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かっ飛びアレクサンドライト まぜまぜイエロー・ダイヤ オン コース 8 ファントレイユ
かっ飛びアレクサンドライト まぜまぜイエロー・ダイヤ オン コース 8 ファントレイユ 17
しおりを挟む結局俺…食べた後、マントレンが乗ってきた、馬車に乗せられ。
馬車の周囲は、王宮の護衛連隊の騎士に囲まれて。
ファントレイユとシャッセルとヤンフェス。
揃って馬車の中の、俺とマントレンを覗き込み。
ファントレイユが口開いて言う。
「着替えたら、顔を出すから」
ヤンフェスとシャッセルも、同時に、頷いてる…。
俺、マントレンと共に…やっと満腹で、馬車に揺られた。
その後。
王宮の…裏口?
がらんとした、石の積まれた建物の間の、草地に降り立ち。
石積みの建物の、扉を開けて階段を上がる。
マントレン、俺に振り向くと。
「ここ、王宮内だから。
許可がないと、入れない場所で、安全」
って言いながら…石の階段、上がって行く。
上がりきった先の扉を開くと、ギデオン右将軍が居て。
もう舞踏会の仕度済みなのか。
凄く豪華な宝石を、幾つも紺の隊服の上に、付けてる。
「(…こんなに忙しいと。
ファントレイユと四回えっち…って…無理じゃないのかな…)」
溜息交じりに、ギデオン右将軍とマントレンに連れられ。
両開きの扉が開いて。
その向こうに、王子、ソルジェニーが。
俺見て、すごく嬉しそうで。
両手広げて抱きついて。
「…叫んでくれて、ありがとう!」
って…式典の事、言ってくれる。
「…うん…。
ファントレイユが左将軍になって、良かったね♡」
って告げると。
凄く素直に微笑むから。
可愛くなっちゃう。
横でギデオンが。
とっても綺麗な顔を曇らせて。
唸ってる。
「…アドルフェスの奴。
陰でそんな卑怯な事、していたとは…。
それでソルジェニーは、いつ“エディ”ではなく、“王子”だとバラせばいいんだ?」
マントレン、凄く俯いて。
小声で言ってる。
「…拉致後、アドルフェスが居る場で。
それまで、皆が王子を一人にはしないよう、離れた場所から、様子を伺いますから」
ギデオン、溜息交じりに頷く。
「…ソルジェニー…君が危険な目に合うと。
護衛のファントレイユが、バッシングを受ける。
…当然私が庇うが。
今度は私が、イヤミなタヌキ(大臣)共に…ねちねち…ねちねちねちねち、小言を言われる」
ソルジェニー王子、満面の笑顔で。
「頑張って!」
ギデオン、顔上げないまま、深い溜息、吐いてる。
マントレン、ギデオンに同情しつつも、顔下げて。
「…ともかく、王子を間違って拉致したとなれば。
アドルフェス、真っ青で。
その後、厳重処罰で謹慎処分。
エディに王子が肩入れしてると解れば。
流石のアドルフェスも、牙を引っ込めざるを得ないでしょう」
ギデオン、頷く。
「君の作戦は、いつも見事だ」
と一応、褒めた後。
「…私がアドルフェスを、足腰立たない程殴る方が、手っ取り早いぞ?」
と、こそっ。と聞く。
マントレン、顔上げないまま。
「…でもそれだと。
貴方に痛め付けられた分、余計アドルフェスはファントレイユを恨んで。
影でファントレイユを痛め付けられる、エディへの痛がらせは。
逆に、激化すると思います」
「………つまりアドルフェスは。
私に隠れてしっつこく、エディに嫌がらせすると?」
マントレン、顔下げたまま、頷く。
「…が。
間違えて王子を拉致したとなれば。
彼を支えてる親戚一同も、一族の不名誉と。
権威を傷付けられて。
アドルフェスは後ろ盾を失い。
流石に大ショックを受けて、ファントレイユへ嫌がらせする、根性も失せます」
「…………やっぱり君、だけは。
敵に回したくないな」
ギデオンにそう言われて、マントレン。
俯いたまま…沈黙した。
俺、王子に手を引かれて…彼の、クローゼットの前に立たされる。
白い扉に金の飾り模様が入ってて。
開かれた中にも、豪華な上着が、ぎっしり…。
「(さすが、王子様………)」
どの服にも、金のお洒落な刺繍が入ってるし。
金の飾りボタンなんて、地味な方。
色とりどりの宝石付き金ボタンが、どの衣装にもほぼ、付いてる…。
「これが、最新の衣装で…今夜着る予定だったんだ」
若草色の上着で。
肘までの袖。
襟が派手に開いてて。
襟には金刺繍が。
でもって中に着る白いシャツは、胸元にレース。
袖は、肘から手首まで、びらびらのフリル入り。
気をつけないと、引っかけて破れそうだし。
袖口なんて、果実酒の染みとか付いたら…凄く、目立つ。
ズボンは横に金の刺繍、入ってて。
ブーツはちょっと暗い緑で。
やっぱり刺繍入り。
しかも。
金の刺繍に、…普通なら、ビーズとかなんだけど。
王子様だけあって、小粒のダイヤモンドが多数、縫い込まれてる。
「(…うーん、豪華…)」
着せられて着替え。
その後もシャツの胸レースに、かなりデカい宝石のペンダントだとか。
上着の着合わせ部分にも、金の二重鎖の付いた、宝石とかを付けられ。
俺。
「…………………」
髪を櫛ですかれ、香水かけられて…。
「出来た!」
って王子に、嬉しそうに言われる。
大きな姿見の前に連れて行かれて。
一緒に映ってる姿、見るんだけど。
…確かに二人並んでると、双子の兄弟みたい………。
俺の方が、ちょっと頬がシャープな感じで。
ソルジェニーの方が、指先とかの動きが優雅。
「…でもさ。
俺、何にも分かんなくて…王子、務まるの?」
って聞くと。
ソルジェニー、笑う。
「平気。
横に、慇懃無礼な侍従がいっつも付いて。
あれはしていい。
これはダメ。
みたいにいちいち、顔で指示出してくるから。
勝手に動くと、手で制されたり。
動く場所へと、強引に導かれたり」
「…それってまるで、操り人形…」
そう言うと。
ソルジェニー、途端にしゅんとして。
「そうなんだよねぇ…」
って。
大きな溜息、吐いていた。
ギデオン、にこにこしてやって来て。
「綺麗に出来たな」
って、言ってくれる。
「出来るだけ近くに居るから。
私と親密に話していれば、ほぼ疑われない」
横に立ってそう言うから。
俺、頷く。
マントレンだけが理知的な瞳で俺を見て。
「目の色が、エディの方が碧がかっているけど…。
夜会だし。
光の加減だと、誤魔化せる。
では王子、貴方もお支度願います」
って言われた途端。
ソルジェニー、すんごく浮かれて。
スキップしながら、マントレンの用意した衣服、嬉々として着替えてた………。
「…凄く…嬉しそう………」
つい、その後ろ姿をギデオン右将軍と、並んで眺めてるんだけど。
右将軍も、溜息吐いて言う。
「…全くだ…。
一応近衛軍は王や王子の指揮で動く軍隊だが。
ほぼ、お飾りで、戦闘には出して貰えず。
毎度出動しても、後方で護られてるから。
…鬱憤が、溜まりまくってる。
…無茶して、怪我が無いといいんだが。
本人は、ちょっと怪我したくらいで、周囲が大騒ぎすると。
うんざりしきってるから…。
行動を控えるか?
と言うと…かなり、危ないな」
「…俺に成ったつもりで…大暴れする、かもな感じですね」
ギデオン右将軍。
俺からしたら、見上げる位長身なんだけど。
凄く綺麗な横顔で。
無言で頷いてた。
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