銭湯マスター

ピラフドリア

文字の大きさ
上 下
4 / 12

第4話 『ライバルの湯』

しおりを挟む
銭湯マスター



著者:ピラフドリア



第4話
『ライバルの湯』



 シタベーが次の選手を紹介する。



「おーっと、次に現れたのは自称ぬるま湯ならいつまでも入っていられる。ヌル選手だぁー!!」



 ヌルは観客に手を振りながら、現れた。



 ヌルのすぐ後ろに並んで、黄色い髪で髪がまるで塔のように高く立っている凄い髪型の男が入ってきた。



 男は観客席を舐め回すような目線で見渡す。



「ぐへへ~、これで優勝してオデはかっこいいところを見せて、ロリコンの少女を手に入れるのだ」



 その男のことをシタベーは紹介する。



「このキモい男はチョウデン・ロリコン・ボンバー!! チョウデン家の長男であり、弟であるチョウデン・ビリビリ・ボンバーは世界最高権力を持つ世界政府の役人、三十使の一人である!!」



 チョウデン家。それは銭湯グランプリに何度も名を残している家系である。



 銭湯流拳法を継承しており、その実力は闇世界の暗殺部隊でも使われている特殊拳法。



 チョウデン家には銭湯マスターの称号を得たあと、世界政府に遣えるという使命がある。
 代々、世界の中枢の警護を続け、その実力で世界に平和をもたらしてきた。



 しかし、チョウデン・ロリコン・ボンバーは引きこもりであった。



 小学生の頃に好きな子にフラれてしまったとこから、彼は引きこもりになってしまったのだ。
 長い間、家のお風呂に浸かり、長い年月を家で過ごしてきた。



 そんなことをしているうちに、弟であるチョウデン・ビリビリ・ボンバーは数年前の大会で優勝した。
 その後、世界の王にも認められて、世界の政府の三十使となったのだ。



 彼は弟との力の差を感じ、さらに家の風呂に長く入るようになった。



 だが、ある時彼に転機となる事態が起こった。



 それは弟からの手紙であった。



 いつからだろうか。彼は弟から距離を置いていたのは……。



 内容はただの最近の話。仕事や私生活、そんな話であった。



 だが、そんな手紙がチョウデン・ロリコン・ボンバーにとってはとても輝いたものに見えた。



 気がついたら、彼は外に出ていた。



 遅れを取り戻そうと、弟の後を追うように……。






 チョウデン・ロリコン・ボンバーは観客席を見る。だが、そこに弟の姿はない。
 それもそうだ。今日は重要な任務があると言っていた日だ。



 そんな日に現れるはずがない。いや、来なくて良い。



「オデは兄貴だ。今はお前より遅れた場所にいるかもしれない。だが、すぐに追いついてやる。待ってろ」



 チョウデン・ロリコン・ボンバーは先へと進んだのであった。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

学園長からのお話です

ラララキヲ
ファンタジー
 学園長の声が学園に響く。 『昨日、平民の女生徒の食べていたお菓子を高位貴族の令息5人が取り囲んで奪うという事がありました』  昨日ピンク髪の女生徒からクッキーを貰った自覚のある王太子とその側近4人は項垂れながらその声を聴いていた。  学園長の話はまだまだ続く…… ◇テンプレ乙女ゲームになりそうな登場人物(しかし出てこない) ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...