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第二章 立志編
第91話 四天王を作りがち
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「半分くらいになったか?」
「なあ兄弟、あの程度の連中の戦闘なんて観て楽しいか?」
「まあ殺し合いを観て楽しむ場だからなぁ」
クロの答えにガロウはつまらなそうな顔をする。自分自身が命をかけた戦いを楽しみにしていた分、弱すぎる彼らを見てテンションがガタ落ちしてしまったようだ。
「じゃあ残った奴らをお前が選別するか?」
「ほう……そりゃいいな!」
ガロウは嬉々として闘技場へ飛び降り、生き残った者達の前に仁王立ちで佇む。
「あ~諸君! 最終選考だ! 複数人でも単騎でも構わない。そこに立っている獣人から生き残れ! まあ俺からアドバイスをするならば……全力で頑張れだ!」
「さあ、かかってこい!! 俺様は強ぇぞ!!」
様子を見て躊躇する者、仲間と相談して一斉に襲い掛かろうと画策する者、虎視眈々と隙を窺い身を隠す者、そんな様々な思惑を一蹴するかの如くガロウは無策に突進する。
「うらぁぁぁぁ!!」
最初の拳の一振りで二、三人が吹き飛び、その場は混乱状態だった。阿鼻叫喚が響き渡り、なす術もなく次々と倒れていく。
「このままだと全員失格だな……」
クロは魔法袋の中からさまざまな武器を取り出し闘技場の中へ放り投げた。
「お前ら! 生き残りたければ武器を拾え! このままだと全員死ぬぞ?」
放り投げた武器を拾った者がガロウに斬りかかるが鋼鉄のように硬いガロウの皮膚は傷が付くこともなく弾き返す。
「ハハハハハッ!! テメェら武器の使い方も知らねえのかよ!」
心が折れた者から次々と息の根を止められる。ガロウはがむしゃらに攻撃しているように見えて、戦意を失った者を観察し屠っていた。勝てないとしても最後まで諦めない強い心を持つ者は成長する。そこを期待していた。
「そろそろいいか……ガロウ! 終了だ!」
「まあこんなもんだろ!」
生き残りは四人、それぞれ今は弱いかもしれないが、ガロウの選別に合格した彼らは後に闘技場の四天王と呼ばれる人気のグラディエーターになれば嬉しいな。
「おめでとう! 金に目がくらみ、ワイノール商会に魂を売った罪だが、生き残った事を褒美になかった事にしてやろう。だが、こらから君達は闘技場の戦士として頑張ってもらう! さっきも言ったが、ファイトマネーも支給するし、寝床も用意してやろう。あとは十連勝したら表の世界へ返してやるから、まあ……頑張れや」
生き残りの四人はその場にへたり込み安堵するが、死ぬより辛い現実があることを彼らはまだ知らない。
「倒れてる奴で、まだ息をしている奴がいたら隷属の首輪をして別室で治療しておけ」
「はっ!」
「動けるようになったら事務所まで連れてこい」
クロは今後の指示を闘技場担当に告げ、その場を後にする。
「兄弟、あの程度で瀕死になるような奴らどうするだ?」
「ガラクタはガラクタで使い道があるんだよ」
ガラクタと称された彼らが辿る道は明るいはずはなく、後に闘技場に残った四人が幸せに思えるほどの扱いを受ける事になる。
「なあ!? 闘技場はいつから興行するだ!?」
「全てが揃ってからだから……まだまだ先だな」
「そうか! じゃああの生き残りの四人を鍛えてもいいか?」
「それは構わんが……」
「よっしゃぁぁぁぁ!! じゃあ闘技場の事は俺に任せてくれ! 最高の殺し合いが楽しめるショーを約束するぜ!」
鼻息荒く興奮するガロウは再び闘技場へ戻り、生き残りの四人に何かを吠えていたが、クロにとってはあの四人がどうなろうと知った事ではなかったが、商品として壊れないことだけは願った。
~~~~~~~
闘技場を後にしてから二日たった後、瀕死の状態から動けるようになった者達がクロの前に立っていた。
「金に目がくらみ、ワイノール商会に擦り寄った挙げ句に捕まり、闘技場で瀕死になった雑魚の皆さんようこそ」
雑魚という言葉に反応するが、奴隷として制約を受けた彼らにはもはや人権はなかった。反抗的な態度をとった瞬間、隷属の首輪が反応して激痛が走る。
「そうだな……とりあえずそこのお前、これを持ってワイノール商会へ行ってこい」
クロが手渡したのは黒い箱のような物で、中身については彼らに説明はなかった。
「は、はい……」
指名された男は手渡された箱を持って部屋を出て行った。
「残りの奴らは指示があるまで待機だ」
待機部屋として事務所の隣の部屋に案内し、クロは先にワイノール商会へ向かった男の後を追うのだった。
「なあ兄弟、あの程度の連中の戦闘なんて観て楽しいか?」
「まあ殺し合いを観て楽しむ場だからなぁ」
クロの答えにガロウはつまらなそうな顔をする。自分自身が命をかけた戦いを楽しみにしていた分、弱すぎる彼らを見てテンションがガタ落ちしてしまったようだ。
「じゃあ残った奴らをお前が選別するか?」
「ほう……そりゃいいな!」
ガロウは嬉々として闘技場へ飛び降り、生き残った者達の前に仁王立ちで佇む。
「あ~諸君! 最終選考だ! 複数人でも単騎でも構わない。そこに立っている獣人から生き残れ! まあ俺からアドバイスをするならば……全力で頑張れだ!」
「さあ、かかってこい!! 俺様は強ぇぞ!!」
様子を見て躊躇する者、仲間と相談して一斉に襲い掛かろうと画策する者、虎視眈々と隙を窺い身を隠す者、そんな様々な思惑を一蹴するかの如くガロウは無策に突進する。
「うらぁぁぁぁ!!」
最初の拳の一振りで二、三人が吹き飛び、その場は混乱状態だった。阿鼻叫喚が響き渡り、なす術もなく次々と倒れていく。
「このままだと全員失格だな……」
クロは魔法袋の中からさまざまな武器を取り出し闘技場の中へ放り投げた。
「お前ら! 生き残りたければ武器を拾え! このままだと全員死ぬぞ?」
放り投げた武器を拾った者がガロウに斬りかかるが鋼鉄のように硬いガロウの皮膚は傷が付くこともなく弾き返す。
「ハハハハハッ!! テメェら武器の使い方も知らねえのかよ!」
心が折れた者から次々と息の根を止められる。ガロウはがむしゃらに攻撃しているように見えて、戦意を失った者を観察し屠っていた。勝てないとしても最後まで諦めない強い心を持つ者は成長する。そこを期待していた。
「そろそろいいか……ガロウ! 終了だ!」
「まあこんなもんだろ!」
生き残りは四人、それぞれ今は弱いかもしれないが、ガロウの選別に合格した彼らは後に闘技場の四天王と呼ばれる人気のグラディエーターになれば嬉しいな。
「おめでとう! 金に目がくらみ、ワイノール商会に魂を売った罪だが、生き残った事を褒美になかった事にしてやろう。だが、こらから君達は闘技場の戦士として頑張ってもらう! さっきも言ったが、ファイトマネーも支給するし、寝床も用意してやろう。あとは十連勝したら表の世界へ返してやるから、まあ……頑張れや」
生き残りの四人はその場にへたり込み安堵するが、死ぬより辛い現実があることを彼らはまだ知らない。
「倒れてる奴で、まだ息をしている奴がいたら隷属の首輪をして別室で治療しておけ」
「はっ!」
「動けるようになったら事務所まで連れてこい」
クロは今後の指示を闘技場担当に告げ、その場を後にする。
「兄弟、あの程度で瀕死になるような奴らどうするだ?」
「ガラクタはガラクタで使い道があるんだよ」
ガラクタと称された彼らが辿る道は明るいはずはなく、後に闘技場に残った四人が幸せに思えるほどの扱いを受ける事になる。
「なあ!? 闘技場はいつから興行するだ!?」
「全てが揃ってからだから……まだまだ先だな」
「そうか! じゃああの生き残りの四人を鍛えてもいいか?」
「それは構わんが……」
「よっしゃぁぁぁぁ!! じゃあ闘技場の事は俺に任せてくれ! 最高の殺し合いが楽しめるショーを約束するぜ!」
鼻息荒く興奮するガロウは再び闘技場へ戻り、生き残りの四人に何かを吠えていたが、クロにとってはあの四人がどうなろうと知った事ではなかったが、商品として壊れないことだけは願った。
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闘技場を後にしてから二日たった後、瀕死の状態から動けるようになった者達がクロの前に立っていた。
「金に目がくらみ、ワイノール商会に擦り寄った挙げ句に捕まり、闘技場で瀕死になった雑魚の皆さんようこそ」
雑魚という言葉に反応するが、奴隷として制約を受けた彼らにはもはや人権はなかった。反抗的な態度をとった瞬間、隷属の首輪が反応して激痛が走る。
「そうだな……とりあえずそこのお前、これを持ってワイノール商会へ行ってこい」
クロが手渡したのは黒い箱のような物で、中身については彼らに説明はなかった。
「は、はい……」
指名された男は手渡された箱を持って部屋を出て行った。
「残りの奴らは指示があるまで待機だ」
待機部屋として事務所の隣の部屋に案内し、クロは先にワイノール商会へ向かった男の後を追うのだった。
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