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7話 え、またなんかしちゃいました?
しおりを挟むマイルドの持った拳銃の矛先が食屍鬼から山田の方向へと向かい攻撃を仕掛ける。
「《拳銃》で風穴空けちゃうよ~ん」
「あ、失敗した」
拳銃から放たれた銃弾は狙った箇所から大きく外れ、壁や床に突き刺さる。精神支配はマイルドの中で未だ完全に乗っ取ったとは言えないのだろう。
「このマイルド寝返りムーブはいつまで続くんだ??」
「俺一人で2人相手は回避率が高くてもジリ貧な気がする」
「グヘヘ、貴様の有給休暇を全て任務で埋めてやろう…。」
「帰る必要は無い、終電?始発?乗らなければ金が掛からなくて貯金が出来るじゃないか…会社としても通勤費を出さなくていいからウィン・ウィンの関係だ」バンッバンッ
『グォオオ泣』
「ブラック企業の上司じゃん」
「いや敵も泣いてる!!やめてあげてねーん」
「そんなこと言ってる場合じゃない、精神支配なら頭に衝撃を与えて無理矢理もいけるのか」
話の最中だとしてもマイルドの凶弾は山田の頬を掠め取り、命中精度も時間が経つにつれて正確になっていく。
「すまんマイルド、お前の為なんだ我慢してくれ!!」
山田の上段回し蹴りがマイルドの頭に直撃する。だが体重も身長差もあるマイルドの体はほぼ動くこと無くその場で受け止める、ダメージは少ないように感じる。
「くそッ、なんて首してやがる…へし折るつもりで蹴ったのに微動だにしてない」
「何食ったらそんな体になるんだ」
「カフェオレと餃子だ」
「ギョウ…ザだと…」
「そう、俺…マイルド・カフェ・ヲーレは魔術師で在りながら魔術より拳銃や小型の爆弾を使って戦闘をする魔術師である為、その場で何かを《製作》することに優れている」
「俺は《製作》を使用する際、仕事の中よくその場の物で何かを作り使用して敵と渡り合って来た為に初期値に+40%成功確率が上がり、更にスタングレネード若しくはスモークグレネードではれば更に+20%され、餃子であれば100%になり自動成功で餃子を作れる!!」
「なん……だと…。」
「俺が本当の餃子という物を食わせてやろう。」
「食らえ俺の餃子!!」
「何故このタイミングで餃子を…しかも種から作るのか!?」
マイルドは狂気に満ちた笑を浮かべながら何処から取り出したのか腰程の高さがある机と電子レンジ、カセットコンロ、フライパン、ボウル2つ、まな板と包丁を目の前に用意すると、今度は瞬きの間に鞄から材料を取り出した。
机に並んだ食材は以下の物。
・豚挽き肉 100g
・白菜 100g
・赤しそ 3枚
・餃子の皮
・片栗粉
・調合済みの調味料(白だし、醤油、みりん、砂糖、鶏がらスープの素、ニンニク、生姜、水)
・胡椒
・油
・水
マイルドは、まな板の上に載せた白菜を目にも留まらぬ速さで粗い微塵切りにし、レンジで2分程加熱後に冷まし水気を取り除く。ボウルに先程の白菜、赤しその千切り、豚挽き肉と調合済み調味料、胡椒を目分量、繋ぎに片栗粉を入れ、よく混ぜ混ぜし、出来上がった餡を餃子の皮に乗せると淵に水を付けて包みこむ。
流れるようにフライパンへ油を引き、餃子を並べて火をつける。焼き始めから数分後、少量の水を加え蓋をして強火で5分蒸し焼き。
蓋を外した後は更に水気が飛ぶまで焼いて完成した餃子をマイルドが山田に見せつける。
「これが餃子だ!!」
「どうだ食いたいだろう…グヘヘェ」
「くっ…(食欲に)負けて……たまるかッ」
焼き立て餃子の香ばしい匂いが鼻腔を擽り、山田はマイルドの持つ餃子を見て生唾を飲み込む。
同じくして料理中、一切攻撃を仕掛けていなかった食屍鬼は3人分の皿と箸を用意してマイルドの餃子を待っていた。
床に並べられた皿にマイルドが餃子を並べ、上から醤油と辣油を適量かけると食屍鬼が餃子を箸で上品に取って口へ運ぶ。
『グォオ!(たぶん、いただきます)』
『グォオオ!(たぶん、歓喜)』
「美味すぃーーーー!!」
「グヘヘェ、俺の…餃…ざ、は…うん?」
「何故今俺は餃子を手に?」
正気を取り戻したマイルドの傍に餃子を貪るように食べる2人の男、片方は山田…もう1人は食屍鬼。敵である彼は餃子を美味しそうに頬張り、マイルドの方を向くと『美味い料理をご馳走様』だと言うかのように腹を手で摩るが食屍鬼が何をしているのか分かっていないマイルドは精神攻撃を受ける前、1度攻撃を受け止めた際に魔力感知で弱点を見付けていたので拳銃を取り出すとそのまま弱点に照準を合わせて、連射…計10発の弾丸が食屍鬼に深々と突き刺さると、食事中の山田と何も分かっていないマイルドの眼前で食屍鬼は木っ端微塵に消し飛んだ。
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