参上! 怪盗イタッチ

ピラフドリア

文字の大きさ
上 下
28 / 76

第28話 『敗北と後悔』

しおりを挟む



 智大は俺がほぼ脱がせた下着や寝間着を着直していて、ベッドの上に座ってる。

「智大」
「ちーちゃん」

 頬は上気したままなのに、口はへの字だし腕を胸の前で組んでるし。

「けい君。お粥、ありがとう。あと、これ、お薬?」
「え?あ、ああ、そう。解熱薬だから、お粥食べたら飲んでほしいと思って」
「わかった。じゃあ、食べたら飲むね?」
「うん、そうして」
「でも、けい君。まさとのことは無理やりじゃないんだから、責めたりしないで」
「ちーちゃん、そう言うけど」
「そりゃ……、恥ずかしいって言ってるのにやめてくれなかったのはまさだけど……、………でも、えと……、まさに触ってもらえるの、嬉しいし……」

 熱のせいじゃなく顔を真っ赤にさせてしどろもどろに話す智大が可愛すぎる。
 啓さんはわざとらしく溜息をつくと、智大の頭を撫でた。

「わかったから…ちーちゃん。これ以上は征人のこと怒らないから」
「うん。ありがとうけい君」
「……じゃあ、俺戻るから。卵粥、征人に食べさせてもらいな」
「うん………うん?」
「征人の分もあるから。征人、今度熱出てるちーちゃんに手を出したら家から叩き出すからな」
「はい!!」

 啓さん怖いわ。
 そんだけ智大のこと大事にしてるんだな、ってわかるけど。

「智大……ごめん」

 智大の隣に座って、華奢な肩を抱き寄せたら、智大は抵抗もせず俺に身体を預けてくれた。

「……まさ」
「うん」
「……好き」
「俺も好きだよ」

 ちょっと智大を覗き込んだら、顔真っ赤にさせてて、でも、幸せそうに口元が笑うのをこらえているような変な顔になってて。
 もうほんと、めっちゃかわいい。
 じっと見てたら、おずおずと俺を見上げてきて、その表情に心臓射抜かれた。

「まさ」

 俺を呼ぶ赤い唇が色っぽい。

「熱下がったら……続き、して……?」
「はぅ」

 ……また、心臓射抜かれた。
 やばい。こいつ、ほんとやばい…!

「絶対、する」

 と言うより、俺の下半身、すっかり元気なんですけど。
 あんなに勃起しないと悩んでいたのに、この違い……。俺、駄目すぎんだろ。

「お粥、食べようか」
「うん」

 なんとか平常心を保とう。
 食べてる間に収まるはずだ。

 ベッドに座ったままだと高さが合わないから、ベッドを背もたれに床に座り直した。

「智大も来いよ」

 って言ったら、なんか困ったような顔をして、少し間を開けて頷いた。
 隣りに座ったらちょっとずつ食べさせてーとか思ってたのに、智大、隣じゃなくて、俺の足の上にちょこんと座ったもんだから…そりゃ盛大に凍りついた。

「…重くない?」
「……っ、!?、あ、え!?いや、全然!?むしろ、かるすぎるから……っ」

 動揺がもろ言葉に出た。
 なんで智大、そこに座るのー!?
 俺の太ももに智大の尻が当たってる。柔らかい。あったかい。
 じっと俺を見上げてくる智大の目もやばいから…!そんなん見せられたら、落ち着くはずだった息子も落ち着くわけ無いだろう…!!
 唯一よかったのは、智大がちゃんと寝間着を着込んでたことかな。下手にボタンが外れてたりしたら、可愛い乳首が見えて、速攻襲いかかってた思うからさ!!

「まさ…?」
「え、な、に!?」
「……やっぱり、離れたほうがいい…?」

 ちょっと泣きそうに目を伏せられたら、焦るし、全否定しちゃうよね!!

「そんなことない、ないからそこに座ってて!!!」

 そしたら、ぱぁぁぁって音が付きそうなくらい笑顔を向けてくれた。
 あー………花まで飛んでるように見える。俺、末期かもしれない。

「ほ、ら。食べよう。口開けて」
「ん」

 気を取り直して、もうとにかく他のこと考えないように、何なら、数式やら古典やら覚えてること片っ端から頭の中で繰り返して唱えて、智大に向かう全神経を他のとこにそらした。
 ふぅふぅと冷ましたお粥を少しずつ食べさせれば、智大は美味しそうに表情をほころばせる。

「あ」

 智大は何か思い出したのか、横にずらしたテーブルにおいたお粥を一匙すくい取って、俺の前に出した。

「まさ、あーん、して?」
「………!!!」

 こてん、って。
 こてんって首かしげながらさぁ!!
 『あーん』って……!!!!
 転げ回りたくなりながら、口の中に入れた。
 ……熱い。けど、もう、何がなんだかわからなくて。
 数式も古典も化学式も、なんの意味もなく、どっかいった。
 俺の息子はもうはち切れそうになってるし。

「あ」

 何度かそんな食べさせ合いをしてから、智大は俺の息子に気づいたらしく。
 服の上からそっと撫でて顔を真っ赤にさせた。
 ……頼むから触らないで。暴発するから…!!

「まさ」
「気にしなくていいから」
「でも」
「ほら、もう少しで食べ終わるだろ」
「ん……」

 もぐもぐと口を動かして、でもなにか言いたげに俺を見る智大。
 喉がごくんと動いたとき、また、俺の息子に触れてきて。

「やっぱり舐める…よ?」

 ………そんなこと言うから。
 思わず想像してしまって。

「あ」
「~~~~っ」

 息子、耐えられず。
 盛大に、下着の中で暴発させてしまった。

「ちひろ」
「は、はぃっ」
「もー……、とにかくエロいこと言うのやめて……。するのもだめ。熱が下がんないうちに俺、絶対お前のこと襲う。……とりあえず、シャワーかりてくる……。昨日の俺の服、洗濯してくれたんだろ?」
「う、うん…」
「ん。したら、俺戻るまでに食べ終わって薬飲んでて。いい?」
「わ……わかりました……。……えと……、なんか、ごめんね………まさ………?」
「ぐ………っ」

 その顔はだめだ。
 そのかわいそうな子を見る顔はやめてくれ…!!
 羞恥にどうにかなりそうな自分をなんとか鼓舞し、智大を足の上からおろして、下着の気持ち悪さを感じながら風呂場に直行した。

 あ゛~~~~~!!!

 格好悪い!!
 物凄く格好悪い!!!!
 本人目の前にして、想像の中のフェラでイってしまうなんて……っ。

 もう、色々と。
 ほんと。
 駄目だ。





しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【総集編】日本昔話 パロディ短編集

Grisly
児童書・童話
❤️⭐️お願いします。  今まで発表した 日本昔ばなしの短編集を、再放送致します。 朝ドラの総集編のような物です笑 読みやすくなっているので、 ⭐️して、何度もお読み下さい。 読んだ方も、読んでない方も、 新しい発見があるはず! 是非お楽しみ下さい😄 ⭐︎登録、コメント待ってます。

【総集編】童話パロディ短編集

Grisly
児童書・童話
❤️⭐️お願いします。童話パロディ短編集

左左左右右左左  ~いらないモノ、売ります~

菱沼あゆ
児童書・童話
 菜乃たちの通う中学校にはあるウワサがあった。 『しとしとと雨が降る十三日の金曜日。  旧校舎の地下にヒミツの購買部があらわれる』  大富豪で負けた菜乃は、ひとりで旧校舎の地下に下りるはめになるが――。

鎌倉西小学校ミステリー倶楽部

澤田慎梧
児童書・童話
【「鎌倉猫ヶ丘小ミステリー倶楽部」に改題して、アルファポリスきずな文庫より好評発売中!】 https://kizuna.alphapolis.co.jp/book/11230 【「第1回きずな児童書大賞」にて、「謎解きユニーク探偵賞」を受賞】 市立「鎌倉西小学校」には不思議な部活がある。その名も「ミステリー倶楽部」。なんでも、「学校の怪談」の正体を、鮮やかに解明してくれるのだとか……。 学校の中で怪奇現象を目撃したら、ぜひとも「ミステリー倶楽部」に相談することをオススメする。 案外、つまらない勘違いが原因かもしれないから。 ……本物の「お化け」や「妖怪」が出てくる前に、相談しに行こう。 ※本作品は小学校高学年以上を想定しています。作中の漢字には、ふりがなが多く振ってあります。 ※本作品はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。 ※本作品は、三人の主人公を描いた連作短編です。誰を主軸にするかで、ジャンルが少し変化します。 ※カクヨムさんにも投稿しています(初出:2020年8月1日)

見習い錬金術士ミミリの冒険の記録〜討伐も採集もお任せください!ご依頼達成の報酬は、情報でお願いできますか?〜

うさみち
児童書・童話
【見習い錬金術士とうさぎのぬいぐるみたちが描く、スパイス混じりのゆるふわ冒険!情報収集のために、お仕事のご依頼も承ります!】 「……襲われてる! 助けなきゃ!」  錬成アイテムの採集作業中に訪れた、モンスターに襲われている少年との突然の出会い。  人里離れた山陵の中で、慎ましやかに暮らしていた見習い錬金術士ミミリと彼女の家族、機械人形(オートマタ)とうさぎのぬいぐるみ。彼女たちの運命は、少年との出会いで大きく動き出す。 「俺は、ある人たちから頼まれて預かり物を渡すためにここに来たんだ」  少年から渡された物は、いくつかの錬成アイテムと一枚の手紙。 「……この手紙、私宛てなの?」  少年との出会いをキッカケに、ミミリはある人、あるアイテムを探すために冒険を始めることに。  ――冒険の舞台は、まだ見ぬ世界へ。  新たな地で、右も左もわからないミミリたちの人探し。その方法は……。 「討伐、採集何でもします!ご依頼達成の報酬は、情報でお願いできますか?」  見習い錬金術士ミミリの冒険の記録は、今、ここから綴られ始める。 《この小説の見どころ》 ①可愛いらしい登場人物 見習い錬金術士のゆるふわ少女×しっかり者だけど寂しがり屋の凄腕美少女剣士の機械人形(オートマタ)×ツンデレ魔法使いのうさぎのぬいぐるみ×コシヌカシの少年⁉︎ ②ほのぼのほんわか世界観 可愛いらしいに囲まれ、ゆったり流れる物語。読了後、「ほわっとした気持ち」になってもらいたいをコンセプトに。 ③時々スパイスきいてます! ゆるふわの中に時折現れるスパイシーな展開。そして時々ミステリー。 ④魅力ある錬成アイテム 錬金術士の醍醐味!それは錬成アイテムにあり。魅力あるアイテムを活用して冒険していきます。 ◾️第3章完結!現在第4章執筆中です。 ◾️この小説は小説家になろう、カクヨムでも連載しています。 ◾️作者以外による小説の無断転載を禁止しています。 ◾️挿絵はなんでも書いちゃうヨギリ酔客様からご寄贈いただいたものです。

盲目魔女さんに拾われた双子姉妹は恩返しをするそうです。

桐山一茶
児童書・童話
雨が降り注ぐ夜の山に、捨てられてしまった双子の姉妹が居ました。 山の中には恐ろしい魔物が出るので、幼い少女の力では山の中で生きていく事なんか出来ません。 そんな中、双子姉妹の目の前に全身黒ずくめの女の人が現れました。 するとその人は優しい声で言いました。 「私は目が見えません。だから手を繋ぎましょう」 その言葉をきっかけに、3人は仲良く暮らし始めたそうなのですが――。 (この作品はほぼ毎日更新です)

守護霊のお仕事なんて出来ません!

柚月しずく
児童書・童話
事故に遭ってしまった未蘭が目が覚めると……そこは死後の世界だった。 死後の世界には「死亡予定者リスト」が存在するらしい。未蘭はリストに名前がなく「不法侵入者」と責められてしまう。 そんな未蘭を救ってくれたのは、白いスーツを着た少年。柊だった。 助けてもらいホッとしていた未蘭だったが、ある選択を迫られる。 ・守護霊代行の仕事を手伝うか。 ・死亡手続きを進められるか。 究極の選択を迫られた未蘭。 守護霊代行の仕事を引き受けることに。 人には視えない存在「守護霊代行」の任務を、なんとかこなしていたが……。 「視えないはずなのに、どうして私のことがわかるの?」 話しかけてくる男の子が現れて――⁉︎ ちょっと不思議で、信じられないような。だけど心温まるお話。

桃太郎にならなかった話

ジミー凌我
児童書・童話
昔々おじいさんとおばあさんが住んでいました。 もし、おじいさんがあそこでああしていたら。 もし、おばあさんがあそこでああしていたら。 もし、桃太郎がきびだんごを持っていなかったら。 桃太郎という話にはならなかったかもしれない話。

処理中です...