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リセット 7 オーガスタス
リセット 7 オーガスタス 10
しおりを挟むオーガスタスが起き上がって、寝室を出て行く。
そして横の部屋から衣類を束ねて持ってきて、まだ寝台にくたばってる、俺に放る。
「濡れた布で、簡単に拭いて。
衣服着て。
直ぐに出るから」
俺、その言葉で、がばっ!と身を起こした。
オーガスタスが先に立つ、廊下に出る。
横に並ぶと…オーガスタスが手を、握り込んでくれる。
暖かさが手から、伝わる。
長身で肩幅の広いオーガスタスを見上げると、長くくねる赤毛を肩で揺らしながら、鳶色の瞳で俺を見つめ…。
暖かい微笑みを、送ってくれた。
廊下の先の扉に召し使いさんはいて。
扉を開けてくれる。
直ぐ外で。
ザハンベクタが大きな体を誇らしげに晒し、主のオーガスタスを見て首を跳ね上げ、ブヒヒヒヒッ!といななく。
オーガスタスは愛馬に一つ、頷くと、横に寄り添い手綱を取って、俺に手を差し伸べる。
その手に掴まると、オーガスタスは横にずれて、俺が鐙(あぶみ)に足を乗せるよう、背後から見つめるから。
俺、ちょっと高い位置にある、鐙に左足のつま先を入れる。
オーガスタスの手が腰を押し上げて、乗るのを助けてくれる。
右足を後ろに跳ね上げる時、オーガスタスにブツからないか、チラと見たけど…。
オーガスタス、ちゃんと頭傾けて避けていた。
俺が跨がって直ぐ、オーガスタスが前に乗り込む。
お尻を鞍に乗せ、足を大きく前に振って、ザハンベクタの首と垂直に振り上げ、下ろす。
振り向くと
「しっかり腰に、しがみついてろ!」
そう言うから…俺、思いっきり情感込めてオーガスタスの腰に腕を回して抱き付き、頬を広く逞しい、オーガスタスの背に寄せた。
表情、見えないけど。
オーガスタスがナンか…また、頬染めてる気がして。
アーシュラスの部下に掴まるかも。
の逃避行なのに、俺、ウキウキしちゃった♡
跨がるオーガスタスが両足横に跳ね上げ、ザハンベクタの胴に打ち付けると。
その力強い馬は、ぐん!と大きく前に迫り出したかと思うと、一気にかっ飛ぶ。
「(オーガスタスもだけど。
ザハンベクタも、格好いい♡)」
ザハンベクタはまるでそれを感じたみたいに、更にぐんっ!って、速度を上げる。
こんだけ早いんだし。
あっという間に中央のテールズキースに着いちゃって。
何でもなく、オーガスタスの本来の家、左将軍補佐官邸?とかで…。
二回目の、ラブラブした時間を過ごせるかも♡
って俺、逞しくて頼もしい、オーガスタスの背に顔を寄せて…。
吹き抜ける風を感じながら、ザハンベクタの力強い走りに、前後に身を揺らしてた。
間もなく見えて来る地下道へ駆け下りて行く、ザハンベクタの背の上で、にこにこしたまま、妄想に浸りきる。
もう、想像が止まらない♡
「(…ああオーガスタスの、裸が見たい♡
きっと、凄いんだろうな♡♡♡)」
オーガスタス、なんか急に…がくっ!
って背を揺らし、気合いがコケたみたいになって。
ザハンベクタがヒヒン!って…。
まるで
「(もっと、しっかりしろ!)」
って言ってるみたいに。
で、オーガスタスってば、俯いて…。
気合いの抜けたまま、地下道で暗いのに、更に速度を上げる、頼りになる愛馬に任せきりになって…。
妄想をし続ける、俺には振り向かなかった………。
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