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第50話 『恐怖の屋敷でサバイバル!!』
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参上! 怪盗イタッチ
第50話
『恐怖の屋敷でサバイバル!!』
ネコ刑事とコン刑事は屋敷の二階へとやってきた。そしてそんな二人の前に不思議な扉が現れる。
「これって……この屋敷に似合わないすね」
「ハイテクだな」
それは機械でロックされた扉。押しても引いても開く気配はなく、扉につけられたモニターにパスワードを打ち込まないと扉は開かない構造になっていた。
「この部屋、絶対に何かあるっすよね」
「だな」
「でも、アタシ達だとこの扉開けられないっすよね」
コン刑事は腕を組んでどうやって開けるか考える。そんなコン刑事にネコ刑事を見て、ふふふと笑い出した。
「なんすか? 気持ち悪いっすよ」
「僕はこんなこともあろうかと、アイテムを持ってきたんだよ」
ネコ刑事はポケットから眼鏡を取り出した。そしてその眼鏡をつけると、レンズに文字が表示される。
「このアイテムはアンやメイヨウなどのハッカーの技術を学習させたAIを組み込んでるんだ。この眼鏡を使えば、どんな扉も簡単に開けられる!!」
「おー!! そのアイテムを使えば開けられるんすね!」
ネコ刑事は眼鏡の機能を使い、パスワードの解析を行う。数分時間がかかったが、無事に扉を開くことができた。
「この部屋に一体何が……」
扉が開くと、そこは寝室であった。大きなベッドが置かれており、そこに金髪の美しい女性が寝ている。
「大丈夫すか!」
ネコ刑事とコン刑事は女性を心配して駆け寄る。しかし、近づいて二人は気がついた。この女性はすでに亡くなっているのだ。
コン刑事は女性の体に触って温度を確かめる。
「かなり時間が経ってるみたいっすね。吸血鬼の仕業っすかね」
吸血鬼の犯行と判断するコン刑事。
そんな中、ベッドを見てネコ刑事はそれを否定した。
「確かに時間が経ってる。だが、数日とかその程度じゃなさそうだ」
「なんでっすか?」
「腐敗もしてないし、脈や体温はないが肌は綺麗だ。それに口元を見てみろ」
「もしかして……牙っすか!?」
女性の口元には牙が見える。
「この女性も吸血鬼に!?」
「分からない。だが、何か事情がありそうな予感がする」
ネコ刑事とコン刑事が遺体を観察していると、部屋の窓が開く。二階だというのに窓から白髪の男性が侵入してきた。
「触るな……侵入者…………」
「「で、出たァァァ!!!!」」
ネコ刑事とコン刑事は急いで部屋を出て逃げる。男性は逃げる二人を追うように、部下に命令を出す。
「逃すな! 奴らも眷属にしてしまえ!!」
男性の命令に従い、三人の眷属達が現れて二人を追いかけ始める。
「フクロウ警部!? それにダッチにアンだと!?」
逃げながらネコ刑事は吸血鬼にされた人たちを確認する。
「どうするっすか!?」
「とにかく逃げるぞ!」
ネコ刑事はコン刑事を連れて、走って逃げる。屋敷の一階に辿り着き、玄関の扉を開けようとしたが、なぜか扉は開かなかった。
「なんで開かないんすか!?」
「このままじゃ追いつかれる。天月刑事、こっちだ!!」
玄関からの脱出は諦めて、ネコ刑事とコン刑事は他の出口を探すことにした。
「窓も開かないし、このままじゃ逃げられないっすよ!」
「クソ、どうなってるんだ、この屋敷は!!」
二人は屋敷中を逃げ回るが、脱出の方法を見つけ出すことはできなかった。やがて二人は疲れてきて、走るスピードが落ちてくる。
それに比べて吸血鬼にされた人達は疲れることはなく、二人との距離を縮める。
「このままじゃ、いつか二人とも捕まるっす!」
「こうなったらしょうがない。あの部屋に隠れるんだ!」
ネコ刑事とコン刑事は近くにあった部屋に飛び込む。そこはクローゼットの並べられた部屋であり、多くの服が保管されていた。
保管されている服の多くは女性ものであり、それを見たコン刑事は寝ていた女性のことを思い出す。
「もしかしてこの服ってさっき寝てた人の服なんじゃ……」
服を見ていた二人だが、廊下から足音が聞こえてくる。どうやら吸血鬼達が部屋に向かってきているようだ。
「もう、そこまで来てるっすよ!」
「天月刑事。君はそこのクローゼットに隠れるんだ」
ネコ刑事は部屋に設置された一つのクローゼットを指差す。それはこの部屋で唯一、服の入っていないクローゼットであり、頑張れば人が隠れることができる。
「ネコ先輩はどうするんすか!?」
ネコ刑事は手をグルグルと回転させる。
「僕が彼らをどうにかする。君はそれまで隠れていて欲しい」
「そんな!? 危険っすよ!」
「大丈夫。僕は警部とイタッチを追いかけて、危険な場所に何度も乗り込んでる。何があっても絶対生き残ってみせるさ!」
身体を震わせながら、コン刑事はクローゼットに押し込もうとする。しかし、コン刑事はネコ刑事の腕を掴むと、腕力で位置を取り替えてネコ刑事をクローゼットに押し込んだ。
「ちょ!? 天月刑事!?」
「確かにネコ先輩なら生きてこの屋敷を出られそうっすね。アタシが吸血鬼を止めるっす、先輩は応援を呼んできて欲しいっす」
「何言ってるんだ、天月刑事!! 君を危険な目には!!」
クローゼットから出ようとするネコ刑事だが、コン刑事はクローゼットを閉じて、中から簡単に開けられないようにダンボールを置く。
ネコ刑事は扉を開けようと押すが、ダンボールが引っかかって開かなかった。
「天月刑事!!」
「後は任せたっすよ、ネコ先輩……」
クローゼットの中に閉じ込められたネコ先輩は、音から外の様子を想像するしかなかった。
部屋に突入してきた吸血鬼達を、コン刑事は投げ倒して、部屋を飛び出して逃げていく。吸血鬼達はコン刑事を追いかけて部屋を出て行った。
「天月刑事……君ってやつは…………」
ネコ刑事は悔しそうに拳を握りしめる。しばらくクローゼットの中で隠れて、物音が聞こえなくなってからネコ刑事はクローゼットを開けた。
引っかかっていたダンボールも力を入れて押せば、ダンボールが変形して扉を開けることもできた。
「天月刑事、君のためにも僕は脱出する!」
ネコ刑事は屋敷から出るため、再び玄関へと向かった。
第50話
『恐怖の屋敷でサバイバル!!』
ネコ刑事とコン刑事は屋敷の二階へとやってきた。そしてそんな二人の前に不思議な扉が現れる。
「これって……この屋敷に似合わないすね」
「ハイテクだな」
それは機械でロックされた扉。押しても引いても開く気配はなく、扉につけられたモニターにパスワードを打ち込まないと扉は開かない構造になっていた。
「この部屋、絶対に何かあるっすよね」
「だな」
「でも、アタシ達だとこの扉開けられないっすよね」
コン刑事は腕を組んでどうやって開けるか考える。そんなコン刑事にネコ刑事を見て、ふふふと笑い出した。
「なんすか? 気持ち悪いっすよ」
「僕はこんなこともあろうかと、アイテムを持ってきたんだよ」
ネコ刑事はポケットから眼鏡を取り出した。そしてその眼鏡をつけると、レンズに文字が表示される。
「このアイテムはアンやメイヨウなどのハッカーの技術を学習させたAIを組み込んでるんだ。この眼鏡を使えば、どんな扉も簡単に開けられる!!」
「おー!! そのアイテムを使えば開けられるんすね!」
ネコ刑事は眼鏡の機能を使い、パスワードの解析を行う。数分時間がかかったが、無事に扉を開くことができた。
「この部屋に一体何が……」
扉が開くと、そこは寝室であった。大きなベッドが置かれており、そこに金髪の美しい女性が寝ている。
「大丈夫すか!」
ネコ刑事とコン刑事は女性を心配して駆け寄る。しかし、近づいて二人は気がついた。この女性はすでに亡くなっているのだ。
コン刑事は女性の体に触って温度を確かめる。
「かなり時間が経ってるみたいっすね。吸血鬼の仕業っすかね」
吸血鬼の犯行と判断するコン刑事。
そんな中、ベッドを見てネコ刑事はそれを否定した。
「確かに時間が経ってる。だが、数日とかその程度じゃなさそうだ」
「なんでっすか?」
「腐敗もしてないし、脈や体温はないが肌は綺麗だ。それに口元を見てみろ」
「もしかして……牙っすか!?」
女性の口元には牙が見える。
「この女性も吸血鬼に!?」
「分からない。だが、何か事情がありそうな予感がする」
ネコ刑事とコン刑事が遺体を観察していると、部屋の窓が開く。二階だというのに窓から白髪の男性が侵入してきた。
「触るな……侵入者…………」
「「で、出たァァァ!!!!」」
ネコ刑事とコン刑事は急いで部屋を出て逃げる。男性は逃げる二人を追うように、部下に命令を出す。
「逃すな! 奴らも眷属にしてしまえ!!」
男性の命令に従い、三人の眷属達が現れて二人を追いかけ始める。
「フクロウ警部!? それにダッチにアンだと!?」
逃げながらネコ刑事は吸血鬼にされた人たちを確認する。
「どうするっすか!?」
「とにかく逃げるぞ!」
ネコ刑事はコン刑事を連れて、走って逃げる。屋敷の一階に辿り着き、玄関の扉を開けようとしたが、なぜか扉は開かなかった。
「なんで開かないんすか!?」
「このままじゃ追いつかれる。天月刑事、こっちだ!!」
玄関からの脱出は諦めて、ネコ刑事とコン刑事は他の出口を探すことにした。
「窓も開かないし、このままじゃ逃げられないっすよ!」
「クソ、どうなってるんだ、この屋敷は!!」
二人は屋敷中を逃げ回るが、脱出の方法を見つけ出すことはできなかった。やがて二人は疲れてきて、走るスピードが落ちてくる。
それに比べて吸血鬼にされた人達は疲れることはなく、二人との距離を縮める。
「このままじゃ、いつか二人とも捕まるっす!」
「こうなったらしょうがない。あの部屋に隠れるんだ!」
ネコ刑事とコン刑事は近くにあった部屋に飛び込む。そこはクローゼットの並べられた部屋であり、多くの服が保管されていた。
保管されている服の多くは女性ものであり、それを見たコン刑事は寝ていた女性のことを思い出す。
「もしかしてこの服ってさっき寝てた人の服なんじゃ……」
服を見ていた二人だが、廊下から足音が聞こえてくる。どうやら吸血鬼達が部屋に向かってきているようだ。
「もう、そこまで来てるっすよ!」
「天月刑事。君はそこのクローゼットに隠れるんだ」
ネコ刑事は部屋に設置された一つのクローゼットを指差す。それはこの部屋で唯一、服の入っていないクローゼットであり、頑張れば人が隠れることができる。
「ネコ先輩はどうするんすか!?」
ネコ刑事は手をグルグルと回転させる。
「僕が彼らをどうにかする。君はそれまで隠れていて欲しい」
「そんな!? 危険っすよ!」
「大丈夫。僕は警部とイタッチを追いかけて、危険な場所に何度も乗り込んでる。何があっても絶対生き残ってみせるさ!」
身体を震わせながら、コン刑事はクローゼットに押し込もうとする。しかし、コン刑事はネコ刑事の腕を掴むと、腕力で位置を取り替えてネコ刑事をクローゼットに押し込んだ。
「ちょ!? 天月刑事!?」
「確かにネコ先輩なら生きてこの屋敷を出られそうっすね。アタシが吸血鬼を止めるっす、先輩は応援を呼んできて欲しいっす」
「何言ってるんだ、天月刑事!! 君を危険な目には!!」
クローゼットから出ようとするネコ刑事だが、コン刑事はクローゼットを閉じて、中から簡単に開けられないようにダンボールを置く。
ネコ刑事は扉を開けようと押すが、ダンボールが引っかかって開かなかった。
「天月刑事!!」
「後は任せたっすよ、ネコ先輩……」
クローゼットの中に閉じ込められたネコ先輩は、音から外の様子を想像するしかなかった。
部屋に突入してきた吸血鬼達を、コン刑事は投げ倒して、部屋を飛び出して逃げていく。吸血鬼達はコン刑事を追いかけて部屋を出て行った。
「天月刑事……君ってやつは…………」
ネコ刑事は悔しそうに拳を握りしめる。しばらくクローゼットの中で隠れて、物音が聞こえなくなってからネコ刑事はクローゼットを開けた。
引っかかっていたダンボールも力を入れて押せば、ダンボールが変形して扉を開けることもできた。
「天月刑事、君のためにも僕は脱出する!」
ネコ刑事は屋敷から出るため、再び玄関へと向かった。
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