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第二章 立志編
第35話 神の言う事は〜? ぜった〜い!
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「クロ様は不思議な方ですね?」
「なぜそのように?」
「この建物は悪意や害意のある者を拒むのです」
「神域とでも?」
「いえ、私がそうなるようにしているのですよ」
「あぁスキルか、でも不思議と言われても俺は普通の参拝者だよ? だから今ここに入れるんだろうしね」
「ふふっ! 神の像を睨み、軽んじているのにデニス様からの神罰も起きない。それは普通ではないのですよ?」
神罰という聞き捨てならない言葉が飛び出したが、この世界への転生自体が神罰のような気がするとクロは思った。
「神罰ねえ……祈りの形式に拘っていない神が信仰心のない人間に興味を示す方が不思議だよ」
「……起きないですね、神罰」
「え? そんなに簡単に神罰を発動するの!?」
「ええ、気軽にポンっと」
それは本当に神なのかという疑問が浮かぶ。神とはもっと放任主義というか、地上への干渉はせず見守るだけの存在どなければならないと思う。
「そう言われるとエリーナさんから神に会った事あります!と言われても信じてしまいそうだな」
「え? はい、つい最近も顕現されましたよ?」
「嘘だ……ろ? それで神は何と?」
「デニス様の御言葉をそのままお伝えしますね」
【あ~エリーナちゃん、この先ちょ~と忙しくなるけど道を間違えないようにね? 一応聖女認定してあげるから自分の身は自分で守るだよ~】
「です」
「軽っ! 神ってそんなに軽いのっ!? というか聖女様なのかですか?」
「うふふっ、私が聖女なのはそうお告げがあっただけで、私が特別な訳ではないんです。敬語などは必要ありませんよ」
「いや、敬語は助かるが……聖女って特別でしょ? 神からの神託だよねそれ」
「はぁ、神託ではありますが私自身は何も変わりませんので……なにやらまわりがそう騒いでしまうので私としは困ってしまいます」
「迷惑だと?」
「戦いの苦手な私を心配して下さったデニス様の慈悲を迷惑だなんて! 迷惑なのは聖女だと騒ぎ戦いの場に引き摺り出そうとする人達です! 私には守らなければならない子供たちと信者達を導くという崇高な役割があるのです!」
聖女様といえば勇者と共に魔王を倒すべく行動する善意の塊軍団の一員のはずだが、この聖女様はそうではないようだ。偉そうな事を言っているが、要約すると「戦いたくな~い! 身近な人にしか興味な~い!」だろう。なんかちょっと好感が持てるとクロは不覚にも思ってしまう。
「つい最近もって言ってたけど、神ってそんなにちょくちょく顕現するの?」
「はい、よく顕現されてはお茶を飲んで帰られます」
「もう威厳もクソも…」
【ひどいなぁ~さすがに神罰下しちゃうよ?】
「はっ!?」
目の前が光に包まれ、ジャージ姿の神々しい何かが語りかけてきた。
「デニス様!」
「神かよ!」
【我が絶対神デニスである! とか言えば良いの? 怠くない?】
この世界の神は結構緩かった。という事はこの世界自体を緩く生きてもいいのだろうかと安心感が少し増した。
「えっと…デニス様って呼べばいいのか?」
【それって、何かかなりあるからデニスでいいよ】
「じゃあ、デニスは俺に何か用があるのか?」
【単刀直入に言うね? クロ君? 懺蛇? 真島三太? まあいいや、エリーナちゃんを守って】
「クロでいい、本当に単刀直入だな」
【この意味は君ならわかるよね?】
「凡その見当は付くが……なぜ俺がそれをしなくちゃならない? メリットは?」
聖女を守れという神託?の意味、それは恐らく勇者関連だろうと予測されたが、ならばなぜ聖女にしたのかという疑問が出てくる。
【え? エリーナちゃん可愛いでしょ? それ以外の理由が必要?】
「神がそんなんでいいのか?」
【良いに決まってるじゃないか~だって神だよ? カワイイは正義って君の世界でも言ってるだろうに】
「君の世界? クロ様は違う世界からお越しになられたのですか?」
「あ~ごめんエリーナさん、今はちょっとその事は置いといて?」
「あ、はい……」
【メリットね~何か希望はある?】
「いや今は特にないかな? ひとつ聞いても良いか?」
【うん、好きに生きて良いよ】
「まだ何も言ってないんだが?」
【僕は神だよ? 君の言いたい事くらいわかるさ】
デニスは笑いながら答える。
【それで? 守ってくれるよね?】
それまで穏やかに笑っていたデニスの雰囲気が変わり威圧感が増した。神とは呼ばれる存在の大きさを感じさせる。
「それは強制だろ? 神だもんなあんた」
【強制とは失礼だな~お願いだよ? 神からのね?】
わかるよね?と言わんばかりに圧をかけてくる。断ると言う選択肢をとればどうなるか想像したくない。
「はぁ……わかったOKだ」
【助かるよ~安心してよ、色々と便宜を図ってあげるからさ? 特別に君を勇者にしてあげても良いよ?」
不敵な顔でクロが一番嫌がるご褒美を提供しようとしている。
「それは神罰が下ってもごめんだ!」
【冗談だよ冗談、あ~そうだ? クロ君さ? ステータスちゃんと見れないでしょ? あれさ~バグなんだよごめんね~】
「おい! ちょっ待てよ!」
「デニス様~また来てくださいね~」
聖女を守るという使命とステータス表示のバグという釣り合わない情報だけ残りデニスは去り、楽しそうにニコニコするエリーナを見て頭を抱えるクロであった。
「なぜそのように?」
「この建物は悪意や害意のある者を拒むのです」
「神域とでも?」
「いえ、私がそうなるようにしているのですよ」
「あぁスキルか、でも不思議と言われても俺は普通の参拝者だよ? だから今ここに入れるんだろうしね」
「ふふっ! 神の像を睨み、軽んじているのにデニス様からの神罰も起きない。それは普通ではないのですよ?」
神罰という聞き捨てならない言葉が飛び出したが、この世界への転生自体が神罰のような気がするとクロは思った。
「神罰ねえ……祈りの形式に拘っていない神が信仰心のない人間に興味を示す方が不思議だよ」
「……起きないですね、神罰」
「え? そんなに簡単に神罰を発動するの!?」
「ええ、気軽にポンっと」
それは本当に神なのかという疑問が浮かぶ。神とはもっと放任主義というか、地上への干渉はせず見守るだけの存在どなければならないと思う。
「そう言われるとエリーナさんから神に会った事あります!と言われても信じてしまいそうだな」
「え? はい、つい最近も顕現されましたよ?」
「嘘だ……ろ? それで神は何と?」
「デニス様の御言葉をそのままお伝えしますね」
【あ~エリーナちゃん、この先ちょ~と忙しくなるけど道を間違えないようにね? 一応聖女認定してあげるから自分の身は自分で守るだよ~】
「です」
「軽っ! 神ってそんなに軽いのっ!? というか聖女様なのかですか?」
「うふふっ、私が聖女なのはそうお告げがあっただけで、私が特別な訳ではないんです。敬語などは必要ありませんよ」
「いや、敬語は助かるが……聖女って特別でしょ? 神からの神託だよねそれ」
「はぁ、神託ではありますが私自身は何も変わりませんので……なにやらまわりがそう騒いでしまうので私としは困ってしまいます」
「迷惑だと?」
「戦いの苦手な私を心配して下さったデニス様の慈悲を迷惑だなんて! 迷惑なのは聖女だと騒ぎ戦いの場に引き摺り出そうとする人達です! 私には守らなければならない子供たちと信者達を導くという崇高な役割があるのです!」
聖女様といえば勇者と共に魔王を倒すべく行動する善意の塊軍団の一員のはずだが、この聖女様はそうではないようだ。偉そうな事を言っているが、要約すると「戦いたくな~い! 身近な人にしか興味な~い!」だろう。なんかちょっと好感が持てるとクロは不覚にも思ってしまう。
「つい最近もって言ってたけど、神ってそんなにちょくちょく顕現するの?」
「はい、よく顕現されてはお茶を飲んで帰られます」
「もう威厳もクソも…」
【ひどいなぁ~さすがに神罰下しちゃうよ?】
「はっ!?」
目の前が光に包まれ、ジャージ姿の神々しい何かが語りかけてきた。
「デニス様!」
「神かよ!」
【我が絶対神デニスである! とか言えば良いの? 怠くない?】
この世界の神は結構緩かった。という事はこの世界自体を緩く生きてもいいのだろうかと安心感が少し増した。
「えっと…デニス様って呼べばいいのか?」
【それって、何かかなりあるからデニスでいいよ】
「じゃあ、デニスは俺に何か用があるのか?」
【単刀直入に言うね? クロ君? 懺蛇? 真島三太? まあいいや、エリーナちゃんを守って】
「クロでいい、本当に単刀直入だな」
【この意味は君ならわかるよね?】
「凡その見当は付くが……なぜ俺がそれをしなくちゃならない? メリットは?」
聖女を守れという神託?の意味、それは恐らく勇者関連だろうと予測されたが、ならばなぜ聖女にしたのかという疑問が出てくる。
【え? エリーナちゃん可愛いでしょ? それ以外の理由が必要?】
「神がそんなんでいいのか?」
【良いに決まってるじゃないか~だって神だよ? カワイイは正義って君の世界でも言ってるだろうに】
「君の世界? クロ様は違う世界からお越しになられたのですか?」
「あ~ごめんエリーナさん、今はちょっとその事は置いといて?」
「あ、はい……」
【メリットね~何か希望はある?】
「いや今は特にないかな? ひとつ聞いても良いか?」
【うん、好きに生きて良いよ】
「まだ何も言ってないんだが?」
【僕は神だよ? 君の言いたい事くらいわかるさ】
デニスは笑いながら答える。
【それで? 守ってくれるよね?】
それまで穏やかに笑っていたデニスの雰囲気が変わり威圧感が増した。神とは呼ばれる存在の大きさを感じさせる。
「それは強制だろ? 神だもんなあんた」
【強制とは失礼だな~お願いだよ? 神からのね?】
わかるよね?と言わんばかりに圧をかけてくる。断ると言う選択肢をとればどうなるか想像したくない。
「はぁ……わかったOKだ」
【助かるよ~安心してよ、色々と便宜を図ってあげるからさ? 特別に君を勇者にしてあげても良いよ?」
不敵な顔でクロが一番嫌がるご褒美を提供しようとしている。
「それは神罰が下ってもごめんだ!」
【冗談だよ冗談、あ~そうだ? クロ君さ? ステータスちゃんと見れないでしょ? あれさ~バグなんだよごめんね~】
「おい! ちょっ待てよ!」
「デニス様~また来てくださいね~」
聖女を守るという使命とステータス表示のバグという釣り合わない情報だけ残りデニスは去り、楽しそうにニコニコするエリーナを見て頭を抱えるクロであった。
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