347 / 418
ゾーデドーロ(東の最果て)
敵が迫ってるらしいのに、疲れ切る一同
しおりを挟む
全員が、やれやれ…とそこらのソファや椅子に腰を下ろし始める。
スフォルツァとラフォーレンも入って来て、ギュンターとローフィスの横に腰掛けた。
長椅子の一角にアースルーリンドの者らは集い、少し離れた椅子やソファに、他の皆は座ってアースルーリンドの皆を伺った。
「…やっぱ美形集団ですな…。
アースルーリンド出身者って」
ロットバルトが呻くと、公爵も目を向ける。
「…確かに、なんかあそこだけキラキラしてる」
レジィが目を見開く。
「…でも…。
こっちもいっぱい美形いる…」
エウロペはとても綺麗で可愛らしいレジィを見て、微笑んだ。
「確かに」
けれどミラーシェンが囁く。
「…でも…ただ顔が綺麗なだけじゃなくって、なんか…」
エディエルゼも頷いた。
「…確かに雰囲気が、どっかキラキラして一際綺麗に見える。
が、性格は最悪だな」
ラウールが、チラ…とそう憤慨するエディエルゼを見た。
デルデロッテだけが、エルデリオンに抱きつかれて嬉しかったので。
振り向いてエルデリオンを抱きしめ、立ったままその場から動かず。
テリュスとエリューンはそれを見て、呆れた。
「…あのデルデが、エルデリオン相手だと実はメロメロだったんですね…」
エリューンが呟くと、テリュスも頷く。
「あの、嬉しそうな顔」
公爵は、くたびれきってたから椅子から立たなかったけれど。
笑顔のデルデを睨み付けていた。
ロットバルトが、ぼそり…と囁く。
「…多分、ずっと…好きだったんでしょうなぁ…。
今、思えば。
あれだけ女性にモテながら、エルデリオンの近くに上がれる仕事だと、本当に嬉しそうだったから」
皆に見つめられ、ロットバルトは付け足した。
「…確かに、いざエルデリオンと会うと、表情を控えて従者に徹していましたけど」
エウロペは池でデルデを見た時。
まだ年若いデルデとエルデリオンが、楽しそうに水に入っていく幻を見たことを思い出した。
デルデはもっと自由で快活で、まだ少年のエルデリオンの笑顔を見つめ、とても嬉しそうだった。
「…いつも…エルデリオンの味方をしてた。
従者頭に睨まれようが。
彼が反対したのは…レジィ殿を花嫁にしたいと、エルデリオンが思い詰めた時だけ」
ロットバルトの言葉に、レジィはにっこり笑う。
「…やっぱりデルデ、大好き」
エリューンは頬を染めて顔を下げ
「嫌味なヤツと思って、悪かったです…」
と反省した。
が、公爵は、顔を下げてエルデリオンを見つめながら話してるデルデを睨みつけ、呻く。
「私は今だに思ってますけどね」
エディエルゼは目を見開く。
「…つまり従者として仕えながらも…ずっと…王子を好きだったんですか?
彼」
皆がおもむろに頷く。
それを見て、エディエルゼは俯いた。
「我が国では、考えられない…」
ミラーシェンも、顔を下げる。
「…我が国では女性の数がとても少ないから…。
どうしても…その、男性相手に性欲を発散させるけど…。
女性の代わりにされる男は、役に立たない弱い男として軽蔑され…嫁すら、迎えられません…」
テリュスは顔を下げた。
「俺の国では、顔の綺麗な男は軟弱で役立たずと…外見で軽蔑される」
エリューンも同意し、大きく頷いた。
「あっちでも、そうですかね?」
ロットバルトがアースルーリンドの皆を顎でしゃくるので、エウロペが腰を上げて皆に告げた。
「混ざりますか?」
ロットバルトも腰を上げる。
「いざ敵が来たら。
一緒に戦う味方ですからね」
ラウールが、腰を上げる公爵を見て尋ねる。
「確か、ここに上がって来ちゃいけない人ですよね?
公爵って」
公爵は頷きながら言った。
「まぁね。
が、敵が来たらそう言ってられる?
ちゃんと私も戦力になるんだから」
ロットバルトは頷きながら
「腕は確かですしな。
が、エルデリオンに迫って、デルデと喧嘩しないで下さい」
と釘指した。
アースルーリンド勢の座ってる近くのソファに、皆が一斉にやって来る。
が、アースルーリンド勢らは言い合いをしていた。
「…ホントにホントなのか?!」
ギュンターの、緊迫した声。
次にローフィスが呻く。
「ゼイブンの呪文は強烈に効くが…後が怖い」
「どんな風に?」
ふいにエウロペに尋ねられ、一斉に皆がエウロペに振り向いた。
ローフィスが、ため息交じりに顔を下げる。
「…どんな反動か、予想が付かないから始末に負えない」
オーガスタスが、ぼそりと告げた。
「俺に危険があれば、ワーキュラスかディアスが警告してくれる。
…多分」
スフォルツァとラフォーレンはだれきっていて、呻く。
「これ以上、まだ面倒があるんですか?」
ラフォーレンが呟くと、スフォルツァも言い捨てた。
「…勘弁してくれ…」
当のゼイブンだけは、レジィを見ると
「…女の子?」
と笑顔で聞く。
レジィは笑い返すと
「男の子」
と言い返し、ゼイブンはがっかりしたように、顔を下げた。
が直ぐ立ち直り、また顔を上げてミラーシェンを見る。
「女…」
言いかける途中で、ミラーシェンはきっぱり言った。
「男です」
次にゼイブンは、テリュスを見る。
テリュスはゼイブンを睨み付けて怒鳴った。
「どこをどう見ても、男だろう?!」
ゼイブンは思わず呟いた。
「…どこをどう見ても、綺麗系可愛い子ちゃん」
隣に座るエリューンに、ぷっ…と吹き出され、テリュスは横のエリューンとゼイブンを、交互に睨み付けた。
更にゼイブンは、ラウールを見る。
「…男か…」
ラウールはクールに言い返す。
「ですね」
最後に、エディエルゼを見た。
見られた途端、エディエルゼはゼイブンを激しく睨む。
ゼイブンは情けなく眉を下げ
「…凄く…タイプなのに…」
と呻いた。
皆、肩までのグレーがかった明るい栗色巻き毛でブルー・グレーの瞳の、黙ってれば凄い美青年のゼイブンを、呆れきって見た。
ラウールが呻く。
「ギュンターに次ぐ、美青年なのに」
ロットバルトも呻く。
「顔・ダケは綺麗なのに…」
ローフィスは気づいてロットバルトに告げた。
「アースルーリンドは美形の宝庫とか、言われてるらしいけど。
内情はこんなもんですよ」
オーガスタスも、頷く。
「美形ほど、性格との落差が酷くて、がっかりする」
けどスフォルツァが混ぜっ返した。
「…でも(左将軍)補佐殿の婚約者って、優しげな凄い美女ですよね?」
ラフォーレンも頷いた。
「しっかりもので賢そうで、性格も良さそうな優しげな美女。
アースルーリンドでは珍しいし、貴重ですね」
テリュスが、怖気て尋ねた。
「アースルーリンドの美形って…そんなに性格悪いのばっか?」
オーガスタスがギュンターを。
ローフィスが、ゼイブンを、無言で指さした。
エウロペもロットバルトもラウールも公爵もが、無言で頷き倒した。
ギュンターがオーガスタスを睨み付け、怒鳴る。
「好きでこの顔なんじゃない!
俺の顔で夢見るのは、そっちの勝手だ!
が、それは間違いなく俺とかけ離れてる!!!」
ゼイブンも頷く。
「…折角のこの顔も。
こんな…野郎だらけの中じゃ、役に立たない…」
そしてがっくり、首垂れた。
その時、やっとデルデがエルデリオンを伴って、ゼイブンの横に腰掛けて告げる。
「宮廷に戻ったら。
私の馴染みの美女達にご紹介します。
貴方ぐらいの美男なら、多分皆、喜びますよ」
ゼイブンは瞳を輝かせ、ギュンターくらい長身のデルデに言った。
「あんた、大好き!
抱きついて、いい?」
デルデは笑顔で即座に言った。
「駄目」
スフォルツァとラフォーレンも入って来て、ギュンターとローフィスの横に腰掛けた。
長椅子の一角にアースルーリンドの者らは集い、少し離れた椅子やソファに、他の皆は座ってアースルーリンドの皆を伺った。
「…やっぱ美形集団ですな…。
アースルーリンド出身者って」
ロットバルトが呻くと、公爵も目を向ける。
「…確かに、なんかあそこだけキラキラしてる」
レジィが目を見開く。
「…でも…。
こっちもいっぱい美形いる…」
エウロペはとても綺麗で可愛らしいレジィを見て、微笑んだ。
「確かに」
けれどミラーシェンが囁く。
「…でも…ただ顔が綺麗なだけじゃなくって、なんか…」
エディエルゼも頷いた。
「…確かに雰囲気が、どっかキラキラして一際綺麗に見える。
が、性格は最悪だな」
ラウールが、チラ…とそう憤慨するエディエルゼを見た。
デルデロッテだけが、エルデリオンに抱きつかれて嬉しかったので。
振り向いてエルデリオンを抱きしめ、立ったままその場から動かず。
テリュスとエリューンはそれを見て、呆れた。
「…あのデルデが、エルデリオン相手だと実はメロメロだったんですね…」
エリューンが呟くと、テリュスも頷く。
「あの、嬉しそうな顔」
公爵は、くたびれきってたから椅子から立たなかったけれど。
笑顔のデルデを睨み付けていた。
ロットバルトが、ぼそり…と囁く。
「…多分、ずっと…好きだったんでしょうなぁ…。
今、思えば。
あれだけ女性にモテながら、エルデリオンの近くに上がれる仕事だと、本当に嬉しそうだったから」
皆に見つめられ、ロットバルトは付け足した。
「…確かに、いざエルデリオンと会うと、表情を控えて従者に徹していましたけど」
エウロペは池でデルデを見た時。
まだ年若いデルデとエルデリオンが、楽しそうに水に入っていく幻を見たことを思い出した。
デルデはもっと自由で快活で、まだ少年のエルデリオンの笑顔を見つめ、とても嬉しそうだった。
「…いつも…エルデリオンの味方をしてた。
従者頭に睨まれようが。
彼が反対したのは…レジィ殿を花嫁にしたいと、エルデリオンが思い詰めた時だけ」
ロットバルトの言葉に、レジィはにっこり笑う。
「…やっぱりデルデ、大好き」
エリューンは頬を染めて顔を下げ
「嫌味なヤツと思って、悪かったです…」
と反省した。
が、公爵は、顔を下げてエルデリオンを見つめながら話してるデルデを睨みつけ、呻く。
「私は今だに思ってますけどね」
エディエルゼは目を見開く。
「…つまり従者として仕えながらも…ずっと…王子を好きだったんですか?
彼」
皆がおもむろに頷く。
それを見て、エディエルゼは俯いた。
「我が国では、考えられない…」
ミラーシェンも、顔を下げる。
「…我が国では女性の数がとても少ないから…。
どうしても…その、男性相手に性欲を発散させるけど…。
女性の代わりにされる男は、役に立たない弱い男として軽蔑され…嫁すら、迎えられません…」
テリュスは顔を下げた。
「俺の国では、顔の綺麗な男は軟弱で役立たずと…外見で軽蔑される」
エリューンも同意し、大きく頷いた。
「あっちでも、そうですかね?」
ロットバルトがアースルーリンドの皆を顎でしゃくるので、エウロペが腰を上げて皆に告げた。
「混ざりますか?」
ロットバルトも腰を上げる。
「いざ敵が来たら。
一緒に戦う味方ですからね」
ラウールが、腰を上げる公爵を見て尋ねる。
「確か、ここに上がって来ちゃいけない人ですよね?
公爵って」
公爵は頷きながら言った。
「まぁね。
が、敵が来たらそう言ってられる?
ちゃんと私も戦力になるんだから」
ロットバルトは頷きながら
「腕は確かですしな。
が、エルデリオンに迫って、デルデと喧嘩しないで下さい」
と釘指した。
アースルーリンド勢の座ってる近くのソファに、皆が一斉にやって来る。
が、アースルーリンド勢らは言い合いをしていた。
「…ホントにホントなのか?!」
ギュンターの、緊迫した声。
次にローフィスが呻く。
「ゼイブンの呪文は強烈に効くが…後が怖い」
「どんな風に?」
ふいにエウロペに尋ねられ、一斉に皆がエウロペに振り向いた。
ローフィスが、ため息交じりに顔を下げる。
「…どんな反動か、予想が付かないから始末に負えない」
オーガスタスが、ぼそりと告げた。
「俺に危険があれば、ワーキュラスかディアスが警告してくれる。
…多分」
スフォルツァとラフォーレンはだれきっていて、呻く。
「これ以上、まだ面倒があるんですか?」
ラフォーレンが呟くと、スフォルツァも言い捨てた。
「…勘弁してくれ…」
当のゼイブンだけは、レジィを見ると
「…女の子?」
と笑顔で聞く。
レジィは笑い返すと
「男の子」
と言い返し、ゼイブンはがっかりしたように、顔を下げた。
が直ぐ立ち直り、また顔を上げてミラーシェンを見る。
「女…」
言いかける途中で、ミラーシェンはきっぱり言った。
「男です」
次にゼイブンは、テリュスを見る。
テリュスはゼイブンを睨み付けて怒鳴った。
「どこをどう見ても、男だろう?!」
ゼイブンは思わず呟いた。
「…どこをどう見ても、綺麗系可愛い子ちゃん」
隣に座るエリューンに、ぷっ…と吹き出され、テリュスは横のエリューンとゼイブンを、交互に睨み付けた。
更にゼイブンは、ラウールを見る。
「…男か…」
ラウールはクールに言い返す。
「ですね」
最後に、エディエルゼを見た。
見られた途端、エディエルゼはゼイブンを激しく睨む。
ゼイブンは情けなく眉を下げ
「…凄く…タイプなのに…」
と呻いた。
皆、肩までのグレーがかった明るい栗色巻き毛でブルー・グレーの瞳の、黙ってれば凄い美青年のゼイブンを、呆れきって見た。
ラウールが呻く。
「ギュンターに次ぐ、美青年なのに」
ロットバルトも呻く。
「顔・ダケは綺麗なのに…」
ローフィスは気づいてロットバルトに告げた。
「アースルーリンドは美形の宝庫とか、言われてるらしいけど。
内情はこんなもんですよ」
オーガスタスも、頷く。
「美形ほど、性格との落差が酷くて、がっかりする」
けどスフォルツァが混ぜっ返した。
「…でも(左将軍)補佐殿の婚約者って、優しげな凄い美女ですよね?」
ラフォーレンも頷いた。
「しっかりもので賢そうで、性格も良さそうな優しげな美女。
アースルーリンドでは珍しいし、貴重ですね」
テリュスが、怖気て尋ねた。
「アースルーリンドの美形って…そんなに性格悪いのばっか?」
オーガスタスがギュンターを。
ローフィスが、ゼイブンを、無言で指さした。
エウロペもロットバルトもラウールも公爵もが、無言で頷き倒した。
ギュンターがオーガスタスを睨み付け、怒鳴る。
「好きでこの顔なんじゃない!
俺の顔で夢見るのは、そっちの勝手だ!
が、それは間違いなく俺とかけ離れてる!!!」
ゼイブンも頷く。
「…折角のこの顔も。
こんな…野郎だらけの中じゃ、役に立たない…」
そしてがっくり、首垂れた。
その時、やっとデルデがエルデリオンを伴って、ゼイブンの横に腰掛けて告げる。
「宮廷に戻ったら。
私の馴染みの美女達にご紹介します。
貴方ぐらいの美男なら、多分皆、喜びますよ」
ゼイブンは瞳を輝かせ、ギュンターくらい長身のデルデに言った。
「あんた、大好き!
抱きついて、いい?」
デルデは笑顔で即座に言った。
「駄目」
0
お気に入りに追加
284
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる