森と花の国の王子

あーす。

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ゾーデドーロ(東の最果て)

敵の突入で逃げ出す一行

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 デルデロッテはじりじりして鉄格子と床の間に、オーガスタスが指を滑り込ませるのを待った。

ラステルはとうとうため息吐き、書状に王印を押すと、ノルデュラス公爵に手渡す。
公爵は片手で受け取ると書状に目を通し、エルデリオンの背後から立ち上がった。

ラステルは直ぐ、エルデリオンに駆け寄る。
「…本当に…立てないんです?」
問われてエルデリオンは真っ赤になり、困り切ってノルデュラス公爵を見上げる。

「ああ…紐、まだ入ったままでしたね…」

ラステルは直ぐ気づき、エルデリオンの半勃ちの一物の先端に、紐が挿入されてるのをため息交じりに見つめた。

「…リング四つも付けて。
更に紐まで、通したんですか?」

デルデロッテが派手に髪を散らし、顔を上げてエルデリオンに視線を振る。
デルデから力が抜けて指を挟みそうになり、オーガスタスは眉寄せて一気に両手入れ、鉄格子が床に落ちるのを防いだ。

ラステルがそれを見て目を見開くので、デルデは気づき、いっそう鉄格子を力込めて持ち上げる。

ラステルはエルデリオンの紐に手を伸ばしながら、公爵に交渉した。
「鉄格子、上げて貰えません?」

公爵はシャツを羽織りながら振り向き、にっこり微笑むと言い放った。
「私が衣服を着けて武装してから」

ラステルは顔を俯けて頷く。
「…当然の、ご判断です」

けどその時。
バッタン!!!
と凄い音と共に扉が開く。

「…ラウール…」
銀髪巻き毛の美青年が、腕に真っ直ぐの銀髪の、雪のように色白な美少年を抱いて背後を伺いながら、室内に飛び込むのを見、公爵が名を呼ぶ。

「…ミラーシェンまで…連れて来ちゃったの?」
公爵に問われた、ラウールと呼ばれた銀髪巻き毛の美青年は、美少年をラステルに投げざま剣を抜き、扉に振り向いて構え、叫ぶ。
紅蜥蜴ラ・ベッタにバレた!!!
ファントール大公は紅蜥蜴ラ・ベッタに命じ、何としてもシャーレを取り戻せと依頼し、今奴らの殆どが城へ向かってる!!!
ファントール大公の根城では性奴隷達が掻き集められ、逃げ出さないよう閉じ込められ始め…私も閉じ込められかけたので、彼を人質に逃げるしか無かった!!!」

「向かってる城って…シャスレ城?」
ラステルの問いに、ラウールは頷く。

間もなく開いた扉から黒装束の男が三人、飛び込んで来る。
二人がラウールに剣を向けるのを見て、ラステルは美少年をエルデリオンに投げると、懐に手をやり、内の一人に短剣を飛ばした。

しゅっ!!!
「がっ!!!」

男は喉に喰らい、血を吹き出して仰け反る。
残り一人が剣を向けて突進して来、ラステルは一気に顔を背けて避けた所に、扉から続々敵が押し寄せ始めるのを見る。

デルデロッテが鉄格子の中、とうとう公爵に歯を剥く。
「とっとと鉄格子を上げろ!!!」

が、オーガスタスがその時、室内に響き渡る大声で吠えた。

「避けろ!!!」

ラステルは直ぐ、ちょい前のラウールの背の衣服を掴むと、黒装束の剣を避けながら後ろに思い切り引く。

ガガガガガガカンッ!!!

凄まじい音を立て、四角柱の重い鉄格子は争っていた場所へと倒れ込み、ラステルとラウールに剣を向けていた黒装束とそれに三名の室内に飛び込んで来た黒装束の男が、重くデカイ鉄格子の下敷きになり、呻いた。

鉄格子をひっくり返したオーガスタスの髪は真っ赤に光り、瞳は黄金にキラリと光り、まるで野生の牙剥く獅子のよう。

その迫力に、デルデロッテですら一瞬唾を飲み込み、呆けて見つめた。

後続で室内に入ってきた黒装束達は、大きな鉄格子が入り口を塞ぎ、仲間達が下で呻く姿を見
「退けるぞ!!!」
と一人が叫び、五人ほどが屈んで鉄格子を掴み、顔を真っ赤にして持ち上げ始める。

公爵は衣服を着終わり、腰に剣を下げてラウールを抱き込んで寝台の横に倒れてる、ラステルに尋ねる。
「…彼も、アースルーリンドの能力者?」

けれど鉄格子から解き放たれ、突進するデルデロッテに胸ぐら掴まれ、背後に倒れそうになるのを踏み留まる。
「貴様よくも!!!」

デルデロッテに喉を締め上げられながらも、公爵は寝台の上で美少年の背を支え、立てないエルデリオンに視線を振る。
「…は…やくエルデリオンの尿道の紐を取らない…と…。
彼また興奮してきて、イきたくって…泣く…と思う…けど」

デルデロッテは寝台に腰下ろしたまま、力の抜けきったエルデリオンに振り向く。
オーガスタスは五人がかりで持ち上がげかけた鉄格子が揺れる度、下敷きの男らが痛みに呻きまくるのを見、尋ねる。

「他の出口は?」

公爵はデルデロッテがエルデリオンに屈み込むのを見、赤毛のデカい獅子に頷く。
「当然、ある」

公爵は、倒れ込んだラウールが起き上がり、下敷きになったラステルが身を起こしかけるのを見、首を振る。

「その美少年はエシェフガラン雪の勇者の国の第二王子、ミラーシェン。
彼を取り戻すため侵入した第一王子を、私が匿ってるから。
まずはその場へ」

ラステルが起き上がる前に、ラウールがエシェフガラン雪の勇者の国の第二王子を抱き上げる。
緑と黄色の薄衣付けた殆ど裸の王子は、ぐったりしていて正体無く呆けていた。

ラステルはそれを見た後、デルデロッテがエルデリオンの一物の紐を引き出そうとするのを見、慌てて叫んだ。
「リング外すのが先!!!」

デルデロッテは気づくと、しぶしぶリングの縁に手をかける。
エルデリオンは両手が自由になっても外せなかったリングが、デルデロッテの手でぱちん。ぱちん。
と次々に外されていくのを見つめ、目を見開く。

「…どうしてそんなに簡単に外せるの?」
デルデロッテは艶を纏いきったエルデリオンに顔を上げ、厳しい顔付きで告げる。
「ちゃんとコツがある!!!」

ぱちん。
四つのリングが外れ、デルデロッテは出来るだけそっと。
尿道に通された紐を引き抜いた。
途端、エルデリオンはデルデロッテに抱きつく。
「…まだだエルデリオン!
胸を見せて」

エルデリオンは暫くデルデロッテにしがみついていたけれど、腕を放して胸を見せる。
デルデロッテは乳首のリングも、さっさと外す。
そして顔を傾け、乳首を口に含む。

「…ぃやっ!デルデダメっ!!!」
エルデリオンは感じて仰け反ったけど。
横にやって来たオーガスタスに
「傷口の消毒だ。
感じても暫し耐えろ!!!」
と吠えられ、エルデリオンはもう片方のリングを外された乳首をデルデロッテに舐められても、デルデの脇の衣服を握り込み、耐えた。

オーガスタスは、入り口を塞ぐ鉄格子が揺れまくる度。
下敷きになった男達が派手な呻き声を上げるのを聞きながら、寝台からその向うの扉へと歩き出す公爵の後を、素早く追う。

ラウールが第二王子を抱き上げ、その後に続き、ラステルはデルデロッテがエルデリオンを抱き上げるのを待って、最後尾を護りながら駆け始めるデルデロッテの背を守った。

ダガガガガガンッ!!!

鉄格子が派手な大音響を上げ、下敷きにされた男らの上から退けられた時。
最後尾のラステルは扉を閉め、公爵の秘密の通路内を駆け出した。

先頭の公爵は、石作りで声の響く通路の先頭で叫ぶ。
「扉は閉めたら自動で鍵が下りるから!!!」

ラステルは安心し、後ろを気にすること無く長身のデルデロッテの、背を追った。
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