森と花の国の王子

あーす。

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ゾーデドーロ(東の最果て)

ミラーシェンを慰めるギュンター

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 ギュンターは脳裏でオーガスタスが
“言っとくが、ギュンターに抱かれた相手に聞いたところ、ギュンターは最中でもさ程顔は変わらないから、あんなふにゃにゃけた、だらしない顔にはならないぞ?”
と擁護してくれてるのを聞き、尋ねた。

“あくまで、ラウールの想像だろう?”

ローフィスが
“名誉のためにも一度ラウールと寝て証明してやれ”
と言うのも聞く。

“…オーガスタスにホられたら…なるのかもな。
された事無いから…あんな顔になったこと、無いと思うが”
そう呟くと、ラウールに
“一度実現してみたいとは思わないんですか?”
と聞かれた途端、オーガスタスが
“思わない!”
ときっぱり意見を表明し、ローフィスも
“あり得ない!!!”
と怒鳴り、ギュンターは顔を下げた。

“…別にやってみても、いいかもとは思うが…。
多分オーガスタスのはデカ過ぎて、俺には入らないし。
いざ始まったらオーガスタスと喧嘩になりそうで、ローフィスは仲裁に入りそうだな…”
と呟いた。

オーガスタスに
“やってみようだなんて、死んでも思うな!”
と怒鳴られ、ローフィスに
“お前、迂闊なこと考えるな!”
とやはり怒鳴りつけられ、ラステルに
“ギュンターって、ちょっとお馬鹿?”
とまで言われ…黙った。

ふ…と気づき、寝台に座ってるミラーシェンに顔を傾け、見つめる。
脳裏で
“今の…聞こえた?”
と聞いてみたけど…ミラーシェンは俯いたまま。
エドウィンに
“ミラーシェンは…自分の問題にいっぱいいっぱいで…。
そういう状態で、心話は聞こえにくいんです”
と言われたので、聞いてみた。

「今の…変な映像とか、頭に浮かんだ?」
ミラーシェンはギュンターに見つめられ、彼の男らしい美貌に、一瞬見とれる。
豪奢な、肩に流れる緩やかなウェーブの金の髪。
切れ長の紫の瞳。
綺麗な鼻筋。そして口元。
整いきっていて、とても美麗で甘い顔立ち。

けれど素っ気無い雰囲気と、あまり表情豊かじゃないせいか…。
とても…クールに見えた。

でも質問の答えを待ってるみたいにじっと見つめられ、首を横に振る。
「見えない…何も…。
貴方しか…」

ギュンターは頷くと、ひとしきりミラーシェンを見つめた。
さらりと流れる、少しウェーブのかかった長い銀の髪。
あまりお目にかかれない、深い湖水のような青い瞳がとても美しく、独特な存在感を醸し出している。
口元が愛らしく、それでいてとても美しかった。

ギュンターは横に座ると、ミラーシェンの、自身の股間の上に乗せた手に触れる。
ミラーシェンは、びくっ!と身を震わせた。

誰だろう…?
また、シュアンだろうか?
それとも…オーガスタスと繋がってるディアヴォロスを通じ、ワーキュラスが送って来てる?

触れた途端、無理矢理体に触れられ、もがく華奢なミラーシェンの映像が脳裏に浮かび上がる。
男達に手首を掴まれ、足首をも掴まれ、衣服を剥がされ…。
尻を突き出した体勢で無遠慮に蕾を指でほぐされ…。
散々弄られた後、挿入…。

暫くして直ぐ、髪を掴み上げられ、口の中に挿入され…。
男達は皆、裸で仮面を付け、笑っていた。

何人いる?
四人?
いや五…六人…。

手首を掴まれた手に、一物を握らされ、挿入されて口をも使われ…。
泣き叫ぶことすら出来ず、強姦される彼…。
銀の美しい髪に、男達の精液が散る。

若い男達は笑いながら…楽しげに嫌がる彼を嬲ってる…。
一人が中で放つと、次の男に腰を掴まれ…。
背後から抱きすくめられて挿入。
別の男に口に一物を挿入され…別の男は胸の両側から初々しい乳首に喰らい付く。
まるで果実を囓るように。

もう一人が…彼の股間に張り付く。
ロクに使ったことの無い、幼い彼の男の印を舌で可愛がる。
根元をぎゅっ!と指で押さえたまま。

“締まる…!
もっと愛撫してやれ!"

男達は笑って…何も知らない彼を多数で嬲り続けた。

ギュンターはギリ!と歯を擦り合わせ、脳裏で怒鳴る。
“なぜ見せる!
俺は奴らを殴れないのに!"
“…だからギュンターには、逆効果だと言ったろう?”
ディアスの声。
その後、ワーキュラスの荘厳な声がした。
“参考に成るかと…”

けれどその後、突然映像は完全に引っ込む。

ギュンターはミラーシェンに囁く。
「怖いことは、何もしない。
が、欲しいんだろう?後ろに」

そう呟くと、ミラーシェンは泣きそうな顔を上げてギュンターを見つめた。
“欲しい”と訴えかけてる。
けど…触れられるのは怖い…。

ギュンターはゆっくり…小柄な美少年を抱きしめた。
“大丈夫”
その言葉の代わりに。

ミラーシェンは身を固くしていたけれど…ギュンターの温もりを感じると、徐々に…ギュンターに縋り付き始めた。

ギュンターはそっ…と顔を傾ける。
ミラーシェンは気づいたように…ギュンターの口づけを唇で受け止めた。

ギュンターは幾度も顔の角度を変え、優しく触れるだけの、キスをする。
くすぐるように柔らかく…。
そして優しいキス…。

何度目かで、ミラーシェンは彼に縋り付いて…唇に触れるギュンターの唇が、心地良いと感じ始める…。

「…っん…っ…」

ギュンターはそれでも暫く…ミラーシェンが恐怖を退けるまで、優しく抱きしめてキスを続けた。

次第に…ミラーシェンは熱で震え始め、もっと熱烈なキスを望んでる…。
ギュンターはそう感じた時、ゆっくり舌を差し入れた。
絡めていた。
ミラーシェンの方から。
ねだるように。

ギュンターはそこでようやく、ミラーシェンの舌に応えながら、そっ…と彼の股間に触れる。
辛いほど勃っていて、ギュンターはゆっくり衣服の上から愛撫する。
ミラーシェンはもう…縋り付くようにギュンターに身を寄せ、肩に顔を埋め、ギュンターの手でもたらされる快感に没頭した。
「…っぁ…っ」

ギュンターは優しい愛撫を続け…彼を解放に導く。
ミラーシェンは直ぐ、放ってた。

「…っん…っ」
睫を震わす彼は、ギュンターにしがみついたまま、うっとりしてる…。
だからギュンターは、ミラーシェンを腕の中で抱きしめたまま、彼の体を休ませた。
間もなく…ミラーシェンは腰を捩る。
顔をギュンターに傾け、自分に起きる反応に、辛そうな表情を向ける。

「…大丈夫だ。
俺も餓鬼の頃は男にされた。
けど…それより挿入で得られる快感が勝れば、直忘れる…」

けれどミラーシェンはギュンターを見つめ続け、震えた声で告げる。
「…でも…。
忘れ…られなかった…ら?」
「好きなら、恥じる事は無い」

ミラーシェンはとうとう叫んだ。
「こんな場所に男が欲しいなど!!!
恥ずべき男が抱く欲望です!!!」

ギュンターは頷く。
「俺の…知ってる相手もずっとそう告げていた。
部下達に女々しいと軽蔑されると。
だがそれでも自分が、それが好きなら。
睨めつけ返せ。
私事だと。
文句を付けるなと。
だが…弄られてただ習慣で欲しいだけなら。
衝動が収まれば、暫くすると落ち着く」

ミラーシェンは…そんな自分を恥じ入り、生きる事すら拒絶しようとまで…思い詰めていたけれど…。
ギュンターにそう言われ、不思議なほど自分が落ち着いて来てるのに、気づく。

「大変だが…最初の男になれ。
軽蔑されようが、自分を貫き通せ」

けれどその時、脳裏に突然
“聞こえた?
テリュス。
君も髭なんか無くても、一人前の男でとても有能だと、シュテフザイン森と花の王国の男らを睨めつけ返し、名を轟かせたら?”
とエウロペの声が聞こえた。
次にエディエルゼが
“君がそうなれば!!!
私が何としても擁護する!!!
絶対見捨てない!!!”
と叫ぶ声が聞こえ、ギュンターは思わず脳裏で
“…なんで口に出して言ってる言葉に、心話で反応がある?”
と呟いた。

“今の、僕じゃない!”
とシュアンが言い、直ぐエドウィンが
“私的に聞こえたのに…みんなに聞かせたの、君じゃ無いか!”
と言い返し、とうとうローフィスに
“お前ら、幾ら意識辿れるからって盗み聞きし、全員に聞かせるな!”
と怒られた。

“ごめんなさい…”
エドウィンが素直に謝り、シュアンに
“どーして、ダメなの?”
と聞かれ、皆は困惑しまくる。

ギュンターはとうとうため息交じりに
“プライベート…って、分かるか?シュアン”
と聞き、シュアンに明るく
“分かんない!”
と言い返され、それを聞いた全員が、ため息吐いた。

“そこからですか…説明しなくちゃいけないの”
ロットバルトの呻き声が聞こえ、テリュスの
“大体、チラと思った事が全部言葉で脳裏に響く。
なんて異常事態が…マズすぎ”
と言い返し、ローフィスが
“シュアンに改めるよう、言ってくれないか?”
とエドウィンとラフィーレに要請したものの。
困惑した二人から、暫く返答は聞こえなかった。

間が開いた後、ラフィーレから
“僕らじゃ無理だから。
西の聖地のダンザイン様にお願いしてみます”
と返事が聞こえる。

ギュンターが
“俺、今大事なところなんだけど…”
と言いかけた途端、ミラーシェンが心話で
“兄様…ありがとう…!”
と感激で泣き出しそうな声が心話で聞こえ、ギュンターは押し黙る。

“…いい事も…あるみたいで、複雑ですね…”
ラステルの、ため息交じりの囁きが脳裏で響くと。

皆、無言で頷いた。
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