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決着
合流
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テリュスは厩に駆け込むと、ダンザインから示される、白っぽい青の光が点滅し、行き先を示すのを見た。
眠りから覚めた騎兵らが、ごった返す庭園を駆け抜け、門へとひた走る。
閉まっていた金に塗られた鉄門は、テリュスが駆け込む前に開く。
テリュスは目を見開いたが、手綱引かず、拍車かけて門を潜り抜ける。
“どうやった?!”
脳裏に尋ねると、白く神々しい光がイメージとして脳裏に浮かび上がり、そして声。
“門番に、今直ぐ開けろと囁いた”
「………………………………………」
テリュスは暫し固まった後、心の中で呟いた。
“じゃ簡単に、人が操れるんだな”
神聖騎士の長は、肩すくめてる感じがした。
“彼まだ、寝ぼけていたしね”
“…つまり意識がはっきりしてる相手は…?”
“テリュス。
私を誤解してるようだが、私は提案するだけ。
それに従うかどうかは、君次第。
今だって君は、見ようによっては私に操られてると言える”
テリュスは目前に点滅する、白っぽい青の光を追いながら馬を駆けさせてる、自分に突然気づく。
“…なる程”
“納得行った?”
聞かれて、テリュスは頷いた。
ダンザインはその後、付け足した。
“門番には、君が出て行くイメージを送った。
逆に、入って来る場合。
多分門番は警戒し、簡単には従わない”
テリュスはとうとう、笑った。
“なるほど。
北風と太陽の…あんたは太陽なんだな?”
しばしの沈黙の後、ダンザインは言った。
“その話は知らなかったが…ああ、説明はいい。
イメージから、どんな話か理解出来たから”
今度はテリュスが、肩すくめた。
“あんたとの会話は、楽でいい”
ダンザインはこぼした。
“逆に人間との会話は、割と面倒だ”
テリュスは大いに笑った。
“あんたらからしたら、そうなんだろうな!”
ダンザインは警告する。
“オーガスタスは猛スピードで駆けている。
急がないと追いつけない”
“近道は?”
テリュスの即答に、今度はダンザインが微笑んだ。
“他なら無理でも。
君なら通れそうな道がある”
テリュスはそれが平坦な道じゃ無いと分かって、とぼけた様子で呟いた。
“それは『お楽しみ』だ”
青白い光は木々の間を左に逸れ、飛び込むと藪の中。
テリュスはざざざざざっ!と言う音立てて、藪の中を駆け抜けた。
ギュンターもやはり、青白い光の点滅を追って、馬で駆ける。
“君の方がディアヴォロスらに近いから。
少し待ってもらう事になる”
ダンザインに告げられ、ギュンターは馬の速度を落とし、呻く。
“待つ分は、全然構わない”
けれど合流地点に着いたのか。
青白い光の点滅は、森の中のさほど広くない、草地で止まる。
ギュンターは馬から降りると、直ぐ横の小さく細い小川で馬が水を飲むのを眺め、自分も鞍に括り付けたアーフォロン酒を手に取り、馬から離れた岩場に腰掛け、煽った。
“…ディアヴォロスらと一緒に居る…ローランデと話せるか?”
そう尋ねると
“聞いてみよう”
とダンザインに言われ、ギュンターは凹んだ。
間もなく
“君が来るのか?”
ローランデの声が脳裏に聞こえ、ギュンターはそれだけで、胸が幸福感でいっぱいになって微笑む。
“ああ。
そっちはどんな様子だ?”
けど直ぐ、ディングレーの声。
“最悪だ。
アイリスはまだ、ディンダーデンが抱き上げて動かせる。
けどディアヴォロスは…ディンダーデンが拒否すると、俺とローランデとシェイルじゃ、とても動かせない…”
ギュンターは思いっきり眉間寄せると、ディングレーにぼやく。
“ローランデに聞いたのに”
“ローランデはシェイルと楽しそうに話してる。
お前とだと途端、エッチ系の話題に持ってかれそうで、嫌らしい”
ギュンターは思わず、がっくり首垂れた。
その後、小声でディングレーに囁かれる。
“アイリスの意識があれば、アイリスに頼んだけど。
気絶してるから、もしお前がこっちに来たら。
俺の背中に張り付くから、よろしく。
…と、ローランデに言われた”
ギュンターはもっと、項垂れた。
“なんで俺をそんなに警戒してる?”
“…久しぶりに会うと大抵お前は、否応なしに迫り倒すからだって。
自覚、あるのか?”
ディングレーに問われ、ギュンターは思い出そうとしたけど、言われたとおりなので項垂れた。
“…無い”
その時、突如ディンダーデンが、割って入る。
“お前が来るのか?!
ディングレーが対峙しきれなかったら、俺の背中にも張り付いて逃げろと。
今、シェイルがけしかけてる”
ギュンターは項垂れたまま、悪友に尋ねる。
“ローランデを庇って、俺と喧嘩するか?”
“そんな余裕、あるか。
いいかこっちは。
洞窟が崩れるぐらい、デカい竜が俺らを踏み潰そうとか、したんだ!
どれだけ真剣に、足場のめちゃ悪い崩れた岩場を駆けたと思う!
お前らの痴話喧嘩に、付き合ってられるか!”
ギュンターは聞いた後。
自分はそんな目に遭ってないので、全然想像付かず。
暫く沈黙した後、感情のこもらない
“それは大変だったな”
を告げた。
直ぐシェイルの声がして、脅しにかかる。
“ディアヴォロスが気絶してるから、オーガスタスが来てもディアヴォロスにかかりっきりで、割っては入れない!
でもいいかギュンター、絶対忘れるなよ!
俺が居る限り、ローランデに手出しさせないからな!!!”
…実はイザとなれば拳振れる、ディングレー、ディンダーデンよりも。
ギュンターは殴れない、小柄なシェイルが一番苦手だった。
シェイルを…例え威嚇だろうが軽く叩いただけで、ローランデはかんかんに怒って。
えっちどころか、口も利いて貰えなくなるのは、目に見えていたから。
ギュンターはとうとう逆ギレすると
“普通、久々に会ったら抱きしめたいし!!!
そしたらキスするのは当然の流れで、そうなったら…。
止まらなくなるのが、恋してる男の当たり前の成り行きだ!!!”
と、怒鳴った。
が。
シェイルがどうやらディンダーデンとディングレーに
“当然、戦ってでも止めるよな?!”
と威嚇してる様子で。
ディングレーが
“俺達にギュンター捕らえろとか、要求してるのか?”
と王族にあるまじき、情けない声で呻き、ディンダーデンも
“いつまで?
滞在中ずっと、ギュンターに張り付いてろって?
お前ちゃんと脳ミソ使え。
そんな事、どだい無理に決まってるだろう?”
と説得してくれ、ギュンターは思わずディンダーデンってありがたい。
と内心感謝した。
が、シェイルは言い返す。
“俺が!!!
ずっとローランデに張り付く!!!”
ギュンターは気づいてた。
宙で停止してた青白い光が、激しく点滅してるのに。
けど言い返す。
“ローフィス、ぐったりしてるぞ?
見舞わなくていいのか?
お前が側に付いてなきゃ、回復しないぞ?”
言いながら、ギュンターはまだ水飲んでる、愛馬ロレンツォに振り向き、来い!
と手で招く。
ロレンツォは顔を上げ、しつっこくギュンターに手招きされ、仕方なしに歩き出す。
ざざざざざっ!!!
ギュンターはロレンツォに、駆け寄ろうとし…。
飛び込んで来て手綱引く相手が、テリュスなのに気づく。
「…あれ?」
テリュスは激しく息を切らし、オマケに体には蔦やら木の葉、つけまくり。
「…先に…着いた?もしかして」
テリュスは言って、騎乗したまま木筒を手に取り、一口飲み干した。
ギュンターが、ダンザインへ問おうとした、その時。
ざざざざざっ!!!
再び草木を掻き分ける音と共に、オーガスタスの赤毛の大柄な愛馬、ザハンベクタが勇壮な姿を見せる。
けれどそのまま駆け続け、横を凄い速さで通り過ぎていくのを見、ギュンターは咄嗟、叫ぶ。
「ロレンツォ!!!」
駆け来る愛馬に駆け寄り、飛び乗って。
止まりもしないザハンベクタの後を追う。
テリュスも木筒を鞍に括り付けた革袋にしまうと、直ぐ手綱握り、後を追う。
文字道理、オーガスタスはそのままかっ飛んで行くので。
テリュスもギュンターもが歯を食い縛り、必死に愛馬を駆けさせ。
猛スピードで駆け続ける、オーガスタスの背を追った。
眠りから覚めた騎兵らが、ごった返す庭園を駆け抜け、門へとひた走る。
閉まっていた金に塗られた鉄門は、テリュスが駆け込む前に開く。
テリュスは目を見開いたが、手綱引かず、拍車かけて門を潜り抜ける。
“どうやった?!”
脳裏に尋ねると、白く神々しい光がイメージとして脳裏に浮かび上がり、そして声。
“門番に、今直ぐ開けろと囁いた”
「………………………………………」
テリュスは暫し固まった後、心の中で呟いた。
“じゃ簡単に、人が操れるんだな”
神聖騎士の長は、肩すくめてる感じがした。
“彼まだ、寝ぼけていたしね”
“…つまり意識がはっきりしてる相手は…?”
“テリュス。
私を誤解してるようだが、私は提案するだけ。
それに従うかどうかは、君次第。
今だって君は、見ようによっては私に操られてると言える”
テリュスは目前に点滅する、白っぽい青の光を追いながら馬を駆けさせてる、自分に突然気づく。
“…なる程”
“納得行った?”
聞かれて、テリュスは頷いた。
ダンザインはその後、付け足した。
“門番には、君が出て行くイメージを送った。
逆に、入って来る場合。
多分門番は警戒し、簡単には従わない”
テリュスはとうとう、笑った。
“なるほど。
北風と太陽の…あんたは太陽なんだな?”
しばしの沈黙の後、ダンザインは言った。
“その話は知らなかったが…ああ、説明はいい。
イメージから、どんな話か理解出来たから”
今度はテリュスが、肩すくめた。
“あんたとの会話は、楽でいい”
ダンザインはこぼした。
“逆に人間との会話は、割と面倒だ”
テリュスは大いに笑った。
“あんたらからしたら、そうなんだろうな!”
ダンザインは警告する。
“オーガスタスは猛スピードで駆けている。
急がないと追いつけない”
“近道は?”
テリュスの即答に、今度はダンザインが微笑んだ。
“他なら無理でも。
君なら通れそうな道がある”
テリュスはそれが平坦な道じゃ無いと分かって、とぼけた様子で呟いた。
“それは『お楽しみ』だ”
青白い光は木々の間を左に逸れ、飛び込むと藪の中。
テリュスはざざざざざっ!と言う音立てて、藪の中を駆け抜けた。
ギュンターもやはり、青白い光の点滅を追って、馬で駆ける。
“君の方がディアヴォロスらに近いから。
少し待ってもらう事になる”
ダンザインに告げられ、ギュンターは馬の速度を落とし、呻く。
“待つ分は、全然構わない”
けれど合流地点に着いたのか。
青白い光の点滅は、森の中のさほど広くない、草地で止まる。
ギュンターは馬から降りると、直ぐ横の小さく細い小川で馬が水を飲むのを眺め、自分も鞍に括り付けたアーフォロン酒を手に取り、馬から離れた岩場に腰掛け、煽った。
“…ディアヴォロスらと一緒に居る…ローランデと話せるか?”
そう尋ねると
“聞いてみよう”
とダンザインに言われ、ギュンターは凹んだ。
間もなく
“君が来るのか?”
ローランデの声が脳裏に聞こえ、ギュンターはそれだけで、胸が幸福感でいっぱいになって微笑む。
“ああ。
そっちはどんな様子だ?”
けど直ぐ、ディングレーの声。
“最悪だ。
アイリスはまだ、ディンダーデンが抱き上げて動かせる。
けどディアヴォロスは…ディンダーデンが拒否すると、俺とローランデとシェイルじゃ、とても動かせない…”
ギュンターは思いっきり眉間寄せると、ディングレーにぼやく。
“ローランデに聞いたのに”
“ローランデはシェイルと楽しそうに話してる。
お前とだと途端、エッチ系の話題に持ってかれそうで、嫌らしい”
ギュンターは思わず、がっくり首垂れた。
その後、小声でディングレーに囁かれる。
“アイリスの意識があれば、アイリスに頼んだけど。
気絶してるから、もしお前がこっちに来たら。
俺の背中に張り付くから、よろしく。
…と、ローランデに言われた”
ギュンターはもっと、項垂れた。
“なんで俺をそんなに警戒してる?”
“…久しぶりに会うと大抵お前は、否応なしに迫り倒すからだって。
自覚、あるのか?”
ディングレーに問われ、ギュンターは思い出そうとしたけど、言われたとおりなので項垂れた。
“…無い”
その時、突如ディンダーデンが、割って入る。
“お前が来るのか?!
ディングレーが対峙しきれなかったら、俺の背中にも張り付いて逃げろと。
今、シェイルがけしかけてる”
ギュンターは項垂れたまま、悪友に尋ねる。
“ローランデを庇って、俺と喧嘩するか?”
“そんな余裕、あるか。
いいかこっちは。
洞窟が崩れるぐらい、デカい竜が俺らを踏み潰そうとか、したんだ!
どれだけ真剣に、足場のめちゃ悪い崩れた岩場を駆けたと思う!
お前らの痴話喧嘩に、付き合ってられるか!”
ギュンターは聞いた後。
自分はそんな目に遭ってないので、全然想像付かず。
暫く沈黙した後、感情のこもらない
“それは大変だったな”
を告げた。
直ぐシェイルの声がして、脅しにかかる。
“ディアヴォロスが気絶してるから、オーガスタスが来てもディアヴォロスにかかりっきりで、割っては入れない!
でもいいかギュンター、絶対忘れるなよ!
俺が居る限り、ローランデに手出しさせないからな!!!”
…実はイザとなれば拳振れる、ディングレー、ディンダーデンよりも。
ギュンターは殴れない、小柄なシェイルが一番苦手だった。
シェイルを…例え威嚇だろうが軽く叩いただけで、ローランデはかんかんに怒って。
えっちどころか、口も利いて貰えなくなるのは、目に見えていたから。
ギュンターはとうとう逆ギレすると
“普通、久々に会ったら抱きしめたいし!!!
そしたらキスするのは当然の流れで、そうなったら…。
止まらなくなるのが、恋してる男の当たり前の成り行きだ!!!”
と、怒鳴った。
が。
シェイルがどうやらディンダーデンとディングレーに
“当然、戦ってでも止めるよな?!”
と威嚇してる様子で。
ディングレーが
“俺達にギュンター捕らえろとか、要求してるのか?”
と王族にあるまじき、情けない声で呻き、ディンダーデンも
“いつまで?
滞在中ずっと、ギュンターに張り付いてろって?
お前ちゃんと脳ミソ使え。
そんな事、どだい無理に決まってるだろう?”
と説得してくれ、ギュンターは思わずディンダーデンってありがたい。
と内心感謝した。
が、シェイルは言い返す。
“俺が!!!
ずっとローランデに張り付く!!!”
ギュンターは気づいてた。
宙で停止してた青白い光が、激しく点滅してるのに。
けど言い返す。
“ローフィス、ぐったりしてるぞ?
見舞わなくていいのか?
お前が側に付いてなきゃ、回復しないぞ?”
言いながら、ギュンターはまだ水飲んでる、愛馬ロレンツォに振り向き、来い!
と手で招く。
ロレンツォは顔を上げ、しつっこくギュンターに手招きされ、仕方なしに歩き出す。
ざざざざざっ!!!
ギュンターはロレンツォに、駆け寄ろうとし…。
飛び込んで来て手綱引く相手が、テリュスなのに気づく。
「…あれ?」
テリュスは激しく息を切らし、オマケに体には蔦やら木の葉、つけまくり。
「…先に…着いた?もしかして」
テリュスは言って、騎乗したまま木筒を手に取り、一口飲み干した。
ギュンターが、ダンザインへ問おうとした、その時。
ざざざざざっ!!!
再び草木を掻き分ける音と共に、オーガスタスの赤毛の大柄な愛馬、ザハンベクタが勇壮な姿を見せる。
けれどそのまま駆け続け、横を凄い速さで通り過ぎていくのを見、ギュンターは咄嗟、叫ぶ。
「ロレンツォ!!!」
駆け来る愛馬に駆け寄り、飛び乗って。
止まりもしないザハンベクタの後を追う。
テリュスも木筒を鞍に括り付けた革袋にしまうと、直ぐ手綱握り、後を追う。
文字道理、オーガスタスはそのままかっ飛んで行くので。
テリュスもギュンターもが歯を食い縛り、必死に愛馬を駆けさせ。
猛スピードで駆け続ける、オーガスタスの背を追った。
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