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11話 因果応報過ぎた
しおりを挟む~3分前~
山田が走り出しマイルドや中村の居る資料室へと足を向かわせると扉を開く直前、後ろから追ってきたロリっ子が山田に声を掛ける。
「おーい!!そういえばなんだが!」
「これ、やるよ!」
と振り返った山田に見た事の無い腕輪を投げ付けた。
受け取ったのは水色の腕輪、中心部に埋め込まれたガラスには遺伝子のようなデザインが施されている。
山田は困惑するが、続けてロリが続ける。
「魔術式取りに来たんだろ?」
「初心者向けでもオーソドックスな物でも無いが、先程殺した奴が持ってたから戦利品だ。」
「魔術式が組み込まれているから『変身』と言えば、お前の魔力を使って使えるだろうよ」
「健闘を祈t...」
「うああああ助けてくれぇぇぇ」と2回目だが又山田は話を最後まで聞かずに走り出した。
~現在~
資料室に山田が合流すると他2人のイカレ男に見た事の無い化け物がおり、初めて見る形容し難い恐怖に山田は正気度を何故かそんなに失わなかった。(SAN値チェック:成功)
「一人は死にたがってるし、もう1人は目の前に化け物居るのにラーメン食ってるし」
「パニックも治まったわ」
正気を取り戻した山田は手に持っていた腕輪を直感的に自身の右腕に装着した。
死にたがりマイルドを横目に攻撃を仕掛けようとするが此処まで来るのに時間が掛かったのでマイルドのターン。
「俺を早く母さんの元に逝かせてくれ!!」
「《拳銃》で攻撃!!俺を殺しに来い«シャーノクル»!!失敗。」
撃った弾丸は的外れな方向へ飛び«シャーノクル»の防壁が破壊されることは無かった。
次の攻撃は中村、マイルドの近くまで来てラーメンを地面に置いて腕を捲ると拳を天に突き上げて言い放つ。
「死ねぇぇええええ!!!」(《拳》大成功)
「ぐぇぇええッ!!」
中村は自殺願望マイルドを後方の壁へと殴り飛ばし、山田の横を通り抜けて吹き飛んだマイルドは体が壁にめり込んだ。
耐久度が半分以上失われたので気絶しそうだったマイルドは持ち前の鍛え方により、気を失うことは無かった。
山田が振り返ると床に膝を突いて吐血しながら立ち上がろうとしているマイルド。
「ハァッハァ…何故死ねんのだ」
「目にゴミが入ったじゃないか…どうしてくれるんだ!!」
「これじゃあ俺を殺してくれる君の位置が分からないじゃないか!!」
「チッ、仕留め損ねたぜ」
「ラーメンマナーの恨みを拳に乗せたってのによう!!」
「バカか!!味方同士で殺しあってどうする!?」
「ま、まぁいいか…俺のターンだ」
「さっき貰った腕輪で……そう、変身ッ!!」
仮面ライダーの変身ポーズをして「変身ッ!!」と言った山田の腕輪が虹色に輝くとそれは一瞬にして体全体に広がり、光った山田の姿が変化する。
人間だった両腕は大きな白い翼に、中心からモッフモフの体になり、両足は鉤爪のある足になる。そして顔は左右270度回旋する首になり、山田悠斗はMP10消費して人間サイズ170cmの白いフクロウに成った。
自身の身体の変化にド肝を抜かれた山田は正気を失うことは無かったが、少し期待していた気持ちが下り坂に転がって行った気がした。
「フク……ロウ…フクロウだ」
「思ってたんと違う…なんか、こう、ガシャンガシャンッて強化外骨格が体の表面覆う的な」
「だって、え…俺フクロウだよ。MP11引く10使ってフクロウ。」
「えぇ……ポロッポォ。」
血反吐を吐きながら立ち上がった視界の悪いマイルドは前方に巨大な何かが居るような気配を感じる。
「なんだ?鳩の鳴き声が聴こえた気がするが、嫌な予感しかしないので目は閉じておこう。」
此処で«シャーノクル»の攻撃、近くで話していた中村へと狙いを定めて精神攻撃の呪文を唱えようとした次の瞬間、突然周囲の壁や床に天井、家具等全ての物に一瞬で霜が付いた。
そして間髪入れずに山田が入って来た扉側から瞬きの間に床一面が凍り、この場にいる«シャーノクル»を含めた誰もが足を地面に固定され身動きが取れなくなった。
『……。』パリンッ
「…s共が。」
«シャーノクル»の魔力防壁がパリンッと割れる音の後、壁越しの廊下から聴こえる微かな声は山田が知っている物であり、恐らく山田が話を聞かずに去って行った腹いせで床全体に氷系魔術を使ったのだろうと山田は考える。
「うん、話聞いて欲しい年頃だもんね」
「でもちょっと腹いせにしてはやり過ぎかなぁ」
攻撃前の«シャーノクル»は突然視覚外からの攻撃により魔力防壁の破損、更に床の氷により浮いていた筈の数十本の足を氷で絡め取られ行動不能。マイルド、山田、中村も全員膝下まで足を氷で固定され立ったままで出来る行動のみ可能、そして回避が不可能となった。
次は自殺癖マイルドのターン。
「俺のターン、何故か足が動かない…が、関係無い。今の俺には自殺しか考えられない!!生きるなんてクソだ!!人生なんて!!」
と言って自身の顳顬に拳銃の銃口を押し当てトリガーに手を掛ける。しかし、マイルドは突然銃口を離して高らかに笑い始めた。
その表情は悪魔的で笑い声は酷く狂気を感じてしまう。
「クククッ、HAHAHAッ!!どうせ…どうせ死ぬんだ、どうせ死ぬんだったらサァ!!」
「お前らも死んじまえよ!!」
「ヤバいって!!足凍って逃げられねえんだって!!」
「喰らえ!!魔術【バレッド】…成功」
「ク、クハハハッ死ねぇ、皆殺しだ!!」バンバン
マイルドは天井や壁のあらゆる方向へ目を瞑ったまま全弾を放ち、その弾丸全てが魔術【バレッド】を付与されており更にマイルドが反射方向をしていない為に資料室内で凄まじい反射を繰り返している。それは未だ1度も敵や山田や中村に当たる事無く跳弾を繰り返していたがマイルドの「解除」という声に合わせて運が悪かった者へと飛んで行く。
そう…それは、中村だった。室内で反射し続けた凶弾達が中村へと飛び込み、足を固定された中村は回避が出来ず全弾を全身で受け止め即死した。
「な、中村~~」
「すっっっごい因果応報過ぎる」
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