16 / 115
第1話 【裏か表か】
しおりを挟む
せかへい 外伝8
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第1話
【裏か表か】
エリスは王国にある宿でベッドに横になっていた。
エリスはオーボエ王国にある王立魔法学園に通う学生である。普段はこの王国にある宿を借りて住んでいる。
オーボエ王国は笛のように高い建物が並ぶ国であり、エリスが泊まっている宿も上に長い建物である。
エリスはそんな宿の3階にある部屋に泊まっている。この宿は学園に徒歩5分で着ける便利な場所だ。
王国の中心に近いということもあり、値段は結構高いがその分快適に暮らしている。
そんなエリスに不満があるとすれば、ちょっと寂しいということくらいだ。
今日はすでに授業を終えている。しかし、夕飯にはまだ時間があり、少し暇な時間でもあった。
エリスが王国に来た理由は、あるものを手に入れるためである。しかし、そのための計画は順調に進んでいる。
これ以上焦る必要もない。
エリスは何かないかと、ベッドの上で手を伸ばす。
すると、あるものがエリスの手に触れた。
それはひんやりしていて硬い。手に取るとそれは平たく丸い、親指よりも少し大きい程度。
「あ~、さっきのお釣りか」
それはこの王国で通貨として使われている金貨である。
夕食を購入した時のお釣りであり、帰ってきた時にその辺に置いていたのが、近くにあったのだ。
エリスはそれを手に取ると、ベッドを椅子にして座る。
そして金貨を見つめた。
金貨には模様が彫られており、裏表で絵柄が違う。
エリスはそれを手に持つと、手の甲を上にして指で器用に金貨を転がした。
「…………」
エリスは一人無言で、そうやって金貨を転がした後、金貨を親指に持ってくる。
──私の望みは叶うか、ちょっとした占い──
エリスはそんなことを思いながら、金貨を親指で弾いた。
金貨は空中で回転し、やがてエリスの手に落ちてきた。
エリスは左手の手の甲で金貨をキャッチすると、右手で押さえた。
そしてゆっくりと右手をどかして、金貨ぎ裏か表か確かめる。
その結果は…………
「…………」
裏である。
しかし、エリスは左手に金貨を乗せたまま、右手で金貨をひっくり返す。そして無理やり表にする。
そうしてしばらく金貨を見つめた後、エリスは金貨を適当にその辺に捨てると、立ち上がった。
「よっ~し、ご飯食べよ~っと」
そう言うと、エリスはリビングへと向かっていった。
エリスが捨てた金貨はベッドの上でバウンドして、そのままベッドの壁の隙間に落ちる。
そして地面に落ちて、音を立てながら回転した後、金貨は裏になってその場に落ちた。
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第1話
【裏か表か】
エリスは王国にある宿でベッドに横になっていた。
エリスはオーボエ王国にある王立魔法学園に通う学生である。普段はこの王国にある宿を借りて住んでいる。
オーボエ王国は笛のように高い建物が並ぶ国であり、エリスが泊まっている宿も上に長い建物である。
エリスはそんな宿の3階にある部屋に泊まっている。この宿は学園に徒歩5分で着ける便利な場所だ。
王国の中心に近いということもあり、値段は結構高いがその分快適に暮らしている。
そんなエリスに不満があるとすれば、ちょっと寂しいということくらいだ。
今日はすでに授業を終えている。しかし、夕飯にはまだ時間があり、少し暇な時間でもあった。
エリスが王国に来た理由は、あるものを手に入れるためである。しかし、そのための計画は順調に進んでいる。
これ以上焦る必要もない。
エリスは何かないかと、ベッドの上で手を伸ばす。
すると、あるものがエリスの手に触れた。
それはひんやりしていて硬い。手に取るとそれは平たく丸い、親指よりも少し大きい程度。
「あ~、さっきのお釣りか」
それはこの王国で通貨として使われている金貨である。
夕食を購入した時のお釣りであり、帰ってきた時にその辺に置いていたのが、近くにあったのだ。
エリスはそれを手に取ると、ベッドを椅子にして座る。
そして金貨を見つめた。
金貨には模様が彫られており、裏表で絵柄が違う。
エリスはそれを手に持つと、手の甲を上にして指で器用に金貨を転がした。
「…………」
エリスは一人無言で、そうやって金貨を転がした後、金貨を親指に持ってくる。
──私の望みは叶うか、ちょっとした占い──
エリスはそんなことを思いながら、金貨を親指で弾いた。
金貨は空中で回転し、やがてエリスの手に落ちてきた。
エリスは左手の手の甲で金貨をキャッチすると、右手で押さえた。
そしてゆっくりと右手をどかして、金貨ぎ裏か表か確かめる。
その結果は…………
「…………」
裏である。
しかし、エリスは左手に金貨を乗せたまま、右手で金貨をひっくり返す。そして無理やり表にする。
そうしてしばらく金貨を見つめた後、エリスは金貨を適当にその辺に捨てると、立ち上がった。
「よっ~し、ご飯食べよ~っと」
そう言うと、エリスはリビングへと向かっていった。
エリスが捨てた金貨はベッドの上でバウンドして、そのままベッドの壁の隙間に落ちる。
そして地面に落ちて、音を立てながら回転した後、金貨は裏になってその場に落ちた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ショボい人生からの異世界転移〜チートスキルが10円玉召喚ってどういうこと!?〜
後藤権左ェ門
ファンタジー
ショボい人生からの異世界転移、略して『ショボ転』
生まれた時からショボい人生を歩んできた子甫 伊人(しほ いひと)は不慮の事故で亡くなり異世界転移することに。
死因はうめぇ棒? チートスキルは10円玉召喚? いくらなんでもショボ過ぎない?
異世界転移でショボい人生は変わるのか!?
ショボい人生からの異世界転移、開幕!!
※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる