森と花の国の王子

あーす。

文字の大きさ
上 下
50 / 418
宿屋での取り決め

森と花の王国〔シュテフザイン〕の者達の楽しい食事と対照的な大国従者らの問題

しおりを挟む
 エウロペが両扉を開け、レジィリアンスの寝室を出ると、テリュスとエリューンは広い応接間で、運ばれてきた食事をテーブルに並べていた。
「…ここで…我々だけで?」

エウロペの疑問に、テリュスは頷く。
「ラステル殿が。
ゆっくり過ごして下さいと。
俺、あのお方は好きですね」

エリューンはつまみ食いするテリュスを見、ため息を吐いてエウロペに尋ねる。
「レジィリアンスはまだ…ショックが抜けないようですか?」

けれどエウロペは微笑んで背後に、視線を送る。

レジィリアンスはテーブルに並ぶ食事を見、いっぺんに笑顔を見せた。
「…ここで、みんなで?
僕たち、だけで?!」

テリュスは笑って頷くと
「早く来ないと!
無くなりますよ?!」
レジィリアンスは駆けて、テリュスの隣のソファに飛び込むように腰下ろす。
「待って!
僕も食べる!」

その元気な返答に、エリューンは心から嬉しそうに笑い、エウロペは給仕を始めた。
「ほらちゃんと、スプーンとフォークを使って。
テリュスのマネは、いけません」

テリュスとレジィリアンスは手で摘まんだ鶏肉を見、テリュスが口に放り込むとレジィリアンスもマネして放り込み。
その後エウロペから、スプーンとフォークを受け取った。

「ご馳走だね?!」

はしゃぐレジィリアンスを森と花の王国〔シュテフザイン〕の従者らは嬉しそうに取り囲み、一緒に楽しく、食べて飲んだ。

 
 レジィリアンスらの部屋の、向かいの扉の奥では。
隣の一番良い部屋よりは少し手狭な、同じ造りの、装飾が茶色が基調の応接間で。
ロットバルトとラステルが暗く沈んでいた。

両開きの扉の奥の、主寝室にエルデリオンは閉じこもり、ラステルが僅かに扉を開き覗うが、窓辺に座り込んで、眠る様子が無い。

「…デルデロッテが眠り薬を盛っても、効かなかったと言ってなかった?
確か」

ロットバルトはソファに座り、項垂れながら首を縦に振る。
「…眠り薬はもう早々、盛れないだろう?
ここにお誘いして、酒を浴びるほど飲ませるか?」

向かいのソファに座るデルデロッテが、年上の重臣の言葉に顔を上げる。
「そんな事したら、意識酩酊でレジィリアンスの寝室に雪崩れ込むぞ?」

ロットバルトは聞くなり顔を下げると
「…違いない…」
と沈痛な声音で呻く。

ラステルは二人の間の一人掛けソファに腰を下ろすと、ボトルのコルクを開けてグラスに注ぎ、デルデロッテとロットバルトの前に置くと、自分用に注いだグラスを持ち上げた。
「…が、これ以上睡眠不足が続けば。
いずれ同じ失態をやらかし、完全にレジィリアンスに愛想をつかされる」

ラステルの言葉に、デルデロッテもロットバルトも顔を上げた。

ロットバルトが、デルデロッテに小声で尋ねる。
「…今から手配して…誰か、気の良い女性を送り込むか?」
が、ラステルが囁く。
「それはもちろん、こういう時はそれが一番安らぐが。
仮にもレジィリアンスを花嫁として移送中。
世間体が悪いのは当然の事だが。
恋い焦がれたレジィリアンスが隣の部屋で寝てるというのに、エルデリオンが代理の女で満足すると思うか?」

デルデロッテは無言でグラスを持ち上げ、腕組んで頷く。
「男なら当然、情事で紛らわすのが、この場合一番の特効薬だな」

ロットバルトとラステルの視線が、すました美丈夫、デルデロッテに注がれる。
ロットバルトはラステルに振り向くと
「誰かアテはあるか?」
と聞き、ラステルは首を横に振る。
「…あんな可憐で愛らしい、レジィリアンス殿を忘れさせるほどの妖艶な美女が。
数人候補に、いるにはいるけど…。
エルデリオンが、手を出すかどうかは…」

デルデロッテはグラスを口に持って行き、呟く。
「…要は性欲が有り余ってるから、エルデリオンはレジィリアンス殿を襲う。
それをすればあちらも殺気だって、私もまた、不本意な役目を果たさねばならない。
つまり少し強引に、暫く枯れる程ヌくのが一番良い」
ラステルが即座に異論を唱えた。
「そのアテが無いから、困ってる」

が、ロットバルトがデルデロッテを見つめたまま、ラステルに首を振ってデルデロッテを見ろと促す。

ラステルはその合図に気づくと、腕を組んで酒のグラスを持ち上げ、喉に流し込むデルデロッテを見た。

「…もしかして、君が?」

デルデロッテは答えず、グラスを空にすると、テーブルに置いて立ち上がる。
両扉の前で、振り向いて二人の年上の従者に告げた。
「エルデリオンを眠らせればいいんだろう?」

二人は無言で頷く。
するとデルデロッテは扉を開けて、中へ入って行った。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

調教済み騎士団長さまのご帰還

ミツミチ
BL
敵国に囚われている間に、肉体の隅に至るまで躾けられた騎士団長を救出したあとの話です

制限生活

澄玲 月
BL
R18作品です。ほぼ全部。 監禁だったり、もうすべてエロいことしまくります。

見せしめ王子監禁調教日誌

ミツミチ
BL
敵国につかまった王子様がなぶられる話。 徐々に王×王子に成る

奴隷騎士のセックス修業

彩月野生
BL
魔族と手を組んだ闇の軍団に敗北した大国の騎士団。 その大国の騎士団長であるシュテオは、仲間の命を守る為、性奴隷になる事を受け入れる。 軍団の主力人物カールマーと、オークの戦士ドアルと共になぶられるシュテオ。 セックスが下手くそだと叱責され、仲間である副団長コンラウスにセックス指南を受けるようになるが、快楽に溺れていく。 主人公 シュテオ 大国の騎士団長、仲間と国を守るため性奴隷となる。 銀髪に青目。 敵勢力 カールマー 傭兵上がりの騎士。漆黒の髪に黒目、黒の鎧の男。 電撃系の攻撃魔術が使える。強欲で狡猾。 ドアル 横柄なオークの戦士。 シュテオの仲間 副団長コンラウス 金髪碧眼の騎士。女との噂が絶えない。 シュテオにセックスの指南をする。 (誤字脱字報告不要。時間が取れる際に定期的に見直してます。ご報告頂いても基本的に返答致しませんのでご理解ご了承下さいます様お願い致します。申し訳ありません)

旦那様、お仕置き、監禁

夜ト
BL
愛玩ペット販売店はなんと、孤児院だった。 まだ幼い子供が快感に耐えながら、ご主人様に・・・・。 色々な話あり、一話完結ぽく見てください 18禁です、18歳より下はみないでね。

【R18】奴隷に堕ちた騎士

蒼い月
BL
気持ちはR25くらい。妖精族の騎士の美青年が①野盗に捕らえられて調教され②闇オークションにかけられて輪姦され③落札したご主人様に毎日めちゃくちゃに犯され④奴隷品評会で他の奴隷たちの特殊プレイを尻目に乱交し⑤縁あって一緒に自由の身になった両性具有の奴隷少年とよしよし百合セックスをしながらそっと暮らす話。9割は愛のないスケベですが、1割は救済用ラブ。サブヒロインは主人公とくっ付くまで大分可哀想な感じなので、地雷の気配を感じた方は読み飛ばしてください。 ※主人公は9割突っ込まれてアンアン言わされる側ですが、終盤1割は突っ込む側なので、攻守逆転が苦手な方はご注意ください。 誤字報告は近況ボードにお願いします。無理やり何となくハピエンですが、不幸な方が抜けたり萌えたりする方は3章くらいまでをおススメします。 ※無事に完結しました!

ご主人様に調教される僕

猫又ササ
BL
借金のカタに買われた男の子がご主人様に調教されます。 調教 玩具 排泄管理 射精管理 等 なんでも許せる人向け

【※R-18】αXΩ 懐妊特別対策室

aika
BL
αXΩ 懐妊特別対策室 【※閲覧注意 マニアックな性的描写など多数出てくる予定です。男性しか存在しない世界。BL、複数プレイ、乱交、陵辱、治療行為など】独自設定多めです。 宇宙空間で起きた謎の大爆発の影響で、人類は滅亡の危機を迎えていた。 高度な文明を保持することに成功したコミュニティ「エピゾシティ」では、人類存続をかけて懐妊のための治療行為が日夜行われている。 大爆発の影響か人々は子孫を残すのが難しくなっていた。 人類滅亡の危機が訪れるまではひっそりと身を隠すように暮らしてきた特殊能力を持つラムダとミュー。 ラムダとは、アルファの生殖能力を高める能力を持ち、ミューはオメガの生殖能力を高める能力を持っている。 エピゾジティを運営する特別機関より、人類存続をかけて懐妊のための特別対策室が設置されることになった。 番であるαとΩを対象に、懐妊のための治療が開始される。

処理中です...