森と花の国の王子

あーす。

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記憶を無くしたレジィリアンス

念願の再会

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 室内の高窓から、陽が差し込む中。
四隅に飾り棒の付いた、寝台があり。
そこにレジィリアンスが。
両手首と足首を、四隅に括り付けられた、ロープで縛られたまま。
とても淫らな、黄色の透けた衣服を着けられ。
胸も股間も露わなまま、縛られていた。

エウロペは見るなり、侯爵の胸ぐらを乱暴に突き放し、床に投げ捨てると。
レジィリアンスに駆け寄る。

「…レジィ…レジィ!!!」

レジィリアンスはまだ、執拗に虐められた乳首がじんじんし、抱かれた余韻でぼーっとしていたけれど。
脳裏にくっきり浮かんだ人物が、間近に自分を見つめているのに、放心しながら囁く。

「…エウ…ロ…ペ?」

エウロペは微笑んだ。

「…やっと君を見つけた!」

レジィリアンスはけれど、エウロペを見つめたまま、小声で囁く。
「僕…のこと…。
ご存知ですか?
僕…記憶が無いらしくて…。
でも、貴方の顔を見たら…エウロペって…。
突然、浮かんで。
…貴方の…お名前?」

テリュスとエリューンも駆け寄って、レジィリアンスの手首と足首に巻き付く、ロープを外し始めていたけれど。
…その手をピタリと止めて、レジィに振り向く。

エウロペは即座に、床に投げ捨てた侯爵に振り向く。

侯爵は床に手を付き、喉をさすっていたけれど。
エウロペに振り向かれ、鋭い緑の瞳で睨めつけられ。
本気で、ビビッた。

熊に襲われるみたいに恐怖に駆られ、必死に逃げようとし始めたが。
直ぐウロペに再び胸ぐら掴まれ、立たされて青冷めた。

「…何をした!!!」

ラステル配下の一人は、仲間を呼びに階段を上がりかけ、もう一人は部屋の入り口で待機していたけれど。
…その凄まじい怒鳴り声に、揃って振り向く。

「わ、私じゃ無い!!!
売り渡した奴らだ!!!
薬を飲ませたらしくて…それ…で………。
頼…む、放し…て………」

首が絞まり始め、侯爵は必死に言い訳る。

エウロペは怒り心頭で、雷鳴のように怒鳴りつけた。

「縛ったのは、違うのか?!
着替えさせたのは?!
しかも、抱いたろう?!!!!」
「だ…っ…て、それが目当てで買…った…ん、だ………し………。
普通、抱くだろ………」

がっっっっっっっ!!!

「………………………」

侯爵は瞬間エウロペに胸ぐら放され、思いっきり股間を蹴り上げられて。
猛烈な痛みに声すら出せず、床に転がり悶絶した。

テリュスはレジィの手首をロープから外し、顔を覗いながら囁く。
「…レジィ、レジィ…。
俺の事、分かる?!」

レジィリアンスはテリュスを見つめ、微笑む。
「…なんか…すごく懐かしい気がする…」
けど言った後、気落ちしたように俯く。
「…でも名前…出てこない………」

エリューンは足に絡むロープを外した後、悲鳴のような声で叫ぶ。
「…どうして…記憶が無くなる?!」

レジィリアンスは足元の、エリューンを見る。
エリューンは泣きそうな…切なげな表情で、レジィリアンスを見た。
レジィも涙が滴りそうな表情で、エリューンを見た。

「…大…好き…」

エリューンはレジィの横に駆け寄ると…目を潤ませながら微笑み、頷いた。

エウロペはレジィリアンスに、再び近寄る。
テリュスが気づいて、横に避けてその場を開けた。

エウロペはエリューンの横に立つと、寝台に半身起こすレジィに向かい、手を持ち上げ、頬に手を当て、悲しげに眉を寄せた。

レジィリアンスはその人が。
悲しそうなのが辛くって…たどたどしく、自分の記憶について語った。

「あの…。
僕…が気づいた時、居た…男のひと…が。
凄く辛いことがあると、思い出したくなくて…記憶が無いって…。
僕…の事、知ってる人に返すって。
知ってる人と居たら、思い出すかもっ…て」

一人のラステル配下はやって来ると、エウロペの後ろからレジィリアンスを見つめ、囁く。
「…薬の併用で…一時的に記憶が途切れると言うか…無くなるのは、聞いた事があります」

エウロペも頷く。
「私も知ってるし、記憶が戻る薬草の調合も出来る。
が…。
本人が思い出したくない…忘れてしまいたい程の、辛い記憶があると…。
回復には…時間がかかる」

ラステル配下は頷く。
「…ともかく、ラステル様もエルデリオン王子も、こちらに向かっています。
レジィリアンス様が無事だと、直ぐにお知らせします」

「…着替えを頼めるか?」
エウロペの言葉に、ラステル配下は頷く。
「直ぐ近くに、王家のコテージもございます。
ラステル様に、使用を許可されていますから。
直ぐ、向かいましょう。
侯爵は逮捕、捕獲して連行します」

レジィは起き上がって、寝台の上に腰掛け、縛られた手首をさすり、前に立つテリュスとエリューンに、心配げに見つめられていた。

けれど前に立つテリュスとエリューンの隙間から。
ラステル配下に引き起こされる、コルテラフォール侯爵を見、立ち上がって駆け寄ろうとした。

「…僕の事…知ってる人!」

けれど寄ろうとするレジィを、エウロペは立ち塞がって止める。
目前を遮られ、レジィがエウロペを見上げる。
エウロペは優しい声音で、言って聞かせた。

「…君を拉致し…何も知らない君に酷い事を平気でした、人非人にんぴにんだ」

レジィリアンスはエウロペを見つめ続ける。
ふいに涙ぐむと、両手広げ…。
瞬間エウロペは屈むと、レジィリアンスの両腕を首に巻き付かせ、自分は彼の背を、抱き込んで抱きしめた。

レジィは涙ぐんで告げる。
「…覚えて…無い…けど、凄く会いたかった…!」

ラステル配下は侯爵を立たせながら。
感無量の表情の、エウロペを。
優しく微笑みながら、見守った。

「………酷いことを…された?
それを…思い出したくない?」

エウロペに抱きしめられ、問われてレジィははっ!と気づいて、懐かしい温もりに包まれたまま、小声で呟く。
「…え…っと…。
あの…一つ、凄く嫌で体が震えたこと、あった」

エウロペは、抱く腕を放し、レジィの顔を覗き込む。
「どんな、事?」

レジィは、まだ苦痛に顔を歪めながらラステル配下に腕を掴まれ、支えられてるコルテラフォール侯爵を見た。

「あの…人の…男の印、口に入れられそうになった時」

コルテラフォール侯爵は、瞬間ぎくっ!とし、振り向いてないのにエウロペの背から怒気と殺気を感じ、慌てて股間に両手を当て、大事な一物を護った。
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