ、溜息吐いて二人に言ってる。
「かなり、突然だったんだ。
アドルフェスは知ってるだろう?
シャッセルも候補で。
二人は私より、遙かに家柄も良いし、身分も高い」

レイファスが、顔を上げる。
改めて見ても、ファントレイユとは違う、独特の華やかな雰囲気を漂わせてて…すっごい美青年で。
つい、視線が吸い付いちゃう。

「アイリスが伯父だって。
言ってあるのか?
エルベスなんか、大公だ。
確かにゼイブンの身分は高くない。
が、後ろ盾は、ばっちりだ。
ひけなんて、取る必要、無い」

…俺、言葉の内容よりつい、レイファスの真っ赤な愛らしい唇が動くの、見ちゃってたけど…。
アイリス…ファントレイユから見ると、叔父さんなんだ。

テテュスも言う。
「アイリスに一言言えば…アドルフェスの後ろ盾もシャッセルの後ろ盾も…口を噤(つぐ)むだろう?」

けど…横に座るファントレイユ、少し俯き加減で言い返す。
「アドルフェス本人が。
無茶苦茶横やり入れて来てね。
ホラ…彼ってずっとギデオンに、不毛な恋心を抱いてるのに…まるで進展なし。
どころか、ギデオンは気づきもしないから…」
レイファスが間髪入れず、きっぱり言い切る。
「…そんな馬鹿な恋心は、きっぱりギデオンの前で!
アドルフェスの本心をバラし、ギデオン自身にきっちり殴られ、顎を割られれば決着する。
…どうしてそうしないんだ?!!!!」

テテュスが、顔の割にきっっつい物言いの、レイファスを少し躊躇うように見つめて…そっと穏やかに言う。
「ファントレイユは、君より優しいし…」
ファントレイユ、頷いて囁いてる。
「王立騎士養成学校から近衛にかけて…。
散々そう言う男を、山程見続けて来てるから…。
アドルフェスが気の毒と言うより、ギデオンの…容赦のなさを、見たくなくて条件反射で口を閉じてしまう………」

「情けないな!
それでどうせ、アドルフェスの嫌がらせで、周囲の者達も大迷惑、してるんだろう?!」

俺。
この時、レイファスの言い方でなんか…気分が、すっきりした。
「…だよね。
大迷惑だよね!
俺なんて、あいつに拉致監禁されて、任命式の後、犯されそうだったんだぜ?!
アドルフェスなんて、最低!
ファントレイユ。
迷惑料、たっぷり払って貰って、いい?!
正直さっき、ファントレイユが相手で俺、天国だった!」

叫んだら…なんか、場はしーーーーん。
ってしてて。

「…あ…そういう情事(えっち)だったんだ…」
ってテテュスが、小声で遠慮がちに言って。
レイファス、溜息交じりに俯いた。
「…左将軍就任祝い…なかなか心から、言えない雰囲気だな…」

テテュスも頷いて。
ファントレイユ、大きく、はーーーーーーーーっ。
って。
溜息吐いて。

俺、だけが。
生クリームがけチョコ・マフィンの、三個目に突入してた。
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