銭湯マスター

ピラフドリア

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第2話 『白熱の脱衣所』

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銭湯マスター



著者:ピラフドリア



第2話
『白熱の脱衣所』



 準備を終えた者たちは、脱衣所から銭湯に向かって歩き出した。



 選手たちの入場で観客席は熱狂する。



 そんな中、観客席から少し離れた場所に設けられてスペースで、マイクを握る男がいた。



「やってまいりましたァァァァァ!! 銭湯グランプリィィィ!!」



 マイクを手にベロを口から出して叫ぶ男。超小柄であり、ほぼ二頭身の男は自己紹介をした。



「実況を務めされてもらきます。私はシタベーと申します!! どうぞ、よろべぐぅぅ!!」



 ベロを出しているため舌を噛んでしまったようだ。



 口から血を噴き出しながら、シタベーは実況を続ける。



「それではまず、選手たちの入場です」



 選手たちが入場する。



「最初に現れたのはフロ・ハヤオとフロ・ナガオの兄弟だーー!!」



 ナガオは赤い髪の毛の男で、ハヤオは青髪の男。



 二人は兄弟であり、ライバルでもある。



「俺は負けないぜ」



 ナガオがそう言うと、



「俺もだ」



 ハヤオもそう返した。



 そして次の選手も入場して来る。
 次に現れたのは、リーゼントの男。



「おーっと、ここで登場したのはアツギ選手だー!!」



 シタベーの声に観客たちは大声で歓声を上げる。



「うぉぉぉ!! オレが最強だ!!」



 鋭い目でふろを睨む。



 アツギは風呂不良と呼ばれる風呂の悪人であった。



 石鹸をお風呂に入れたり、シャワーを出しっぱなしにして一日中放置したり、しかし、今のアツギは違う。



 それはある人物との出会いであった。



 アツギは風呂番長に出会ったのだ。その時にアツギは変わった。



 アツギは近所にある銭湯で悪事を働いていた時、そいつは現れた。



「おい、何してる」



 アツギが洗い場のシャンプーを全て空にしているところに現れた。



 金髪のリーゼント男。そう、彼が風呂番長ゴジョウだ。



「あぁ?」



「銭湯はみんなのものだ。みんなものはオレのもの、オレのものはみんなのものだ」



 こうして二人の戦いが始まった。



 二人の殴り合いは、お風呂の温度が42度から30度になるまで続いた。



 やがて二人は力尽きて、湯船に浮かぶ。



「なかなかやるな」



「お前こそ」



 これがアツギとゴジョウの出会いであった。そして月日があった頃、あることが起きた。



「ゴジョウ!!」



 それは銭湯からの帰り道、ゴジョウがサウナ派の不良グループにやられてしまったのだ。
 報告を聞きつけたアツギが病院に駆けつけると、ゴジョウは病室のベッドの上で寝ていた。



「おう、アツギか……」



「ゴジョウ、どうしたんだよ!! なんでやり返さなかったんだ!!」



 ゴジョウはこの辺では最強と言われる不良だ。しかし、やられはしたが、一度もやり返さなかったのだ。






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