銭湯マスター

ピラフドリア

文字の大きさ
上 下
2 / 12

第2話 『白熱の脱衣所』

しおりを挟む
銭湯マスター



著者:ピラフドリア



第2話
『白熱の脱衣所』



 準備を終えた者たちは、脱衣所から銭湯に向かって歩き出した。



 選手たちの入場で観客席は熱狂する。



 そんな中、観客席から少し離れた場所に設けられてスペースで、マイクを握る男がいた。



「やってまいりましたァァァァァ!! 銭湯グランプリィィィ!!」



 マイクを手にベロを口から出して叫ぶ男。超小柄であり、ほぼ二頭身の男は自己紹介をした。



「実況を務めされてもらきます。私はシタベーと申します!! どうぞ、よろべぐぅぅ!!」



 ベロを出しているため舌を噛んでしまったようだ。



 口から血を噴き出しながら、シタベーは実況を続ける。



「それではまず、選手たちの入場です」



 選手たちが入場する。



「最初に現れたのはフロ・ハヤオとフロ・ナガオの兄弟だーー!!」



 ナガオは赤い髪の毛の男で、ハヤオは青髪の男。



 二人は兄弟であり、ライバルでもある。



「俺は負けないぜ」



 ナガオがそう言うと、



「俺もだ」



 ハヤオもそう返した。



 そして次の選手も入場して来る。
 次に現れたのは、リーゼントの男。



「おーっと、ここで登場したのはアツギ選手だー!!」



 シタベーの声に観客たちは大声で歓声を上げる。



「うぉぉぉ!! オレが最強だ!!」



 鋭い目でふろを睨む。



 アツギは風呂不良と呼ばれる風呂の悪人であった。



 石鹸をお風呂に入れたり、シャワーを出しっぱなしにして一日中放置したり、しかし、今のアツギは違う。



 それはある人物との出会いであった。



 アツギは風呂番長に出会ったのだ。その時にアツギは変わった。



 アツギは近所にある銭湯で悪事を働いていた時、そいつは現れた。



「おい、何してる」



 アツギが洗い場のシャンプーを全て空にしているところに現れた。



 金髪のリーゼント男。そう、彼が風呂番長ゴジョウだ。



「あぁ?」



「銭湯はみんなのものだ。みんなものはオレのもの、オレのものはみんなのものだ」



 こうして二人の戦いが始まった。



 二人の殴り合いは、お風呂の温度が42度から30度になるまで続いた。



 やがて二人は力尽きて、湯船に浮かぶ。



「なかなかやるな」



「お前こそ」



 これがアツギとゴジョウの出会いであった。そして月日があった頃、あることが起きた。



「ゴジョウ!!」



 それは銭湯からの帰り道、ゴジョウがサウナ派の不良グループにやられてしまったのだ。
 報告を聞きつけたアツギが病院に駆けつけると、ゴジョウは病室のベッドの上で寝ていた。



「おう、アツギか……」



「ゴジョウ、どうしたんだよ!! なんでやり返さなかったんだ!!」



 ゴジョウはこの辺では最強と言われる不良だ。しかし、やられはしたが、一度もやり返さなかったのだ。






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

処理中です...