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第二章 立志編
第54話 理由
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マリベルに会う時は冒険者として接触するため、エリーナもシスターの格好ではなく魔法使い風の装備に着替えてもらった。
「なんだかワクワクしますね!」
「えっと、一応今は懺蛇のクロとカインじゃなくて、冒険者パーティー叡智のカケラのクロとカインだからな?」
クロ達は便宜上冒険者として行動する時は叡智カケラというパーティーを組み活動し、ランクはEである。面倒なので偽名は使っていない
今回は指名依頼という形を取るのでマリベルと合流後、依頼者同伴の元ギルドまで行くことになる。
「エリーナも今日は叡智のカケラの新しいパーティーメンバーとして付いてきてもらうから、後でギルドガードをつくるからな?」
「わあっ! ギルドは初めてです!」
「悪いが聖女エリーナの名前は有名だから偽名で登録してもらう事になるけどいいか?」
「偽名ですか? 何か新しく生まれ変わるみたいでわくわくしますね!」
クロは裏社会で有名とはいえそれは裏だけの話しであり、表社会では無名の冒険者だ。しかし、エリーナは庶民レベルでの認知はないが貴族社会で知らない者は居ない。その聖女を帝国が召し抱えないのは、神罰の聖女と言われ邪な心を持つ者が不用意に近づけないからであり、有事があるまでは静観しているというのが理由にある。
「名前はどうするんだ?」
「エリーナ……エリー?……エリナ? う~ん……リナでどうだ?」
「リナですか!? クロ様と同じ二文字でお揃いですね!」
「あ~そ、そうだな? はははっ」
カインから刺さるような視線が飛ぶが、意図して二文字にしたわけではないと声を大にして言いたかった。しかし、嬉しそうに喜ぶエリーナ改めリナ(仮)の顔を見ると何も言えなかったら。
「クロ様? スラムの外は華やかで賑やかなところなんですね?」
「エリーナはスラムから出たことがなかったのか?」
「もうっ! クロ様! エリーナではなくリナです! はい、初めて来ました。何度か皇帝の使者と名乗る方がいらっしゃいましたが教会の中に入れなかったのでそのままお引き取りしていただきました」
「教会に入れないか……(デニス、帝国はエリーナを利用するつもりだったって事だろ?)」
【ねえねえクロっち、そんな気軽な呼び出されると神聖さが台無しなんだけど?】
「(クロッちはやめろ……でどうなんだ?)」
【その通りだよ】
怒気を含んだ言葉が返ってくる。その声は冷たく威圧的で、普段のデニスとは違う。使徒として扱われているクロでも肝が冷える程であった。怒らせてはいけない絶対的なそれが身近にあるという事を改めて認識する。
「(エリーナの敵をお前が排除できるなら俺は必要ないんじゃないか? 自分で言うのもなんだが俺は白くない)」
【クロだけに? はははっ! まいったな、君は冗談も言えるんだね! 意外だったよ】
「(茶化すな……)」
【君を気まぐれで選んだわけではないよ? 何か大きな理由が必要かい?】
「(そうだな、覚悟が変わる)」
【君のような面白い存在は僕の退屈な日常を豊かにしてくれる。エリーナちゃんと出会った時とはまた違った高揚感だったんだ。君にならエリーナちゃんを任せても不快ではないから君を選んだ】
「(もっともらしい理由があるのかと思えば……神のくせに感情的過ぎるだろ)」
【神にだって感情はあるさ、だから人を愛し、悪を許さず神罰を与える。僕は他の神より少し好き嫌いが激しいだけだよ? そんな神に君は魅入られたんだ誇っていいんだよ。それにしても、上手く並列思考スキルを使いこなせているね? 僕は嬉しいよ!】
「(平常時なら問題はないが、戦闘となるとまだ難しいな)」
【それは君の好きな修行で頑張ってとしか言えないかな? それと……早く依代を用意してよ! この前みたいな脆弱な依代じゃなくてね!!】
クロは一度依代としてスラム街で死んでいた動物を使う実験をした事があった。しかし、デニスが入った瞬間に爆散しちょっとしたトラウマになっている。
「(無茶を言うな……神を降ろす依代なんて簡単に見つからないって!)」
【まあ僕の方でも探すとするよ。あ~それと……そろそろ面倒な存在が近づいてくるからエリーナちゃんをしっかりと護るようにね? 何が近づいているかは分かるよね? 僕は立場上それには干渉出来ないからさ】
「(まじかよ……)」
神が立場上とはいえ干渉ができない存在とはクロが嫌悪しているあれであろう。人族の希望、正義の代弁者である勇者がこの街に近づきつつあるようだ。
「なんだかワクワクしますね!」
「えっと、一応今は懺蛇のクロとカインじゃなくて、冒険者パーティー叡智のカケラのクロとカインだからな?」
クロ達は便宜上冒険者として行動する時は叡智カケラというパーティーを組み活動し、ランクはEである。面倒なので偽名は使っていない
今回は指名依頼という形を取るのでマリベルと合流後、依頼者同伴の元ギルドまで行くことになる。
「エリーナも今日は叡智のカケラの新しいパーティーメンバーとして付いてきてもらうから、後でギルドガードをつくるからな?」
「わあっ! ギルドは初めてです!」
「悪いが聖女エリーナの名前は有名だから偽名で登録してもらう事になるけどいいか?」
「偽名ですか? 何か新しく生まれ変わるみたいでわくわくしますね!」
クロは裏社会で有名とはいえそれは裏だけの話しであり、表社会では無名の冒険者だ。しかし、エリーナは庶民レベルでの認知はないが貴族社会で知らない者は居ない。その聖女を帝国が召し抱えないのは、神罰の聖女と言われ邪な心を持つ者が不用意に近づけないからであり、有事があるまでは静観しているというのが理由にある。
「名前はどうするんだ?」
「エリーナ……エリー?……エリナ? う~ん……リナでどうだ?」
「リナですか!? クロ様と同じ二文字でお揃いですね!」
「あ~そ、そうだな? はははっ」
カインから刺さるような視線が飛ぶが、意図して二文字にしたわけではないと声を大にして言いたかった。しかし、嬉しそうに喜ぶエリーナ改めリナ(仮)の顔を見ると何も言えなかったら。
「クロ様? スラムの外は華やかで賑やかなところなんですね?」
「エリーナはスラムから出たことがなかったのか?」
「もうっ! クロ様! エリーナではなくリナです! はい、初めて来ました。何度か皇帝の使者と名乗る方がいらっしゃいましたが教会の中に入れなかったのでそのままお引き取りしていただきました」
「教会に入れないか……(デニス、帝国はエリーナを利用するつもりだったって事だろ?)」
【ねえねえクロっち、そんな気軽な呼び出されると神聖さが台無しなんだけど?】
「(クロッちはやめろ……でどうなんだ?)」
【その通りだよ】
怒気を含んだ言葉が返ってくる。その声は冷たく威圧的で、普段のデニスとは違う。使徒として扱われているクロでも肝が冷える程であった。怒らせてはいけない絶対的なそれが身近にあるという事を改めて認識する。
「(エリーナの敵をお前が排除できるなら俺は必要ないんじゃないか? 自分で言うのもなんだが俺は白くない)」
【クロだけに? はははっ! まいったな、君は冗談も言えるんだね! 意外だったよ】
「(茶化すな……)」
【君を気まぐれで選んだわけではないよ? 何か大きな理由が必要かい?】
「(そうだな、覚悟が変わる)」
【君のような面白い存在は僕の退屈な日常を豊かにしてくれる。エリーナちゃんと出会った時とはまた違った高揚感だったんだ。君にならエリーナちゃんを任せても不快ではないから君を選んだ】
「(もっともらしい理由があるのかと思えば……神のくせに感情的過ぎるだろ)」
【神にだって感情はあるさ、だから人を愛し、悪を許さず神罰を与える。僕は他の神より少し好き嫌いが激しいだけだよ? そんな神に君は魅入られたんだ誇っていいんだよ。それにしても、上手く並列思考スキルを使いこなせているね? 僕は嬉しいよ!】
「(平常時なら問題はないが、戦闘となるとまだ難しいな)」
【それは君の好きな修行で頑張ってとしか言えないかな? それと……早く依代を用意してよ! この前みたいな脆弱な依代じゃなくてね!!】
クロは一度依代としてスラム街で死んでいた動物を使う実験をした事があった。しかし、デニスが入った瞬間に爆散しちょっとしたトラウマになっている。
「(無茶を言うな……神を降ろす依代なんて簡単に見つからないって!)」
【まあ僕の方でも探すとするよ。あ~それと……そろそろ面倒な存在が近づいてくるからエリーナちゃんをしっかりと護るようにね? 何が近づいているかは分かるよね? 僕は立場上それには干渉出来ないからさ】
「(まじかよ……)」
神が立場上とはいえ干渉ができない存在とはクロが嫌悪しているあれであろう。人族の希望、正義の代弁者である勇者がこの街に近づきつつあるようだ。
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