374 / 418
アールドット国王の別邸
それぞれの休養
しおりを挟む
オーガスタスはギュンターの肩に手を当て
「俺はこいつと、湯に浸かりたいが…。
場を外しても、もう大丈夫か?」
と、ラステルに尋ねる。
ラステルは感じ良く頷くと
「行って下さい。
必要なら…」
と、長椅子に腰掛け、目前の食べ物やお菓子を摘まんでる、ラフィーレを見る。
ラフィーレは気づくと、頷いて言った。
「…必要な時、ボクが伝える」
オーガスタスは頷き、ギュンターの肩を扉の方に押し、少し顔を寄せて小声で囁いた。
「…とっとと、ずらかるぞ」
ギュンターは頷く間もなく、さっさと歩き出すオーガスタスの横に、少し遅れて併走し、足早に扉に駆け寄った。
廊下に出るとオーガスタスは
“ラフィーレ、風呂場はどっちだ?”
と脳裏に尋ねる。
ラフィーレは青い光の道筋を示すので、二人は広く豪華な廊下を歩き出した。
エルデリオンは目を伏せてるデルデを見つめ、顔を上げてミラーレスを見る。
ミラーレスは無言で頷いた。
エルデリオンは呆け
“何も言ってないけど…”
と脳裏に呟く。
“言わなくても読み取れる。
いいぞ、デルデの横で一緒に眠れ”
ラステルが呆けてエルデリオンを見る。
エルデリオンは頷き、艶やかながらも疲れ切った表情で、寝台に膝を付き、布団を持ち上げてデルデの横に、潜り込んだ。
デルデは嬉しそうな笑顔を見せ、身を寄せて来るエルデリオンを見つめる。
エルデリオンはデルデの体の温もりに、ほっとしたように目を閉じると、直ぐ寝息を立て始めた。
けれどデルデロッテは。
エルデリオンから香って来る、嗅ぎ慣れないジャコウ混じりの香りに、眉間を寄せる。
ラステルが気づき、尋ねた。
「血のにおいとか…する?
ギュンターからも、かなり匂ってたし…」
デルデは眉間寄せたまま
「血のにおいなら、まだ我慢出来た」
と唸るのを聞き、ラステルは目を見開く。
シュアンが笑いながら説明した。
“バルバロッサ王、南国特有の高価な香料つけてるから”
ラステルはそれを聞くと顔を下げ
「…エルデリオンを…湯に浸からせるべきか?」
とデルデに尋ねた。
が、即座にミラーレスが口を出す。
「エルデリオンは疲れ切って、もう寝てるし。
バルバロッサの匂いで、またデルデが怒り狂って、治癒力が活性化してるから」
シュテフも頷いた。
“このままだと、我々はありがたい。
なにせこの重病人が回復しないと、里に戻れないからな”
ラステルは顔を下げると
「ごもっとも…」
と、呟いた。
オーガスタスとギュンターが青い光の筋に導かれ、廊下を曲がり、奥まった場所の扉を開くと、大浴場で。
既にラフォーレンとエリューンが浸かってた。
ラフォーレンは顔を上げると
「あれ?
そっちからも、入れるんですね」
と声かける。
オーガスタスは頷くと
「じゃ、そっちの階段上がると、皆が居るのか?」
と尋ねた。
エリューンは立派な体格の、戦闘時頼りにしてたオーガスタスが、くたびれた表情を見せるのに、眉を寄せて尋ねる。
「たいそう…お疲れのご様子…」
オーガスタスは、顔下げたまま頷いた。
「…戦闘は…平気なんだが…」
横のギュンターも、顔下げる。
「…婚約者だもんな…。
どう考えても、俺が悪者だよな…」
と呻いた。
オーガスタスも顔を下げて頷く。
「痴話喧嘩ほど、疲れるものはない。
しかも男同士の」
ラフォーレンとエリューンは全然意味が分からず、顔を見合せると、互いに首捻り合った。
事情を聞いたラフォーレンとエリューンは、目を見開く。
ラフォーレンは、感心しきって向かいに裸で湯に浸かってる、ギュンターを見る。
「…よく、そんな状況で勃ちますねぇ…」
エリューンは頬染めると、一見大人しげで優しげな美青年のラフォーレンの、事情に突っ込む言いように
“良く言葉にして、恥ずかしくないな…”
と、顔と性格の大きなギャップについ、ラフォーレンをまじまじと見つめてしまった。
ギュンターは湯面に視線を落とし
「…俺が情事で勃たなかったは、一度しか無い」
と呟くのを聞き、ラフォーレンは横のエリューンを見て呟く。
「…確かに、若いですから。
そうなんでしょうが…。
だってオーガスタスも、ラステル殿もエウロペ殿も。
バルバロッサ王もいたんですよね?!
そんな中で…」
その後、顔を下げて小声で囁く。
「…私なら、萎縮して、絶対勃たない」
と暴露した。
エリューンもそれを聞くと、同様顔を下げて同意する。
「私もです…」
そして二人揃って、ギュンター横で湯に浸かって寛ぐオーガスタスを、注視した。
オーガスタスは直ぐ
「俺は男相手な段階で、かなり興奮しないと勃たない。
こいつと一緒にするな」
と言うので、ラフォーレンとエリューンは笑顔になった。
ギュンターだけが顔を下げ
「俺が異常か?」
とぼやき、オーガスタスが頷くのを見て、ラフォーレンもエリューンもが、笑顔で思いっきり、頷いた。
湯から上がると、ラフォーレンとエリューンの後を、オーガスタスとギュンターも付いて階段上がって来る。
更に二人が開けた寝室の扉から、ギュンターもが入って来て、オーガスタスはテーブルの上にまだ残ってた料理の皿とボトルを手に、後から入って来て足で扉を閉める。
二人はローフィスがうつ伏せで寝こけてる寝台を避け、その奥の寝台に歩み寄ると、揃って腰掛けた。
ラフォーレンとエリューンは、その様子を立ち尽くして見守る。
ギュンターは寝台の上に置いた、料理の皿から摘まみ
「お前、もう食ったろう?!」
と、オーガスタスに手をはたかれていた。
ラフォーレンとエリューンはまた、揃って寝こけてるローフィスの寝台を見つめ、二人同時に歩き出す。
「…結局、ここで寝ろって事ですかね?」
ラフォーレンが右側から布団をめくり、エリューンは左側に回って布団をめくる。
真ん中の布団の上に、ローフィスが寝てるので。
二人とも横たわった後、布団を思いっきり引っ張って、肩に掛けた。
ラステルが部屋に戻って来た時。
バルバロッサ王とエウロペはまだ、オーレとエドウィンに見せて貰ってる、脳裏の映像に映し出された偵察隊とその周辺の状況に夢中。
エウロペは顔を上げ、銅像のように動かない王に
「私達も休みます」
と告げて立ち上がる。
王は座って口元に手を添えたまま、視線も向けず頷いた。
エウロペがラステルの肩に手を当て、扉に向かって歩き出すと、王はぼそり。と呟いた。
「こんな便利な奴らを召し抱えようとしたら、どうすればいい?」
エウロペは肩すくめて返答する。
「ル・シャレファのエドウィンに、聞いてみては?」
直ぐ様王はエドウィンと脳裏で話し始め、エウロペはラステルと部屋を後にし、階段を上り始めた。
エウロペは一緒に階段上がる、ラステルを見つめ
「私はレジィの様子を見に行きますが、貴方は下に居なくていいんですか?」
と尋ねた。
ラステルはエウロペに振り向く。
「エルデリオンは『光の民』が、複数いる部屋にいるんですよ?
何かあったら直ぐ知らせてくれる。
高速で」
エウロペは頷き、本音を吐いた。
「…彼らが居る便利に慣れると、怖いですね」
ラステルもこっくり、首下げる。
「本当ですよ。
私が、聞きたいほどだった」
エウロペは苦笑する。
「どうしたら彼らを、召し抱えられるか?」
ラステルは大きく頷いた。
「ご~ゥオォォォォォン…ツーデ…ろーぅォォォォォ♪♪」
扉を開ける前から、部屋の外に酔っ払ったレジィのダミ歌声が響き渡り、ノブに手をかけたエウロペは、短いため息を吐いた。
開けると、長椅子でテリュスの膝の上に真っ赤な頬をしたレジィは頭を乗せ、手を振り上げて歌い。
テリュスは向かいのロットバルトと、話し込んでいた。
ロットバルトはエウロペの後ろにラステルの姿を見つけると
「エルデリオンが犯されたって?!」
と尋ねる。
エウロペが振り向くと、ラステルは顔を下げた。
テリュスの膝に倒れ込んでるレジィを、エウロペは抱き上げ。
ロットバルトをなだめてたテリュスの場所に、入れ替わってラステルが座り。
ラステルは事の次第を、ロットバルトに説明し始めた。
エウロペはレジィを腕に抱き上げたまま、テリュスに振り向く。
「湯に浸かった?」
テリュスは首を横に振る。
「折角楽しく飲んでたけど。
エルデリオンが犯されたとかって脳裏に言葉が響き、寝こけてるノルデュラス公爵が喚き始めた頃から、ロットバルトが…気にし出して。
彼ときたら
“まさかこんな場所で犯されるなんて…”
酔ってるから。
ずっとそれの繰り返し。
俺も酔ってるから。
“大丈夫だって”
を…何回言ったっけ?」
エウロペはとうとうくすくす笑い、尋ねる。
「エリューンは?」
テリュスはキョロ、と周囲を見回し
「あ、俺達が大声で歌うもんで…避難したらしいな。
多分、そっちの寝室」
と階段裏の扉の一つを指さした。
エウロペは頷くと
「とにかく、レジィも湯に浸からせて…。
レジィ、酔ってるから。
私も一緒に入って、大丈夫そうだな」
と告げる。
テリュスは飛び跳ねると
「一緒に入るのって、何年ぶりかな?!」
とエウロペに笑顔で言い、エウロペに微笑まれた。
湯に浸かったテリュスは、結局半分寝こけそうなレジィの体を、一生懸命洗い、抱いて湯に浸からせ、世話してるエウロペの様子を見、ぼやく。
「…レジィ、赤ちゃんみたい」
エウロペも頷くと
「疲れてるのも手伝って…くたっ…てしてるからね」
とまた湯に落ちかける、レジィの後頭部に手を当て、持ち上げた。
テリュスは頬杖付くと
「最大のピンチ、助けられたけどさ。
シャーレ…って、いつレジィから出て行くんだろう…」
と、目を閉じてくたん…としてる、レジィを見つめながらぼやく。
エウロペはため息吐くと
「ほんと、いつだろうね?」
と聞き返し、テリュスと目が合うと、肩を竦めた。
「俺はこいつと、湯に浸かりたいが…。
場を外しても、もう大丈夫か?」
と、ラステルに尋ねる。
ラステルは感じ良く頷くと
「行って下さい。
必要なら…」
と、長椅子に腰掛け、目前の食べ物やお菓子を摘まんでる、ラフィーレを見る。
ラフィーレは気づくと、頷いて言った。
「…必要な時、ボクが伝える」
オーガスタスは頷き、ギュンターの肩を扉の方に押し、少し顔を寄せて小声で囁いた。
「…とっとと、ずらかるぞ」
ギュンターは頷く間もなく、さっさと歩き出すオーガスタスの横に、少し遅れて併走し、足早に扉に駆け寄った。
廊下に出るとオーガスタスは
“ラフィーレ、風呂場はどっちだ?”
と脳裏に尋ねる。
ラフィーレは青い光の道筋を示すので、二人は広く豪華な廊下を歩き出した。
エルデリオンは目を伏せてるデルデを見つめ、顔を上げてミラーレスを見る。
ミラーレスは無言で頷いた。
エルデリオンは呆け
“何も言ってないけど…”
と脳裏に呟く。
“言わなくても読み取れる。
いいぞ、デルデの横で一緒に眠れ”
ラステルが呆けてエルデリオンを見る。
エルデリオンは頷き、艶やかながらも疲れ切った表情で、寝台に膝を付き、布団を持ち上げてデルデの横に、潜り込んだ。
デルデは嬉しそうな笑顔を見せ、身を寄せて来るエルデリオンを見つめる。
エルデリオンはデルデの体の温もりに、ほっとしたように目を閉じると、直ぐ寝息を立て始めた。
けれどデルデロッテは。
エルデリオンから香って来る、嗅ぎ慣れないジャコウ混じりの香りに、眉間を寄せる。
ラステルが気づき、尋ねた。
「血のにおいとか…する?
ギュンターからも、かなり匂ってたし…」
デルデは眉間寄せたまま
「血のにおいなら、まだ我慢出来た」
と唸るのを聞き、ラステルは目を見開く。
シュアンが笑いながら説明した。
“バルバロッサ王、南国特有の高価な香料つけてるから”
ラステルはそれを聞くと顔を下げ
「…エルデリオンを…湯に浸からせるべきか?」
とデルデに尋ねた。
が、即座にミラーレスが口を出す。
「エルデリオンは疲れ切って、もう寝てるし。
バルバロッサの匂いで、またデルデが怒り狂って、治癒力が活性化してるから」
シュテフも頷いた。
“このままだと、我々はありがたい。
なにせこの重病人が回復しないと、里に戻れないからな”
ラステルは顔を下げると
「ごもっとも…」
と、呟いた。
オーガスタスとギュンターが青い光の筋に導かれ、廊下を曲がり、奥まった場所の扉を開くと、大浴場で。
既にラフォーレンとエリューンが浸かってた。
ラフォーレンは顔を上げると
「あれ?
そっちからも、入れるんですね」
と声かける。
オーガスタスは頷くと
「じゃ、そっちの階段上がると、皆が居るのか?」
と尋ねた。
エリューンは立派な体格の、戦闘時頼りにしてたオーガスタスが、くたびれた表情を見せるのに、眉を寄せて尋ねる。
「たいそう…お疲れのご様子…」
オーガスタスは、顔下げたまま頷いた。
「…戦闘は…平気なんだが…」
横のギュンターも、顔下げる。
「…婚約者だもんな…。
どう考えても、俺が悪者だよな…」
と呻いた。
オーガスタスも顔を下げて頷く。
「痴話喧嘩ほど、疲れるものはない。
しかも男同士の」
ラフォーレンとエリューンは全然意味が分からず、顔を見合せると、互いに首捻り合った。
事情を聞いたラフォーレンとエリューンは、目を見開く。
ラフォーレンは、感心しきって向かいに裸で湯に浸かってる、ギュンターを見る。
「…よく、そんな状況で勃ちますねぇ…」
エリューンは頬染めると、一見大人しげで優しげな美青年のラフォーレンの、事情に突っ込む言いように
“良く言葉にして、恥ずかしくないな…”
と、顔と性格の大きなギャップについ、ラフォーレンをまじまじと見つめてしまった。
ギュンターは湯面に視線を落とし
「…俺が情事で勃たなかったは、一度しか無い」
と呟くのを聞き、ラフォーレンは横のエリューンを見て呟く。
「…確かに、若いですから。
そうなんでしょうが…。
だってオーガスタスも、ラステル殿もエウロペ殿も。
バルバロッサ王もいたんですよね?!
そんな中で…」
その後、顔を下げて小声で囁く。
「…私なら、萎縮して、絶対勃たない」
と暴露した。
エリューンもそれを聞くと、同様顔を下げて同意する。
「私もです…」
そして二人揃って、ギュンター横で湯に浸かって寛ぐオーガスタスを、注視した。
オーガスタスは直ぐ
「俺は男相手な段階で、かなり興奮しないと勃たない。
こいつと一緒にするな」
と言うので、ラフォーレンとエリューンは笑顔になった。
ギュンターだけが顔を下げ
「俺が異常か?」
とぼやき、オーガスタスが頷くのを見て、ラフォーレンもエリューンもが、笑顔で思いっきり、頷いた。
湯から上がると、ラフォーレンとエリューンの後を、オーガスタスとギュンターも付いて階段上がって来る。
更に二人が開けた寝室の扉から、ギュンターもが入って来て、オーガスタスはテーブルの上にまだ残ってた料理の皿とボトルを手に、後から入って来て足で扉を閉める。
二人はローフィスがうつ伏せで寝こけてる寝台を避け、その奥の寝台に歩み寄ると、揃って腰掛けた。
ラフォーレンとエリューンは、その様子を立ち尽くして見守る。
ギュンターは寝台の上に置いた、料理の皿から摘まみ
「お前、もう食ったろう?!」
と、オーガスタスに手をはたかれていた。
ラフォーレンとエリューンはまた、揃って寝こけてるローフィスの寝台を見つめ、二人同時に歩き出す。
「…結局、ここで寝ろって事ですかね?」
ラフォーレンが右側から布団をめくり、エリューンは左側に回って布団をめくる。
真ん中の布団の上に、ローフィスが寝てるので。
二人とも横たわった後、布団を思いっきり引っ張って、肩に掛けた。
ラステルが部屋に戻って来た時。
バルバロッサ王とエウロペはまだ、オーレとエドウィンに見せて貰ってる、脳裏の映像に映し出された偵察隊とその周辺の状況に夢中。
エウロペは顔を上げ、銅像のように動かない王に
「私達も休みます」
と告げて立ち上がる。
王は座って口元に手を添えたまま、視線も向けず頷いた。
エウロペがラステルの肩に手を当て、扉に向かって歩き出すと、王はぼそり。と呟いた。
「こんな便利な奴らを召し抱えようとしたら、どうすればいい?」
エウロペは肩すくめて返答する。
「ル・シャレファのエドウィンに、聞いてみては?」
直ぐ様王はエドウィンと脳裏で話し始め、エウロペはラステルと部屋を後にし、階段を上り始めた。
エウロペは一緒に階段上がる、ラステルを見つめ
「私はレジィの様子を見に行きますが、貴方は下に居なくていいんですか?」
と尋ねた。
ラステルはエウロペに振り向く。
「エルデリオンは『光の民』が、複数いる部屋にいるんですよ?
何かあったら直ぐ知らせてくれる。
高速で」
エウロペは頷き、本音を吐いた。
「…彼らが居る便利に慣れると、怖いですね」
ラステルもこっくり、首下げる。
「本当ですよ。
私が、聞きたいほどだった」
エウロペは苦笑する。
「どうしたら彼らを、召し抱えられるか?」
ラステルは大きく頷いた。
「ご~ゥオォォォォォン…ツーデ…ろーぅォォォォォ♪♪」
扉を開ける前から、部屋の外に酔っ払ったレジィのダミ歌声が響き渡り、ノブに手をかけたエウロペは、短いため息を吐いた。
開けると、長椅子でテリュスの膝の上に真っ赤な頬をしたレジィは頭を乗せ、手を振り上げて歌い。
テリュスは向かいのロットバルトと、話し込んでいた。
ロットバルトはエウロペの後ろにラステルの姿を見つけると
「エルデリオンが犯されたって?!」
と尋ねる。
エウロペが振り向くと、ラステルは顔を下げた。
テリュスの膝に倒れ込んでるレジィを、エウロペは抱き上げ。
ロットバルトをなだめてたテリュスの場所に、入れ替わってラステルが座り。
ラステルは事の次第を、ロットバルトに説明し始めた。
エウロペはレジィを腕に抱き上げたまま、テリュスに振り向く。
「湯に浸かった?」
テリュスは首を横に振る。
「折角楽しく飲んでたけど。
エルデリオンが犯されたとかって脳裏に言葉が響き、寝こけてるノルデュラス公爵が喚き始めた頃から、ロットバルトが…気にし出して。
彼ときたら
“まさかこんな場所で犯されるなんて…”
酔ってるから。
ずっとそれの繰り返し。
俺も酔ってるから。
“大丈夫だって”
を…何回言ったっけ?」
エウロペはとうとうくすくす笑い、尋ねる。
「エリューンは?」
テリュスはキョロ、と周囲を見回し
「あ、俺達が大声で歌うもんで…避難したらしいな。
多分、そっちの寝室」
と階段裏の扉の一つを指さした。
エウロペは頷くと
「とにかく、レジィも湯に浸からせて…。
レジィ、酔ってるから。
私も一緒に入って、大丈夫そうだな」
と告げる。
テリュスは飛び跳ねると
「一緒に入るのって、何年ぶりかな?!」
とエウロペに笑顔で言い、エウロペに微笑まれた。
湯に浸かったテリュスは、結局半分寝こけそうなレジィの体を、一生懸命洗い、抱いて湯に浸からせ、世話してるエウロペの様子を見、ぼやく。
「…レジィ、赤ちゃんみたい」
エウロペも頷くと
「疲れてるのも手伝って…くたっ…てしてるからね」
とまた湯に落ちかける、レジィの後頭部に手を当て、持ち上げた。
テリュスは頬杖付くと
「最大のピンチ、助けられたけどさ。
シャーレ…って、いつレジィから出て行くんだろう…」
と、目を閉じてくたん…としてる、レジィを見つめながらぼやく。
エウロペはため息吐くと
「ほんと、いつだろうね?」
と聞き返し、テリュスと目が合うと、肩を竦めた。
0
お気に入りに追加
288
あなたにおすすめの小説






ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる