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記憶を無くしたレジィリアンス
選択肢の無い決断
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その後ラステルは、侯爵を見た後、デルデロッテを見る。
「…身長は違いますが…。
レジィ殿はずっと、寝台で横になってたんですよね?
なら誤魔化せる」
エウロペはそれを聞いて、またかっかしていた。
「まあ…顔をしっかり覚えられてたらダメですけど。
意識錯乱か混濁状態ですから。
誤魔化せる、範囲ですね。
問題は、体付きです。
抱いたんですよね?
顔より体の方を、しっかり覚えてるかも」
言って、ラステルはまだ床に転がってる侯爵の、衣服を乱暴に剥ぎ取り始めた。
侯爵は焦りまくって叫ぶ。
「な・な・な・な・な・なんで脱がす!!!」
シャツのリボンをほどき、肩と胸を露わにする。
ラステルは目を見開くと、呟いた。
「…もっとたるんでると思ったが…意外に、締まってますね」
侯爵は自分に屈むラステルを見上げ、怒鳴りつけた。
「抱き上げたまま、挿入して歩くなんてワザは!
筋肉が必要だから、私だってそれ用に、鍛えてるんだ!」
が、言った後エウロペを盗み見ると
「…だが、殴り合いとか斬り合い用には、鍛えてないから…」
そう、小声で囁く。
けれどラステルは、エリューンとテリュスに振り向くと、頷く。
エリューンとテリュスは気づき、真ん中のデルデロッテに向き直ると、上着に手をかけボタンを外し始める。
ので、デルデロッテは怒鳴った。
「自分で出来る!!!」
デルデロッテが上着を脱ぎ、シャツのボタンを外し、肩と胸を曝すと。
エリューンがため息吐いた。
見事に引き締まり、均整が取れて男らしいだけで無く、美しくすらあった。
テリュスも目を見開いて、囁く。
「顔は美麗で、この体って…。
どんな女も、見た途端蕩けて、虜になりそう」
エリューンも、頷いて言った。
「無敵ですね」
それを聞いた侯爵が、やっとデルデロッテに視線を送る。
「…もしかして…オーデ・フォール宮廷一の美男で…。
モテ男と名高い…デロ…。
デラ…?」
ラステルは頷く。
「多分、その男です」
侯爵は笑う。
「一度、しっかり見てみたいと思ってた。
舞踏会ではいつも遠目で。
しかも婦人が群がってて、よく見えなかったから。
…なんだ、思ったより…大した事無いな。
…彼になら、私でも勝てそう…」
テリュスは侯爵の見解に、びっくりして思わず叫ぶ。
「…どこをどう見て、勝てるんだ?!
アンタが勝ってるとこ、一っつもナイじゃ無いか!!!」
ラステルが振り向く。
「彼の目は特殊で。
自分は誰より、美麗で美男に見えてるんですよ」
エリューンも頷く。
「目が汚れてるから。
…いや、視界が歪んでるのかな?」
デルデロッテは頷く。
「自分の都合でしか、見えてないから。
多分私達とは、うんと違って見えてるに違いない」
テリュスはため息吐く。
「俺、思ったんだけど。
デルデさんってさ、これだけいい男で、床上手なんだろ?
逆にレジィが、マジで彼に惚れ込まないか、かなり心配だ」
ラステルも言った。
「実は私も、それが一番心配です」
エウロペに振り向くと
「ホントにデルデを宛がって、そのリスクを冒します?」
と真顔で尋ねた。
エウロペは肩と胸を堂としてさらしてる、デルデロッテを見。
とっても気が進まなそうながらも、頷いた。
「…他に選択肢が無い」
床に座ってた侯爵が、顔上げて囁く。
「ああ、あのお綺麗可愛いコちゃん?
まだ媚薬が残ってるんだよね?
私が幾らでも…」
ガッ!!!
「ぅがっ!!!」
エウロペが、見もせずに蹴りつけ、侯爵は左の二の腕を抑え込んで、エウロペを見上げた後。
床をお尻で擦って、エウロペから距離を取った。
「…惚れ込まれずに…レジィの相手、出来る?」
エウロペに問われ、デルデロッテはシャツを肩に引き上げながら、ぼやく。
「惚れ込むのは相手の勝手。
…って言うのが、通常の私の認識ですが…。
初心者用対応は、心がけます」
侯爵はうんとエウロペから、床をお尻で擦って遠ざかると、言い返す。
「…けどかなり刺激したし。
挿入されて突かれるのが、大好きみたいだったし。
乳首の感度、めちゃいいし」
エウロペが、振り向いて睨み付ける。
デルデロッテも袖のシャツのボタン止めながら、忠告する。
「…侯爵。
そういうのは、私が触診すれば全部解明出来ますから。
喋るんなら、レジィを手に入れた経緯を話されては?」
ラステルも頷く。
「もっと痣を増やしたいんなら、続けて頂いても構いませんけどね」
侯爵は俯く。
「この美しい私が痣だらけだなんて…。
私に蕩けてる美少年美少女、それに美青年や美女も、泣く」
室内の全員が、白けきって侯爵を冷たい視線で見つめていても、侯爵は気づかず喋り続ける。
「アルトバルデ公に頼めば、質の良い性奴隷を買えると聞いたし。
私も最近だけど、公の隠しパーティーに顔出してるし。
ああ、知ってるよね。
公が秘密結社から買った、極上の性奴隷を楽しむ闇のパーティ。
…とにかく、エロいのなんのって。
私はお金持ちなんで、多額の寄付をしたから。
優先的に市場に出る前の、極上品を吟味する資格を得て…。
たまたま昨夜、公を訪問していたので。
この話が来たんだ。
見たら、ヨダレたらしそうな超極上品だったんで。
かなりの大金はたいたよ」
エウロペは、ラステルを見た。
「安物のマズイお茶に、何か入れた?」
「テリッタ(自白剤)をかなり」
ラステルに笑顔で告げられ、エウロペは顔を背けた。
「君からのご馳走、今度から毎度疑いそうだ」
「国賓に薬は盛りませんよ。
せいぜいが、薬香程度です」
エウロペが睨むと、ラステルも言い返す。
「けど貴方だって。
今まで幾度も、薬を盛ってませんか?」
エウロペは言い返した。
「私は、盛る相手を選ぶ」
「選ばれた相手の中に、私も入っていそうじゃ無いですか?」
「…今現在、かなりもの凄く、迷ってる」
「…………………………………」
テリュスとエリューン、デルデロッテは、海千山千の詐欺師のような二人の言い合いに、ただ沈黙し、心から“関わりたくない”と思った。
「…身長は違いますが…。
レジィ殿はずっと、寝台で横になってたんですよね?
なら誤魔化せる」
エウロペはそれを聞いて、またかっかしていた。
「まあ…顔をしっかり覚えられてたらダメですけど。
意識錯乱か混濁状態ですから。
誤魔化せる、範囲ですね。
問題は、体付きです。
抱いたんですよね?
顔より体の方を、しっかり覚えてるかも」
言って、ラステルはまだ床に転がってる侯爵の、衣服を乱暴に剥ぎ取り始めた。
侯爵は焦りまくって叫ぶ。
「な・な・な・な・な・なんで脱がす!!!」
シャツのリボンをほどき、肩と胸を露わにする。
ラステルは目を見開くと、呟いた。
「…もっとたるんでると思ったが…意外に、締まってますね」
侯爵は自分に屈むラステルを見上げ、怒鳴りつけた。
「抱き上げたまま、挿入して歩くなんてワザは!
筋肉が必要だから、私だってそれ用に、鍛えてるんだ!」
が、言った後エウロペを盗み見ると
「…だが、殴り合いとか斬り合い用には、鍛えてないから…」
そう、小声で囁く。
けれどラステルは、エリューンとテリュスに振り向くと、頷く。
エリューンとテリュスは気づき、真ん中のデルデロッテに向き直ると、上着に手をかけボタンを外し始める。
ので、デルデロッテは怒鳴った。
「自分で出来る!!!」
デルデロッテが上着を脱ぎ、シャツのボタンを外し、肩と胸を曝すと。
エリューンがため息吐いた。
見事に引き締まり、均整が取れて男らしいだけで無く、美しくすらあった。
テリュスも目を見開いて、囁く。
「顔は美麗で、この体って…。
どんな女も、見た途端蕩けて、虜になりそう」
エリューンも、頷いて言った。
「無敵ですね」
それを聞いた侯爵が、やっとデルデロッテに視線を送る。
「…もしかして…オーデ・フォール宮廷一の美男で…。
モテ男と名高い…デロ…。
デラ…?」
ラステルは頷く。
「多分、その男です」
侯爵は笑う。
「一度、しっかり見てみたいと思ってた。
舞踏会ではいつも遠目で。
しかも婦人が群がってて、よく見えなかったから。
…なんだ、思ったより…大した事無いな。
…彼になら、私でも勝てそう…」
テリュスは侯爵の見解に、びっくりして思わず叫ぶ。
「…どこをどう見て、勝てるんだ?!
アンタが勝ってるとこ、一っつもナイじゃ無いか!!!」
ラステルが振り向く。
「彼の目は特殊で。
自分は誰より、美麗で美男に見えてるんですよ」
エリューンも頷く。
「目が汚れてるから。
…いや、視界が歪んでるのかな?」
デルデロッテは頷く。
「自分の都合でしか、見えてないから。
多分私達とは、うんと違って見えてるに違いない」
テリュスはため息吐く。
「俺、思ったんだけど。
デルデさんってさ、これだけいい男で、床上手なんだろ?
逆にレジィが、マジで彼に惚れ込まないか、かなり心配だ」
ラステルも言った。
「実は私も、それが一番心配です」
エウロペに振り向くと
「ホントにデルデを宛がって、そのリスクを冒します?」
と真顔で尋ねた。
エウロペは肩と胸を堂としてさらしてる、デルデロッテを見。
とっても気が進まなそうながらも、頷いた。
「…他に選択肢が無い」
床に座ってた侯爵が、顔上げて囁く。
「ああ、あのお綺麗可愛いコちゃん?
まだ媚薬が残ってるんだよね?
私が幾らでも…」
ガッ!!!
「ぅがっ!!!」
エウロペが、見もせずに蹴りつけ、侯爵は左の二の腕を抑え込んで、エウロペを見上げた後。
床をお尻で擦って、エウロペから距離を取った。
「…惚れ込まれずに…レジィの相手、出来る?」
エウロペに問われ、デルデロッテはシャツを肩に引き上げながら、ぼやく。
「惚れ込むのは相手の勝手。
…って言うのが、通常の私の認識ですが…。
初心者用対応は、心がけます」
侯爵はうんとエウロペから、床をお尻で擦って遠ざかると、言い返す。
「…けどかなり刺激したし。
挿入されて突かれるのが、大好きみたいだったし。
乳首の感度、めちゃいいし」
エウロペが、振り向いて睨み付ける。
デルデロッテも袖のシャツのボタン止めながら、忠告する。
「…侯爵。
そういうのは、私が触診すれば全部解明出来ますから。
喋るんなら、レジィを手に入れた経緯を話されては?」
ラステルも頷く。
「もっと痣を増やしたいんなら、続けて頂いても構いませんけどね」
侯爵は俯く。
「この美しい私が痣だらけだなんて…。
私に蕩けてる美少年美少女、それに美青年や美女も、泣く」
室内の全員が、白けきって侯爵を冷たい視線で見つめていても、侯爵は気づかず喋り続ける。
「アルトバルデ公に頼めば、質の良い性奴隷を買えると聞いたし。
私も最近だけど、公の隠しパーティーに顔出してるし。
ああ、知ってるよね。
公が秘密結社から買った、極上の性奴隷を楽しむ闇のパーティ。
…とにかく、エロいのなんのって。
私はお金持ちなんで、多額の寄付をしたから。
優先的に市場に出る前の、極上品を吟味する資格を得て…。
たまたま昨夜、公を訪問していたので。
この話が来たんだ。
見たら、ヨダレたらしそうな超極上品だったんで。
かなりの大金はたいたよ」
エウロペは、ラステルを見た。
「安物のマズイお茶に、何か入れた?」
「テリッタ(自白剤)をかなり」
ラステルに笑顔で告げられ、エウロペは顔を背けた。
「君からのご馳走、今度から毎度疑いそうだ」
「国賓に薬は盛りませんよ。
せいぜいが、薬香程度です」
エウロペが睨むと、ラステルも言い返す。
「けど貴方だって。
今まで幾度も、薬を盛ってませんか?」
エウロペは言い返した。
「私は、盛る相手を選ぶ」
「選ばれた相手の中に、私も入っていそうじゃ無いですか?」
「…今現在、かなりもの凄く、迷ってる」
「…………………………………」
テリュスとエリューン、デルデロッテは、海千山千の詐欺師のような二人の言い合いに、ただ沈黙し、心から“関わりたくない”と思った。
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