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誘拐計画
地下水路
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デルデロッテが、馬でエウロペの後を追う。
が、エウロペは厩を過ぎた頃、馬を下りて引き、庭園に続く道をゆっくり探るように左右を見ながら、歩き始めた。
デルデロッテも馬を止め、エルデリオンが先に降りると、自分も馬から降りて、引く。
エウロペは左右の分かれ道で、立ち止まる。
左が庭園へと続く道。
が、彼は右へと歩き始めた。
間もなく、エリューンが徒歩で追いつき、デルデロッテは横にやって来るエリューンに尋ねた。
「…どうしてエウロペ殿には、道が分かるのかな?」
長身のデルデロッテに問われ、エリューンは少し戸惑った後、囁く。
「…レジィに、特別な香りを付けているので。
強く香れば、私にも分かる。
けれどエウロペは、微かな香りでも嗅ぎ分けられるから」
デルデロッテの反対横にいたエルデリオンは、それを聞いて感心した。
けれど思い返すと。
レジィリアンスを腕に抱く時いつも。
華やかな、甘い花の香りがしていた。
突然、エルデリオンは彼を抱いた後。
自分にもその香りが移り、抱いた事が直ぐエウロペにバレてないか?
と青冷めた。
エウロペは少し進むと、石の建物沿いに右に進む。
そして蓋のような板を見つけ、持ち上げた。
エルデリオンとデルデロッテは、少年の頃良く城の探検をしていたので、はっ!と顔を見合わせる。
直ぐ、エルデリオンはエリューンに振り向くと
「庭園の離宮へ!
ロットバルトがラステルを呼ぶよう指示していたから、ラステルが居たらラステルに。
居なければ、ロットバルトに!
地下水路の水門も、全て封鎖せよと!」
エリューンは頷くと、身を翻し、一気に駆け去った。
エウロペは開けた木板の下の、石の階段を降りて行く。
デルデロッテとエルデリオンはその後に続いた。
中は薄暗く、巨大な円形の、石の通路。
石の床の向こう側には、水路が流れていた。
エルデリオンは本来そこに、ボートがある筈なのに見当たらず、デルデロッテに振り向く。
デルデロッテは直ぐ気づくと、エウロペに叫ぼうとした。
が、エウロペは、もう分かっているように水路沿いに駆け出す。
「方向も、的確だ!」
一緒に駆け出すデルデロッテにそう呟かれ、エルデリオンは頷いた。
カンカンカンカンカン!
石の地下通路に、カン高い靴音が響く。
暫く行くと、左手に階段。
その上には、地上に続く木板があり、左側の水路にはボート。
エウロペは素早く乗り込むと、オールを握って直ぐ漕ぎ出す。
デルデロッテが手を伸ばし、ボートの後ろ端を掴んでる間に、エルデリオンも乗り込んでオールを握る。
直ぐ、デルデロッテも飛び乗ると、エルデリオンの反対側のオールを握りながら、エウロペに呟く。
「漕ぎ手が多い方が。
早い」
エウロペは返事も惜しむように、左右に握ったオールで、力強く漕ぎ出す。
デルデロッテもエルデリオンとタイミングを合わせ、オールを漕ぎ始めた。
荷を積んで運ぶ用のボートだったから、六人は軽く乗れる広さ。
水路は途中二股に分かれたが、エウロペは迷う事無く、城内へ続く方では無く、城外の左へと、ボートを進ませる。
けれどその先は、真っ暗闇。
デルデロッテはエルデリオンが握る、オールの端を掴むと
「貴方はランプを点けて下さい!」
と叫ぶ。
エルデリオンは頷き、オールをデルデロッテに手放すと、その先で背を向け、漕いでいるエウロペの腕の上を跨ぎ、舳先へと進むと、手探りで揺れるランプを掴み、ガラスの覆いを外す。
そしてランプの下に置かれた火打ち石を取ると、打ち合わせた。
がちっ!
がちっっ!
がちっ!
三度目で、ランプの芯に火が付き、間もなく舳先に、明るい光が灯った。
エウロペとデルデロッテは、進路がぼんやり浮かび上がって見え、更に猛烈に、オールを漕ぎ始めた。
が、エウロペは厩を過ぎた頃、馬を下りて引き、庭園に続く道をゆっくり探るように左右を見ながら、歩き始めた。
デルデロッテも馬を止め、エルデリオンが先に降りると、自分も馬から降りて、引く。
エウロペは左右の分かれ道で、立ち止まる。
左が庭園へと続く道。
が、彼は右へと歩き始めた。
間もなく、エリューンが徒歩で追いつき、デルデロッテは横にやって来るエリューンに尋ねた。
「…どうしてエウロペ殿には、道が分かるのかな?」
長身のデルデロッテに問われ、エリューンは少し戸惑った後、囁く。
「…レジィに、特別な香りを付けているので。
強く香れば、私にも分かる。
けれどエウロペは、微かな香りでも嗅ぎ分けられるから」
デルデロッテの反対横にいたエルデリオンは、それを聞いて感心した。
けれど思い返すと。
レジィリアンスを腕に抱く時いつも。
華やかな、甘い花の香りがしていた。
突然、エルデリオンは彼を抱いた後。
自分にもその香りが移り、抱いた事が直ぐエウロペにバレてないか?
と青冷めた。
エウロペは少し進むと、石の建物沿いに右に進む。
そして蓋のような板を見つけ、持ち上げた。
エルデリオンとデルデロッテは、少年の頃良く城の探検をしていたので、はっ!と顔を見合わせる。
直ぐ、エルデリオンはエリューンに振り向くと
「庭園の離宮へ!
ロットバルトがラステルを呼ぶよう指示していたから、ラステルが居たらラステルに。
居なければ、ロットバルトに!
地下水路の水門も、全て封鎖せよと!」
エリューンは頷くと、身を翻し、一気に駆け去った。
エウロペは開けた木板の下の、石の階段を降りて行く。
デルデロッテとエルデリオンはその後に続いた。
中は薄暗く、巨大な円形の、石の通路。
石の床の向こう側には、水路が流れていた。
エルデリオンは本来そこに、ボートがある筈なのに見当たらず、デルデロッテに振り向く。
デルデロッテは直ぐ気づくと、エウロペに叫ぼうとした。
が、エウロペは、もう分かっているように水路沿いに駆け出す。
「方向も、的確だ!」
一緒に駆け出すデルデロッテにそう呟かれ、エルデリオンは頷いた。
カンカンカンカンカン!
石の地下通路に、カン高い靴音が響く。
暫く行くと、左手に階段。
その上には、地上に続く木板があり、左側の水路にはボート。
エウロペは素早く乗り込むと、オールを握って直ぐ漕ぎ出す。
デルデロッテが手を伸ばし、ボートの後ろ端を掴んでる間に、エルデリオンも乗り込んでオールを握る。
直ぐ、デルデロッテも飛び乗ると、エルデリオンの反対側のオールを握りながら、エウロペに呟く。
「漕ぎ手が多い方が。
早い」
エウロペは返事も惜しむように、左右に握ったオールで、力強く漕ぎ出す。
デルデロッテもエルデリオンとタイミングを合わせ、オールを漕ぎ始めた。
荷を積んで運ぶ用のボートだったから、六人は軽く乗れる広さ。
水路は途中二股に分かれたが、エウロペは迷う事無く、城内へ続く方では無く、城外の左へと、ボートを進ませる。
けれどその先は、真っ暗闇。
デルデロッテはエルデリオンが握る、オールの端を掴むと
「貴方はランプを点けて下さい!」
と叫ぶ。
エルデリオンは頷き、オールをデルデロッテに手放すと、その先で背を向け、漕いでいるエウロペの腕の上を跨ぎ、舳先へと進むと、手探りで揺れるランプを掴み、ガラスの覆いを外す。
そしてランプの下に置かれた火打ち石を取ると、打ち合わせた。
がちっ!
がちっっ!
がちっ!
三度目で、ランプの芯に火が付き、間もなく舳先に、明るい光が灯った。
エウロペとデルデロッテは、進路がぼんやり浮かび上がって見え、更に猛烈に、オールを漕ぎ始めた。
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