103 / 418
接近
王城の外
しおりを挟む
エルデリオンとレジィリアンスお茶のがテーブルに戻ると、そこにはロットバルトも座って居て。
エリューンとテリュスは、舞踏会でしつこい少女達から救い出して貰ったせいか、ロットバルト相手に親しげに、盛んに喋りまくっていた。
ラステルは時折り、微笑んで頷き、口を挟むけど。
直ぐお茶のカップを口に持って行って、話から引く。
が、ラステルはやって来る王子二人の姿を見た途端、叫んだ。
「さて!
まだ陽も高い!
乗馬でもしませんか?!」
エルデリオンは、思わず隣のレジィリアンスに振り向く。
レジィリアンスは、ぱっ!と顔を輝かせ、嬉しそうに微笑んで、頷いてた。
レジィリアンスは王家の厩が、とても立派な建物で、つい見入った。
金の王家の紋章入りの、屋根飾り。
白い壁の奥に、手入れされた馬たちが居るらしく、馬丁が引いてやって来る。
短く芝が刈り込まれ、剥き出しの土の部分は慣らされ、木がそこらかしこに生えているのに、落ち葉も落ちてなくて、石畳は白石なのに、くすんでない。
…どこを見ても、手入れされていた。
少し体の小さめの白馬の手綱を手渡され、レジィリアンスは馬を見た。
鞍にも鐙にも、金の洒落た彫刻入り。
エルデリオンは茶の馬で、鼻に白い筋が入ってる。
テリュスやエリューン。
エウロペも、馬を引いた馬丁に手綱を手渡されていたが、どの馬も手入れが行き届き、艶々。
ロットバルトとラステルはもう、馬に跨がって、デルデロッテは黒馬の手綱を手渡されていた。
ラステルは黒馬に跨がるデルデロッテを見、呆れたように言う。
「毎度思いますけど、よくそんな気性の荒い馬に乗りますよね?」
デルデロッテは手綱を繰って、馬の向きを門へと向けながら笑う。
「気が荒いだけで。
とてもいいコだ!」
シュテフザインの皆が見てると、ラステルとロットバルトは顔を見合わせ合って、それぞれ肩を竦めた。
「さて!
王城を出て直ぐの小さな町で、とっておきの酒が頂けます!」
ラステルは酒好きのテリュスに振り向き、そう叫んで微笑みかける。
けれど返事をしたのは、横のロットバルト。
「…ほう、ではデッセルに行くのか?」
ラステルが頷くのを見た後、ロットバルトは目を細め、テリュスに振り向く。
「…あそこの地酒は美味い。
他のどこでも、飲めませんぞ!」
テリュスはそれを聞くと、青い瞳を輝かせた。
「貴方が美味いと言うのなら、そりゃもの凄く、楽しみですな!」
楽しいそうなテリュスにつられ、レジィリアンスも隣のエウロペを見て笑いかける。
エウロペは男らしくも爽やかな笑顔を、レジィリアンスに向けた。
ロットバルトがこっそり、ラステルに囁く。
「美女らに、いい男と思われても、無理も無い」
ラステルも頷く。
「タイプが違うが、宮廷に出たら、デルデロッテの立場も危うくなるな」
その話を聞いた途端、エルデリオンもレジィリアンスまでもが。
悠然と馬に跨がる、気品がありながらも男らしい、美丈夫のデルデロッテに視線を送った。
デルデロッテは、二人の王子だけで無く、テリュスやエリューンにまで振り向かれ、気づいてレジィリアンスの横に馬を付ける、エウロペに視線を振る。
「…確かに見たところ、寝室でのテクは、かなりのものでしょうね」
エウロペは、デルデロッテの言葉を聞いた直後、自分に振り向くテリュスとエリューン。
更にレジィリアンスやエルデリオンにまで見つめられ、エルデリオンの背後に馬を付けてるデルデロッテに振り向き、静かに言い返す。
「…無敵の貴方に、誰が勝てます?」
デルデロッテは肩を竦めた。
「ほら。
相手を持ち上げ、自分から注意をそらす。
…それを、余裕と言うんです」
エウロペは取り合う気が無いように、肩を竦めた。
「戯れ言だ。
私は貴方と違って、女性を口説く手管はまるで持ってない」
デルデロッテは濃紺の、きらりと光る夜闇の瞳を、エウロペに向けた。
「口説かなくとも。
自然体で惹き付ける。
女性達は、灯りに集まる蛾のように、貴方に集まり来るでしょう」
エウロペは横のレジィリアンスが、伊達男のデルデロッテにそう言われた自分を、尊敬の眼差しで見つめるものだから。
慌てて手綱を回し、先頭のラステルとロットバルトに叫んだ。
「出発は、まだですか?!」
ロットバルトは笑顔で拍車をかける。
「エウロペ殿が、焦るとは!」
ラステルも同時に拍車をかけ、愉快そうに笑う。
「滅多に見られない!
デルデロッテに、感謝ですね!」
二騎は一気に速度を上げ、テリュスとエリューンもそれに続く。
エルデリオンはからかわれたデルデロッテとエウロペ、交互に視線を向けながら、慣れた手つきで馬を走らせた。
最後尾のデルデロッテは歯を剥くと
「私を、焚きつけたくせに!
この、タヌキ共!!!」
と叫び、拍車かけてエルデリオンの後に馬を付けた。
レジィリアンスとエウロペは軽やかに馬を繰りながら、担がれたデルデロッテの悔しげな怒鳴り声。
それに続く、先頭の二人…。
デルデロッテ言う所の“タヌキ共”、ロットバルトとラステルの、楽しげな笑い声を聞き、呆れ返った。
エリューンとテリュスは、舞踏会でしつこい少女達から救い出して貰ったせいか、ロットバルト相手に親しげに、盛んに喋りまくっていた。
ラステルは時折り、微笑んで頷き、口を挟むけど。
直ぐお茶のカップを口に持って行って、話から引く。
が、ラステルはやって来る王子二人の姿を見た途端、叫んだ。
「さて!
まだ陽も高い!
乗馬でもしませんか?!」
エルデリオンは、思わず隣のレジィリアンスに振り向く。
レジィリアンスは、ぱっ!と顔を輝かせ、嬉しそうに微笑んで、頷いてた。
レジィリアンスは王家の厩が、とても立派な建物で、つい見入った。
金の王家の紋章入りの、屋根飾り。
白い壁の奥に、手入れされた馬たちが居るらしく、馬丁が引いてやって来る。
短く芝が刈り込まれ、剥き出しの土の部分は慣らされ、木がそこらかしこに生えているのに、落ち葉も落ちてなくて、石畳は白石なのに、くすんでない。
…どこを見ても、手入れされていた。
少し体の小さめの白馬の手綱を手渡され、レジィリアンスは馬を見た。
鞍にも鐙にも、金の洒落た彫刻入り。
エルデリオンは茶の馬で、鼻に白い筋が入ってる。
テリュスやエリューン。
エウロペも、馬を引いた馬丁に手綱を手渡されていたが、どの馬も手入れが行き届き、艶々。
ロットバルトとラステルはもう、馬に跨がって、デルデロッテは黒馬の手綱を手渡されていた。
ラステルは黒馬に跨がるデルデロッテを見、呆れたように言う。
「毎度思いますけど、よくそんな気性の荒い馬に乗りますよね?」
デルデロッテは手綱を繰って、馬の向きを門へと向けながら笑う。
「気が荒いだけで。
とてもいいコだ!」
シュテフザインの皆が見てると、ラステルとロットバルトは顔を見合わせ合って、それぞれ肩を竦めた。
「さて!
王城を出て直ぐの小さな町で、とっておきの酒が頂けます!」
ラステルは酒好きのテリュスに振り向き、そう叫んで微笑みかける。
けれど返事をしたのは、横のロットバルト。
「…ほう、ではデッセルに行くのか?」
ラステルが頷くのを見た後、ロットバルトは目を細め、テリュスに振り向く。
「…あそこの地酒は美味い。
他のどこでも、飲めませんぞ!」
テリュスはそれを聞くと、青い瞳を輝かせた。
「貴方が美味いと言うのなら、そりゃもの凄く、楽しみですな!」
楽しいそうなテリュスにつられ、レジィリアンスも隣のエウロペを見て笑いかける。
エウロペは男らしくも爽やかな笑顔を、レジィリアンスに向けた。
ロットバルトがこっそり、ラステルに囁く。
「美女らに、いい男と思われても、無理も無い」
ラステルも頷く。
「タイプが違うが、宮廷に出たら、デルデロッテの立場も危うくなるな」
その話を聞いた途端、エルデリオンもレジィリアンスまでもが。
悠然と馬に跨がる、気品がありながらも男らしい、美丈夫のデルデロッテに視線を送った。
デルデロッテは、二人の王子だけで無く、テリュスやエリューンにまで振り向かれ、気づいてレジィリアンスの横に馬を付ける、エウロペに視線を振る。
「…確かに見たところ、寝室でのテクは、かなりのものでしょうね」
エウロペは、デルデロッテの言葉を聞いた直後、自分に振り向くテリュスとエリューン。
更にレジィリアンスやエルデリオンにまで見つめられ、エルデリオンの背後に馬を付けてるデルデロッテに振り向き、静かに言い返す。
「…無敵の貴方に、誰が勝てます?」
デルデロッテは肩を竦めた。
「ほら。
相手を持ち上げ、自分から注意をそらす。
…それを、余裕と言うんです」
エウロペは取り合う気が無いように、肩を竦めた。
「戯れ言だ。
私は貴方と違って、女性を口説く手管はまるで持ってない」
デルデロッテは濃紺の、きらりと光る夜闇の瞳を、エウロペに向けた。
「口説かなくとも。
自然体で惹き付ける。
女性達は、灯りに集まる蛾のように、貴方に集まり来るでしょう」
エウロペは横のレジィリアンスが、伊達男のデルデロッテにそう言われた自分を、尊敬の眼差しで見つめるものだから。
慌てて手綱を回し、先頭のラステルとロットバルトに叫んだ。
「出発は、まだですか?!」
ロットバルトは笑顔で拍車をかける。
「エウロペ殿が、焦るとは!」
ラステルも同時に拍車をかけ、愉快そうに笑う。
「滅多に見られない!
デルデロッテに、感謝ですね!」
二騎は一気に速度を上げ、テリュスとエリューンもそれに続く。
エルデリオンはからかわれたデルデロッテとエウロペ、交互に視線を向けながら、慣れた手つきで馬を走らせた。
最後尾のデルデロッテは歯を剥くと
「私を、焚きつけたくせに!
この、タヌキ共!!!」
と叫び、拍車かけてエルデリオンの後に馬を付けた。
レジィリアンスとエウロペは軽やかに馬を繰りながら、担がれたデルデロッテの悔しげな怒鳴り声。
それに続く、先頭の二人…。
デルデロッテ言う所の“タヌキ共”、ロットバルトとラステルの、楽しげな笑い声を聞き、呆れ返った。
0
お気に入りに追加
284
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる