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第2話 『娯楽部へようこそ!!』
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遊び場
著者:ピラフドリア
第2話
『娯楽部へようこそ!!』
「いや、私は娯楽部じゃなくて……」
私は違うと言おうとしたが、
「問答無用!!」
紫髪の子は私を教室に押し込むと、小さな座布団を引き座らせる。
教室の机や椅子は少し退けてあるため、4人の座るスペースができていた。
紫髪の子は眼鏡を指でクイっと上がると、不敵に笑う。
「ふふふふふ~、この娯楽部の伝統的な試験を皆は覚えているか」
おそらくこの部活の部員なのだろう。オレンジ髪の長髪の子は、
「あ、覚えてるぜ! ナツミが弱いやつだろ」
そう、眼鏡の子に言った。
「わしゃー! よわいじゃとぉー!!」
それに反応してナツミと呼ばれた子は立ち上がり、オレンジ髪の子に喧嘩腰になる。
「アキ。お前さんには勝ったことはぁない。だが!新人くらいなら潰せる!!」
そう言い、私のことを指さした。
それに対して、オレンジ髪の子は小さな声で言う。
「新人潰しのナツミ」
そんなふざけたテンションの中、私は一人、ポカンとしていた。
「それで、早くやりましょ」
二人の流れを切るように青髪で前髪が目にかかりそうなくらい長い子が言う。
落ち着いた雰囲気の子だ。
私はこのタイミングで勘違いだと言おうとするが、その前に眼鏡の子が私たちの中心にトランプを置く。
「よし、今から神経衰弱をする!!」
そして眼鏡の子は私に顔を近づける。
「この部長である私を倒してみるが良い!!」
私とナツミの一騎打ちのようだ。
「い、いや、私……」
ここで言わないと、勘違いであることを言わないと……。
私は大きく息を吸う。そして、
「私、違う部活に入ろうとしててんです!!」
その言葉に三人の動きは止まる。
まるで石のように、固まってしまった。
「い、いま、なんて、言った?」
ナツミがガタゴトで私の言ったことを確認する。
「私、他の部活に入ろうと……」
三人は凍りつく。
まるで冷蔵庫の中に放り込まれた冷凍食品のように。カッチカチに固まってしまった。
「で、では、私はこれで……」
私は立ち上がり、教室から出ようとする。
しかし、
私の足は重くなる。
そう、足元に三人がしがみついてきたのだ。
「待ってくれ!! 入ってくれ!! このままじゃ、この部活は廃部になっちまうんだーー!!」
そう、泣きそうな顔でナツミは頼み込んでくる。
残りの二人も必死な表情だ。
「いや、でも、私は……」
「頼む!! 入ってくれれば友達になってやるから!!」
「う!」
なんだと、それは……。
「私と勝負して勝ったら、好きにして良いからさー!!」
私は足を止めた。
「良いでしょう!! やりましょう!!」
【後書き】
友達が欲しい子。
著者:ピラフドリア
第2話
『娯楽部へようこそ!!』
「いや、私は娯楽部じゃなくて……」
私は違うと言おうとしたが、
「問答無用!!」
紫髪の子は私を教室に押し込むと、小さな座布団を引き座らせる。
教室の机や椅子は少し退けてあるため、4人の座るスペースができていた。
紫髪の子は眼鏡を指でクイっと上がると、不敵に笑う。
「ふふふふふ~、この娯楽部の伝統的な試験を皆は覚えているか」
おそらくこの部活の部員なのだろう。オレンジ髪の長髪の子は、
「あ、覚えてるぜ! ナツミが弱いやつだろ」
そう、眼鏡の子に言った。
「わしゃー! よわいじゃとぉー!!」
それに反応してナツミと呼ばれた子は立ち上がり、オレンジ髪の子に喧嘩腰になる。
「アキ。お前さんには勝ったことはぁない。だが!新人くらいなら潰せる!!」
そう言い、私のことを指さした。
それに対して、オレンジ髪の子は小さな声で言う。
「新人潰しのナツミ」
そんなふざけたテンションの中、私は一人、ポカンとしていた。
「それで、早くやりましょ」
二人の流れを切るように青髪で前髪が目にかかりそうなくらい長い子が言う。
落ち着いた雰囲気の子だ。
私はこのタイミングで勘違いだと言おうとするが、その前に眼鏡の子が私たちの中心にトランプを置く。
「よし、今から神経衰弱をする!!」
そして眼鏡の子は私に顔を近づける。
「この部長である私を倒してみるが良い!!」
私とナツミの一騎打ちのようだ。
「い、いや、私……」
ここで言わないと、勘違いであることを言わないと……。
私は大きく息を吸う。そして、
「私、違う部活に入ろうとしててんです!!」
その言葉に三人の動きは止まる。
まるで石のように、固まってしまった。
「い、いま、なんて、言った?」
ナツミがガタゴトで私の言ったことを確認する。
「私、他の部活に入ろうと……」
三人は凍りつく。
まるで冷蔵庫の中に放り込まれた冷凍食品のように。カッチカチに固まってしまった。
「で、では、私はこれで……」
私は立ち上がり、教室から出ようとする。
しかし、
私の足は重くなる。
そう、足元に三人がしがみついてきたのだ。
「待ってくれ!! 入ってくれ!! このままじゃ、この部活は廃部になっちまうんだーー!!」
そう、泣きそうな顔でナツミは頼み込んでくる。
残りの二人も必死な表情だ。
「いや、でも、私は……」
「頼む!! 入ってくれれば友達になってやるから!!」
「う!」
なんだと、それは……。
「私と勝負して勝ったら、好きにして良いからさー!!」
私は足を止めた。
「良いでしょう!! やりましょう!!」
【後書き】
友達が欲しい子。
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