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ゲームクリア・トライ 1
ゲームクリア・トライ 1
しおりを挟むアイリスの唇の感触が遠ざかり、レイデンの言った通り、選択画面が現れた。
【現状を維持しますか?】
と出た質問の下に。
【維持】【リセット、コース選択】【悪鬼と戦う】
の、三つの選択が。
正直、迷った。
けど…クリアするには、悪鬼と戦うしか無い。
って事で、一度トライしてみる事にして【悪鬼と戦う】ボタンを押してみた。
周囲の世界が、がらっ!と変わる…。
うーん………。
地面が、ナイ…。
宙に浮いてる感じ。
しかも周囲は…暗い。
で、俺、いかにも邪悪なのが出そうなこの風景に、後悔が押し寄せ始めた時。
それは、現れた……。
一陣の風と共に、真っ黒な…狼のような影が、びゅっ!と走って来る!
目は真っ赤。裂けた口には、凄い牙!
「(…こ…これ、どうすればいいのっ?)」
“バール変換解いて、剣術数値戻して!”
「(…ど…どうやって!)」
“ジュエリーボックス!”
「(ジュエリーボックス?!)」
聞き返した途端、目の前にジュエリーボックスが三つ。
“剣術ボックス”
レイデンの言う事を反復してみる。
「(剣術ボックス)」
すると、一つのボックスが開く。
パールが一つ入ってる。
“変換”
「(…へ…変換)」
すると、パールが大きくなって…俺に重なる。
【剣術数値、10】
と文字が出て、気づいたら剣を、握ってた。
…は、いいんだけど。
狼みたいな化け物が目の前。
口開けてデカい牙がまる見えで、襲って来る。
「(ぎゃーーーーー!!!)」
目を瞑って、滅茶苦茶に剣を振る。
すたっ!って俺の後ろに足を着き…。
着くって言ったって、宙なんだけど。
くるっ!って振り向いて、また俺に向かって飛ぶっ!
「(ぎゃーーーー!)」
“前っ!”
レイデンの声に、前を見ると。
今度はミノタウロスみたいな、牛の頭したバケモノが…突進して来るっ!
「(前後、挟まれてるっ!
悪鬼って二人?!)」
『こいつら、単なるしもべ』
「(…し…しもべっ?!
殺られそうなんですけどっ!!!)」
“ミッドナイト・ブルー・サファイア、召喚してっ!!!”
「(…召喚っ!!!)」
“ダメっちゃんと…”
「(ミッドナイト・ブルー・サファイア!)」
すると。
ひゅううううぅぅぅっ!
って光の渦が。
目前に。
渦は、アイリスの姿に。
ミノタウロスに向かって、剣を構えてる。
「(…かっ…こいいっ!)」
“後ろっ!来てる!”
レイデンの忠告で振り向くんだけど…。
アイリス、さっ!って俺を後ろに庇って、ざっっっっ!って、狼を斬りつけてくれる。
でもって直ぐ、正面向くと、向かって来るミノタウロスに向かって行って、飛び上がって剣を、振り切ってるっ!
濃い栗毛の髪が靡いて、めちゃくちゃ格好いいっ!
ざっっっっ!
「(やったっ!
やっつけ……………)」
けど、ミノタウロスが斬られて、崩れ始めた時。
黒い影が四つ。
周囲に現れて…バケモノに変わる。
「う…う゛ぎーーー!」
『…剣術数値、10じゃ…こうなるわよね』
賢者の溜息。
けどそれどころじゃない。
ナンか良く解らない…狼だとか…大猿だとかのバケモノが、一斉に襲いかかってくるんだけど…。
アイリス、最初に飛んで来る影に駆け寄って斬り。
次のバケモノも斬り。
三体目も四体目も斬り捨てる。
「(…アイリス、つよーーーーーい!
で?!
今の、悪鬼?!)」
『…だから…しもべ』
「(…まだ、しもべっ?!)」
そうこうしてる内に、更に周囲に六体の黒い影がバケモノに変わり…。
そして…続々と、影がバケモノになって…。
「(…す…凄い数っ!)」
襲いかかってくるバケモノ相手に、アイリスが代わって戦ってくれる…ものの。
数が多すぎて、俺も剣を振らないと…殺られちゃうっ!
必死で、剣を振るんだけど…。
がっ!
って…肩を爪で傷付けられた…。
【剣術数値、-2】
って文字が点滅してる。
でもまた…。
アイリス、凄い数のバケモノを、一振りでやっつけてくれてるんだけど。
数、多すぎてまた、俺、襲われて…。
今度は狼みたいな影の牙に、腕を傷付けられた。
痛くは無いんだけど…。
ふにゃっ!
って…力が抜けるんだよね………。
【剣術数値、-5】
アイリス、俺を背後に庇って、剣振りまくってめちゃめちゃ強いんだけど…。
また、バケモノが俺の背中に爪を振り下ろし…。
【剣術数値、-8。
残り-2で、ゲームオーバー】
「(え゛え゛ーーーっ、もうっ?!)」
“銀の昇竜、召喚してっ!”
「(え…えっと、ジュエリーボックス、銀の昇竜っ!)」
すると。金と銀の光の渦が現れると、光の中にエルベスさんがっ!
エルベスさんの手から、光がアイリスの剣に放射され、アイリスが剣を振ると、光が周囲に撒き散らされるっ!
光が当たったバケモノは、ぎゃっ!って叫んで。
崩れていく!!!
「(…よしっ!)」
“剣見て、剣っ!
エルベスさんがくれる光、アイリスの剣だけじゃなく…”
そう。俺の剣も、光ってた。
剣を、振ってみる。
光が迸(ほとばし)るっ!
すると黒い影のバケモノは、光を浴びて…消滅していく。
「(よしっ!)」
影のバケモノが消えた後…今度は…兵士のような…鎧付けた、強そうな強面軍団が、周囲の靄の中から、姿を現す。
俺、剣振ってみたけど…。
光が走ると、兵士、軽く盾で光弾いて、平気な顔して進んで来る。
「(…光が…効かないんですけどっ!)」
数えてる場合じゃ無いけど…兵士に見えた奴らは16人いて、近づいてはっきり見えて来ると…バイキングみたい…。
ムキムキ筋肉。長髪。ガラの悪い顔…。
ゴツい、角みたいなのが付きまくった鎧付けてる…。
「(この、どれが悪鬼っ?!)」
“悪鬼じゃなく、手下”
「(…しもべだの…。
手下だの………。
これじゃ悪鬼に会う、前に、殺られちゃうじゃん!!!)」
“だって悪鬼は、ラスボスだもんっ!
ともかく、頑張れっ!”
そうは言われてもさっ!
アイリス、突進して、凶悪そうなバイキング相手に、斬り込んで行くっ!
ざっっっ!
一人、斬り殺したっ!
けど二人目とは、剣を幾度も交え、がちっ!がちっ!って。
剣合わせて火花散らしてるっ!
『ナニぼさっとしてんのっ!
後ろっ!!!』
賢者の声聞いて、振り向いた、途端………。
剣が、びゅっ!!!
って振り下ろされ…………。
【剣術数値、-11。
ゲームオーバー】
って文字が…点滅して…周囲が一瞬、暗くなった後、俺なんか…渦に巻き込まれて、凄い風に吹き飛ばされて………どっかに、飛ばされて行く。
「(…ど、どうなるのこれっ?!)」
“ジュエリーボックスに『鳳凰の羽』があるから!
大丈夫なんだけど…。
この後、選択出来ずに勝手に、どっかのコースに叩き込まれるから!
気をしっかり持ってっ!”
「(しっかり持って…って。
どこのコーーースーーーーーー?!)」
風はびゅうぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!
って俺を吹き飛ばし………。
どすんっ!
って俺は、地上に落ちた…………………。
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