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第39話 『探偵vs怪盗』
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参上! 怪盗イタッチ
第39話
『探偵vs怪盗』
「どちらも偽物だと……」
シンメンタールの言葉を聞き、ダッチは不思議そうに首を傾げた。
シンメンタールは自身ありげに、部屋を徘徊しながら、
「変装が得意なのか、イタッチだけじゃないということさ……。そして君も、君の相棒も僕によって捕まる。…………今だよ、フクロウッ!!!!」
シンメンタールが合図をすると、部屋の端にある段ボールが開く。そして中から三人目のフクロウ警部が現れた。
「よくやったぞ、さすがシンメンタールだ!!」
三人目のフクロウ警部は手錠を手にすると、右側にいたフクロウ警部に手錠をつけた。
手錠をつけられたフクロウ警部は、シンメンタールの質問にあまり答えることができなかった方の警部だ。
手錠をつけられたフクロウ警部が驚きの表情で固まる中、シンメンタールは解説を始める。
「君は僕の出した美術館品の質問について、しっかりとした回答ができなかった。そう、それはフクロウ警部の変装であるのならば、完璧な変装だっただろう」
シンメンタールは二人目のフクロウ警部の前に立つ。そしてそのフクロウ警部の顔につけられた布を取る。
すると、実はフクロウ警部ではなく、イノシシのノイシ館長だった。
「わ、わたし、お役に立てたんでしょうか」
心配そうに尋ねるノイシ館長。そんなノイシ館長にシンメンタールは親指を立てた。
「ええ、MVPです」
それを聞き、ノイシ館長はほっとした様子。そんなノイシ館長とは違い、ダッチは驚いた様子で見ている。
「フクロウじゃなかったのか……」
「ええ、ですから、フクロウ警部に完璧に変装してしまったイタッチさん。あなたの負けだ!」
シンメンタールは捕まえたフクロウ警部の顔に触れて、偽物の皮を剥ぐ。すると、中から出てきた顔はイタッチの顔だった。
「怪盗イタッチ、これで逮捕だ!!」
「やったな、シンメンタール。君のおかげだ!!」
「いや、フクロウがイタッチを長く追いかけていたからこそ、様々な情報を得て、それを活かすことができたんだ!」
シンメンタールとフクロウ警部が固い握手をして喜び合う。
その光景にコン刑事とラーテル、ノイシ館長が拍手をする。
「ついについにやったんすね!! 警部!!」
「シンメンタールさんもおめでとうございます。これで世界一の探偵への一歩ですね!」
「私の美術館を守ってくれて、ありがとうございます」
それぞれが言葉を贈る中、ダッチはニヤリと笑った。それを見たシンメンタールは嫌な予感がしたのか、ダッチの方へと顔を向けた。
「何がおかしいんだい、ダッチ君。君達は捕まったんだよ」
シンメンタールの問いに、ダッチは笑ったまま答えた。
「勝ったつもりでいるみたいだが、それは間違いだぞ。相棒は捕まっちゃいない」
「なんだと……」
フロア全体に緊張感が走る。イタッチが捕まっているというのに、捕まっていないとはどういうことなのだろうか。
皆それぞれの顔を見て、警戒をし始める。それはまだイタッチの仲間が誰かに変装しているのではないかと疑心暗鬼になっているからだ。
しかし、その不安はシンメンタールの言葉によってかき消される。
「安心してくれ、みんな本物だ。僕が保証するよ……。しかし、イタッチはまだ捕まっていないとは、どういうことなのか……。教えてくれないかい?」
シンメンタールはダッチに尋ねるが、ダッチはそっぽを向いて答える気配はない。
シンメンタールは顎に手を当てて考え込む。このフロアは襲撃を受けてから、密室になっている。
誰も入っていないし、出てもいない。ならば、ダッチの発言はどういう意味なのか。
悩んだシンメンタールはラーテルにとある指示を出した。
「ラーテル君、あれを僕に!!」
「はい! シンメンタールさん」
ラーテルは荷物の中から瓶に入れられた牛乳を取り出した。そしてその牛乳をシンメンタールに投げ渡す。
受け取ったシンメンタールは牛乳を一気飲みする。
すると、シンメンタールの周りを半透明なオーラが包み込んだ。
「し、シンメンタール!? これはどうなってるんだ!?」
状況がわからず、フクロウ警部が尋ねる。その問いにラーテルが答えた。
「これはシンメンタールさんの覚醒状態です。この状態でのシンメンタールさんの知力、筋力は通常の2倍になります」
「2倍!? そんなことができたのか、シンメンタール!?」
フクロウ警部が驚く中、オーラに包まれたシンメンタールは汗を流しながら、ニヤリと笑った。
「隠してたわけじゃないよ。学生時代はコントロールすらできなかったから使わなかっただけさ。今も油断をすれば暴走する……」
オーラに包まれ力の増したシンメンタールだが、その表情は苦しそうで多くの汗が彼の額を流れる。
辛そうなシンメンタールに代わり、ラーテルが解説を続ける。
「持続時間は3分です。シンメンタールさんは3分以内にイタッチを見つけ出し、決着をつけるつもりです」
「3分以内だと……」
次の瞬間、シンメンタールは閃いたのか、頭上を見上げる。そして天井を指差した。
「見つけたよ。怪盗イタッチ、本物の君はそこに隠れている!!」
すると、シンメンタールが指差した天井がペラリと紙になって捲れる。そして天井に張り付いているイタッチが現れた。
「よく俺を見つけたな」
イタッチはシンメンタールを褒めながら、天井から飛び降りる。そしてダッチの前に着地した。
「え!? じゃあ、偽物のフクロウ警部は!?」
コン刑事が捕まえたフクロウ警部の偽物の方へ目線を向ける。すると、形が変形して、ぐにゃぐにゃになって倒れる。どうやら、折り紙で作った偽物だったようだ。
イタッチは折り紙の剣を作ると、ダッチのロープを切断する。解放されたダッチは刀を手にした。
イタッチを発見したは良いが、ダッチは解放されてしまう。
イタッチとダッチの前に立ち塞がるのは、お宝を守るフクロウ警部、コン刑事、シンメンタール、ラーテル、ノイシ館長だ。
数では警部達の方が有利だ。だが、イタッチには折り紙がある。
イタッチの使う折り紙は特殊な折り紙であり、折って作ったものの効力を発揮するというものだ。剣を作れば剣となり、盾を作れば盾となる。
そんな不思議な折り紙を使うイタッチ。
シンメンタールとフクロウ警部はどう立ち向かうのか。
第39話
『探偵vs怪盗』
「どちらも偽物だと……」
シンメンタールの言葉を聞き、ダッチは不思議そうに首を傾げた。
シンメンタールは自身ありげに、部屋を徘徊しながら、
「変装が得意なのか、イタッチだけじゃないということさ……。そして君も、君の相棒も僕によって捕まる。…………今だよ、フクロウッ!!!!」
シンメンタールが合図をすると、部屋の端にある段ボールが開く。そして中から三人目のフクロウ警部が現れた。
「よくやったぞ、さすがシンメンタールだ!!」
三人目のフクロウ警部は手錠を手にすると、右側にいたフクロウ警部に手錠をつけた。
手錠をつけられたフクロウ警部は、シンメンタールの質問にあまり答えることができなかった方の警部だ。
手錠をつけられたフクロウ警部が驚きの表情で固まる中、シンメンタールは解説を始める。
「君は僕の出した美術館品の質問について、しっかりとした回答ができなかった。そう、それはフクロウ警部の変装であるのならば、完璧な変装だっただろう」
シンメンタールは二人目のフクロウ警部の前に立つ。そしてそのフクロウ警部の顔につけられた布を取る。
すると、実はフクロウ警部ではなく、イノシシのノイシ館長だった。
「わ、わたし、お役に立てたんでしょうか」
心配そうに尋ねるノイシ館長。そんなノイシ館長にシンメンタールは親指を立てた。
「ええ、MVPです」
それを聞き、ノイシ館長はほっとした様子。そんなノイシ館長とは違い、ダッチは驚いた様子で見ている。
「フクロウじゃなかったのか……」
「ええ、ですから、フクロウ警部に完璧に変装してしまったイタッチさん。あなたの負けだ!」
シンメンタールは捕まえたフクロウ警部の顔に触れて、偽物の皮を剥ぐ。すると、中から出てきた顔はイタッチの顔だった。
「怪盗イタッチ、これで逮捕だ!!」
「やったな、シンメンタール。君のおかげだ!!」
「いや、フクロウがイタッチを長く追いかけていたからこそ、様々な情報を得て、それを活かすことができたんだ!」
シンメンタールとフクロウ警部が固い握手をして喜び合う。
その光景にコン刑事とラーテル、ノイシ館長が拍手をする。
「ついについにやったんすね!! 警部!!」
「シンメンタールさんもおめでとうございます。これで世界一の探偵への一歩ですね!」
「私の美術館を守ってくれて、ありがとうございます」
それぞれが言葉を贈る中、ダッチはニヤリと笑った。それを見たシンメンタールは嫌な予感がしたのか、ダッチの方へと顔を向けた。
「何がおかしいんだい、ダッチ君。君達は捕まったんだよ」
シンメンタールの問いに、ダッチは笑ったまま答えた。
「勝ったつもりでいるみたいだが、それは間違いだぞ。相棒は捕まっちゃいない」
「なんだと……」
フロア全体に緊張感が走る。イタッチが捕まっているというのに、捕まっていないとはどういうことなのだろうか。
皆それぞれの顔を見て、警戒をし始める。それはまだイタッチの仲間が誰かに変装しているのではないかと疑心暗鬼になっているからだ。
しかし、その不安はシンメンタールの言葉によってかき消される。
「安心してくれ、みんな本物だ。僕が保証するよ……。しかし、イタッチはまだ捕まっていないとは、どういうことなのか……。教えてくれないかい?」
シンメンタールはダッチに尋ねるが、ダッチはそっぽを向いて答える気配はない。
シンメンタールは顎に手を当てて考え込む。このフロアは襲撃を受けてから、密室になっている。
誰も入っていないし、出てもいない。ならば、ダッチの発言はどういう意味なのか。
悩んだシンメンタールはラーテルにとある指示を出した。
「ラーテル君、あれを僕に!!」
「はい! シンメンタールさん」
ラーテルは荷物の中から瓶に入れられた牛乳を取り出した。そしてその牛乳をシンメンタールに投げ渡す。
受け取ったシンメンタールは牛乳を一気飲みする。
すると、シンメンタールの周りを半透明なオーラが包み込んだ。
「し、シンメンタール!? これはどうなってるんだ!?」
状況がわからず、フクロウ警部が尋ねる。その問いにラーテルが答えた。
「これはシンメンタールさんの覚醒状態です。この状態でのシンメンタールさんの知力、筋力は通常の2倍になります」
「2倍!? そんなことができたのか、シンメンタール!?」
フクロウ警部が驚く中、オーラに包まれたシンメンタールは汗を流しながら、ニヤリと笑った。
「隠してたわけじゃないよ。学生時代はコントロールすらできなかったから使わなかっただけさ。今も油断をすれば暴走する……」
オーラに包まれ力の増したシンメンタールだが、その表情は苦しそうで多くの汗が彼の額を流れる。
辛そうなシンメンタールに代わり、ラーテルが解説を続ける。
「持続時間は3分です。シンメンタールさんは3分以内にイタッチを見つけ出し、決着をつけるつもりです」
「3分以内だと……」
次の瞬間、シンメンタールは閃いたのか、頭上を見上げる。そして天井を指差した。
「見つけたよ。怪盗イタッチ、本物の君はそこに隠れている!!」
すると、シンメンタールが指差した天井がペラリと紙になって捲れる。そして天井に張り付いているイタッチが現れた。
「よく俺を見つけたな」
イタッチはシンメンタールを褒めながら、天井から飛び降りる。そしてダッチの前に着地した。
「え!? じゃあ、偽物のフクロウ警部は!?」
コン刑事が捕まえたフクロウ警部の偽物の方へ目線を向ける。すると、形が変形して、ぐにゃぐにゃになって倒れる。どうやら、折り紙で作った偽物だったようだ。
イタッチは折り紙の剣を作ると、ダッチのロープを切断する。解放されたダッチは刀を手にした。
イタッチを発見したは良いが、ダッチは解放されてしまう。
イタッチとダッチの前に立ち塞がるのは、お宝を守るフクロウ警部、コン刑事、シンメンタール、ラーテル、ノイシ館長だ。
数では警部達の方が有利だ。だが、イタッチには折り紙がある。
イタッチの使う折り紙は特殊な折り紙であり、折って作ったものの効力を発揮するというものだ。剣を作れば剣となり、盾を作れば盾となる。
そんな不思議な折り紙を使うイタッチ。
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