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誘拐計画
巨大地下迷路
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やがてラステル配下の男に先導されたテリュスは、先を駆ける男が、二股の道を迷いもせず左へ走らせるのを見て、首捻る。
が、草の上に、緑に光る砂を見つけ、頷く。
左の道へ馬を走らせると、配下の男は馬を突然止めた。
テリュスも慌てて手綱引き、背後のエリューンに振り向く。
エリューンも直ぐ、手綱引いて馬を止めた。
テリュスは配下の男が、横穴へと消えて行くのを見つけ、後に続く。
エリューンも直ぐ、洞窟へと馬を乗り入れた。
「…良く、エウロペはここが分かったな…」
デルデロッテの呟きに、エリューンは低い声で囁く。
「エウロペは獲物を追う達人」
デルデロッテはその返答に、頷いた。
「…君らは、狩猟の民だったな」
エリューンは無言で、頷いた。
墓石を調べてるエウロペに習い、配下の男も馬を下りて、崩れた墓石を調べ始める。
が暫く後、エウロペの姿が消えてるのに気づく。
「エウロペ殿…!」
必死で暗がりの中、そこら中を見回す。
月明かりで照らされてる場所は、かなり明るかった。
が、影になる部分はまるで見えない。
「!」
墓石の横に、地下に続く穴を見つけ、配下は一瞬迷った。
が、ざざざざざっ!
この辺りに陣取ってる仲間が、いち早く徒歩で駆けつけて来る姿を見、怒鳴る。
「後から来る者に伝えろ!!!
地下通路の出入り口、全てを見張れと!!!
俺はエウロペ殿を追う!」
「しかと!」
返答を聞くなり、配下の男は地下通路に姿を消した。
けれど配下の男は、くり抜かれた土壁に蝋燭が灯る、地下の広い通路に出た途端、首を掻いた。
左右どちらに進めば良いのか。
もう、そこから分からなかった。
試しに屋敷があるだろう、左に進んでみる。
が、直ぐ道は枝分かれし、三つある道の、どれを進めば良いのか。
思案した。
普通は、靴音が響くはず。
が、エウロペは靴音を消して歩いてる。
配下はとりあえず、目印の赤土を投げると、元来た道を戻って行った。
男が地下道を出ると、地上ではシュテフザインの従者二人。
テリュスとエリューン。
そしてずぶ濡れの背の高い、デルデロッテの姿を見つけ、寄って行く。
皆、馬から降り、伝言頼んだ男に話を聞いていて、彼は皆の横に立つと
「エウロペ殿を、見失った。
俺まで迷いかねなくて、戻った」
と報告する。
仲間の男は、呆けて尋ねた。
「君が、追えないのか?」
配下は頷いた。
「靴音を消して行かれるので」
テリュスとエリューンは、顔を下げて互いの顔を見つめ、首を横に振った。
デルデロッテが、二人のラステル配下に尋ねる。
「そんな凄い、地下迷路なのか?」
二人は無言で頷いた。
その後、伝言を頼まれた男が告げる。
「ラステル様がこちらに向かってる。
仲間に今、地図をここに届けさせてる。
今の内に、休んで下さい」
が、テリュスは異論を唱えるように、いきり立って進み出る。
「レジィが!
掴まってる!!!」
けれど部下は、ため息交じりに囁く。
「…さらったのは、紅蜥蜴。
レジィリアンス殿に、命の危険は無い。
ともかく、分かってる出入り口の全てに、見張りを配備中。
その近くで、運び出しそうな気配があれば、我々が止める」
「…分かってない出入り口があれば?」
エリューンの疑問に、男は顔を上げた。
「よほど長い地下道が無い限り。
この一帯は、包囲し徹底検問するので、奴らは抜けられない」
男のその言葉でようやく。
テリュスとエリューンは、ほっとした。
デルデロッテは二人の配下に囁く。
「で、君達のどちらか。
布を持ってないか?
私のハンケチは…」
デルデロッテは濡れたポケットから、濡れたレースのハンケチを取り出し、見せる。
男二人は顔を見合わせた後、一人が囁く。
「着替えをお持ちします。
ここに基地を設置しますから。
椅子と飲み物、食べ物も直ぐ、ご用意しますので…」
もう一人が、ポケットから飾りの無いハンケチを取り出し、デルデロッテに手渡す。
デルデロッテは大して大きく無い布を見つめ、頷いた。
「…顔くらいは。
拭けそうだ」
やがてラステルが部下の一人を後ろに乗せ、ロットバルト駆る馬の背後に王子エルデリオンが乗り、三人がその姿を見せた時。
デルデロッテはこざっぱりした服に着替え、テリュスもエリューンも簡易椅子に腰掛け、お茶をすすっていて。
その横に大勢の部下らが詰め、数人がやって来ては、慌ただしく四方に駆け出して行った。
「…地下道に潜ったのか?!」
ラステルが駆け寄って叫ぶ。
集まって地図を眺めてる男らは口々に
「ここに出口が一つある!」
「そこ。
そこにもあるのを見た!」
と、喚きまくってた。
が、一斉に振り向くと、ラステルの問いに揃って頷いた。
が、草の上に、緑に光る砂を見つけ、頷く。
左の道へ馬を走らせると、配下の男は馬を突然止めた。
テリュスも慌てて手綱引き、背後のエリューンに振り向く。
エリューンも直ぐ、手綱引いて馬を止めた。
テリュスは配下の男が、横穴へと消えて行くのを見つけ、後に続く。
エリューンも直ぐ、洞窟へと馬を乗り入れた。
「…良く、エウロペはここが分かったな…」
デルデロッテの呟きに、エリューンは低い声で囁く。
「エウロペは獲物を追う達人」
デルデロッテはその返答に、頷いた。
「…君らは、狩猟の民だったな」
エリューンは無言で、頷いた。
墓石を調べてるエウロペに習い、配下の男も馬を下りて、崩れた墓石を調べ始める。
が暫く後、エウロペの姿が消えてるのに気づく。
「エウロペ殿…!」
必死で暗がりの中、そこら中を見回す。
月明かりで照らされてる場所は、かなり明るかった。
が、影になる部分はまるで見えない。
「!」
墓石の横に、地下に続く穴を見つけ、配下は一瞬迷った。
が、ざざざざざっ!
この辺りに陣取ってる仲間が、いち早く徒歩で駆けつけて来る姿を見、怒鳴る。
「後から来る者に伝えろ!!!
地下通路の出入り口、全てを見張れと!!!
俺はエウロペ殿を追う!」
「しかと!」
返答を聞くなり、配下の男は地下通路に姿を消した。
けれど配下の男は、くり抜かれた土壁に蝋燭が灯る、地下の広い通路に出た途端、首を掻いた。
左右どちらに進めば良いのか。
もう、そこから分からなかった。
試しに屋敷があるだろう、左に進んでみる。
が、直ぐ道は枝分かれし、三つある道の、どれを進めば良いのか。
思案した。
普通は、靴音が響くはず。
が、エウロペは靴音を消して歩いてる。
配下はとりあえず、目印の赤土を投げると、元来た道を戻って行った。
男が地下道を出ると、地上ではシュテフザインの従者二人。
テリュスとエリューン。
そしてずぶ濡れの背の高い、デルデロッテの姿を見つけ、寄って行く。
皆、馬から降り、伝言頼んだ男に話を聞いていて、彼は皆の横に立つと
「エウロペ殿を、見失った。
俺まで迷いかねなくて、戻った」
と報告する。
仲間の男は、呆けて尋ねた。
「君が、追えないのか?」
配下は頷いた。
「靴音を消して行かれるので」
テリュスとエリューンは、顔を下げて互いの顔を見つめ、首を横に振った。
デルデロッテが、二人のラステル配下に尋ねる。
「そんな凄い、地下迷路なのか?」
二人は無言で頷いた。
その後、伝言を頼まれた男が告げる。
「ラステル様がこちらに向かってる。
仲間に今、地図をここに届けさせてる。
今の内に、休んで下さい」
が、テリュスは異論を唱えるように、いきり立って進み出る。
「レジィが!
掴まってる!!!」
けれど部下は、ため息交じりに囁く。
「…さらったのは、紅蜥蜴。
レジィリアンス殿に、命の危険は無い。
ともかく、分かってる出入り口の全てに、見張りを配備中。
その近くで、運び出しそうな気配があれば、我々が止める」
「…分かってない出入り口があれば?」
エリューンの疑問に、男は顔を上げた。
「よほど長い地下道が無い限り。
この一帯は、包囲し徹底検問するので、奴らは抜けられない」
男のその言葉でようやく。
テリュスとエリューンは、ほっとした。
デルデロッテは二人の配下に囁く。
「で、君達のどちらか。
布を持ってないか?
私のハンケチは…」
デルデロッテは濡れたポケットから、濡れたレースのハンケチを取り出し、見せる。
男二人は顔を見合わせた後、一人が囁く。
「着替えをお持ちします。
ここに基地を設置しますから。
椅子と飲み物、食べ物も直ぐ、ご用意しますので…」
もう一人が、ポケットから飾りの無いハンケチを取り出し、デルデロッテに手渡す。
デルデロッテは大して大きく無い布を見つめ、頷いた。
「…顔くらいは。
拭けそうだ」
やがてラステルが部下の一人を後ろに乗せ、ロットバルト駆る馬の背後に王子エルデリオンが乗り、三人がその姿を見せた時。
デルデロッテはこざっぱりした服に着替え、テリュスもエリューンも簡易椅子に腰掛け、お茶をすすっていて。
その横に大勢の部下らが詰め、数人がやって来ては、慌ただしく四方に駆け出して行った。
「…地下道に潜ったのか?!」
ラステルが駆け寄って叫ぶ。
集まって地図を眺めてる男らは口々に
「ここに出口が一つある!」
「そこ。
そこにもあるのを見た!」
と、喚きまくってた。
が、一斉に振り向くと、ラステルの問いに揃って頷いた。
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