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略奪
大国の従者と敗戦国の従者
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ロットバルトは手の込んだ彫刻の彫り込まれた、葡萄茶色の王室馬車の近くで。
自分の馬を引き、出発の準備を待っていた。
森と花の王国〔シュテフザイン〕の従者らが、王城玄関から近寄り来る。
一番年上で存在感のある、額の真ん中で分け、肩までの明るい栗毛を軽やかに揺らす、明るい緑色の瞳をした若者が、側にやって来ると名乗った。
「我が名はエウロペ」
ロットバルトは鷹を思わせる緑の射るような瞳のその若者を、ジロリと見、言葉を返す。
「ロットバルトと申す」
エウロペは頷くと、背後に従えた、二人の若者にチラと視線を送り、ロットバルトに紹介した。
「エリューンにテリュス。
我ら三名が、レジィリアンス殿の護衛として付き添う」
ロットバルトは兵らに手筈を指示するラステルに視線を向け、顎をしゃくり、そして次に。
建物の壁に背をもたせかけ、帽子のつばにその顔半分を隠す、デルデロッテにも視線を送る。
二人は直ぐ気づくと、ロットバルトに寄って来た。
「こちらがラステル。
手配役なので、必要な物事は彼に言えば、直ぐ手配させます。
そしてこちらが…」
エウロペは、素早くロットバルトの言葉を遮る。
「お会いするのは初めてだが、お噂は我が国にまで轟いている。
宮廷中の美女を独り占めする宮廷人でありながら、剛名を馳せる王子の護り刀、デルデロッテ殿ですね?」
他二人より、頭一つ抜きん出るほどの長身の美丈夫は、顔半分につば広帽子の影を落とし、頷く。
そしてチラ…とエウロペを見た。
自分より頭半分は低い背だが、この中では二番目の長身。
言葉こそ、褒めてるように聞こえる。
が、警戒するかのように隙を見せぬ気配に、デルデロッテは内心ため息を吐いた。
ロットバルトは二人に、彼の名を告げる。
「こちらは森と花の王国〔シュテフザイン〕の、エウロペ殿。
それにエリューン殿とテリュス殿だ」
栗毛を背まで流すエリューンは、エウロペよりは僅かに背は低いものの、均整の取れた体付きをしていた。
明るめの琥珀の瞳。
整いきった顔立ちは美しく、瑞々しい若者に見えた。
彼程感じの良い青年なら、殆どの女性はこぞって彼に、たいそう愛想良く振る舞うだろう。
横のテリュスは、エリューンより少し小柄。
金髪に近い明るい栗色巻き毛。
睫の長い、青い大きな瞳。
鼻髭と顎髭を蓄えていなければ、チャーミングなその顔は、女性に間違われたかもしれない。
「それで…」
エウロペが口を開いた途端、三人の大国の従者は彼を見つめた。
「レジィリアンス王子の荷物は、どちらに積めばよろめしいか?」
テリュスは背後で、大国の洗練された身のこなしの男達を前に、エウロペが少しも動じない姿に感嘆した。
彼らに比べれば、自分らは田舎者。
が、静かな野生がほのかに匂い立ち、しなやかで伸びやかな強さを滲ませるエウロペに、大国の従者らは無言で一目置いているのが、見て取れた。
“敵に回せば、厄介極まりない強敵。
が、味方にすればこれほど頼もしい男はいない”
彼らは無言で、その態度で。
そんな思惑を語っていた。
自分の馬を引き、出発の準備を待っていた。
森と花の王国〔シュテフザイン〕の従者らが、王城玄関から近寄り来る。
一番年上で存在感のある、額の真ん中で分け、肩までの明るい栗毛を軽やかに揺らす、明るい緑色の瞳をした若者が、側にやって来ると名乗った。
「我が名はエウロペ」
ロットバルトは鷹を思わせる緑の射るような瞳のその若者を、ジロリと見、言葉を返す。
「ロットバルトと申す」
エウロペは頷くと、背後に従えた、二人の若者にチラと視線を送り、ロットバルトに紹介した。
「エリューンにテリュス。
我ら三名が、レジィリアンス殿の護衛として付き添う」
ロットバルトは兵らに手筈を指示するラステルに視線を向け、顎をしゃくり、そして次に。
建物の壁に背をもたせかけ、帽子のつばにその顔半分を隠す、デルデロッテにも視線を送る。
二人は直ぐ気づくと、ロットバルトに寄って来た。
「こちらがラステル。
手配役なので、必要な物事は彼に言えば、直ぐ手配させます。
そしてこちらが…」
エウロペは、素早くロットバルトの言葉を遮る。
「お会いするのは初めてだが、お噂は我が国にまで轟いている。
宮廷中の美女を独り占めする宮廷人でありながら、剛名を馳せる王子の護り刀、デルデロッテ殿ですね?」
他二人より、頭一つ抜きん出るほどの長身の美丈夫は、顔半分につば広帽子の影を落とし、頷く。
そしてチラ…とエウロペを見た。
自分より頭半分は低い背だが、この中では二番目の長身。
言葉こそ、褒めてるように聞こえる。
が、警戒するかのように隙を見せぬ気配に、デルデロッテは内心ため息を吐いた。
ロットバルトは二人に、彼の名を告げる。
「こちらは森と花の王国〔シュテフザイン〕の、エウロペ殿。
それにエリューン殿とテリュス殿だ」
栗毛を背まで流すエリューンは、エウロペよりは僅かに背は低いものの、均整の取れた体付きをしていた。
明るめの琥珀の瞳。
整いきった顔立ちは美しく、瑞々しい若者に見えた。
彼程感じの良い青年なら、殆どの女性はこぞって彼に、たいそう愛想良く振る舞うだろう。
横のテリュスは、エリューンより少し小柄。
金髪に近い明るい栗色巻き毛。
睫の長い、青い大きな瞳。
鼻髭と顎髭を蓄えていなければ、チャーミングなその顔は、女性に間違われたかもしれない。
「それで…」
エウロペが口を開いた途端、三人の大国の従者は彼を見つめた。
「レジィリアンス王子の荷物は、どちらに積めばよろめしいか?」
テリュスは背後で、大国の洗練された身のこなしの男達を前に、エウロペが少しも動じない姿に感嘆した。
彼らに比べれば、自分らは田舎者。
が、静かな野生がほのかに匂い立ち、しなやかで伸びやかな強さを滲ませるエウロペに、大国の従者らは無言で一目置いているのが、見て取れた。
“敵に回せば、厄介極まりない強敵。
が、味方にすればこれほど頼もしい男はいない”
彼らは無言で、その態度で。
そんな思惑を語っていた。
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