94 / 156
第二章 立志編
第94話 初めての無属性魔法
しおりを挟む
キーンッ!
「おいおい……お前それどこから出したよ?」
「さあ? どこだろうな?」
斬られる瞬間、クロは魔法袋ではなく亜空間から刀を取り出し防いだ。無属性魔法の素養を貰ってから試行錯誤し遂に完成した最初の魔法は亜空間を作り出す事だった。
魔法袋には許容量が存在し、時間も経過する為ナマモノなどを収容する事もできない。クロが作った亜空間はゲームで言うストレージのようなモノで、時間の概念がないので使い勝手が良く、無駄に多い魔力量により収容できる質量は魔法袋の比ではない。
無属性魔法とは火や水などといった属性に属さない魔法だと勘違いしていた為になかなか上手くいかなかった。やけくそになって「無属性だから無かった属性? いや属性じゃなくて無魔法……無い魔法……? ん~無かった属性魔法って意味か?」と都合の良い解釈でチャレンジした結果、まさかの亜空間を作り出す事に成功した。クロはこの魔法をディメンションルームそう名付けたよ。
無属性魔法とは新たに魔法を作るスキルだった。
クロは剣を払い除け、回転の反動を使いリーダー格の男を薙ぎ払う。
「おっと! 危ねぇ!」
リーダー格の男は紙一重で躱すと半歩後ろに下がり正眼に構える。
「へえ……躱すんだ?」
「いや、皮一枚切られた。小僧、お前何者だ? ただの侵入者ってレベルじゃねえだろお前!」
完全に躱せなかった腹部が血で滲み、リーダー格の男は警戒を強める。
「ちょっと割に合わない仕事だなこれは……。お前ら! 散れ! 隙を見て撤退だ!」
「おい! 何を言ってる! お前達にどれだけ金を払ってると思ってるのだ!」
「ゴンズの旦那、命あっての物種だ! 俺の勘が告げている! こいつはやべえ……」
「なっ!」
男は一瞬で実力差を見抜き撤退を決めた。
「良い判断だ。だが……」
クロの姿が消え、四方に散って撤退を始めた者達を死角から蹴り飛ばし中央へ戻す。
「ぐあっ!」「なっ!? どこから!? がっ!」 「ひえっ!」
「逃すとでも思ったか?」
「くそっ! バケモノかよ! 俺が抑える! その隙に逃げるんだ!」
リーダー格の男がクロへ飛びかかり剣を振るう。脳天をかち割るが如く振り抜くと見せかけて剣を水平にし突きを放つ。鼻先まで迫った剣をクロはのけぞりながら躱し、柄を握った手を上へ蹴り上げる。手から離れた剣が天井へ刺さるが、のけぞたったクロを正面から抱きつき拘束する。
「今だ! 行け!」
リーダー格の男の合図で一斉に飛び出し、部屋にはゴンズとクロ、そしてリーダー格の男だけになった。
「男と抱き合う趣味はないんだが?」
「まあそう言うなって! 仲間が逃げるまでこのまま抱き合っていようや!」
「さっき格好つけて "逃すとでも" とか言っちゃった手前、恥ずかしいんだけど?」
「ふっ! そういう若気の至りは嫌いじゃないぜ!」
意外に冷静な二人を他所に、ゴンズは半ば混乱していた。
「うああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ゴンズは叫びと共に剣を動けない二人もろとも斬ろうと振りかぶりながら駆け寄ってきた。
ガンッ!
剣は二人が倒れていたテーブルに突き刺さりめり込んでしまった。
「くっ! 取れん! くそっ!」
「旦那ぁ~勘弁してくれよ……」
「う、うるさい! そのままじっとしていろ! そいつ諸共斬り伏せてやる!」
ゴンズは抜けない剣を諦め、壁に掛けてある別の剣を取りに走る。
「なあ、あんたこのままだと死ぬぞ?」
「わかってるよ! でも今お前を解放すると仲間の命が危ない! お前絶対追いかけるだろ!」
「追わない、追わない。それより、楽しい事見つけたからな」
「楽しい事だと!? うっ! 何て力……ぐあっ!」
クロは男の拘束を腕力で剥がし、巴投げでリーダー格の男を投げると、剣を取りに行ったゴンズに向かって走り出し追いつくと髪の毛を掴み無理矢理に顔を向けさせる。
「ひ、ひぃぃぃ!」
「お前、ボン爺の忠告を聞いてなかったか?」
「へ、下手に刺激するな……と」
「今日はなんとも言えない刺激的な夜だなあおいっ!」
ゴンズはたった一つの生きる道筋を自分から消したのだった。
「おいおい……お前それどこから出したよ?」
「さあ? どこだろうな?」
斬られる瞬間、クロは魔法袋ではなく亜空間から刀を取り出し防いだ。無属性魔法の素養を貰ってから試行錯誤し遂に完成した最初の魔法は亜空間を作り出す事だった。
魔法袋には許容量が存在し、時間も経過する為ナマモノなどを収容する事もできない。クロが作った亜空間はゲームで言うストレージのようなモノで、時間の概念がないので使い勝手が良く、無駄に多い魔力量により収容できる質量は魔法袋の比ではない。
無属性魔法とは火や水などといった属性に属さない魔法だと勘違いしていた為になかなか上手くいかなかった。やけくそになって「無属性だから無かった属性? いや属性じゃなくて無魔法……無い魔法……? ん~無かった属性魔法って意味か?」と都合の良い解釈でチャレンジした結果、まさかの亜空間を作り出す事に成功した。クロはこの魔法をディメンションルームそう名付けたよ。
無属性魔法とは新たに魔法を作るスキルだった。
クロは剣を払い除け、回転の反動を使いリーダー格の男を薙ぎ払う。
「おっと! 危ねぇ!」
リーダー格の男は紙一重で躱すと半歩後ろに下がり正眼に構える。
「へえ……躱すんだ?」
「いや、皮一枚切られた。小僧、お前何者だ? ただの侵入者ってレベルじゃねえだろお前!」
完全に躱せなかった腹部が血で滲み、リーダー格の男は警戒を強める。
「ちょっと割に合わない仕事だなこれは……。お前ら! 散れ! 隙を見て撤退だ!」
「おい! 何を言ってる! お前達にどれだけ金を払ってると思ってるのだ!」
「ゴンズの旦那、命あっての物種だ! 俺の勘が告げている! こいつはやべえ……」
「なっ!」
男は一瞬で実力差を見抜き撤退を決めた。
「良い判断だ。だが……」
クロの姿が消え、四方に散って撤退を始めた者達を死角から蹴り飛ばし中央へ戻す。
「ぐあっ!」「なっ!? どこから!? がっ!」 「ひえっ!」
「逃すとでも思ったか?」
「くそっ! バケモノかよ! 俺が抑える! その隙に逃げるんだ!」
リーダー格の男がクロへ飛びかかり剣を振るう。脳天をかち割るが如く振り抜くと見せかけて剣を水平にし突きを放つ。鼻先まで迫った剣をクロはのけぞりながら躱し、柄を握った手を上へ蹴り上げる。手から離れた剣が天井へ刺さるが、のけぞたったクロを正面から抱きつき拘束する。
「今だ! 行け!」
リーダー格の男の合図で一斉に飛び出し、部屋にはゴンズとクロ、そしてリーダー格の男だけになった。
「男と抱き合う趣味はないんだが?」
「まあそう言うなって! 仲間が逃げるまでこのまま抱き合っていようや!」
「さっき格好つけて "逃すとでも" とか言っちゃった手前、恥ずかしいんだけど?」
「ふっ! そういう若気の至りは嫌いじゃないぜ!」
意外に冷静な二人を他所に、ゴンズは半ば混乱していた。
「うああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ゴンズは叫びと共に剣を動けない二人もろとも斬ろうと振りかぶりながら駆け寄ってきた。
ガンッ!
剣は二人が倒れていたテーブルに突き刺さりめり込んでしまった。
「くっ! 取れん! くそっ!」
「旦那ぁ~勘弁してくれよ……」
「う、うるさい! そのままじっとしていろ! そいつ諸共斬り伏せてやる!」
ゴンズは抜けない剣を諦め、壁に掛けてある別の剣を取りに走る。
「なあ、あんたこのままだと死ぬぞ?」
「わかってるよ! でも今お前を解放すると仲間の命が危ない! お前絶対追いかけるだろ!」
「追わない、追わない。それより、楽しい事見つけたからな」
「楽しい事だと!? うっ! 何て力……ぐあっ!」
クロは男の拘束を腕力で剥がし、巴投げでリーダー格の男を投げると、剣を取りに行ったゴンズに向かって走り出し追いつくと髪の毛を掴み無理矢理に顔を向けさせる。
「ひ、ひぃぃぃ!」
「お前、ボン爺の忠告を聞いてなかったか?」
「へ、下手に刺激するな……と」
「今日はなんとも言えない刺激的な夜だなあおいっ!」
ゴンズはたった一つの生きる道筋を自分から消したのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
230
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる