9 / 12
第9話 『激辛の湯』
しおりを挟む
銭湯マスター
著者:ピラフドリア
第9話
『激辛の湯』
残るメンバーはナガオ、ハヤオ、アツギの三人である。この3名は湯船に肩まで浸かっていた。
「兄貴……」
ハヤオがナガオの方を向く。
「ふ、なかなか長く入れるようになったじゃないか」
ナガオはハヤオの方を向くと、こうして一緒に銭湯に浸かっていることを嬉しそうに言った。
ナガオとハヤオは兄弟である。
ナガオは赤ちゃんの頃から長風呂で、ハヤオは赤ちゃんの時から早風呂だった。
しかし、ハヤオの早風呂は通常の早風呂とは違う。入ったらその瞬間にすぐに出てしまう。
1秒も入っていることができなかったのだ。
謎そうなったのか。その理由は分からない。
ナガオはある時にその理由を知るために、ハヤオを寺に連れて行ったことがある。その時は何かに取り憑かれていると言われた。
だが、そんなのは嘘だとすぐに分かった。
だとしても、なぜすぐに出てしまうのか。その謎は解明されない。
だが、ハヤオは兄であるナガオと長い時間湯船に浸かるのが夢だった。
学校帰りの銭湯で兄弟二人で雑談をしながらゆっくり過ごす。それがハヤオの些細な夢であった。
それを知ったナガオはハヤオを連れて銭湯に毎日のように通うようになった。それはハヤオの訓練のためである。
ハヤオはやがて少しずつではあるが、湯船に浸かることができるようになっていった。
そしてハヤオはやっと一人前の銭湯好きになれたのだ。今では5分くらい入ることができるようになった。
しかし、それと同時にナガオも銭湯に浸かることが多かった。
ハヤオが出てからも一人で入り続けているうちに、ナガオさいつしか地元一の長風呂マンになっていたのだ。
そんなナガオにある手紙が届いた。
それは銭湯グランプリへの招待状である。
ナガオはハヤオと共に銭湯グランプリに出場することにした。
それはハヤオもそれなりに入れるようになったという自信をつけさせるため、そして自分が優勝するためである。
だが、会場に向かう途中、ある男に出会った。
その男はスーツ姿にサングラス。オールバックの髪型の男である。
奴が現れたのは、ハヤオがトイレに行っている間。
ナガオがトイレの前で待っている時に現れた。
「貴様がフロ・ナガオだな」
「ああ、そうですけど……どちら様でしょうか?」
「俺か? 俺はオーバーバス…………とでも名乗ろうか」
オーバーバスと名乗った男は、近くの壁に背中をつけて寄っかかる。
「えっと、何か用なんですか?」
ナガオが聞くと、オーバーバスはニヤリと笑った。
「そうだな……」
続く
著者:ピラフドリア
第9話
『激辛の湯』
残るメンバーはナガオ、ハヤオ、アツギの三人である。この3名は湯船に肩まで浸かっていた。
「兄貴……」
ハヤオがナガオの方を向く。
「ふ、なかなか長く入れるようになったじゃないか」
ナガオはハヤオの方を向くと、こうして一緒に銭湯に浸かっていることを嬉しそうに言った。
ナガオとハヤオは兄弟である。
ナガオは赤ちゃんの頃から長風呂で、ハヤオは赤ちゃんの時から早風呂だった。
しかし、ハヤオの早風呂は通常の早風呂とは違う。入ったらその瞬間にすぐに出てしまう。
1秒も入っていることができなかったのだ。
謎そうなったのか。その理由は分からない。
ナガオはある時にその理由を知るために、ハヤオを寺に連れて行ったことがある。その時は何かに取り憑かれていると言われた。
だが、そんなのは嘘だとすぐに分かった。
だとしても、なぜすぐに出てしまうのか。その謎は解明されない。
だが、ハヤオは兄であるナガオと長い時間湯船に浸かるのが夢だった。
学校帰りの銭湯で兄弟二人で雑談をしながらゆっくり過ごす。それがハヤオの些細な夢であった。
それを知ったナガオはハヤオを連れて銭湯に毎日のように通うようになった。それはハヤオの訓練のためである。
ハヤオはやがて少しずつではあるが、湯船に浸かることができるようになっていった。
そしてハヤオはやっと一人前の銭湯好きになれたのだ。今では5分くらい入ることができるようになった。
しかし、それと同時にナガオも銭湯に浸かることが多かった。
ハヤオが出てからも一人で入り続けているうちに、ナガオさいつしか地元一の長風呂マンになっていたのだ。
そんなナガオにある手紙が届いた。
それは銭湯グランプリへの招待状である。
ナガオはハヤオと共に銭湯グランプリに出場することにした。
それはハヤオもそれなりに入れるようになったという自信をつけさせるため、そして自分が優勝するためである。
だが、会場に向かう途中、ある男に出会った。
その男はスーツ姿にサングラス。オールバックの髪型の男である。
奴が現れたのは、ハヤオがトイレに行っている間。
ナガオがトイレの前で待っている時に現れた。
「貴様がフロ・ナガオだな」
「ああ、そうですけど……どちら様でしょうか?」
「俺か? 俺はオーバーバス…………とでも名乗ろうか」
オーバーバスと名乗った男は、近くの壁に背中をつけて寄っかかる。
「えっと、何か用なんですか?」
ナガオが聞くと、オーバーバスはニヤリと笑った。
「そうだな……」
続く
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる