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リセット 6 アドラフレン
リセット 6 アドラフレン 21
しおりを挟む目が覚めて…気づくと、豪華な部屋の中に居て。
目の前のソファに金髪美男…アルファロイス右将軍が座ってた。
青い瞳に金の背まである長い髪。
整った美青年で、豪華な舞踏会用の上下碧緑色の正装を着こなし、とても朗らかに笑ってる…。
横の一人掛けのソファに、アッシュさんが恐縮して、座ってる…。
俺つい、アドラフレンは?
って思った時…。
目を開けて顔を上げると。
俺に膝枕してくれてる、アドラフレンに気づく。
頭の下の温かいの…って、アドラフレンの腿だったんだ。
顔を上げると、アドラフレンは顔を下げる。
「…良かった…」
そう言ったかと思うと。
ヘイゼルの瞳が少し、潤んでいて…俺、胸がきゅん。
となった。
アドラフレンは顔を屈めて。
俺に被さり…そっ…と口付ける。
触れた彼の唇の温もりに、俺、うっとりした。
こほん!
アドラフレンが顔を上げる。
俺も、見ると。
アッシュさんが、居心地悪そうに顔背けてて。
右将軍は、くすくす笑ってた。
「…彼…どう見ても、男装の美少女に見えない…。
男のコだよね?」
俺が頷くと。
右将軍、また、くすっ。って笑う。
「…珍しいな。
アドラフレンの心を掴む相手って、名だたる美女だけかと思った」
アドラフレンを見上げるんだけど。
アドラフレン、真顔で右将軍を見つめ返す。
右将軍はまだ笑って。
「私の甥の…アシュアークが君に迫ったのに。
全然相手にして貰えなかった。って、スネてた。
金髪だし。
彼の方が緑がかった目の色だけど。
アシュアークにとても、似てるのに」
俺、それ聞いて。
エルベスさんに助け出された、一夜の相手を決めるオークションで…。
良く似てた為に間違われた、タカビーな王族の美少年を思い出した。
「(…彼がアシュアークなら…。
確かに、かなり似てる…)」
アドラフレンが、口を開く。
「…性格が…」
「性格?」
「アシュアークとは、全然違う。
この子はとても、愛らしいので」
「なるほど」
右将軍はそう言って、また、くすっ。
って、笑う。
なんか。
右将軍って、しなやかな猫科で、アドラフレンって、どこか犬科な感じ?
猫は猫でも、大型の…ライオンとかで。
アドラフレンも…狼とか…迫力ある方の犬科だけど。
アドラフレンが囁く。
「けれど幸い、首謀者は重体だけど、意識はまだある…」
アルファロイスは、肩を竦める。
「私は、理性があったからね。
君と違って。
君、可愛い彼が傷付けられて、頭に来て襲ってきた男全部、殺してしまったろう?」
俺、びっくりしてアドラフレンを見る。
アドラフレン、俯いてる。
「…私は多勢に無勢だから。
一撃で殺さないと、こっちが殺られる」
アルファロイスが、からかうように笑いながら言った。
「言い訳、ちゃんと考えてあったんだ」
「言い訳じゃなく…。
…確かに、理性は飛んだけど」
少しフテくされてるようなアドラフレンを見て。
アルファロイス、もっとクスクス笑ってる。
俺、二人の間の横の椅子で、ずっと俯いてるアッシュさんの気持ち、何となく解った。
宮廷の警備総長と右将軍の、大物同士が…なんか、かなりくだらないあてこすりしてるから。
多分迂闊に、口も挟めない感じ?
「証人に、出来そうかな?」
アルファロイスに言われて、アドラフレンは俯く。
「どうかな…。
弱いかも。
ニーシャが追ってる、さらわれて拉致監禁された彼女の貴族の友人が見つかれば…。
確実な証人なんだけど…」
「…じゃあ出来るだけ、知り合いに頼んで手助けして貰おう」
アドラフレンが、囁く。
「確実な筋で」
右将軍が、頷く。
「万一君が暗殺されたとしても。
首謀者の名前をお知らせして、国王に断罪して貰うから」
「…私の身を引き替えに、奴らの悪事を叩くのか?」
「もう弱味を握られなきゃ、君は簡単に殺されない」
なんか…アッシュさんが
『また…やってる…』
って二人の会話にひたすら顔、下げてるから…。
つい、聞いた。
「この二人…っていっつも、ちくって痛い、皮肉混じりじゃ無いと、話せないのかな?」
アッシュさん、目をまん丸にして、俺の事見てる。
「?」
アドラフレン、真顔で言う。
「私はマトモに話してるけど。
右将軍は猫が鼠をいたぶるように、軽い虐めを言葉に入れて、人をからかう悪い癖がある」
けど。
言われた右将軍はクスクス笑いながら
「君だって、楽しんでる癖に」
と、反省する様子が無い。
アドラフレン、溜息を吐く。
アッシュさんが、こそっと言った。
「俺と総長は、『黒髪の一族』の「左の王家」だけど。
アルファロイス右将軍は『金髪の一族』の「右の王家」で。
…「右の王家」は、自由奔放で常識外れが多い」
折角アッシュさんが。
『自由奔放で常識外れが多い』
を小声で言ったのに。
アルファロイス右将軍、反論する。
「「左の王家」の君ら、いっつも私達を常識外れって言うけど。
君らの一族だって、相当のもんだよ?」
俺、アドラフレンの反論を待ったけど。
………沈黙してる。
アルファロイス右将軍が。
「ほらね」
って俺に笑いかけるから。
つい俺、アドラフレンに
「ホントに、言い返せないの?」
って聞いてしまった。
アドラフレン、無言で頷いた。
アルファロイスはにこっ。と笑うと。
「ああそうだ。
これを君にあげるよ」
って、真ん中にでっかい黄色の宝石の付いた、周囲金飾りのペンダント。
その時。
ピロリロリ~ン!
って、頭の中で鳴る。
“特殊能力ジュエリー、イエローダイヤ、ゲット!”
って声がした後、特殊能力の宝石箱が開いて。
アレクサンドライトの横に、イエローダイヤのペンダントが収まった。
「(え?
これってどういう能力?)」
“飛んだ先の、可能なコース、混ぜ混ぜ出来るの!
リセットしたコースで、ジュエリーまだゲットしてないコースのみだけど”
『例えば、オンにしたら。
ギュンターとディンダーデンのコースが混ぜ混ぜで。
二人と一緒にシたら。
その一回でギュンターもディンダーデンも同時に、シた回数が一回増えるのよ』
「(…つまり、3Pになると?)」
『言い方、身も蓋もないけど。
…そうよ』
「(…ディンダーデン一人でも凄いのに…。
ギュンターと…3P?!)」
『例えばよ!』
“経験値、70越したら貰えるんだよっ!
けど、アルファロイス限定だから!
貰えて良かったねっ!”
『悪鬼との戦闘にも使えるけど。
簡単に言うと、能力を混ぜ混ぜして使えるの!』
“例えば、火と光の光線、一気に出せるとかねっ”
「(…なるほど)」
アルファロイスさん、宝石俺に手渡しながら、説明してくれてる。
「…だから、これを持ってると「右の王家」も君の手助けをすると言う事だから。
君に手出しすると、王族を敵に回すぞって言う、脅しでもあるんだよ」
俺、にこにこ笑うアルファロイスさんに、お礼を言おうとした。
けどまた周囲が、霞み始める…。
「(もしかして!
宝石貰ったから、強制リセット?!)」
“ご名答~~~~~~!!!”
「(え゛ーーーーっ!!!
アドラフレンと、命助かった、確かめ合いのえっち・はーーーーーーーーーーーーーー?!)」
けど周囲はどんどんほやけて行き…。
…無情にも世界は、変わって行った…………………。
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