FUCK LIFE !!

週刊 なかのや

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10話 «シャーノクル»

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目の前で山田が叫んで出て行った後、残った何者かは困惑していた。

「は、え?え、一時的狂気なのか?」
「話途中なんだが…?」

~20分前~
一方その頃マイルドと中村、20分程時間が戻り山田と別れたタイミング。

「よし、山田は魔術式を拾ってくる…で、中村君きみは何者なんだい?」

「ラーメンを食う事に人生は賭けていないがラーメンは最高だ、よって俺はマナー違反では無い!!」

「このバカ、脳死んでんだろ」
「中村君、さっきも言ったが資料室に行こう」

「オッケー」

「軽っ」
「まぁ行きますか。」

山田と逆方向の扉を開いて2人は資料室へ足を踏み入れる。

マイルド達が扉を開け資料室内に入ると、様々な資料が床や机に散乱し荒らされた形跡が見て取れる。
荒らされた様子は在るが、どうやら荒らしたのは逃げ出した化け物では無さそうだ。

「荒れているが此処を荒らしたのは人間のようだな…机の上にあるコーヒーカップや筆記用具は散乱していない。」
「化け物が荒らしたと考えるなら資料以外の物も破損したり元あった場所から吹き飛んでる筈」

「インスタントラーメンは…無いか」

資料棚を見たマイルドは気が付く。
主に賞金首、過去に犯罪歴のある魔術師をまとめた資料が元あった位置からズレ、周りに散乱した物はそれを気付かせない為のブラフだと。

「此処を荒らした者は何らかの資料を探しに来たのだろう。」
「ココを見ろ、イージスが管理する魔術師の資料が置かれた所……賞金首、犯罪歴のある者。そうか色々な場所に資料が散乱しているのは何を探しに来たのかを隠す為」
「木を隠すなら森の中と云うしな…」

「ふむ、カップ麺が常備されていない。これは会社として良くない…労働基準監督署に通報だ」

「そんなことで通報するな」
「本っ当にラーメンのことしか考えてないのか」
「…?」

マイルドが地面に違和感を感じて、地面を見ると今自身が立っている箇所や左右の資料棚下にコップ1杯程の水が溜まっていた。

「何だこの水…微量の魔力が有るな」
「何処から来た?いや荒らした奴が持って来たのか?だが一体何の為に…」

不意に中村が言い放つ。

「隣の部屋に山田の他にもう1人居るけど、知り合い?」
「俺は今日一人で此処に来たけど先に誰か居たのかな」

「いや化け物が研究所から逃げ出したので中村君も来たんだろ?」
「俺の魔力感知に引っかかった同じイージス所属魔術師は君一人だけだね」

「俺もラーメンを食ってウロウロしてたけど誰も居なかったし、俺が来てから君達が来るまで資料室は鍵が掛かってたのか開かなかったよ」

中村の話を聞きつつ考えをまとめようとしているマイルドの背後に何か視線を感じる。

「……ちょっと待て。後ろに何か居ないか?」

「俺はラーメンに夢中だ」
「振り返るけどね」

嫌な予感を感じつつ2人が振り返るとそこに居たのはブヨブヨの肉塊に無数の白目が無い暗闇の目玉、3m程ある首が延長された尻尾にはムカデのような足が数十本もカサカサと宙に浮く体を支えようと意味も無く蠢いている。
(SAN値チェック)

「俺コイツ資料で見たことあるな…«シャーノクル»だ。」
「見たことあるからッ!見たことあるから大丈b…じゃなかった失敗した!!」
「ぐぁあああ!!死にたくなってきたぁ!俺はもう死にたいんだ!!!」

「隣で狂気に呑まれている人が居るけど俺はラーメンマン。こんな化け物初めて見るが…失敗した。」
「うああああ!!隣のマイルドとは違って《アイディア》に失敗したから大丈夫だ」

「し、死にたい!!!誰か俺を殺してくれぇえええ」

「え、本当に先輩??」
「あラーメン食お」

戦闘開始。
死にたがりマイルドの脳内資料から抜粋。
«シャーノクル»
・声の聴こえる方を優先して攻撃する習性あり
・魔力による防壁が有り、防壁に装甲は無い
・魔力防壁破壊後、直接シャーノクルへ攻撃を通す事が出来るようになるが時間経過で再度防壁を生成する。
・シャーノクル本体は此方へ直接的な物理攻撃は行わないが精神攻撃が多く正気度を失わせる攻撃を得意とする
・耐久度は他に比べ少ないと感じる

「俺が1番五月蝿い筈だ!俺を殺せ!」バンバン

最初はマイルドの攻撃。懐から出した拳銃を目の前の敵に放つが、防壁を傷付け本体にダメージは無い。
次に中村、しかし中村はラーメン補給で忙しくそれどころでは無い。

「ラーメン!ラーメン!!」ズルルルッ

「こんな状況でラーメンだと!?」
「なんか似てる気がするが、死にたいんだ!!」

次に攻撃をしたのは«シャーノクル»。
無音で頭をマイルドに向け、呪文を唱えマイルドを発狂させようとするが失敗し死にたがりが死にたがりをしている。
今資料室の中は天井スレスレの体躯を持つ化け物とラーメンを啜る中村、自殺願望に取り憑かれたマイルドが拳銃を乱射している状況。
そんな状況下にパニック状態で別部屋から走って来た山田が合流する。

「死にたいんだァァァ!!」

「ラーメン美味ぇ!!」ズルルルルル

『……。』«シャーノクル»

「誰か助けてえぇええ!!え、え。え?」
「え待って、どういう状況??」




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