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第二章 立志編
第48話 ひくわ〜
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「リンリンを殺るか小僧……そこそこはできるようだな」
「爺さんあんたもな」
首領ボンの足元には血だらけになったガロウが倒れていた。
「そいつとは後で用事があったから殺されると困るんだが?」
「ふんっ、この程度で死ぬようなら四天王なんぞにはなっとらんわい」
「あー生きてんだそれ?」
「ぐっ……くそじじいめ……」
ボキッ!
ガロウは辛うじて動く右腕で首領ボンの足首を掴むが、無碍もなしに踏みつけられ腕をへし折られる。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「あっ本当だ、生きてた」
「動揺せんのだな?」
「は? 何? て、てめぇ! 抵抗できない相手をまだ痛ぶるきかっ!! とでも言った方が良かったか? それより……ほらっ」
クロは胴体と切り離されたリンリンの頭を掴み首領ボンへ投げたが、受け取ることはされず身体に当たり床へ転がっていく。
「なんだ、動揺しないんだな? 子飼いの可愛いロリっ子だろ?」
「ひ孫だ」
「もっと悲しんでやれよ」
「弱い奴は死ぬ、それは自然の摂理だからのう……孫とはいえ例外はない」
「世知辛いねえ」
「それにのう……本当に死んだと思っているのか?」
「いやいや、そんな展開いらないって。俺は後で「貴様! あの時殺したはずじゃ!」とか言わないぞ?」
「なんじゃつまらん男だのう! リンリンバレておるぞ?」
「……残念……油断したところで殺そうと思ってたのに……」
切り離した胴体が立ち上がると幻影が解け、無傷のリンリンが姿を現す。
「まるで忍者だな」
「「!!」」
リンリンと首領ボンが驚きの表情になる。
「小僧……その名をどこで知った?」
「どこでって言われてもなあ」
「もしや小僧……召喚者か?」
「召喚者? いや違うが? え? この世界って召喚者っているの?」
「この世界か……小僧よ貴様には少し聞かねばならぬ事があるようだな……」
「……お爺様」
「リンリンよ、下がっておれ」
「……はい」
忍者という言葉で二人は顔付きがあからさまに変わった。それが意味するところまだわからないが、この世界における召喚者の存在は今後大きな意味を持つかもしれない。
「黙秘しても?」
「口を割らせる方法なんてものはいくらでもあるから無駄よ」
「怖っ! 拷問する気かよ……」
「それは答え次第とでも言っておくかの」
スキルによる真偽を確認する方法、心を読むスキル、拷問と方法はいくらでもある。首領ボンの口ぶりから察すると十中八九拷問による手段であろうと予測できた。
「はいはーい! おっすオラ転生者! おめぇ怖ぇなぁ! オラびっくりだぞぉ」
転生した当初はバレる事で大きな力に利用されるのではないかと思い、頑なに秘密を貫いていた。しかし、力をつけた今では特に隠すメリットも感じていなかったクロは簡単に秘密を明かした。
「……小僧、男ならもっと抵抗せんか!」
簡単に秘密を明かしたクロに拍子抜けした首領ボンは呆きれを通り越し怒りを覚えた。
「負けるつもりは更々ないけど、無傷でってのは無理だろ? 痛いのも嫌だし、この方が建設的な話ができるだろ?」
「つまらん……」
「は?」
「それじゃつまらん!」
「じじいのわがままは可愛くないぞ」
「久しぶりに骨のある奴が現れ、スラムの良い意味で崩壊させあっという間にここまで辿り着いた。こんな心躍る出来事が生きてる間に再び拝めるとはと歓喜してお膳立てしたというのに! 小僧! 貴様にこの悲しみが理解出来るか!?」
首領ボンは怒りが一周し涙を流す。裏の世界頂点に立ち、英雄とまではいかなくとも栄華を極め、気づけば人を殺すだけの指示を送る退屈な毎日だった。
ドルトランドやガロウ、ウルティマは恭順に近い形で共存の道を選んだため特にワクワクもなかったが、そこにクロ達が現れ短い期間で一部スラム街の治安が改善し、街が活気に溢れた。これからは若い世代が時代を作る。ならば自分は引導を渡すべく悪役に徹し成長を促そうと心に誓いラスボス感を演出したのにも関わらず、クロは思い描いたシナリオをすっ飛ばし全ての計画を台無しにしてしまったのだった。
「面倒くさいじじいだな」
「……お爺様の気持ち察して」
クロは老人の涙にひいてしまい、呆れてと共に戦意を失ってしまった。
「爺さんあんたもな」
首領ボンの足元には血だらけになったガロウが倒れていた。
「そいつとは後で用事があったから殺されると困るんだが?」
「ふんっ、この程度で死ぬようなら四天王なんぞにはなっとらんわい」
「あー生きてんだそれ?」
「ぐっ……くそじじいめ……」
ボキッ!
ガロウは辛うじて動く右腕で首領ボンの足首を掴むが、無碍もなしに踏みつけられ腕をへし折られる。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「あっ本当だ、生きてた」
「動揺せんのだな?」
「は? 何? て、てめぇ! 抵抗できない相手をまだ痛ぶるきかっ!! とでも言った方が良かったか? それより……ほらっ」
クロは胴体と切り離されたリンリンの頭を掴み首領ボンへ投げたが、受け取ることはされず身体に当たり床へ転がっていく。
「なんだ、動揺しないんだな? 子飼いの可愛いロリっ子だろ?」
「ひ孫だ」
「もっと悲しんでやれよ」
「弱い奴は死ぬ、それは自然の摂理だからのう……孫とはいえ例外はない」
「世知辛いねえ」
「それにのう……本当に死んだと思っているのか?」
「いやいや、そんな展開いらないって。俺は後で「貴様! あの時殺したはずじゃ!」とか言わないぞ?」
「なんじゃつまらん男だのう! リンリンバレておるぞ?」
「……残念……油断したところで殺そうと思ってたのに……」
切り離した胴体が立ち上がると幻影が解け、無傷のリンリンが姿を現す。
「まるで忍者だな」
「「!!」」
リンリンと首領ボンが驚きの表情になる。
「小僧……その名をどこで知った?」
「どこでって言われてもなあ」
「もしや小僧……召喚者か?」
「召喚者? いや違うが? え? この世界って召喚者っているの?」
「この世界か……小僧よ貴様には少し聞かねばならぬ事があるようだな……」
「……お爺様」
「リンリンよ、下がっておれ」
「……はい」
忍者という言葉で二人は顔付きがあからさまに変わった。それが意味するところまだわからないが、この世界における召喚者の存在は今後大きな意味を持つかもしれない。
「黙秘しても?」
「口を割らせる方法なんてものはいくらでもあるから無駄よ」
「怖っ! 拷問する気かよ……」
「それは答え次第とでも言っておくかの」
スキルによる真偽を確認する方法、心を読むスキル、拷問と方法はいくらでもある。首領ボンの口ぶりから察すると十中八九拷問による手段であろうと予測できた。
「はいはーい! おっすオラ転生者! おめぇ怖ぇなぁ! オラびっくりだぞぉ」
転生した当初はバレる事で大きな力に利用されるのではないかと思い、頑なに秘密を貫いていた。しかし、力をつけた今では特に隠すメリットも感じていなかったクロは簡単に秘密を明かした。
「……小僧、男ならもっと抵抗せんか!」
簡単に秘密を明かしたクロに拍子抜けした首領ボンは呆きれを通り越し怒りを覚えた。
「負けるつもりは更々ないけど、無傷でってのは無理だろ? 痛いのも嫌だし、この方が建設的な話ができるだろ?」
「つまらん……」
「は?」
「それじゃつまらん!」
「じじいのわがままは可愛くないぞ」
「久しぶりに骨のある奴が現れ、スラムの良い意味で崩壊させあっという間にここまで辿り着いた。こんな心躍る出来事が生きてる間に再び拝めるとはと歓喜してお膳立てしたというのに! 小僧! 貴様にこの悲しみが理解出来るか!?」
首領ボンは怒りが一周し涙を流す。裏の世界頂点に立ち、英雄とまではいかなくとも栄華を極め、気づけば人を殺すだけの指示を送る退屈な毎日だった。
ドルトランドやガロウ、ウルティマは恭順に近い形で共存の道を選んだため特にワクワクもなかったが、そこにクロ達が現れ短い期間で一部スラム街の治安が改善し、街が活気に溢れた。これからは若い世代が時代を作る。ならば自分は引導を渡すべく悪役に徹し成長を促そうと心に誓いラスボス感を演出したのにも関わらず、クロは思い描いたシナリオをすっ飛ばし全ての計画を台無しにしてしまったのだった。
「面倒くさいじじいだな」
「……お爺様の気持ち察して」
クロは老人の涙にひいてしまい、呆れてと共に戦意を失ってしまった。
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