森と花の国の王子

あーす。

文字の大きさ
上 下
76 / 418
大国オーデ・フォール

デルデロッテの処方箋

しおりを挟む
 結局食事中、エルデリオンは幾度もレジィリアンスに、話しかけようと顔を上げる。

けど…。
目が合う度、レジィリアンスは恥ずかしそうに俯き、もぞ…と…。
まるで蕾に熱い異物が挟まってるかのように、もじるから…。
ずっと我慢してきたエルデリオンも意識し、そうなったらもう、気もそぞろ。
ガチャン!とグラスを取ろうとしたロットバルトの腕に腕をぶつけ、結局グラスの中身をテーブルにブチまける不始末をやらかした。

デルデロッテが腕を横に少し突き出し、エルデリオンに触れると。
やっと、エルデリオンは別に意識が向いて、けどやっぱり頬染めて顔を下げ、結局、一言も言葉を交わせず、食事は終わった。

レジィリアンスと共に、エウロペがレジィの部屋へと消えて行くのを見送り、落ち込む間もなくデルデロッテの腕を掴むと、半ば連行するようにデルデロッテを自室の寝室の続き部屋、居間兼衣装部屋へと連れ込んだ。

部屋に入り、強引にデルデロッテを暖炉の前の一人掛け用ソファに座らせ、その前に座り、尋ねる。
「…どうすればいいか。
指南してくれ」

デルデロッテは、ため息吐くと尋ねた。
「言うとおりにします?」
エルデリオンは無言で頷く。
「では今夜はここで眠らず、宮中に出向き、相手をしてくれる女官の部屋を片っ端から周り、ヌいて来なさい。
最低、三日はここで夜を過ごさない事」

エルデリオンはびっくりして、顔を上げてそう告げるデルデロッテを凝視した。
デルデロッテの眉は寄っていて、低い声で言い渡す。
「…貴方に振り回され、我々従者はここ二ヶ月、忙殺されて疲れ切ってる。
今夜貴方が悶々とし、我慢出来ずレジィリアンス殿の寝室に忍び込み、夜中に何度も鐘が鳴り響いて起こされるのは、ごめんです」

エルデリオンは顔を下げた。
「…つまり、君達を安眠させろ…と?」
デルデロッテは素早く言葉を足した。
「それにレジィリアンス殿と、その従者達も」

エルデリオンは、無言で頷く。
そして、顔を上げて囁く。
「…最低、三晩?」
デルデロッテは無言で頷いた。
そしてさっさと立ち上がると
「するかしないかは、貴方次第。
けれど溜めてない貴方なら。
レジィリアンス殿を口説く機会は、十分ありますよ」
そう言って、さっさと部屋を出て行った。

ぱたん…。
扉が閉まった後、エルデリオンは暫く呆け…けれど慌てて立ち上がると、扉に向かって歩き出した。

共同の居間を通り過ぎる際、ラステルに
「どちらに?」
と尋ねられたが、エルデリオンは
「宮中に。
私用で。
帰りは多分、朝方になる」
と告げて出て行った。

室内の皆、テリュスとエリューン、ロットバルトらは、玄関ホールへと消えて行くエルデリオンの背を見送った後、途端一斉に寛いで、オーデ・フォール中央王国名物料理の話で、盛り上がった。

ラステルはデルデロッテの部屋の開いた扉をノックし、寝台の上で衣服を選別してるデルデロッテに尋ねる。
「エルデリオンが、宮中へ出て行ったけど」

デルデロッテは直ぐ察し、言葉を返す。
「今夜は女官の部屋を、渡り歩けと言ったけど。
…忠告を聞いたんだな」

ラステルは“女官の部屋”で直ぐピンと来て、微笑む。
「…つまり今夜は、皆ぐっすり眠れる?」
デルデロッテは頷く。
「エルデリオンが、私の言ったとおりにするのなら。
もう二晩は、安眠出来る」

ラステルは肩を竦め
「君の詐欺師的気遣いは、いつも的確で好きだ」
と褒めた。


エルデリオンがノックすると、宮廷に住まう女官…貴族の若い娘は、笑顔で彼を、迎え入れる。
エルデリオンはもう寝室に通され、抱きしめて口づけながら、思った。
「(…相手が違うだけで、どうしてこんなに簡単に、事が運ぶんだろう…?)」

そしてレジィリアンスの…金の長い、波打つ美しい髪と愛らしい笑顔を思い浮かべ、内心悲嘆に暮れた。

けれど彼女に挿入時、夕食の席で。
レジィリアンスが…意識してくれた事が嬉しくて、ついレジィリアンスを思い浮かべ、思いっきり突いた。

「ぁ…あんっ…」

上がる嬌声は女性の声だったけれど…。
エルデリオンはレジィリアンスの声を思い浮かべ、興奮に包まれた。

結局エルデリオンはそんな調子で…三人の女官の部屋を渡り歩き、四人目の部屋で、朝を迎えた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

調教済み騎士団長さまのご帰還

ミツミチ
BL
敵国に囚われている間に、肉体の隅に至るまで躾けられた騎士団長を救出したあとの話です

制限生活

澄玲 月
BL
R18作品です。ほぼ全部。 監禁だったり、もうすべてエロいことしまくります。

見せしめ王子監禁調教日誌

ミツミチ
BL
敵国につかまった王子様がなぶられる話。 徐々に王×王子に成る

奴隷騎士のセックス修業

彩月野生
BL
魔族と手を組んだ闇の軍団に敗北した大国の騎士団。 その大国の騎士団長であるシュテオは、仲間の命を守る為、性奴隷になる事を受け入れる。 軍団の主力人物カールマーと、オークの戦士ドアルと共になぶられるシュテオ。 セックスが下手くそだと叱責され、仲間である副団長コンラウスにセックス指南を受けるようになるが、快楽に溺れていく。 主人公 シュテオ 大国の騎士団長、仲間と国を守るため性奴隷となる。 銀髪に青目。 敵勢力 カールマー 傭兵上がりの騎士。漆黒の髪に黒目、黒の鎧の男。 電撃系の攻撃魔術が使える。強欲で狡猾。 ドアル 横柄なオークの戦士。 シュテオの仲間 副団長コンラウス 金髪碧眼の騎士。女との噂が絶えない。 シュテオにセックスの指南をする。 (誤字脱字報告不要。時間が取れる際に定期的に見直してます。ご報告頂いても基本的に返答致しませんのでご理解ご了承下さいます様お願い致します。申し訳ありません)

旦那様、お仕置き、監禁

夜ト
BL
愛玩ペット販売店はなんと、孤児院だった。 まだ幼い子供が快感に耐えながら、ご主人様に・・・・。 色々な話あり、一話完結ぽく見てください 18禁です、18歳より下はみないでね。

【R18】奴隷に堕ちた騎士

蒼い月
BL
気持ちはR25くらい。妖精族の騎士の美青年が①野盗に捕らえられて調教され②闇オークションにかけられて輪姦され③落札したご主人様に毎日めちゃくちゃに犯され④奴隷品評会で他の奴隷たちの特殊プレイを尻目に乱交し⑤縁あって一緒に自由の身になった両性具有の奴隷少年とよしよし百合セックスをしながらそっと暮らす話。9割は愛のないスケベですが、1割は救済用ラブ。サブヒロインは主人公とくっ付くまで大分可哀想な感じなので、地雷の気配を感じた方は読み飛ばしてください。 ※主人公は9割突っ込まれてアンアン言わされる側ですが、終盤1割は突っ込む側なので、攻守逆転が苦手な方はご注意ください。 誤字報告は近況ボードにお願いします。無理やり何となくハピエンですが、不幸な方が抜けたり萌えたりする方は3章くらいまでをおススメします。 ※無事に完結しました!

ご主人様に調教される僕

猫又ササ
BL
借金のカタに買われた男の子がご主人様に調教されます。 調教 玩具 排泄管理 射精管理 等 なんでも許せる人向け

【※R-18】αXΩ 懐妊特別対策室

aika
BL
αXΩ 懐妊特別対策室 【※閲覧注意 マニアックな性的描写など多数出てくる予定です。男性しか存在しない世界。BL、複数プレイ、乱交、陵辱、治療行為など】独自設定多めです。 宇宙空間で起きた謎の大爆発の影響で、人類は滅亡の危機を迎えていた。 高度な文明を保持することに成功したコミュニティ「エピゾシティ」では、人類存続をかけて懐妊のための治療行為が日夜行われている。 大爆発の影響か人々は子孫を残すのが難しくなっていた。 人類滅亡の危機が訪れるまではひっそりと身を隠すように暮らしてきた特殊能力を持つラムダとミュー。 ラムダとは、アルファの生殖能力を高める能力を持ち、ミューはオメガの生殖能力を高める能力を持っている。 エピゾジティを運営する特別機関より、人類存続をかけて懐妊のための特別対策室が設置されることになった。 番であるαとΩを対象に、懐妊のための治療が開始される。

処理中です...