森と花の国の王子

あーす。

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逢瀬

今後の展望

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 エウロペはレジィリアンスをじっ…と見つめると、尋ねる。
「…エルデリオンに…されるのは、好き?」

聞かれた途端、レジィは赤い頬のまま、エウロペからさっ!と顔を背け、呟く。
「…好きかどうか分からないけど…」

「けど?」
デルデロッテとエウロペは、口を挟むラステルを思わず見た。

「…嫌じゃ無い…」
デルデロッテが、半ば呆れて呟く。
「基準はそこ?」

エウロペは顔を上げて、デルデロッテを睨んだ。
「…説破詰まってたんだ!
レジィに選んでる余裕なんて、無かった」

ラステルは更に聞く。
「…エウロペ殿相手は、どうしても…恥ずかしくて頼めなかった?
君が頼めば、彼は火の中水の中。
君の興奮した男の印を口に含む事なんて、屁でも無いのに。
…ああ失礼。
デルデロッテの口の悪いのが、移ってしまった」

「自身の下品さを、私のせいにする?」
デルデロッテに異論を唱えられ、ラステルは顔を背けてバックレた。

レジィはエウロペに振り向き、また頬を真っ赤に染めて、俯く。
途端、思春期の少年の、微妙な心に踏み込みかねるようなエウロペの、狼狽える様子に、ラステルもデルデロッテもが目を見開く。

エウロペは躊躇った後、囁く。
「…デルデロッテ殿の…そんな事は何でも無い。
と言える程の厚顔無恥に、本当はなるべきだ。
将来は、国王となるべき身なのだから」

“厚顔無恥”の件で、デルデロッテが口を開きかけた。
が、エウロペは口を挟ませまいと、急いで告げる。
「…が、私は貴方の…繊細で優しい心根が大好きだから…。
出来るだけ、そのままの貴方を護りたい。
けれどレジィリアンス。
これだけは言える。
エルデリオンは貴方を心から、欲してる。
このままエルデリオンに許せば…男しか、愛せない体にされる」

レジィリアンスは呆けてエウロペを見つめた。
「…そんな…違いが、あるの?」

エウロペはレジィを見ないまま、頷く。
「女性には、男を快感に叩き込む、後腔を抉る一物が無い」

レジィリアンスは顔を下げ…けれど思い当たって、頬を真っ赤にした。

「…何にしろ!
一番始めにそんな…場所に刺激を与えるなんて、最悪だ!」
エウロペに吐き捨てるように言われ、デルデロッテとラステルは思わず顔を見合わせ、首を横に振り合った。

エウロペはレジィに、控えた小声で囁く。
「…もし…また、エルデリオンとしたくなっても構わない。
けれど何をされたか。
私に…言う事は、出来る?」

レジィリアンスは頬を赤くしたまま俯き、掠れた声で言った。
「…凄く…恥ずかしいけど、言える…」

その言葉を聞いて、ラステルとデルデロッテはまた、顔を見合わせた。

「…自分の親か兄弟に、夕べの情事を事細かく、どこをどうした…って具体的説明、貴方なら言える?」
デルデロッテに聞かれ、ラステルは呟く。
「…言わなければならないとしたら。
流石の私も、顔から火が出るほど恥ずかしいから。
そんな事態は上手く避けるな。
シュテフザイン森と花の王国の民は、そっちの方が恥ずかしくないなんて、信じがたい」

ラステルの言葉に、エウロペとレジィリアンスが、同時に顔を上げてラステルを見つめた。
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