森と花の国の王子

あーす。

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陵辱

火花散る一瞬

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 馬車の真後ろを、ロットバルトとデルデロッテは馬を並べ、付き従う。
その後ろ。
レジィリアンスが窓から顔を出し、見える位置にエウロペが馬を走らせ、横にエリューン。
最後尾をテリュスが護っていた。

ラステルは馬車の前に馬を走らせ、数騎の部下を横に従わせていた。
不測の事態にいつでも部下に指示を出し、背後の大軍に伝令を送れるように。

その、数刻前から。
不穏な雰囲気を皆、馬車から感じていた。

デルデロッテは横の、ロットバルトを見る。
ロットバルトは小声で、背後にいる森と花の王国〔シュテフザイン〕の従者に聞こえぬよう、横のデルデロッテに体を寄せ、囁く。

「…エルデリオンの…あののぼせようじゃ、口づけぐらいは、されていよう…」
けれどデルデロッテの、目は鋭い。

暫くは高低差のある山道。
高い木々の間を走る。

道は細く、馬車の横に護衛らは、併走できない。

けれど突然。
「いやっ!!!…嫌!!!
止めて…!!!」

そのくぐもる鋭い叫び声が聞こえた途端。
エウロペが手綱を握り、はっ!!!と声の主。
レジィリアンスの方を髪を散らし、見入ると同時。
思いっきり馬の腹を蹴って拍車をかける。
エリューンも直ぐ、馬を急かすと同時。
剣の柄に、手をかけた。

ロットバルトは素早く馬を横に寄せ、馬車の横に駆けつけようとするエウロペの馬を阻む。
デルデロッテは剣の柄に手を添え、今にも抜きそうなエリューンの前に馬を強引に寄せ、阻んだ。
エリューンに振り向くと、鋭い濃紺の瞳を向け、同様剣の柄に、手を添える。

両国の従者らは一瞬、殺気をぶつけあった。

従者らの最後尾、テリュスは。
四頭の馬が目前を塞ぎ、抜け出る隙間を探し、必死に首を左右に振る。
が、道幅は狭く、隙間はまるで見つからず、唇を噛む。

道を外れ、木々の茂みに突っ込んで迂回しようと手綱握り、拍車かけようとした矢先。
エウロペの背中が告げる。
“私に任せろ!”

テリュスは拍車かけようとした足を止め、握り込んだ手綱から、力を抜いてため息吐いた。

エリューンは阻むデルデロッテを迂回し、馬車に駆けつけようと馬を急かす。
が、デルデロッテはさせまいと、再び馬をエリューンの進路に寄せて阻み、きつい濃紺の瞳で剣の柄に手をかけたまま、睨めつけた。

ロットバルトが一瞬エリューンに視線を送りながらも、エウロペを見据える。
エウロペは年若いエリューンが、凄腕の剣士デルデロッテに挑みかかるように、今にも剣を抜こうとする様に気づき、慌ててエリューンの横に馬を付け、低く抑えた声で囁く。
「剣を引け…!」

エリューンはデルデロッテを睨み付けたまま。
年上のエウロペの声を聞きながらも、デルデロッテを琥珀の瞳で睨めつけたまま、剣の柄に添えた手を、放さない。

「嫌…!嫌っ!!!
許…し…て………っ!!!」

その声が飛んだ時。
エリューンは一気に剣の柄を握り込み、エウロペは前を阻む、ロットバルトに射るような緑の瞳を投げた。

デルデロッテはチラ…!と視線をロットバルトに向け、この場を統べるロットバルトの判断を仰ぐ。

馬車の中では。

エルデリオンはレジィリアンスの中に挿入った快感に、脳を痺れさせていた。
きつく狭いそこは熱く、目の前で涙を頬に伝わせて身もがく、白く華奢な俊敏な体は愛おしく。
レジィリアンスが暴れる度、金の長い髪が激しく波打ち、愛らしい唇は真っ赤に染まりきる。

けれどレジィリアンスはそんな場所に異物を埋め込まれ、圧迫で息を詰まらせながらも叫んだ。

「嫌ぁっ!!!」

その鋭い叫びが聞こえた途端、ロットバルト自身も狼狽ろうばいした。
が、自分が崩れれば、斬り合いは必至ひっし

ロットバルトは必死に、殺気すら滲ませるエウロペの視線を真っ向から受け止め、見つめ返しいさめる。
エウロペの緑の瞳は、射抜くように鋭い。

エルデリオンはレジィリアンスのその声が耳に響いた時。
従者らにこの行為が知れ渡った事を、覚悟した。

もう殆ど、挿入はいっていた。
制止などあり得ない!!!

けれどこれ程激しく暴れられたら…!

レジィリアンスの柔らかな内壁を傷つけそうで、エルデリオンは咄嗟、レジィリアンスの股間を探り、彼の…半分萎えた男の印を握り込む。

「ぃや……………っ!」

羞恥に頬を染め、レジィリアンスはその手の感触に恥じ入る。
けれどエルデリオンはゆっくりレジィリアンスの男の印を手で愛撫し始め…レジィリアンスは快感にさらわれると、抵抗を止めた。

「…ぅ…んっ…」

その甘い呻き声を聴いた途端、ロットバルトは内心ほっとし、エウロペを真摯に見つめる。

「…っぁっ…」

レジィリアンスの甘い声が続き、そのさ中。
ロットバルトは説得するようにエウロペを見つめ続け、エウロペは瞳から鋭さを、徐々に消して行った。

前を護るラステルが気づき、馬車を止めようかと、馬をロットバルトの見える位置に移動させ、判断を仰ぐ。

ようやくその時、エウロペはふっ…と瞳からきつさを消し、顔を下げると。

まだ剣の柄を握り込み、殺気を込めてデルデロッテを睨めつける、エリューンに囁く。

「…柄から、手を放せ…」

エリューンは振り向くと、エウロペに異論を唱えるように、きつい琥珀の瞳を向けた。

顔を下げるエウロペの苦渋の表情を見た途端。
エリューンも顔を下げる。

“敗戦国…!
それは自分達の大切な王子がこんな扱いを受けても…止める事も出来ないのか…?!”

エリューンは結局、言われたとおり、沈んだ表情で柄から手を放す。
が『本意ではない』
と示すように。

きつい一べつを、デルデロッテに向けた。
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