森と花の国の王子

あーす。

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アールドット国王の別邸

女性の話で盛り上がらない一部と、別の意味で盛り上がる作戦室

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 頭の中で、シュアンが陽気に叫ぶ。

“エドウィンが、エルデリオンの犯されてる映像、記憶したから!
また別のヤッハ族のいる崖近くで映像見せて、おびき寄せるって!
凄く野蛮な連中だけど、欲望しか無いから。
きっとまた簡単に釣れて、数どんどん減らせるだろうって!”

ロットバルトはそれを聞いた途端、歌をピタ、と止めて顔を下げ、項垂れた。
テリュスは思わず見つめてしまい、呻く。
「…エルデリオンが…犯されてる映像…?」

それを聞いた途端、ロットバルトはもっと顔を下げた。

“でね、でねっ!
敵の中でもの凄く強い、ヤッハ族の数がいっぱい減れば!
勝機が凄く上がるし、エドウィンが覚えた、エルデリオンがバルバロッサ王とギュンターの二人に犯されるてる映像って、最高に強烈だから!
作戦が今、どんどん進行中で…数、どんどん減って来てるよ!”

テリュスはとうとうロットバルトが、がっくり首を下げるのを見、思わず尋ねる。
“シュアン、エルデリオンってバルバロッサ王だけじゃなくて。
ギュンターにもされたのか?”

その時、ソファでほぼ寝てる様子のノルデュラス公爵の声が、脳裏に響いた。
“二人がかりで感じさせたのか?!
バルバロッサ王とギュンター、ぶっ殺す!!!”

テリュスはため息交じりに顔を下げ、内心呻いた。
“ぶっ殺す…って…。
エルデリオンにはきっちり、振られてるのに”

テリュスははっ!として、寝てるノルデュラス公爵を見た。
けど背を向けソファに横たわったまま、動いてない。

“助かった…。
ノルデュラス公爵、寝てるみたいだから、何とか夢って、思わせられないかな?”

シュアンがあちこちに
“出来る?”
と聞いてる様子で…とうとうオーレがノルデュラス公爵に
“君は今、夢を見ている…。
これは夢の中の出来事だ…”
と囁いた。

テリュスはほっとしたけど。
ノルデュラス公爵はいきなり、がばっ!と身を起こすと
「ふさげるな!
んな子供だまし、通用するか!」
と怒鳴りつけ、テリュスはため息と共に
“ダメじゃん…”
と内心ぼやき、レジィだけがまだ頬を真っ赤にして、ダミ声で歌い続けていた。

ゼイブンを先頭に、エディエルゼとミラーシェンがこざっぱりとし、ガウン姿で階段下から現れる。
「他…誰も湯に浸からないのか?」
ゼイブンが尋ねるものの。
誰も返答しない。

ゼイブンは肩すくめ、きょろ…と見回し
「ローフィスは?」
と聞いた。

テリュスに階段裏の、寝室の扉を指さされ、ゼイブンは歩き出す。
なぜかエディエルゼとミラーシェンまでもが、ゼイブンの後に続いた。

扉を開けると、ラフォーレンとエリューンは寛ぎきって寝台上で姿勢を崩し、女性談義に花を咲かせてた。

「…てっきり、スフォルツァ殿とカップルなのかと」
エリューンのぼやきに、ラフォーレンは肩すくめる。
「それ、オーデ・フォール中央王国ではよく間違われましたけど…。
オーデ・フォール中央王国って男二人で居ると、直ぐカップルに思われるんですか?
スフォルツァは…男女どちらでも、来る者拒まずなので。
感じの良い美女に色目使われてた時、時間ナイって急かす私が、すっごく邪魔そうでしたねぇ…」

「女性の好み、被らないんですか?」
エリューンに問われ、ラフォーレンは頷く。
「スフォルツァに靡く女は、口説かない。
が私の身上で…。
彼、私より年上で、ずっと頼りになる兄貴分でしたけど。
とにかく、モテまくりですから。
あんなん競争相手にしたら、ストレス溜まりまくりですよ」
「ごもっとも」

エリューンに頷かれ、ラフォーレンはエリューンのグラスに酒を注ぎ
「貴方も…エウロペ殿となんていたら…。
好みの女性口説くの、苦労するでしょう?」
と尋ねた。
エリューンは直ぐ頷く。
「色っぽくて美人の熟女には、まずありつけませんね…。
青年好きの熟女なら、相手して貰えますけど…」
「でしょうねぇ…。
あの体格と風格と、あの爽やかさ…。
更に迫力もありますもんねぇ…」

エリューンは酒を口に含んで無言で頷き、二人は揃って項垂れた。

ゼイブンが
「なんて暗い酒だ…」
と呻き
「どうして楽しく飲めないんだ…」
と、エディエルゼも同意した。

エリューンとラフォーレンは顔を上げてゼイブンとエディエルゼを見、ほぼ同時にため息吐く。
「…どっちも男に口説かれて困りそうなのに…凄く前向きですね?」
エリューンに言われ、ラフォーレンも頷く。
「エディエルゼ殿は口説かれようが、腕っ節で退けるでしょうし。
ゼイブンは女性相手だと、どれだけでもめげずに、口説き続けますからね…」
「神経、鋼鉄なんですね」
「多分…」

ゼイブンはとうとう肩怒らせ、怒鳴りつけた。
「誰が、鋼鉄の神経だ!
ローフィスはどこだ!」

ラフォーレンとエリューンが、真ん中少し開けて振り向く。
二人の間に、横たわるローフィスの、背中の一部が見えた。

「…疲れ切ってますよ?」
エリューンが言うと、ラフォーレンも頷く。
「休ませてあげたら?」

ゼイブンは仕方無く横のソファを掴み、寝台に座ってる二人の前に置くと、座って手を差し出す。

ラフォーレンもエリューンも、ただその差し出された手を見た。
仕方無くゼイブンは立ち上がると、テーブルの上のグラスを手に取る。

「あと、二つ」
声かけられて振り向くと、エディエルゼが二人がけ用のソファを、ゼイブンのソファの横に移動させていた。

ゼイブンは戻って腰掛け、直ぐ横に座るエディエルゼを見
「そこはミラーシェンだ」
と言い切る。
ミラーシェンが交代して座ると、グラスを二つ手渡し
「良く、聞いとけ。
ここは数少ない、女の話の出来る場所だ」
と説いた。

エディエルゼは肩すくめ、エリューンにボトルを手渡され、自分のグラスに注いだ後、ミラーシェンのグラスにも注ぎ、囁く。
「いいから。
飲んで思ってること、全部吐き出せ」

注いだ後、ミラーシェンの向こうから、ゼイブンのグラスが差し出されてるのを見、エディエルゼはボトルを差し出し返した。

ゼイブンは仕方無くボトルを取ると、グラスに注ぎながらぼやく。

「せっかく王宮で、綺麗どころと食事が出来ると…食卓に向かう途中で呼び出しだ。
全く…あんまりだ」

皆、一斉にゼイブンに振り向く。
「私もスフォルツァと状況報告を受けてる真っ最中、突然な出立要請を受け、慌てまくりましたけど…。
そんなタイミングだったんですか?
それはたいそうお気の毒な」
ラフォーレンが言うと、ゼイブンは呻いた。
「…お茶はした。
美女ばかりで色気もあって。
夕食の席で、口説く気満々だったのに…」

言って、一気に飲み干すので。
ラフォーレンは気の毒になって、空になったゼイブンのグラスに、並々注いだ。


 エウロペ、ラステル、オーガスタスはソファに腰掛け、向かいのソファに座るバルバロッサ王が、次々誘い込まれたヤッハ族を襲うよう、待機していた部下に命を下すのを脳裏の映像で見ながら、果実酒と食事をつまんで、鑑賞した。

ギュンターはエルデリオンに
「風呂に浸かるか?」
と尋ねていて、エルデリオンは
「…腰が抜けて…」
と掠れた声で呻き、ギュンターに助けられて、少し離れた長椅子に腰掛けて休んだ。

けど間もなく
“…この20人程の集団…釣れないな”
とオーレの声がし、エドウィンが
“ギュンター。
そこで裸のエルデリオンと、濃厚に絡んで貰えます?”
と要請する。

“…お前、幾つだ…”
ギュンターは内心ぼやくと、衣服のはだけてるエルデリオンの、服を脱がし始める。
エルデリオンは呆けていたけど、衣服を脱がされ
「体を…拭くの?」
とぼやけた意識で尋ねた。

間もなく、ズボンも足先から滑り落とされ、すっ裸にされると。
ギュンターにのしかかられ、頬を赤らめた。
「え?
なに?
なんで…っ!」

ギュンターにのし掛かられ、腰を抱き寄せられて、股間を握られる。

“これなら…握っても見えないだろう?”

ギュンターに問われ、エドウィンは
“オーガスタスの視点からなら、見えないから。
彼の見てる映像流します”
と答えた。

オーガスタスは焦ると
“じゃ俺は。
ずっとギュンターとエルデリオンが絡むとこ、見てなきゃダメか?!”
と叫び、エドウィンに
“ダメです”
と言われ
“冗談じゃ無い…”
と内心、文句垂れた。

エウロペとラステルは口に食べ物を運びかけ、呆けた。
「…エルデリオン、色白ですから。
確かに…年若い、女性に見えますね…」
エウロペは呟くと、ラステルも頷く。

が、エドウィンは叫ぶ。
“今度の集団の数人は、エルデリオンの顔、知ってるの!
バルバロッサ王とされてる時の映像は
『似てるけど、ある筈無い』
って顔背けちゃったから”

その後
“あ、振り向いた!
ギュンター、胸とか、思いっきり…”

エドウィンが言うなり、ギュンターは手をエルデリオンの盛り上がった胸に這わせ、掴む。

「…っやっ!」

エルデリオンが、感じて仰け反る。
ギュンターはエルデリオンの胸に顔を倒し、乳首を口に含んで吸い上げた。

「ぁあっ!」

エルデリオンは顎を曝して仰け反り、手はギュンターの背の衣服を掴む。

“色っぽい…”

オーガスタス、エウロペ、ラステルが同時に呟き、脳裏の映像では野人の中でも、少しは理性の残ってる面構えの男らが、色めき立って振り向き、見入るのが見えた。

“エルデリオンか?”
“本物か?!”
“男の婚約者と結婚するとか、言ってたぞ?!”
“本物かも…”

エドウィンが
“もっと…”
と言いかけると、ギュンターは頷いて返事した。
“強烈に…だろ?
分かってる”

首の後ろに手を回し、顔を上げると胸を激しく揉みしだいたまま、仰け反った真っ赤なエルデリオンの唇に、口づけた。

「…っ!…ぅうんっ!」

首を振って、嫌がりながらも唇を塞がれ、胸を揉まれてもがく白い肌のエルデリオンの裸体は。

ヤッハ族の理性在る男らを、どうやら煽りきったらしく。
彼らが一歩。
また一歩。
と、身を屈めながら、近づいて来る映像が見え、バルバロッサ王だけが
「…ホントに、勘の良い男だな。
恋敵になるかもしれないが、部下に欲しい男だ」

と、ギュンターを褒めた。
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