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接近
王妃の小舞踏会 その1
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レジィリアンスが共同の居間に出ると、テリュスは焦げ茶に金刺繍の入った洒落た上着を、ぎこちなく着こなしながら。
エリューンは白いレースのドレスシャツの上に、緑色のお洒落な上着を着、凄く不満そうな顔で、それぞれ振り向く。
エウロペは明るい青の別珍の上着を、やはり颯爽と着こなし、自室の扉を開けて居間にやって来る。
ロットバルトは黒いビロードの上着に黒のベストで、所々に下がった金の鎖飾りが、たいへん洒落て見えた。
デルデロッテが自室から出てくると、海老茶の丈長の上着に、飾りの少ないレースのドレスシャツを着け、とても粋で、皆が見惚れた。
ラステルが姿を現すが、瞳と同色の空色の、飾りの少ない質素な出で立ちで、皆がじっ…と見る。
「…なんです?
礼は、失せぬ程度。
そこら中動き回るので、あまり華美な衣装は着けられません。
私は身軽が身上ですからね」
と軽く流す。
途端、テリュスが
「俺もそれっくらいで…ダメか?」
とぼやき、エリューンは同様、レースのドレスシャツを着てるデルデロッテの前に立つと
「どうして私のシャツは、こんなにレースがびらびらなんです?
もしかして…私に剣を振らせまいとの、思惑ですか?」
と、いちゃもん付けていた。
デルデロッテは苦笑する。
「それだけ似合ってて、文句が出るとは…」
素早く、エウロペが言い渡した。
「我が国では、こんな華美な装いは、男らしくないと軽蔑されるので」
レジィリアンスが自分の、緑に小さなピンクのリボンがアクセントの衣装を見、頷く。
「…でもオーデ・フォールの王妃様の舞踏会だから…これだけ装わなくっちゃ、ダメなんですよね?」
ラステルは頷く。
「黒い衣装のロットバルトは、目立たないと思われるかもしれませんが…。
黒を着る者は少ないので、逆に凄く、目立ちます」
皆、一斉に、そう言われたロットバルトを見た。
やっと、暖炉の左横、エルデリオンの私室の扉が開き、エルデリオンが姿を現す。
高い襟、長い丈の、ゴツめのデザインの上着だったけれど。
光沢あるクリーム色が多めで、海老茶のアクセントがついた、とても上品で高貴な出で立ちに見えた。
デルデロッテが笑顔を向ける。
けどエルデリオンは
「…ちょっと…華美過ぎやしない?」
と戸惑う表情を向けた。
が、デルデロッテにレジィリアンスへと視線を送られ、エルデリオンはレジィリアンスを見る。
とても可愛らしく、けれどちゃんと、華美さは抑えられていて、彼をすらりと見せていた。
エルデリオンはもっと愛らしく、美しい衣装が似合うのに。
と、少し残念だったけど…。
レジィリアンスが頬を染め、自分に見惚れてるのに気づく。
思わず、デルデロッテに振り向く。
デルデロッテは笑顔で
「さ、レジィリアンス殿をエスコートなさらないと」
と告げるので、エルデリオンは勧められるまま、レジィリアンスの前に立った。
「ご一緒に」
肘を曲げて突き出し、腰に拳を当てると、腕にレジィリアンスの華奢な手が、滑り込む。
それだけで。
エルデリオンは馬車の中で、レジィリアンスを抱きしめ、イく時。
彼の手が背を…抱き込んだ感触が蘇り、幸福感で胸が、いっぱいになった。
けれどレジィリアンスは意識した途端、頬を真っ赤に染めて、俯く。
エウロペが進み出かける、その腕にラステルは腕を絡ませ、さらい
「では、行きましょうか?」
と、レジィリアンスの元に駆けつけるのを、阻止した。
エリューンは白いレースのドレスシャツの上に、緑色のお洒落な上着を着、凄く不満そうな顔で、それぞれ振り向く。
エウロペは明るい青の別珍の上着を、やはり颯爽と着こなし、自室の扉を開けて居間にやって来る。
ロットバルトは黒いビロードの上着に黒のベストで、所々に下がった金の鎖飾りが、たいへん洒落て見えた。
デルデロッテが自室から出てくると、海老茶の丈長の上着に、飾りの少ないレースのドレスシャツを着け、とても粋で、皆が見惚れた。
ラステルが姿を現すが、瞳と同色の空色の、飾りの少ない質素な出で立ちで、皆がじっ…と見る。
「…なんです?
礼は、失せぬ程度。
そこら中動き回るので、あまり華美な衣装は着けられません。
私は身軽が身上ですからね」
と軽く流す。
途端、テリュスが
「俺もそれっくらいで…ダメか?」
とぼやき、エリューンは同様、レースのドレスシャツを着てるデルデロッテの前に立つと
「どうして私のシャツは、こんなにレースがびらびらなんです?
もしかして…私に剣を振らせまいとの、思惑ですか?」
と、いちゃもん付けていた。
デルデロッテは苦笑する。
「それだけ似合ってて、文句が出るとは…」
素早く、エウロペが言い渡した。
「我が国では、こんな華美な装いは、男らしくないと軽蔑されるので」
レジィリアンスが自分の、緑に小さなピンクのリボンがアクセントの衣装を見、頷く。
「…でもオーデ・フォールの王妃様の舞踏会だから…これだけ装わなくっちゃ、ダメなんですよね?」
ラステルは頷く。
「黒い衣装のロットバルトは、目立たないと思われるかもしれませんが…。
黒を着る者は少ないので、逆に凄く、目立ちます」
皆、一斉に、そう言われたロットバルトを見た。
やっと、暖炉の左横、エルデリオンの私室の扉が開き、エルデリオンが姿を現す。
高い襟、長い丈の、ゴツめのデザインの上着だったけれど。
光沢あるクリーム色が多めで、海老茶のアクセントがついた、とても上品で高貴な出で立ちに見えた。
デルデロッテが笑顔を向ける。
けどエルデリオンは
「…ちょっと…華美過ぎやしない?」
と戸惑う表情を向けた。
が、デルデロッテにレジィリアンスへと視線を送られ、エルデリオンはレジィリアンスを見る。
とても可愛らしく、けれどちゃんと、華美さは抑えられていて、彼をすらりと見せていた。
エルデリオンはもっと愛らしく、美しい衣装が似合うのに。
と、少し残念だったけど…。
レジィリアンスが頬を染め、自分に見惚れてるのに気づく。
思わず、デルデロッテに振り向く。
デルデロッテは笑顔で
「さ、レジィリアンス殿をエスコートなさらないと」
と告げるので、エルデリオンは勧められるまま、レジィリアンスの前に立った。
「ご一緒に」
肘を曲げて突き出し、腰に拳を当てると、腕にレジィリアンスの華奢な手が、滑り込む。
それだけで。
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彼の手が背を…抱き込んだ感触が蘇り、幸福感で胸が、いっぱいになった。
けれどレジィリアンスは意識した途端、頬を真っ赤に染めて、俯く。
エウロペが進み出かける、その腕にラステルは腕を絡ませ、さらい
「では、行きましょうか?」
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