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記憶を取り戻したレジィ
取り乱すレジィに慌てるロットバルトとテリュス
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主寝室でぐっすり眠っていた、テリュス、レジィ、ロットバルトだったけど…。
朝方、レジィが呻くのを、ロットバルトもテリュスも聞いた。
呻き声はだんだん大きくなる。
「嫌!!!
嫌っ!
…止めて…お願い許して…」
その後、すすり泣きが聞こえたかと思うと、今度はありったけの声で叫んだ。
「いやーーーーーーーっ!!!」
ロットバルトがびくん!と大きく身を震わせた後、がばっ!と飛び起きる。
「…離して!!!
抜いて!
口から…抜いて!!!
助けて!!!
誰か助けて!!!」
その瞬間、ロットバルトはレジィに向き直ると抱きしめた。
テリュスが身を起こし、背後のレジィに振り向く。
ロットバルトがしっか!とレジィの震える体を抱きしめて囁く。
「…助けに来た!
大丈夫。
もう大丈夫だから…。
君を捕まえてる男達は私が追っ払った。
ほら見てごらん?
もう…いない………」
レジィリアンスは抱きしめてくれる温もりと…その温かい言葉に、目を開く。
そしてロットバルトを見ると、大きな体に縋り付くように抱きついた。
「…どうして目を覚ましたら…あんな奴らがいるの…?
どうして…エルデリオンみたいな酷いことするの?!
どうしてエルデリオンは…僕にあんなことしたの?!!!!」
叫んで…ロットバルトの腕に顔を伏せ、身を震わせるから…。
ロットバルトは温かい言葉で囁く。
「…エルデリオンは後悔してる…。
自分の気持ちで精一杯で…君の気持ちを考えなかったと………」
それを聞いた途端、レジィは顔を上げる。
「…ロットバルト…さん…」
ロットバルトは微笑んで尋ねる。
「思い出した?」
レジィはこくん。と頷く。
「…エルデリオン…あの後…僕に謝った…」
ロットバルトは微笑んで頷く。
「…僕…王様と王妃様に会った。
それで…オレシニォンに泊まって…」
テリュスは振り向いたまま、じっ…とレジィの様子を見る。
ロットバルトは大きな体で小さなレジィを腕に包みながら、レジィの話を聞いていた。
とても…優しい表情で。
「それ…で…。
庭で…貴族の青年達と会って、王妃様の舞踏会で踊った………。
その時、エルデリオン…優しかった」
ロットバルトは激しく震えていたレジィの体の、震えが止まるのを感じた。
レジィは記憶を辿るように、言葉を紡ぎ出し続ける。
「…エウロペもテリュスもエリューンも一緒で…。
王妃の侍女達にも会った…。
凄い美人ばっかの…」
そう言って、レジィはロットバルトを見上げた。
ロットバルトは微笑んで、“聞いているよ”と頷いた。
レジィは安心したように…また頭に浮かぶ記憶を言葉にする。
「それで…それで僕…なんか体が変で…。
エルデリオンに相手して貰った。
エウロペがすごく怒って…。
ラステルに。
でも僕…どうしてもラステルの事、嫌いになれない。
それ…ダメ?
エウロペは、僕のために怒ったのに。
肝心の僕が、ラステルの事怒れない………」
テリュスは口を開こうとした。
が、ロットバルトは頷くだけで、まるで口を開かないのを見、口を閉じる。
レジィはまた顔を下げて…記憶を辿るように呟く。
「それで…それで…闘技場に行った!」
ロットバルトはレジィに見上げられ、優しく頷く。
「…剣を振ってるエルデリオンもデルデロッテもが…凄く…格好良かった………。
エウロペがいつも言ってた。
満足に一所にいられないから…ちっとも僕の剣のお稽古、出来ないって…。
それに年頃だから…そろそろ花嫁を楽しくさせる方法も、学ばないと…って………」
言った後、レジィは顔をうんと下げる。
「…僕…には何も言わなかったけど…。
エウロペが頑張ってる事は、分かった。
行く先々に、エウロペの大人の部下が来て…いつもこっそり話してる…。
そしたら…しばらくして、城に戻れるようになったの。
きっとエウロペが…うんと頑張ったんだと思う。
それで…ぞれで僕、たまにほんの少ししかお会いできなかった、母様に会った!
父様にも………!
二人とも、ぎゅって抱きしめてくれて、僕にごめんなさいって…。
父様は自分の力が充分じゃ無くて、ずっと城に僕が居られなくなって、てすまないって…。
でもそんな事、僕どうでも良かった!
エウロペとテリュスとエリューンが居てくれたから、全然大丈夫だよって…僕…言って…。
剣のお稽古を始めた。
大人の講師を付けてくれて…。
エウロペは、花嫁を喜ばせる方法を教えてくれる講師も、今探していますからって…。
そしたら…僕が花嫁になってた。
いつの間にか。
エルデリオンの!」
叫んだレジィは、俯いて震えていて。
テリュスはロットバルトの、悼むような表情を見た。
「父様…戸板に乗って、傷付いてるのに…また“すまない”…って。
全然すまなくないのに!
父様が傷付いてるのに!
僕…城を出るの、悲しかった…。
やっと、戻れたのに…。
エウロペが僕のために、うんと頑張ってくれたのに…!
やっと…やっと朝起きて、父様と母様に“おはよう”が言えるようになったのに…!
凄く凄く、悲しかった…。
どうして花嫁になったら、城から出なきゃ行けないのか。
僕、どうしても分からなかった…。
けど…エウロペとテリュスとエリューンが…また一緒に付いて来てくれる!
三人が居れば…怖くないけど…。
でも…どうしても、悲しかった…」
テリュスはロットバルトが。
傷付いた小さな子供を抱きしめるように。
レジィをぎゅっ!と抱きしめるのを見た。
朝方、レジィが呻くのを、ロットバルトもテリュスも聞いた。
呻き声はだんだん大きくなる。
「嫌!!!
嫌っ!
…止めて…お願い許して…」
その後、すすり泣きが聞こえたかと思うと、今度はありったけの声で叫んだ。
「いやーーーーーーーっ!!!」
ロットバルトがびくん!と大きく身を震わせた後、がばっ!と飛び起きる。
「…離して!!!
抜いて!
口から…抜いて!!!
助けて!!!
誰か助けて!!!」
その瞬間、ロットバルトはレジィに向き直ると抱きしめた。
テリュスが身を起こし、背後のレジィに振り向く。
ロットバルトがしっか!とレジィの震える体を抱きしめて囁く。
「…助けに来た!
大丈夫。
もう大丈夫だから…。
君を捕まえてる男達は私が追っ払った。
ほら見てごらん?
もう…いない………」
レジィリアンスは抱きしめてくれる温もりと…その温かい言葉に、目を開く。
そしてロットバルトを見ると、大きな体に縋り付くように抱きついた。
「…どうして目を覚ましたら…あんな奴らがいるの…?
どうして…エルデリオンみたいな酷いことするの?!
どうしてエルデリオンは…僕にあんなことしたの?!!!!」
叫んで…ロットバルトの腕に顔を伏せ、身を震わせるから…。
ロットバルトは温かい言葉で囁く。
「…エルデリオンは後悔してる…。
自分の気持ちで精一杯で…君の気持ちを考えなかったと………」
それを聞いた途端、レジィは顔を上げる。
「…ロットバルト…さん…」
ロットバルトは微笑んで尋ねる。
「思い出した?」
レジィはこくん。と頷く。
「…エルデリオン…あの後…僕に謝った…」
ロットバルトは微笑んで頷く。
「…僕…王様と王妃様に会った。
それで…オレシニォンに泊まって…」
テリュスは振り向いたまま、じっ…とレジィの様子を見る。
ロットバルトは大きな体で小さなレジィを腕に包みながら、レジィの話を聞いていた。
とても…優しい表情で。
「それ…で…。
庭で…貴族の青年達と会って、王妃様の舞踏会で踊った………。
その時、エルデリオン…優しかった」
ロットバルトは激しく震えていたレジィの体の、震えが止まるのを感じた。
レジィは記憶を辿るように、言葉を紡ぎ出し続ける。
「…エウロペもテリュスもエリューンも一緒で…。
王妃の侍女達にも会った…。
凄い美人ばっかの…」
そう言って、レジィはロットバルトを見上げた。
ロットバルトは微笑んで、“聞いているよ”と頷いた。
レジィは安心したように…また頭に浮かぶ記憶を言葉にする。
「それで…それで僕…なんか体が変で…。
エルデリオンに相手して貰った。
エウロペがすごく怒って…。
ラステルに。
でも僕…どうしてもラステルの事、嫌いになれない。
それ…ダメ?
エウロペは、僕のために怒ったのに。
肝心の僕が、ラステルの事怒れない………」
テリュスは口を開こうとした。
が、ロットバルトは頷くだけで、まるで口を開かないのを見、口を閉じる。
レジィはまた顔を下げて…記憶を辿るように呟く。
「それで…それで…闘技場に行った!」
ロットバルトはレジィに見上げられ、優しく頷く。
「…剣を振ってるエルデリオンもデルデロッテもが…凄く…格好良かった………。
エウロペがいつも言ってた。
満足に一所にいられないから…ちっとも僕の剣のお稽古、出来ないって…。
それに年頃だから…そろそろ花嫁を楽しくさせる方法も、学ばないと…って………」
言った後、レジィは顔をうんと下げる。
「…僕…には何も言わなかったけど…。
エウロペが頑張ってる事は、分かった。
行く先々に、エウロペの大人の部下が来て…いつもこっそり話してる…。
そしたら…しばらくして、城に戻れるようになったの。
きっとエウロペが…うんと頑張ったんだと思う。
それで…ぞれで僕、たまにほんの少ししかお会いできなかった、母様に会った!
父様にも………!
二人とも、ぎゅって抱きしめてくれて、僕にごめんなさいって…。
父様は自分の力が充分じゃ無くて、ずっと城に僕が居られなくなって、てすまないって…。
でもそんな事、僕どうでも良かった!
エウロペとテリュスとエリューンが居てくれたから、全然大丈夫だよって…僕…言って…。
剣のお稽古を始めた。
大人の講師を付けてくれて…。
エウロペは、花嫁を喜ばせる方法を教えてくれる講師も、今探していますからって…。
そしたら…僕が花嫁になってた。
いつの間にか。
エルデリオンの!」
叫んだレジィは、俯いて震えていて。
テリュスはロットバルトの、悼むような表情を見た。
「父様…戸板に乗って、傷付いてるのに…また“すまない”…って。
全然すまなくないのに!
父様が傷付いてるのに!
僕…城を出るの、悲しかった…。
やっと、戻れたのに…。
エウロペが僕のために、うんと頑張ってくれたのに…!
やっと…やっと朝起きて、父様と母様に“おはよう”が言えるようになったのに…!
凄く凄く、悲しかった…。
どうして花嫁になったら、城から出なきゃ行けないのか。
僕、どうしても分からなかった…。
けど…エウロペとテリュスとエリューンが…また一緒に付いて来てくれる!
三人が居れば…怖くないけど…。
でも…どうしても、悲しかった…」
テリュスはロットバルトが。
傷付いた小さな子供を抱きしめるように。
レジィをぎゅっ!と抱きしめるのを見た。
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