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リセット 4 ディングレー
リセット 4 ディングレー 10
しおりを挟む馬車がディングレー様の、お城の玄関に着いた時。
またレイデンが騒いでた。
“ノルンディルに挿入されたのとディングレー様♡とので!
経験値+3で現在、経験値62に上がったよ!”
賢者の声もする。
『召喚キャラ、出るからねっ!』
俺、つい剣術数値のパールが一気に四個になって、嬉しくて♡
「(よし、来いっ)」
って、叫んでしまった…。
けどね。
ディングレー様と一緒に、玄関の左右に上がる、大きくてお洒落な階段上がりきった所で召使いに。
「お客様がたったさっき、お着きで…。
応接の間にお通ししています」
と言われて。
「(召喚キャラかなっ?)」
って。
わくわくしちゃってたら。
扉開けると、ナンと、ディアヴォロス様!
「(…う…嬉しいんだけど…またコース・リセットされちゃう?!
ディングレー様とって後…)」
“後、三回で、ジュエリー・ゲット!”
「(う゛う゛う゛う゛う゛…)」
しかしディアヴォロスさんって、ディングレー様んとこのお城の、豪華な室内が似合う高貴さ!
「…ディアヴォロス…」
ディングレー様が、彼に近寄りながらそう、話しかける。
「大変だったんだって?
すまなかった…。
私がオークションに出席出来ていたら、ノルンディルはちょっかいかけて来られなかったろうに…」
ディングレー様の横に並んで、俺が見てると。
ディングレー様、口を開く。
「…しょうがない。
あんた、軍のお偉方との会議で、出られなかったんだろう?」
言って、ディングレー様は俺に振り向く。
「俺の、いとこのディアヴォロス。
左将軍してる」
ディアヴォロス様、俺に、にこっ!
って、笑ってくれる。
「(…ディアヴォロス様は知ってるけど…いとこ?!)」
そう言えば…ディアヴォロス様もディングレー様同様、王族だもんね…。
それにしてもディングレー様より、ディアヴォロス様のが、背は高い。
高貴さも、ディングレー様より格上。
…けど、ストレートと縮れ毛は違うけど…黒髪な所は一緒。
ディアヴォロス様、ディングレー様の事、弟みたいに見てる…。
「代金は私の代理でカッツェが全て、払ってるから」
ディングレー様、なんか…ディアヴォロス様の前だと、ちょっと砕けた雰囲気。
「…俺がこいつにプレゼントした宝石分も、払ってないだろうな?」
ディアヴォロス様、ちょっと苦笑する。
「…君が落札しちゃったから。
ノルンディルが取り返したくて…彼の事、拉致して交換しようとしたんだろう?
そのお詫びだと聞いたから。
私が払った」
それ聞いて。
ディングレー様、俯く。
「…あんたは悪くない。
目を離したのは俺の責任だ」
「おや。
カッツェもそう言ってた」
ディングレー様、顔を上げてディアヴォロス様を見る。
頭一つ半くらい、ディアヴォロス様のが長身だから、改めて体格で言うと、ディアヴォロス様って、オーガスタスと居た時よりも、迫力に感じる…。
けどディングレー様、流石同じ王族だけあって、態度とか威厳では…ひけを取らないと言うか…。
背は低いけど(俺よりはうんと高いけど)、格好良さは相変わらず♡
ディアヴォロス様、弟を説得するみたいに優しい声で言う。
「痛み分けだね?
で、彼が随分嫌な目に合ったって、聞いたけど」
ディングレー様、俺の事を見る。
「…大声で『腐れタケノコ!』
とかって叫ばれたから…居場所が直ぐ、解って助かった」
俺。
高貴なディアヴォロスさんの前で、思いっきり恥ずかしくて顔を下げた。
ディアヴォロス様、くすくすくすっ。
って笑ってる。
うーん、こういう所は、オーガスタスと居た時と一緒。
「嫌だったんだね?」
ディアヴォロスさんに優しく聞かれて。
俺、真っ赤だったけど。
顔上げる。
「…だって、すんごくヘタクソなんですよ!」
つい叫ぶと。
ディアヴォロス様、ますます、くすくすくすっ!
って余計に笑って。
……………ウケてる…………。
「…縛られてたって聞いたけど。
そっちのショックは、無いみたいだね?」
俺、ついディアヴォロスさんの雰囲気優しいから、話しやすくて。
言ってしまった。
「自分では解らないんですけど。
なんかそのせいで、ノルンディルだけじゃなくって、ディングレー様♡も煽っちゃったらしくて。
…ディングレー様にソノ気になられたのは…凄く、嬉しかったけど」
俯くと、ディングレー様、こほん。と咳払って。
顔上げると、頬がちょっと、赤くって。
「…一発でおっ勃つくらい、刺激的で色っぽくて可愛かった」
「(ディングレー様、王族なのに言葉悪い…)」
ちょっと惚けて見てると。
ディアヴォロスさん、また、くすくすくすっ!
って笑う。
「でも君が慰めたから、彼も元気に成ったんだろう?」
ディングレー様、ディアヴォロス様にそう言われて、頬が赤いまま、頷く。
ディアヴォロスさん、オーガスタスの時みたいに、俺に優しく微笑んでくれて。
横がオーガスタスじゃなく、ディングレー様のせいか、凄く背が高く感じるんだけど。
黒く縮れた髪が背を覆い、男らしいんだけど、凄く気品溢れる様子で…。
浮かぶような、光の加減でグレーだったり薄いブルーやグリーンに見える、神秘的な瞳を向けて、言ってくれる。
「でも…ありがとう。
君を嫌な目に合わせてしまったけれど。
あの絵画は…持ち主の貴族の元に、無事戻されて…。
あの絵を一時的に借り受けた貴族は、盗んで売り飛ばしたと言う汚名を返上出来て、投獄されずに済んだんだ。
多分、それを仕組んだのはムストレスだろうから。
証拠を隠す為にも、何としてもノルンディルに落札させたかったみたいだね」
「……………?」
俺、訳が分からず惚けてると。
「…絵画泥棒の汚名を着せられた貴族は、ムストレスにとって邪魔な男だったので…。
犯罪者にして投獄させ、権威を失墜させたかったんだよ」
俺、納得して頷いた。
「…そんな陰謀が…あの絵に隠されていたんですか!」
ディアヴォロスさん、くすっ。と笑って言う。
「私が落札したかったんだけど。
どうしても出られなくて、彼に代理を頼んだんだ。
王族だらけの場所は、彼、とても苦手なのに。
君と一緒で、随分楽しかったみたいだね?」
ディアヴォロス様に、そう言われて見つめられたディングレー様。
ちょっと頬染めたまま、顔を背けてた。
けど。
その時また。
ピロリロリ~ン!
って鳴って。
“『黄金の光竜』特殊能力、ジュエリー人化召喚、追加!”
とかって頭の中で響き渡り。
白金のジュエリーが、召喚カードに重なって消えた後、カードが白金に光輝いた。
それと共に、周囲が白くなって行く………。
「(もう?!
せ…せめて、ディングレー様と後、数回えっち…いやせめて、あと一回くらいしたい…!!!)」
けれど無情にも、ディアヴォロス様もディングレー様も…薄れて行って、周囲の景色が強制的に、変わって行った…。
「あんまりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
ディングレー様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
俺、叫びながら…変わって行く景色を呆然と、見守った。
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