どのみちヤられるならイケメン騎士がいい!

あーす。

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リセット5 アイリス

リセット5 アイリス 17

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 ノックの音に、目が覚めると、室内に朝日が差し込んでた…。

こんこん。
「よろしいでしょうか?」
「あっ!どうぞ!」

反射的に返事する。
扉が開いて、アルフォが姿を現す。
「朝食の用意が、食堂で出来ております。
…それともこちらへ運ばせましょうか?」

「…えっと…アイリスも食堂で?」
「はい。
食堂に、いらしてます」
「あ、じゃあ俺も行く…」
そう言って、両手付いて身を起こすと。
「身支度のお手伝いを致しましょうか?」
「あ、じゃ、お願いします」

アルフォ、クローゼットからシャツとズボンを出して、横に来てくれる。
「こんな感じで」
着替えを見せられ、俺、頷く。

寝台の横に立つと、部屋着を後ろから脱がせてくれて、代わりにシャツをかけてくれる。
前合わせは、左右にボタンをかけるだけ。

ズボンを手渡してくれるから、足先から通して引き上げる時、一緒に腰まで引っ張ってくれる。
次に出してくれたのはショートブーツで、足首が横に広がってる、着脱しやすいタイプ。

鏡を見ると、クリームがかったふんわりしたお洒落なシャツと、腰と足を細長く見せてくれる、ぴったりした焦げ茶のズボン。
焦げ茶のショートブーツ。
あっさりしてるけど、上品な装い。

「御髪を整えます」
そう言われて髪に軽く、ブラシを入れられ、その後盆に乗った、洗面器とタオルを差し出されて、軽く顔を洗い、タオルで拭く。

その後、コップを差し出され…。
「飲むの?」
と聞くと、アルフォ、爽やかに笑って。
「いえ。うがいを。
歯の汚れが取れますので」
「あ…はい」

うがいをした後、吐き捨てる用の陶器の壺を出されて、中へ、ぺっ。

「こちらです」
そう言われて扉を開けられ…日が差し込む廊下へ出る。
「正面が…」
「食堂ですね。
ありがとう」
そう言うと、彼はにっこり笑って…下がった。

それで俺、正面の、アーチ型の潜りを抜けて、食堂へ。
一面床まである窓から、光が差し込んでる食堂へ入ると。
もうテーブルの上には、良い香りのするお皿が幾つか乗ってる。

椅子に座ってるアイリスが顔を上げ、やっぱり見惚れるくらい綺麗な笑顔を見せて、迎えてくれる。
俺、迷った末に、アイリスの横の椅子を引いて、座る。

直ぐ、アイリスが水の入ったグラスを俺の前に置いてくれて、言う。
「何が、食べられそう?
夕べ、かなり飲んだんだって?」

横のアイリスに振り向く。
碧色の、腰まである銀刺繍入りの、お洒落な上着に黒いズボンとブーツ…。
上着はゆったりサイズなんだけど…。
ちょい動くと、胸の筋肉の輪郭が浮かび上がる…。

「(やっぱアイリス…って、エルベスさんと比べると…セクシーで、なんかどぎまぎするんだよね…)」
ちょい頬を染めて俯いてると。
アイリス、整いきったとても綺麗な…顔を俺に向けるから。
「あ、ごめんなさい。
えっとパン…と、それに野菜の…」
「スープ?
それとも蒸したもの?」
「蒸した方…」

アイリス、お皿にパンと蒸した野菜を乗せて、俺の前に置いてくれる。
フォークやスプーンは最初から横に置かれていたから…フォークを取り上げて、野菜を刺して口に運ぶ。
「(…美味しい…)」
タルタルソースみたいのがかかってるけど、そのソースが絶品。

急にお腹が空いてる事思い出して、夢中で食べまくってしまった…。
俺の食欲見て、皿が空になる前に、アイリス、燻製のハムの果物添えだとか、手作りソーセージとかをお皿に乗せて、置いてくれるから、それも平らげちゃう…。

「ソーセージ、好きなの?」
俺、食べながら答える。
「だって…夕べの食べたのもそうだけど、ハーブが練り込まれてて。
凄く美味しいんだもん!」

アイリス、微笑みながらじっ…と見るから。
俺、つい見つめ返す。

アイリス、紺の流し目向けて、囁く。
「…昨夜、エルベスのをソーセージみたいに…咥えたって?」
ぶっ!

俺、吹きました…。
口の中のソーセージ、食卓にブチまけるのはかろうじて…耐えたけど。

アイリス、ちょっと気の毒そうに背をさすってくれる。
「…ごめん。
そんなに大胆だとは思わなくて。
意外だったから…つい、からかったんだ」

手を伸ばすと、水の入ったグラスを手に握らせてくれる。
俺、一気に水飲んで。
やっと落ち着いた…。

「えっ…と、酔ってたし…」
「酔うと、咥えるの?」
「……………美味しそうに見えて…」
俯いてそう言った後、顔上げると。
アイリス、声立てないで、肩揺らして笑ってた…。

「…っ…っ…っ…お…美味しそう?
ソーセージに、見えてたの?
それともズバリ…性的な意味?」
「…多分…両方…?」

なんか。
ウケたらしくって。
アイリス、暫く声立てないで、笑ってた。

食事を終えると、アイリスは立ち上がる。
そして俺の椅子に手をかけて、座ってる俺を見る。

とても長身で…。
まっすぐ立って、首だけを傾げて。
濃い艶やかな栗毛が胸を飾って。
濃紺の理知的な瞳の…鼻筋が通って頬の形も美しい、文句の無い美貌で。

「腹ごなしに…剣を振る?
習いたいって、言ってたし」
俺、頷くと、アイリス、椅子引いてくれました。

食堂の、庭に面した窓を開けて外へ。
剣立てに剣が二本。
アイリス、さっと取って、軽く振り下ろす。
「…基本は出来てるみたいだから。
私に向かって攻撃してくれる?」

剣立てから剣を持ち上げて見ると、アイリス、突っ立ってる。
「…殺すつもりで」
そう言うから。
「(…無理です…)」

だって、背は高いし。
ゆったり上着の下は、鍛えきった体だし。
けど、とても優美だし。
更に、目が釘付けになっちゃう程の、凄い美青年で。
惚けて、見てることは出来るけど。
殺す…って………。

俺、内心、汗。で。
けど、待たれてるから。
とりあえず剣を振り被って…アイリスめがけ、振り下ろす!

「…あれ?」

…気づいたらもう、横に避けてる…?
アイリス、優美に、にっこり笑って。
「私に掠ったら…ご褒美、あげるよ」

そう言われて…俺、またからかわれてるんだって解って。
ちょっとムキになって、剣、振り被って…。

思い切り、アイリスに斬りかかっちゃいました。
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