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リセット 7 オーガスタス
リセット 7 オーガスタス 11
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地下道を抜けて坂を上がり、地上に出て、間もなくだった。
周囲が荒野で月明かりが煌々と照る、街道をかっ飛んでると。
前に、馬に乗った一群が。
黒々と、行く手を阻んでる。
オーガスタス、手綱を波打たせてザハンベクタに軽く、打ち付ける。
ザハンベクタは道を外れて、横の荒野へと雪崩れ込む。
直ぐ、黒い一群も前を塞ごうと…道を外れてやって来る。
「…え…?えっ?
アーシュラスの手下っ?!」
そう叫ぶと、前のオーガスタス、気合い入りまくりで前を見たまま、大きく頷く。
背に、びんっ!って緊張が走り、気合い入ってるオーガスタスって、めちゃめちゃ格好いい♡
ザハンベクタが前を塞ごうとバラバラと駆けて来る一群が、阻む、その前に。
横に大きく逸れながらも、凄い速度で駆け抜けて行く。
「(ザハンベクタも、格好いいーーー♡)」
斜め後ろに追い縋る、馬に乗った黒装束の男が、オーガスタスに剣を振るんだけど…。
ザハンベクタは一気にまた、ぐんっ!って速度を上げるもんだから…。
すかっ!って空ぶって、オーガスタスには届かない。
「(よしっ!)」
って俺、後ろ見るんだけど。
五騎ほどの黒装束らが、眼光鋭く、追いかけて来る…!
「(よ…良くない…。
これって…振り切れるの?!)」
正直、夜なのに。
月明かりでぎんぎんに、目が光って見える。
って…どんだけ目を剥いて、睨み付けてるの?!
って感じ?
ちょっと坂みたいな窪みを下り、けど突然、ザハンベクタってば、横の…ちょい高い所へ、登り始める。
上へ踏ん張る分、速度が落ちて…直ぐ後ろに追い付かれそう…!
オーガスタス、ザハンベクタをたしなめず、剣を抜いて後ろに振り向く。
俺も、振り向く。
直ぐ背後の黒装束が、剣振り上げてるっ!
けど俺に届く、前に、オーガスタスの豪快に振り回された剣が、薙ぎ払ってくれた。
がんっ!
背後で怒鳴り声。
「馬鹿!
アーシュラス様ご所望の、奴隷に当たったらどうするっ!」
よしっ!
俺が後ろに居る限り、もう剣は、触れないぞっ!
けど。
ちょっと高いだけの、崖…?丘…?
みたいな上に、ザハンベクタが登ると。
丘の上からやって来た別の黒装束が。
横から突っ込んで来るっ!
今度は、真横!
オーガスタス、がっ!
って剣、振り切ると。
相手の黒装束の、馬も乗り手も、思いっきり首と背を屈め、避けてるっ!
で直ぐ身を起こして、剣を振り上げるっ!
けど…気づいたら…宙を飛んでる。
え?え?
宙?
丘じゃなく…崖?
下に何にも無い空間で、飛んでて…。
先の着地地点まで、まだ距離がかなりあるっ!
俺もう…落ちるんじゃ無いか。って怖くって。
必死でかたく、目を閉じた。
がっ!
着地の振動が、もう滅茶苦茶嬉しいっ!
「ザハンベクタ、流石っ!」
思わず叫ぶと、ザハンベクタはまだ、ぐんぐん先へとかっ飛びながら
「(これっくらいで、ヒヤヒヤしてんじゃねぇ!
俺を、信じな!)」
って言ってるみたいで。
ますます、格好いい♡
背後見ると、崖を飛んで来る黒装束はいない。
みんな、崖の手前で棒立ち。
一騎、かなり後ろに下がって、拍車かけて突っ込んで来るんだけど…。
崖の手前で、馬が突然急ブレーキかけ、止まるもんだから………。
乗り手、だけが宙を飛んで…落下していった…。
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」
…ご愁傷様。
オーガスタス、笑顔で後ろの俺に振り向く。
「後少しで、領境だ!」
俺、オーガスタスの笑顔が嬉しくって、思いっきり頷いた。
「うんっ!」
ザハンベクタったら、全然速度落とさず、力強い走りで前へ、前へと…かっ飛んで行った。
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