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宿屋での取り決め
軽やかな道行き
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夜を過ごす宿まで、レジィリアンスは両脇をエリューンとテリュスに護られ、前をエウロペに先導され、いっぺんにはしゃいだ気分になった。
ただ…馬の鞍にお尻が当たる度、羞恥に頬を染める。
まさか…こんな所にエルデリオンの…男性自身を挿入されるなんて思ってもみなくて…赤面する度、テリュスもエリューンもこっそり視線を外す…。
デルデロッテはエリューンの横に馬を走らせていたけれど…かなり離れた位置から、レジィリアンスのそんな様子を伺った。
森と花の王国〔シュテフザイン〕の男は、そんな場所を男と使う。
なんて風習はまるで無く…テリュスもエリューンも、レジィリアンスの体験に役立つ手助けなど、出来そうに無かった。
エルデリオンも馬に乗り換え、横をラステルが併走し、付き添っていた。
ロットバルトがその前を、馬で走らせてる。
エルデリオンはチラ…と幾度も、背後に続くエウロペの、その後ろ。
レジィリアンスの様子に視線を送り…愛らしくも可愛らしい姿に、ぽっ…と頬を染め…。
けれどレジィリアンスが、体に残る自分の与えた感触を思い返す度、恥じ入るように顔を俯けるのを見て、気落ちした。
ロットバルトは背後のエルデリオンの、そんな様子に気づき
「彼の国では、考えつかない風習だと。
とっくにご存じの筈では?」
と囁きかける。
気づいたエルデリオンは、ため息交じりに頷く。
「…知って…いるのと、態度で見るのとは…まるで現実感が違う…。
優しくしたつもりだったんだけど…」
その気落ちした言葉に、ラステルは軽やかに告げる。
「我が国の少年なら、たいそう感激された事でしょうね。
けれど彼にとっては、強引に国から連れ去られ、更に花嫁と言う名の捕虜。
貴方に何をされても、拒絶できないと思ってる」
ロットバルトも頷く。
「我が国の少年ならば。
気に入らなければ、はっきり物を言う。
…が、王子である貴方に求められたら。
大抵の者は多少気に入らずとも、口を噤むでしょうな」
エルデリオンは不安そうに、前を駆けるロットバルトの背を見つめる。
「…つまり…少年は、私は中央王国〔オーデ・フォール〕でしか相手にしていないから…。
他国の…その風習の無い国の少年の扱いは、とても酷い…と…?」
ロットバルトと横のラステルが同時に頷くのを見て、エルデリオンは再び顔を下げ、ため息を吐いた。
間もなく泊まる予定の宿が見えて来る。
中央王国〔オーデ・フォール〕と森と花の王国〔シュテフザイン〕の、ちょうど境目にある、この森の中で一番大きな宿。
ラステルは宿の馬留に着くと、直ぐ馬を下り、エウロペに部屋の場所を告げた。
エウロペが直ぐ頷くのを見て、ラステルは尋ねる。
「ここに泊まった事が、おありで?」
頷くエウロペを見、ラステルはにっこり微笑む。
「では宿の中の、案内は不要ですね?
お食事はどうされます?」
けれどエウロペは、近くに馬を止め、降りている気品溢れるエルデリオンを見つめ、尋ねた。
「言われた部屋は、一番広くていい部屋でしょう?
本来彼が泊まるべき部屋では?
…それとも本来は護衛の従者の泊まる続き部屋に、エルデリオンは泊まられるのか?」
ラステルはやはり微笑む。
「続き部屋は、貴方方がお使い下さい。
私達はその横の、少し小ぢんまりした二番目にいい部屋を使いますので」
エウロペはその返答に、頷く。
「お心遣い、感謝する」
けれどラステルは、眉を下げた。
「…いえ…。
国王から、あくまで同盟は破棄する気は無いから、この無礼をなるべく許して貰え、事後、同盟関係が回復できるよう。
出来るだけ、丁寧な対応を心がけよと、命じられております」
エウロペは目を見開いた。
「…つまり、攻め入ったのはエルデリオンの独断…?」
ラステルは更に小声で囁く。
「…国王の許可は一応、取ってはおります。
が、我が国王も王妃も。
まさか本当に攻め入る程、ご子息がのぼせていらっしゃるとはお考え及ばず…。
つまり、戦の準備の途中で。
王子の熱も冷めると考えていらっしゃったので…」
エウロペはラステルを見た。
「…つまりそれ程…エルデリオンはレジィリアンスに、惚れ込んでいると…」
ラステルは苦笑した。
「まさしく、恋に狂ってる」
顔を下げるエウロペに、ラステルは気の毒そうに囁いた。
「お気持ち、分かります…。
ただ、我々としても…出来るだけレジィリアンス殿に、我が国の風習をご説明させて頂き…それでもお心が動かなければ、皆でエルデリオンを説得する心づもりです」
エウロペは、素っ気無く言った。
「嫌うほど、エルデリオンの事を知らない。
が、行為は嫌悪していらっしゃる」
「ごもっとも」
ラステルの即答に、エウロペもため息を吐いた。
ラステルがエルデリオンの元に行こうとするその背に、エウロペは声かける。
「…つまり貴方方は本来…」
ラステルは、直ぐ戻って来、エウロペの言葉を聞く。
エウロペはその明るい緑色の瞳を、飄々としたラステルの空色の瞳に向け、尋ねた。
「…中央王国〔オーデ・フォール〕王城に招き、レジィリアンスを落ち着かせてから…エルデリオンは口説くと。
そう考えていた」
「それくらいは…エルデリオンはこらえられると考えていた、我々が甘かった。
まさか馬車の中で早急に事に及ぶなど。
嫌われるのは当然」
が、言った後声をひそめ、内緒話のようにエウロペに顔を寄せる。
「…あれでエルデリオンは中央王国〔オーデ・フォール〕の、女性から少年に至るまで、こぞって皆の憧れの的。
本人はまさか自分に求められ、あれほど憔悴されるなんて、考えた事も無かったでしょうから…」
エウロペは、思い切り頷いた。
「ご説明、感謝する」
ラステルは自分達の王子に傷つけられた少年王子の、第一従者のその言葉に頷き、爽やかに笑った。
ただ…馬の鞍にお尻が当たる度、羞恥に頬を染める。
まさか…こんな所にエルデリオンの…男性自身を挿入されるなんて思ってもみなくて…赤面する度、テリュスもエリューンもこっそり視線を外す…。
デルデロッテはエリューンの横に馬を走らせていたけれど…かなり離れた位置から、レジィリアンスのそんな様子を伺った。
森と花の王国〔シュテフザイン〕の男は、そんな場所を男と使う。
なんて風習はまるで無く…テリュスもエリューンも、レジィリアンスの体験に役立つ手助けなど、出来そうに無かった。
エルデリオンも馬に乗り換え、横をラステルが併走し、付き添っていた。
ロットバルトがその前を、馬で走らせてる。
エルデリオンはチラ…と幾度も、背後に続くエウロペの、その後ろ。
レジィリアンスの様子に視線を送り…愛らしくも可愛らしい姿に、ぽっ…と頬を染め…。
けれどレジィリアンスが、体に残る自分の与えた感触を思い返す度、恥じ入るように顔を俯けるのを見て、気落ちした。
ロットバルトは背後のエルデリオンの、そんな様子に気づき
「彼の国では、考えつかない風習だと。
とっくにご存じの筈では?」
と囁きかける。
気づいたエルデリオンは、ため息交じりに頷く。
「…知って…いるのと、態度で見るのとは…まるで現実感が違う…。
優しくしたつもりだったんだけど…」
その気落ちした言葉に、ラステルは軽やかに告げる。
「我が国の少年なら、たいそう感激された事でしょうね。
けれど彼にとっては、強引に国から連れ去られ、更に花嫁と言う名の捕虜。
貴方に何をされても、拒絶できないと思ってる」
ロットバルトも頷く。
「我が国の少年ならば。
気に入らなければ、はっきり物を言う。
…が、王子である貴方に求められたら。
大抵の者は多少気に入らずとも、口を噤むでしょうな」
エルデリオンは不安そうに、前を駆けるロットバルトの背を見つめる。
「…つまり…少年は、私は中央王国〔オーデ・フォール〕でしか相手にしていないから…。
他国の…その風習の無い国の少年の扱いは、とても酷い…と…?」
ロットバルトと横のラステルが同時に頷くのを見て、エルデリオンは再び顔を下げ、ため息を吐いた。
間もなく泊まる予定の宿が見えて来る。
中央王国〔オーデ・フォール〕と森と花の王国〔シュテフザイン〕の、ちょうど境目にある、この森の中で一番大きな宿。
ラステルは宿の馬留に着くと、直ぐ馬を下り、エウロペに部屋の場所を告げた。
エウロペが直ぐ頷くのを見て、ラステルは尋ねる。
「ここに泊まった事が、おありで?」
頷くエウロペを見、ラステルはにっこり微笑む。
「では宿の中の、案内は不要ですね?
お食事はどうされます?」
けれどエウロペは、近くに馬を止め、降りている気品溢れるエルデリオンを見つめ、尋ねた。
「言われた部屋は、一番広くていい部屋でしょう?
本来彼が泊まるべき部屋では?
…それとも本来は護衛の従者の泊まる続き部屋に、エルデリオンは泊まられるのか?」
ラステルはやはり微笑む。
「続き部屋は、貴方方がお使い下さい。
私達はその横の、少し小ぢんまりした二番目にいい部屋を使いますので」
エウロペはその返答に、頷く。
「お心遣い、感謝する」
けれどラステルは、眉を下げた。
「…いえ…。
国王から、あくまで同盟は破棄する気は無いから、この無礼をなるべく許して貰え、事後、同盟関係が回復できるよう。
出来るだけ、丁寧な対応を心がけよと、命じられております」
エウロペは目を見開いた。
「…つまり、攻め入ったのはエルデリオンの独断…?」
ラステルは更に小声で囁く。
「…国王の許可は一応、取ってはおります。
が、我が国王も王妃も。
まさか本当に攻め入る程、ご子息がのぼせていらっしゃるとはお考え及ばず…。
つまり、戦の準備の途中で。
王子の熱も冷めると考えていらっしゃったので…」
エウロペはラステルを見た。
「…つまりそれ程…エルデリオンはレジィリアンスに、惚れ込んでいると…」
ラステルは苦笑した。
「まさしく、恋に狂ってる」
顔を下げるエウロペに、ラステルは気の毒そうに囁いた。
「お気持ち、分かります…。
ただ、我々としても…出来るだけレジィリアンス殿に、我が国の風習をご説明させて頂き…それでもお心が動かなければ、皆でエルデリオンを説得する心づもりです」
エウロペは、素っ気無く言った。
「嫌うほど、エルデリオンの事を知らない。
が、行為は嫌悪していらっしゃる」
「ごもっとも」
ラステルの即答に、エウロペもため息を吐いた。
ラステルがエルデリオンの元に行こうとするその背に、エウロペは声かける。
「…つまり貴方方は本来…」
ラステルは、直ぐ戻って来、エウロペの言葉を聞く。
エウロペはその明るい緑色の瞳を、飄々としたラステルの空色の瞳に向け、尋ねた。
「…中央王国〔オーデ・フォール〕王城に招き、レジィリアンスを落ち着かせてから…エルデリオンは口説くと。
そう考えていた」
「それくらいは…エルデリオンはこらえられると考えていた、我々が甘かった。
まさか馬車の中で早急に事に及ぶなど。
嫌われるのは当然」
が、言った後声をひそめ、内緒話のようにエウロペに顔を寄せる。
「…あれでエルデリオンは中央王国〔オーデ・フォール〕の、女性から少年に至るまで、こぞって皆の憧れの的。
本人はまさか自分に求められ、あれほど憔悴されるなんて、考えた事も無かったでしょうから…」
エウロペは、思い切り頷いた。
「ご説明、感謝する」
ラステルは自分達の王子に傷つけられた少年王子の、第一従者のその言葉に頷き、爽やかに笑った。
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