29 / 156
第二章 立志編
第29話 迷い人は厄災
しおりを挟む
スフィア・エル・ガルガランドはイライラしていた。
「もう! どこなのよ!」
探せど探せど、十年前の約束地が見つからない苛立ちで周囲の木々を薙ぎ倒しては燃やし、魔獣がいれば殺すを一ヶ月は続けていた。
「全然クーの気配も感じないし! ちゃんと訓練してないんじゃないの!?」
クロ(クロウ)が居た村は既にない。もちろんそこに居るはずもないので気配がないのは当たり前だったが、スーはそれを知らない。
そんな時光明が差した。朽ち果ててはおりはっきりとは書かれてないが何処かの村への行き先を示していた。
「絶対そうだ! クーの村への道! 私の勘がそう言ってる!」
根拠のない自信で全力で走り出し程なくして朽ち果てた防壁が見えてきた。
「おいおい、お嬢ちゃんこんな山奥で何してんのかなあ?」
防壁に近づくとボロボロの門の前にいやらしい目つきをした男達が声をかけてきた。
「おぉ! 女だぞ! 手前らぁ!」
「なんだぁ~綺麗な顔してっ……おいおい! 上玉だなあおい!」
「ねえ? 聞きたいんだけどいい?」
そんな男達を侮蔑の目で見ながら問う。
「おうおう! 何でも聞いてくれ!」
「ここにクーという十五歳位の男の子は居る?」
「クー? あぁ居る居る! クーな? 居るよぉ」
「本当にっ!?」
「本当、本当! さあ会わせてあげるからこっちにおいでよ」
「おお! 早う会わせて欲しい!」
へへへっと周囲に集まった男達が笑う中、中央にある屋敷へ着いていった。
「ちょっとここで座って待ってな」
狭い布団しか敷いてない部屋に通され座らされる。
「スーだ!スーが来たと言えばわかるはずだ」
戸が閉まり奥で誰かが喋っているのが聞こえるが何を言っているかまではわからない。
「やっとクーに会える///」
恋する乙女のように妄想を膨らませる少女の前に毛むくじゃらのおじさんが現れた。
「スー! 元気だったかい? クーだよ! ハハハハハー!!」
「誰だ貴様……」
「誰ってクーだよぉ~忘れたのぉ~ゲヘヘ!」
現れたのは何日も身体を洗ってないような異臭の放つ汚らしい男がクロ(クロウ)を名乗り下半身を膨張させながら近づいてくる。
バシッ!
「誰が触る許可を出した?」
「あん? おいおいスーちゃん何言ってんだ? 僕だよ? クーだよぉ~」
スパッ! シュゥゥゥ!!
「へっ?」
膨張した突起物が床に落ちる。
「クーはお前のような汚い獣じゃない!」
「ぐあぁぁぁぁぁ! 何しやがる!!」
「親分! てめえ! なにしやがった!」
続々と手下達が部屋に雪崩れ込み取り囲む。
スーはゆっくりと立ち上がり舞うように剣を振るうと、花びらのように血が飛び散り身体が燃え上がった。
「もう一度聞く、クーはどこ?」
「な、なんだこいつ一瞬で! ぐわっ!」
移動しながら一人ひとりに問いかけるが色良い返事はない。
「ひいっ!」
「フレアジャベリン」
複数の炎の槍が周囲に出現し、無差別に攻撃を始める。
「ま、魔族か! おい!逃げろ!」
三十人は居た男達は散り散りになり逃げるが悉く炎の槍に貫かれていき、残すところ一人となった。
「さあ答えて?」
「し、知らねえ! ここは十年前から廃村で生き残りが居るかも知らねえ! 俺らはここを根白にしている盗賊なんだ! だから! なあ! 頼む殺さないでくれ!」
あまりの恐怖心で穴という穴から水分が溢れ、男は懇願するように土下座をする。
「なんで廃村になったの?」
「し、知らねえよ! いや……そうだ! へへっ思い出した!」
「なに?」
「教えるから殺さないでくれ! そしたら言う!」
「まあいいわ、それで?」
「へへっ! 確かこの村を蒼穹の叡智って連中がやって来て村人を全滅させたって噂が」
「蒼穹の叡智?」
「そ、そいつら盗賊の癖に義賊を名乗ってて、色々と悪さをしている奴らを襲ってんだ!」
「そいつらがクーを殺したの!?」
「待ってくれ! 待ってくれ! それは知らねえよ! ただ、あいつら将来性がありそうなガキは連れて行って育ててるって噂を聞いたことあるから、そのクーっていうガキはもしかしたらそこに……がっ!」
男は思い当たる全て喋り終わると首を落とされた。
「蒼穹の叡智……クーはきっとそこに居る」
廃村を完全に燃やし尽くすと再びクロ(クロウ)を探すべく歩き出した。
「あっ! 場所聞くの忘れた……」
「もう! どこなのよ!」
探せど探せど、十年前の約束地が見つからない苛立ちで周囲の木々を薙ぎ倒しては燃やし、魔獣がいれば殺すを一ヶ月は続けていた。
「全然クーの気配も感じないし! ちゃんと訓練してないんじゃないの!?」
クロ(クロウ)が居た村は既にない。もちろんそこに居るはずもないので気配がないのは当たり前だったが、スーはそれを知らない。
そんな時光明が差した。朽ち果ててはおりはっきりとは書かれてないが何処かの村への行き先を示していた。
「絶対そうだ! クーの村への道! 私の勘がそう言ってる!」
根拠のない自信で全力で走り出し程なくして朽ち果てた防壁が見えてきた。
「おいおい、お嬢ちゃんこんな山奥で何してんのかなあ?」
防壁に近づくとボロボロの門の前にいやらしい目つきをした男達が声をかけてきた。
「おぉ! 女だぞ! 手前らぁ!」
「なんだぁ~綺麗な顔してっ……おいおい! 上玉だなあおい!」
「ねえ? 聞きたいんだけどいい?」
そんな男達を侮蔑の目で見ながら問う。
「おうおう! 何でも聞いてくれ!」
「ここにクーという十五歳位の男の子は居る?」
「クー? あぁ居る居る! クーな? 居るよぉ」
「本当にっ!?」
「本当、本当! さあ会わせてあげるからこっちにおいでよ」
「おお! 早う会わせて欲しい!」
へへへっと周囲に集まった男達が笑う中、中央にある屋敷へ着いていった。
「ちょっとここで座って待ってな」
狭い布団しか敷いてない部屋に通され座らされる。
「スーだ!スーが来たと言えばわかるはずだ」
戸が閉まり奥で誰かが喋っているのが聞こえるが何を言っているかまではわからない。
「やっとクーに会える///」
恋する乙女のように妄想を膨らませる少女の前に毛むくじゃらのおじさんが現れた。
「スー! 元気だったかい? クーだよ! ハハハハハー!!」
「誰だ貴様……」
「誰ってクーだよぉ~忘れたのぉ~ゲヘヘ!」
現れたのは何日も身体を洗ってないような異臭の放つ汚らしい男がクロ(クロウ)を名乗り下半身を膨張させながら近づいてくる。
バシッ!
「誰が触る許可を出した?」
「あん? おいおいスーちゃん何言ってんだ? 僕だよ? クーだよぉ~」
スパッ! シュゥゥゥ!!
「へっ?」
膨張した突起物が床に落ちる。
「クーはお前のような汚い獣じゃない!」
「ぐあぁぁぁぁぁ! 何しやがる!!」
「親分! てめえ! なにしやがった!」
続々と手下達が部屋に雪崩れ込み取り囲む。
スーはゆっくりと立ち上がり舞うように剣を振るうと、花びらのように血が飛び散り身体が燃え上がった。
「もう一度聞く、クーはどこ?」
「な、なんだこいつ一瞬で! ぐわっ!」
移動しながら一人ひとりに問いかけるが色良い返事はない。
「ひいっ!」
「フレアジャベリン」
複数の炎の槍が周囲に出現し、無差別に攻撃を始める。
「ま、魔族か! おい!逃げろ!」
三十人は居た男達は散り散りになり逃げるが悉く炎の槍に貫かれていき、残すところ一人となった。
「さあ答えて?」
「し、知らねえ! ここは十年前から廃村で生き残りが居るかも知らねえ! 俺らはここを根白にしている盗賊なんだ! だから! なあ! 頼む殺さないでくれ!」
あまりの恐怖心で穴という穴から水分が溢れ、男は懇願するように土下座をする。
「なんで廃村になったの?」
「し、知らねえよ! いや……そうだ! へへっ思い出した!」
「なに?」
「教えるから殺さないでくれ! そしたら言う!」
「まあいいわ、それで?」
「へへっ! 確かこの村を蒼穹の叡智って連中がやって来て村人を全滅させたって噂が」
「蒼穹の叡智?」
「そ、そいつら盗賊の癖に義賊を名乗ってて、色々と悪さをしている奴らを襲ってんだ!」
「そいつらがクーを殺したの!?」
「待ってくれ! 待ってくれ! それは知らねえよ! ただ、あいつら将来性がありそうなガキは連れて行って育ててるって噂を聞いたことあるから、そのクーっていうガキはもしかしたらそこに……がっ!」
男は思い当たる全て喋り終わると首を落とされた。
「蒼穹の叡智……クーはきっとそこに居る」
廃村を完全に燃やし尽くすと再びクロ(クロウ)を探すべく歩き出した。
「あっ! 場所聞くの忘れた……」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
230
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる