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リセット 6 アドラフレン
リセット 6 アドラフレン 12
しおりを挟むカッパが寄って来る…。
俺、もうぞわぞわ悪寒に包まれて…正面に立たれた時、目を閉じた。
すると。
がっ!
どっしん!
目を開けた時。
カッパ、吹っ飛んで床に転がってた。
魔法?
…いえ。
俺が、蹴ってました………。
「…こんの!
たかが、慰み物の分際で!
公爵の私を足蹴に!」
かっぱ、床に倒れてわなわな震ってる…。
「セバスチャン!
今直ぐ来い!
セバスチャン!」
「(…偉そうに言ってる割に…人頼み?
こっち腕、縛られてるのに…)」
呆れて見てると。
扉が開いて、大柄な…グレーのローブ姿の、えっと、目だけ出てる…帽子?
ずきん?
…そんなの被ってる男が、扉を開けて入って来る。
かっぱ、セバスチャンを見もせずに…床に倒れたまま俺を指差して。
「あいつの乳首を、口が聞けなくなるぐらい可愛がってやれ!」
と、叫んでる………。
俺、ぎょっ!として…。
だって…セバスチャンって、かっぱよりデカいし…。
なんかずんぐりしてるし。
背はアドラフレンくらいあるし。
顔は目しか見えなくて、とってもブキミ…。
…って、寄って来るセバスチャンの目を、怖気て見るんだけど。
セバスチャン、俺と目を合わせず、さっ!と…横に付く。
利口だ…。
正面少し離れた所でカッパが転がってるから。
正面に立ったら、蹴られるって…解ってるみたい………。
横から高い背屈めて。
俺の胸元に倒れ込んで…。
げと頭巾被ってるから。
口が出てない。
なんか俺、ほっ…としてたら。
手で口元の布避けて。
突然…乳首に吸い付かれて。
「あ…あんっ♡」
甘い疼きに、つい喘いでしまった………。
薬はとっくに切れてる…筈なのに。
アドラフレンに抱かれたせい…?
で、過敏なところに、散々刺激受けてたから…?
凄く、敏感になってる………。
ヤバい事に、もう片方の乳首、指で摘ままれ。
また唇に吸われたと同時に、もう片方は指でこねこねされて。
「やっ…あ…んっ!
ダメ…っそんな…しちゃ………ああっ!」
喘いで…はっ!とした。
カッパ、立ち上がって…セバスチャンの後ろから、俺を更に、ぎんぎん!!!で、見てる……………。
カッパが寄って来る!
甘い…愛撫から、一気にホラー?!
ヤだ!
こんな…ブキミな男にどうこうされるのって!
しかも…アドラフレンみたいな極上男の後にっ!
「…どけ」
カッパがセバスチャンに言った時。
セバスチャン、俺の胸に屈む背を、伸ばす。
カッパより、頭二つ分くらい、背が高い。
けど、どかず。
カッパの前に立ち塞がって、言う。
「カールストン卿。
彼が立派な証拠です。
…貴方のしたことは、完全に戒律違反だ」
「……………っ」
俺も…その聞き覚えある声にびっくりしたけど。
カッパ、もうすんごく驚いてて。
目を見開いて、グレーのローブの男を指差す。
「おおおお前!
セバスチャンじゃないのか!」
「アドラフレン!」
俺、我慢出来ずに叫んでた。
彼はにっこり笑って頭巾を取り。
そしてローブの胸元を剥ぐ。
「…でっかい肩パット入りです。
セバスチャン?
彼、ずんぐり体型なので」
そして、ローブを肩から滑り落とし。
雅やかですらりとした、緑の上着を着た姿を現す。
かっぱ、もう…目を見開いたまま、固まって呟く。
「…宮廷護衛総長……………」
アドラフレン、言われてにっこり笑い、呟き返す。
「…マズいですね?」
「………見逃してくれたら…今期の私の給料全部…あんたにやる…」
アドラフレン、頷きながらローブを足元から脱ぎ捨てる。
「…金六億ガリオンですか…。
大した金額だ」
「…だろう!
幾ら王族だろうが!
…草々手に入らない額だ!」
そして、血走った目を見開き…喰い入るように、宮廷護衛総長…アドラフレンの顔を、見てる…。
「(ブキミで怖い…)」
アドラフレンが登場して安心しきってたけど、今だ両腕、板に縛り付けられたまま、俺、そう思った。
「…残念ながら、金はいい…。
私はあなたの三倍、貰ってますからね。
給料を」
「…総長だったな…」
かっぱ、そう呟くと、全ての望みが絶たれたように目を固く瞑り…。
けれどまた、かっ!!!と見開いて、怒鳴る。
「よしっ!
ここの私の、就任任期の半分!
えーと。
30億ガリオンでどうだ!」
もっと…目が血走ってる。
まん丸の目だから…なんか本当に、ブキミ…。
「…私の別宅の値段ですね」
「ならギルムダーゼンの私のシャトー(城)も付ける!
崖の上で景色が半端無く素晴らしいぞ!!!
価値で言えば…80億ガリオンは下らない!
誰もが欲しがる…素晴らしい城だ!」
「ギルムダーゼンの崖の上なら…私も一つ、城を持ってる」
かっぱ、拳握って悔しがる。
「…アドラフレンだったな!
糞っ!
私の城は、君の後の二番手だ!」
「…ええ、一番景色が良くて美しいと言われてる城を持ってるのは、私」
アドラフレンが、口を開いて次の言葉を言おうとすると。
カッパ、まだ喰い下がる。
「じゃ!
金織りのタペストリーはどうだ!
宝石がふんだんに散りばめられて!
人の背より高い!!!
…あれは、持ってないだろう!!!」
カッパ…今は最早、財産自慢になってる………。
「カールストン卿…。
取引条件は、女性をさらってあなた同様拉致監禁してる、お仲間の名前です」
カッパ、怒鳴る。
「拉致監禁では無い!
同意の上で、ここに務めて貰ってる!」
アドラフレン、チラ…と俺を見る。
「…縛り付けて?」
「そそそそれは!
務める条件の、一端だ!
ただの…お遊びだ!」
「…蹴られるのも、お遊びですか?」
「そそそれは!
調達した男の調教不足だ!」
が、アドラフレンとうとう、歯を剥いてぴしゃり!と言う。
「…いい加減にしたまえ!
名前を、言うのか!言わぬのか!
言わぬとあればあなたを今直ぐ、逮捕するまで!」
ああこの時ほど、アドラフレンのテノールの、迫力ある声が頼もしかった事って無い。
カッパ、やっと口閉じて…俯く。
「ランフォン卿と…ザデッロ卿…」
アドラフレンが頷く。
「あなたより年上の…老練な超大物だ」
「…私をここに配属してくれた…恩人でもある」
「恩人を売るのに…随分心が痛んだご様子だ」
カッパ、すんごい目で、アドラフレンを睨む。
「…で、私はどうなる」
「大物二人を逮捕するまで。
協力頂く」
「…どう協力する」
「私の、宮廷では顔を知られてない配下を、雇い入れてここから出入り出来るようにして貰う。
週に一度の…女人禁制の神の間にも…連れて行って貰う」
カッパ、動揺しまくる。
「あれは…あれは大変厳しい修行で!
厳選した者しか出られぬ、神の儀式だぞ!」
「…だが拉致した女性をそれぞれ…こっそり連れ込んで、全員で吟味してる。
神に仕える厳しい修行と称して。
呆れたものだ。
国王が知ったら、激怒されるでしょうな」
カッパ、俯ききって、油汗を滴らせてる…。
アドラフレン、突然俺に向き直って、手首の皮の留め具を外し、またカッパに振り向く。
「証拠は頂いて行く。
彼に、必要とあらば証言をして貰う」
そう言って、もう片方の留め具も外す。
俺、腕が自由になって。
赤く成った手首、さすりながら。
アドラフレンに、抱きつきたいのを必死に我慢した。
「さて。直ぐに私の配下の二名をここに、寄越す。
雇って頂く。
あなたの恩人に、この事を一言でも洩らせば…」
「解ってる…解ってる!
私が、破滅だと言う気なんだな?!」
「…この優雅な場所から…陽の射さない地下の石牢は、どの大貴族でも精神に異常を来(きた)すといいますからね」
カッパ、それ聞いて…ぞっ!と身を、震わせきった。
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